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政府・日銀が共同文書で大筋合意、2%の物価目標明記 決定は22日以降

 日銀は国債などの買い入れ期限を決めない無制限の金融緩和を検討するなど、これまでと次元の違う金融緩和を打ち出していく方針。一方、急ピッチの円安進行に諸外国の批判が急増しており、政府は通貨外交による環境整備が求められる。急激な金融緩和で長期金利が一気に上昇しないよう、財政規律の担保も急務だ。

 麻生財務相は会談後の記者会見で「政府・日銀間の連帯強化の仕組みについて検討しており、トップ同士で意見交換した」、「22日の決定会合後に文書化する」と述べた。甘利経済再生相も会見で「腹を割ったいい議論ができた」と語った。両氏とも会談の具体的内容には触れなかったが、同日朝ロイターのインタビューに応じた西村康稔内閣府副大臣によると、文書の内容について最後の詰めを行っており、方向性は大筋で合意済みのもよう。外遊中の安倍晋三首相が帰国した後に最後の詰めを行い、日銀決定会合の判断を踏まえて22日に正式決定する。

 安倍首相周辺は2年以内の物価目標達成を主張しているが、西村副大臣によると、2%の物価目標を共有するが達成時期は明記せず、金融緩和手段は日銀に委ねる。共同文書には政府も規制緩和などを推進し成長戦略を実行していく旨を記載するとともに、財政再建の重要性も盛り込む方向だ。物価目標達成に向けた進ちょく状況を日銀総裁経済財政諮問会議で説明する説明責任についても記載する。目標の達成時期は明記しない見込みだが「5年、10年先では困る」(西村内閣府副大臣)としており、中期的に目指す方向だ。雇用の安定については、文書に盛り込まない方向で調整が進められている。

 これを受け、日銀は今回の金融政策決定会合で、現在は1%の事実上の物価目標を2%に引き上げるとともに、達成が見通せるまで無制限に国債買い入れなどの金融緩和を続けることを検討する。金融機関が日銀に預けている当座預金の超過準備に付く0.1%の金利(付利)の撤廃の是非も議論する。政府から「資産買い入れ基金の毎月の増額などでは市場が予想できてしまう。次元の違う大胆な政策を期待したい」(西村・内閣府副大臣)との声が出ており、大幅なギア・チェンジで市場へのインパクトを狙う。

 そのなかで、安倍自民政権による強力な金融緩和路線による急激な円安進行が、ロシア中銀や独財務相、米国地区連銀総裁などから批判され始めている。麻生財務相は海外からの円安批判については「コメントしない」との立場だが、政府・日銀として円高是正を進めるにあたっては、関係各国の理解が急務だ。

 
 国際協力銀行JBIC)の渡辺博史副総裁(元財務官)は17日の記者団との意見交換会で、甘利経済再生・経済財政担当相や石破茂自民党幹事長が過度な円安が輸入にマイナスと発言したことで、海外の市場関係者が「日本もあまり変なことを考えていない」と受け止めている、と指摘した。裏を返せば、急激な円安誘導に批判的な見方が広がりつつあったとも解釈できる。

 また急激な金融緩和の強化を進めるには、副作用として日銀による財政補てん(マネタイゼーション)懸念から長期金利が急上昇しないよう、政府が財政規律を守る強いコミットメントが望まれる。政府・日銀関係者の間では、小泉政権下の量的緩和は、財政健全化が進むなかでの実施だったため安心感があった、と振り返る。政府・日銀の共同文書も財政の健全性について触れる方向だが、財政への信任が突如崩れる可能性もあるため、細心の注意と実行力が求められる。