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〈連載―世界変動〉米中依存 新たな次元

 米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)の衝撃が残る昨年9月24日。国連総会出席のためニューヨークを訪れていた中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は、市内のホテルで米金融界の指導層と会合を持った。

 参加したのは、後日オバマ新政権の財務長官の就任が決まるガイトナーニューヨーク連邦準備銀行総裁やシティグループ経営陣のルービン元財務長官、スティグリッツコロンビア大学教授ら。米国の経済や金融の安定維持をめぐり、意見が交わされた。

 「誰也離不開誰」

 その際、温首相は「互いに離れられない」という意味の言葉を使った。危機を乗り越えるには協力が不可避だとの意志が込められていた。

 中国政府の動きは慌ただしかった。経済政策のかじを大きく切り、景気過熱の抑制から景気刺激に転換。11月5日には4兆元(約54兆円)の景気対策をまとめ、即実行に移した。中国人民銀行中央銀行)も9月以降、年末までに5回も利下げを重ねた。

 米国発の激震をきっかけに、自らを守るためにも内需拡大に突き進んでいった。

ウォール街エコノミスト、ダグラス・クリゴット氏(52)は、こう指摘する。「消費低迷で米国の経常赤字は減り、一方で内需拡大にかじを切った中国の経常黒字は小さくなる。この過程で、中国は米国債をこれまでのようには買わなくなるだろう。一方、米国は巨額の財政出動に伴い米国債を増発する。これが米国債相場の下落を招き、ドル下落への圧力ともなる」