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SUZUKI Ikuro

うちにも届きました!発色が綺麗。

SUZUKI Ikuro

アリストテレス的現代形而上学』は、 Tuomas E. Tahko (ed.) *Contemporary Aristotelian Metaphysics* (OUP, 2012)の全訳になります。

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本書は、昨年に惜しくも亡くなられた、現代形而上学の代表的論者E. J. Loweを中心に編まれた論文集でもあり、その点で本訳書も彼に対する追悼の意味を帯びることになってしまいました。このことについては、加地先生による訳者あとがきを参照していただければと。

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本書の背景や狙いについては、加地先生による力のこもった冒頭解説や、編者のタフコさんの序論が明快な見通しを与えてくれます。

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また、タフコさんの論文(第二章)が、アリストテレス的現代形而上学の特徴(いくつかの点については、現代形而上学についての比較的主流になりつつある理解)を綺麗にかつ穏当にまとめているので、これも特にお勧めです。

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私が担当した章は、第4章 エリック・オルソン「同一性・量化・数」と、第12章 カトリン・コスリツキ「本質・必然性・説明」になります。

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オルソンの「同一性・量化・数」は、もしかすると「アリストテレス的」な感じは若干希薄かもしれません。この論文の主題は、とても基本的な形而上学的問題、つまり、何かと何かが同じであることと、あるものが存在するということと、あるものに何らかの数を割り当てられることの関係を扱うものです。

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標準的な考え方に従えば、あるものとあるものが同じだということは、要するに、それが「ひとつ」のものだということです。また、何かが存在することは、それが少なくとも「ひとつ」あることだと考えられます。したがって、同一性と数、量化(存在)と数が密接に結びついているというのは自然です。

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しかし、現代の哲学者のなかには、こうした標準的見解を否定する論者がいます(その代表者が、先ほど挙げたロウです)。

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こうした論者によれば、ある種のものについては、あるものとあるものが同じものだとしても、それは「ひとつ」のものだとは言えない。同様に、その種のものが存在するとしてもそうしたものが少なくとも「ひとつある」とも言えないとされます。

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オルソンの目的は、こうした議論(特にロウの主張)を批判的に吟味することです。この論文は、話題としては基礎的な(そしてちょっと地味な)ポイントを論じるものですが、とてもオーソドックスな仕方で書かれており、個人的には現代形而上学の議論の感覚をつかむのにとてもよい論文だと思います。

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実際、この論文で用いられる明確化の手法や議論の進め方は、現代形而上学の議論で頻繁に用いられるものです。こうしたやり方に馴染めれば、大概の現代形而上学の論文を読むことができるのではないかと。

翻訳『アリストテレス的現代形而上学』の担当章紹介 - researchmap