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【正論】上智大学名誉教授・渡部昇一 政治家・官僚にお願いしたい事

サンフランシスコ講和条約第11条についての外務省の解釈がいつの間にか変わってきたことに、日本政府を卑屈にさせる根本原因があると考えられるのである。

 この時点で日本の外務省の正式見解は、裁判と判決をごっちゃにしているという致命的な誤りを犯しているのである。

 例の第11条を読んでみたまえ。そこには「諸判決(Judgments)を遂行する」としている。もしJudgmentsを「判決」でなく「裁判」と訳したら、日本政府が遂行できるわけはないではないか。東京裁判を遂行したのは連合国である。その裁判所は死刑の他に無期刑やら有期刑の諸判決を下した。その諸判決の期間が終わらないうちに講和条約が成立し、日本が独立したので、「その刑期だけはちゃんと果たさせなさいよ」ということである。

 ソクラテスアテネの裁判で、青年を堕落させたというような罪で死刑を宣告され、獄に入れられた。ソクラテスもその弟子たちもその裁判には不服である。ソクラテスは脱獄をすすめられた。しかしソクラテスはそれを拒否する。「この裁判は受諾し難いが、その判決を受諾しなければ、法治国家は成り立たないからだ」と言ったのだ。

 東京裁判マッカーサーの条例で行われたものであるが、後になって彼自身がアメリカ上院で日本人が戦争に突入したのは主として「自衛」のためだったと証言している