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「日本一新運動」の原点(69)── 巨大メディアの「小沢排除」が国を滅ぼす

 21世紀に生きる政治家がまず認識すべきことは、20世紀で謳歌してきた「資本主義」が、変質というよりも崩壊したことである。残念ながら、わが国の多くの政治家や有識者はこの認識に欠けている。これが混迷する日本が立ち上がることができない原因である。この基本的歴史認識が国民的に合意できれば、新しい日本を創ることができる。

 小沢一郎氏は平成元年(1989)、自民党海部政権の幹事長時代、米ソ冷戦の終結を体験して私にこういった。「誰もが資本主義が勝った。これで世界が繁栄して平和になると思っているが、僕はそうは思わない。ソ連の崩壊はパンドラの箱を開けたような混乱になる。過激な経済戦争で世界中に不公平が生まれ、それが原因で各地で紛争が多発する。大変なことになる」と。この予言は的中した。


 これが20数年前の自民党幹事長・小沢一郎の世界観だった。当時、こんな考えを持つ政治家は他にいなかった。「パンドラの箱」が開いた世界で日本はいかに生きるべきか。そこで小沢氏を中心に議論を行い「あらゆる技術の異常な進歩とグローバル化によって、これまでの資本主義が変質した。新しい資本主義、新しい人間社会を考えよう」ということになった。

 小沢氏は「国民の生活が第一」という政治目標を達成するために、「共に生き共に幸せになる」という「共生社会」を創ろうと呼びかけている。そこで「自立・責任・共生」という理念を実現しようとしたが、民主党の党是にできない宿命があった。それは雑居政党民主党にとって、この理念を持てば、自分の否定になる政治家が多勢いるからだ。

 小沢一郎にとって「自立・責任・共生」の政治理念を実現するためには、巨大メディア改革が欠かせない。本来ならメディアが先んじて新しい日本社会の建設理念を提起すべきであるが、20世紀資本主義の影を慕い経営を変えようとしない。この巨大メディアと政権交代を阻止したい麻生自民党政権が、検察権力の悪質な部分とコラボレーションして行われたのが、小沢一郎を政界から排除するための「西松事件陸山会事件の捏造」であった。


 二つの事件が手続的にはともかく、実質的には菅・岡田民主党も絡んだ政治的謀略であったことが、国民の目には明らかになった。残念なことには、巨大メディアがこれまでのことを反省するころか、ポスト菅の代表戦についても、「小沢排除」の再現を報道しはじめた。その一例が朝日新聞(8・11、東京版)の社説である。


「古い発想の旧リーダーが裏で糸を引き、代理戦争を演じたのでは、世代交代の意味がない。これまで党を引っ張ってきた菅・小沢両氏に鳩山由紀夫前首相の『トロイカ』は今回、行動を慎むべきだ」


 恐ろしい発想だ。この1年余、さんざん菅首相を煽ててきた朝日新聞の責任は大きい。性懲りもなく小沢一郎の政治理念と政策を拒否し続ける巨大メディア、中でも朝日新聞社説の姿勢が日本を滅亡の道へ向かわせていると私は思う。小沢一郎が掲げる政治理念のどこが古い発想か。自らの改革を怠る陳腐さを棚に挙げてよくいえたものだ。