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焦点:東芝株は特設注意市場銘柄へ、上場廃止当面回避の公算 | Reuters

東証は、内部管理体制に問題があり、改善の必要性が高い企業が振り向けられる「特設注意市場銘柄」への指定を軸に検討を進めるとみられている。

2004年の旧西武鉄道有価証券報告書虚偽記載事件や、06年の旧日興コーディアルグループによる不正会計事件、2011年のオリンパス(7733.T)の損失先送り事件など、企業の粉飾決算事件のたびに市場の注目を集めるのが上場廃止の有無だ。今回、東芝の行方に対する市場の関心も高いが、複数の関係者によると、上場廃止は見送られる可能性が高い。


理由の1つが、2013年の制度改正だ。制度改正以前は、有価証券報告書の虚偽記載が発覚した銘柄はまず「監理銘柄」に指定され、上場廃止にするかどうかの審査期間に入った。


しかし、結論に至るまでの期間は不透明感がくすぶり続け、投資家は対象銘柄を手掛けにくかった。


制度改正ではこの点が見直され、有報の虚偽記載では原則として監理銘柄ではなく、内部管理体制を改善する必要がある企業として「特設注意市場銘柄」に指定することになった。


そのうえで、指定を受けた企業は定期的に改善報告書を提出する。投資家は、対象銘柄が早期に上場廃止に追い込まれるリスクから解放され、通常通り売買を行うことができる仕組みができた。

20日に公表された東芝の第三者委員会の報告書は、不適切な会計処理への歴代経営陣の関与を認定。さらに「いくつかの案件については、複数の監査委員が不適切な会計処理が行われている事実、または、引当金の計上等の会計処理が必要となることを裏付ける事実を認識しているにもかかわらず、監査委員会において問題点を審議するなどの行動は行われず、また、監査委員会として業務執行者側に問題点を指摘したりするなどの何らかの行動を行うことはなかった」として、社内の監査委員会の機能不全を指摘した。


複数の関係者によると、東証東芝に対して内部管理体制を改善する必要性が高いとして、ひとまず特設注意市場銘柄に指定する可能性が高いとみられる。また、東芝に対して上場契約違約金9120万円を科すことも視野に入れているようだ。

ただ、東芝株が上場廃止になる可能性はゼロというわけではない。今年に入って、初めて特設注意市場銘柄から上場廃止になるケースも出た。


その第1号となったのは京王ズホールディングス。特設注意市場銘柄への指定後も、問題となった元代表取締役への不正な資金流出を続けるなど内部管理体制の改善がみられないと東証が判断し、上場廃止になった。


もう1社は、石山Gateway Holdings(7708.T)だ。証券取引等監視委員会金融商品取引法違反で法人と旧経営幹部を刑事告発する事態に発展し、上場廃止が決まった。


特設注意市場銘柄の位置付けは、上場廃止の手前の措置だ。内部管理体制に改善が見られなかったり、経営陣のみならず問題企業が「法人」として刑事告発された場合には、東証は当該銘柄を上場廃止に踏み込む可能性がある。

東証による特設注意市場銘柄への指定やその後の改善状況の監視は、取引所として「自浄作用」を発揮し、マーケットの信用を維持する仕組みだ。

東芝は内部管理体制の再構築が急務となるが、特設注意市場銘柄に指定されてから原則1年以内に内部管理体制の改善がないと判断されれば、上場廃止になる。


もう1点は、法人としての東芝刑事告発されるかどうかだ。第三者委員会の報告書は「いくつかの案件においては、コーポレート(社長、事業グループ担当執行役などの総称)の経営トップらまたは社内カンパニー(自主経営責任を負う東芝の事業部門)のトップらが、『見かけ上の当期利益のかさ上げ』を行う目的を有していた事実が認められる」として、田中社長ら歴代経営陣の責任に言及した。田中社長らの刑事告発に発展するかどうか、その点も今後の焦点の1つになる。


東芝が「法人」として刑事告発されれば、東証は上場規程に則って「公益性」や「投資家保護」の観点から上場廃止の是非を議論することになる。


#商法