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苦悶する安倍外交:一体何が欠けており、「世界の根源的な勢力」は何を不満に感じているのか? - 原田武夫国際戦略情報研究所公式ブログ

現在、我が国の対北朝鮮外交は(ある意味当たり前の話であるが)外務省が完全に取り仕切っている。私のかつての上司の1人である齋木昭隆外務次官が異例な形で文字どおり「陣頭指揮」をとる中、全ての物事が進められている。私の知る限り、齋木昭隆外務次官の思考は常に仕えている有力政治家の「満足度の極大化」に照準が合わせられている。驚きかもしれないが、率直にいうとそこでは「国益」などというものがある意味度外視されており、最終的にはそれが自己の官界における延命を可能にするものだという強い認識の下、当該有力政治家との間では徹底した「主従関係」を築き上げ、他方で省内の下僚たちとの間でもその意味での徹底した「主従関係」を維持・推進するタイプなのである。


今回発出された声明にもそのニュアンスが非常に色濃く漂っている。「北朝鮮による脅しには屈しない」という、ある意味我が国の対北朝鮮外交部局では「伝統的」なメッセージがそこでは暗に示されているが、これは本来ならば「何が何でも日朝外交推進」と動いてきた安倍外交とは全く矛盾する声明なのである。しかしそれでもここまで強い非難声明を出すということは、要するに「ご主人様」である安倍晋三総理大臣自身が何等かの理由でそうすべしという指示を出したということだと考えるべきである。なぜならば今の「齋木外務省」にはその意味でのエンジンしか、全ての動きには取り付けられていないからである。


それでは安倍晋三総理大臣がなぜ翻意したのかといえば、その理由は極めて簡単だ。「安倍訪朝カード」に露骨な嫌悪感を示し始めた米国のオバマ政権をさすがにそろそろケアしなければならなくなったからだ。

だが、話はこれで終わりにはならないのだ。―――世界史には3つの層がある。まずはメディアが語り、多くの人々が信じ込まされている「表の層」である。そして次に一部の人々がそうしたストーリーに疑問を抱き始め、ようやく到達することの出来る「裏の層」である。だが、実際にはこれらを全て包括するものの、ほとんどの人たちには見ることが出来ない「闇の層」というものが現にあるのだ。

実は当の内閣総理大臣たちも、この「闇の層」を実際に総理の座に就いてから初めて知ることになる。それは我が国の最高裁判所(総理官邸ではない。「最高裁判所」の、とある執務室である)に就任早々に召喚され、とあることが書かれている大量の書類に自筆で署名を求められ、これを粛々と行う時のことである。その時、我が国の内閣総理大臣はこの「闇の層」で言うところの、我が国の本当の立ち位置、「我が国の根源的な勢力」が1945年の敗戦に際し、いかなる決断を下したのかを初めて知ることになるのである。

はっきり言おう。―――今、我が国が直面している本当の問題とは、この「闇の層」のレヴェルにおいて我が国と、それ以外との間でズレが出て来てしまっているという点にあるのだ。後者すなわち「世界史の根源的な勢力」は、前者すなわち「我が国の根源的な勢力」たちがどういうわけか路線をずらし始めたことに大いなる当惑を示し始めている。なぜならばあくまでも「表の層」の話に過ぎない「米中対立」といった議論・騒動に翻弄され、ついには集団的自衛権まで自ら容認し始めたからである。そして「裏の層」の議論である「ユダヤ拝金主義」の主役であるユダヤ人たちを本当に世界の支配者だと信じ込み、そのアドヴァイスを受けながら物事を進めようとすら見受けられるのである。

途方に暮れた後者はしばし呆然自失となると共に、「それならば日本はもういいだろう」という判断に今、なりかけてしまっている。

実のところ、この「闇の層」のレヴェルでぶつかり合う二つの勢力は共に、私の言葉で言うならば「Pax Japonica」すなわち我が国が主導的な役割を果たすことで世界秩序が再編されていくことを望んでいるのだ。ただ、何らの調整を経ることなくそこに突っ込もうとしている「我が国の根源的な勢力」に対して「世界の根源的な勢力」は不信感を募らせており、サインを送り続けているのである。我が国外交がなすべきことは、実はこのレヴェルにおいて理解を求め、融通をつけさせることに他ならないのだ。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140102#1388659525(「八紘一宇」を誤解した戦前の過ちを繰り返す安倍産経一派)