「自衛隊などが原子炉冷却に全力を挙げている」。作業終了から約10分後、菅首相はオバマ米大統領に電話で伝えた。米国防総省は藤崎一郎駐米大使に伝えた。「自衛隊の英雄的な行為に感謝する」
翌18日、米原子力規制委員会(NRC)代表団や在日米軍幹部と、防衛、外務当局や東電など日本側関係者が防衛省でひそかに会合を持った。米側の一人はヘリ放水を称賛した。「よくやりましたね」
相次ぐ水素爆発と放射性物質の広域拡散……。原発暴走を制御できない無力な日本という印象が世界に広がりつつあり、菅政権は「このままでは日本は見捨てられる」と危機感を強めていた。「放水はアメリカ向けだった。日本の本気度を米国に伝えようとした」。政府高官は明かした。
現実には冷却効果が期待できないヘリ放水は二度と行われなかった。