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焦点:ETF増額に期待、日銀がユニクロ「大株主化」の副作用も | Reuters

日銀による追加緩和の手段として、可能性が高いツールは何か──。多くの市場関係者が予想しているのが、ETF(上場投資信託)の買い入れ枠拡大だ。機関投資家の新規参入を促すプラス効果があるものの、リスク資産の増大は「出口戦略」を難しくする。


さらに、ファーストリテイリング(9983.T: 株価, ニュース, レポート)など間接的に個別株の5%を超えて保有するケースがあり、副作用を懸念する見方も広がりつつある。

日銀は、年間約3兆円のペースでETFの買い入れを進めている。

複数の市場関係者によると、日銀のETF買い入れは、新規設定を通じて行われているという。主な手順は、日銀からETF買い入れを受託した信託銀行が証券会社にETF買いを発注。証券会社はETFに見合う保有株を運用会社に渡し、運用会社は新たにETFを設定するというスキームが採られている。


一連の取引はほとんどが市場外取引で行われ、東証が公表している投資主体別売買動向などには、反映されないとみられている。


この手順を踏めば、日銀がETFの買い入れを継続しても、新たにETFが新規設定されるため、ETF市場自体が拡大していく。これまでもETF市場の残高は、日銀がETF買い入れを始めた2010年12月の2兆6103億円から2015年3月には12兆8967億円と、約4.9倍に膨らんだ。


加えて日銀によるETF買い入れ策を受け、銀行のETF活用が進むという好影響も出ている。東証が公表しているETF受益者情報によると、都銀・地銀の保有金額は2013年7月の6853億円から15年1月には1兆6509億円まで拡大。値上がり分を考慮しても2倍近く増えている計算になる。

ただ、市場の一部からは日銀によるETF買い入れに対し「個別銘柄への影響を考えると倫理上、問題が生じる」(大手投信)と懸念する声も出始めている。


日銀が公表しているETF購入合計額(簿価ベース、4月30日時点)は、4兆8618億円。時価総額で案分すると、日経平均連動型ETF5銘柄の合計で約2兆6400億円、TOPIX連動型ETF4銘柄の合計で約2兆1700億円の残高となる計算だ。


日経平均の構成比率9.6%、TOPIXで同0.4%となっているファーストリテイリング(9983.T: 株価, ニュース, レポート)で算出すると、日銀の保有分は合わせて約2620億円。時価総額5.0兆円の同社にとって、約5.2%にあたり、大量保有報告書の提出が義務付けられている5%ルールに抵触する。時価ベースに換算すれば「約7─8%程度を占める」(国内証券)との試算もある。


ファーストリテ株の直接の保有者はETF運用会社であり、日銀はあくまで間接的に保有しているに過ぎない。だが、個別株における日銀の保有分が膨らむことにより「市場に出回る浮動株が減少し、ヘッジファンドなど短期筋によるファーストリテ株を通じた相場コントロールがしやすくなる」(松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)と警戒する声が出ている。

日銀のETF買い入れ拡大は、ETF市場の拡大や株価の下支え効果がある。その一方、適正な価格形成が妨げられ、実体経済とかい離する可能性があるほか、日銀自身のリスクも高めかねない。


市場では「株価が上昇しているうちは良いが、グローバル景気がピークアウトし、株価が下落し始めたらどうするのか。出口戦略も一切みえてこない」(UBS証券エクイティ・ストラテジストの大川智宏氏)と不安視する声は根強い。