これはＯＰＣＷのウズムジュ事務局長が２３日、本部があるオランダのハーグで記者会見を開いて明らかにしたものです。
それによりますと、シリア国内に残っていた最後の化学物質が、２３日にシリア最大の港があるラタキアから船で国外に運び出されました。
兵器の材料となる化学物質を巡っては、ことし２月上旬までにシリア国外への運び出しを完了する計画でしたが、一部が反政府勢力の支配する地域に残されていたことから、作業が大幅に遅れていました。
ウズムジュ事務局長は記者会見で「内戦状態にある国からすべての大量破壊兵器を搬出したのは初めてのことだ」と述べ、その意義を強調しました。
ＯＰＣＷは搬出した化学物質について、アメリカが提供する特殊な船を使って洋上で処理するほか、アメリカやヨーロッパにある民間の施設にも運び込んで処理するとしています。
ただ、シリアでは、国外搬出の対象となっていない有毒の塩素ガスが攻撃に使われた疑いも指摘されており、ＯＰＣＷが現地での調査を続けるなど、化学兵器を巡るシリアへの懸念は払拭（ふっしょく）されていません。
