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福井県にある高浜原子力発電所3号機と4号機について、大津地方裁判所は、運転の停止を命じる仮処分の決定を出しました。稼働中の原発の運転の停止を命じる仮処分の決定は初めてで、関西電力は、速やかに原子炉を止めなければならなくなりました。

運転中の原発停止の司法判断は初めて NHKニュース

福井県にある高速増殖炉もんじゅ」を巡る裁判では、平成15年に名古屋高等裁判所金沢支部が国の許可は無効だという判決を言い渡しましたが、その後、最高裁判所が取り消しました。
住民などが電力会社に対して原発を運転しないよう求めた裁判では、平成18年に金沢地方裁判所が石川県にある北陸電力志賀原発2号機の運転を差し止める判決を言い渡したほか、おととし、福井地方裁判所福井県にある関西電力大飯原発3号機と4号機の運転を差し止める判決を言い渡しました。
この2件は、電力会社が控訴したため判決の効力がすぐに生じることはなく、志賀原発については2審で判決が取り消され、大飯原発については今も2審で争われています。
また、緊急の場合などに使われる仮処分の手続きでは、去年4月、福井地方裁判所が、福井県にある関西電力・高浜原発3号機と4号機の運転を認めない決定を出しました。
仮処分はすぐに効力が生じますが、高浜原発はこのとき再稼働に向けた審査中で、原子炉を停止していたため、ただちに影響はなく、この決定は、去年12月、福井地裁の別の裁判長に取り消されました。
これまでの3件は、いずれも原発の運転に直接影響しませんでしたが、大津地方裁判所の9日の決定は、運転中の原発を初めて停止させることになります。
決定の効力は、関西電力が異議を申し立てて決定が取り消されたり、仮処分に伴って行われる正式な裁判で判断が覆されたりしないかぎり続くことになります。

原子力発電所を運転させないよう求める裁判所への申し立ては、5年前の原発事故をきっかけに全国で相次いでいて、稼働中の原発にストップを命じた今回の決定は、各地の今後の審理にも影響を与えそうです。
原子力発電所を巡る裁判は、昭和40年代後半から起こされていますが、5年前に福島第一原発の事故が起きると、改めて安全性を問う動きが広がりました。
住民などのグループの弁護団によりますと、全国の裁判所に申し立てられた仮処分や集団訴訟は、現在、およそ30件に上っているということです。
このうち、去年、福井地方裁判所が、今回と同じ高浜原発3号機と4号機の再稼働を認めない決定を出したのに対して、福井地裁の別の裁判長は、関西電力の異議申し立てを受けて、この決定を取り消しています。
また、鹿児島県の川内原発1号機と2号機についても鹿児島地方裁判所は、去年、川内原発の再稼働に反対する住民の申し立てを退けています。
一方で、原発事故から5年となる11日には、全国で3か所目に国の新しい規制基準に適合していると認められた愛媛県伊方原発について、広島県の住民などが再稼働させないよう求める仮処分を申し立てる予定です。
各地で原発の再稼働に向けた手続きが進むなかで、新たな申し立ても今後さらに増えると見られていますが、稼働中の原発にストップを命じた今回の決定は、司法が電力会社に対して厳しい姿勢を示したもので、各地の今後の審理にも影響を与えそうです。

高浜原発の運転停止決定 「基準地震動 十分な説明なし」 NHKニュース

「基準地震動」は地震原発が最大でどのくらいの強さの揺れに襲われるかを想定したもので、今回争点の1つになりました。
原発の新しい規制基準で、安全上重要な設備や機器はこの基準地震動に耐えられるように設計することが求められています。これについて決定では、まず、「新たな規制基準そのものに合理性がないとは考えられず、関西電力が基準の要請にこたえる十分な検討をしたかが問題になる」としています。
そのうえで、高浜原発の基準地震動を設定する根拠となる活断層について、「関西電力の調査は、海底を含む周辺領域すべてで徹底的に行われた分けでなく、断層が連動して動く可能性を否定できず、関西電力の評価は安全余裕を取ったと言えるものではない。原発の北側にある活断層の西の端の評価については、裁判所に十分な資料が提供されていない」などと述べ、調査や評価が不十分だとしています。
また、基準地震動の策定についてはまず、「断層の長さから地震の規模を導く計算式はもとになったサンプル量が少なく、現段階では1つのよりどころとなる資料とみるべきで、相当な根拠や資料に基づいて説明すべきだが、この計算式で想定される地震の揺れが最大だと認められる十分な資料がない」としています。
そのうえで、高浜原発の700ガルとされた基準地震動について、「十分な基準地震動としてよいか十分な主張や説明がされたということはできない」としています。
さらに想定される最大の津波について、「1586年に起きた天正地震に関する古文書で、若狭に大津波が押し寄せ多くの人が死亡した記載があり、この地震震源が確実に海底だったと考えるべき資料はない。しかし、海岸から500メートルほど内陸で津波の堆積物が確認された報告も見られ、関西電力の調査で大規模な津波が起きたと考えられないとまでいってよいか、疑問なしとしない」として、検討する必要があるとしています。

今回の決定の中で、裁判所は、原発の過酷事故に備えた住民の避難計画について、国に対する指摘もしています。指摘では、「福島第一原発の事故で国民は、影響の及ぶ範囲の圧倒的な広さと、避難に大きな混乱が生じたことを知っている。その不安に応えるためにも、各自治体というより、国が主導して具体的で目に見える計画が早急に策定されることが必要だ」としました。そのうえで、「避難計画も視野に入れた幅広い規制基準が望まれる」として、住民の避難計画の妥当性を審査するための国の基準を策定するよう指摘しています。

今回の決定で大津地方裁判所は、関西電力が、福島第一原発の事故を踏まえて作られた新しい規制基準を安全性の根拠としていることについて、「福島第一原発の事故の原因究明は、建屋内での調査が進んでおらず、今なお道半ばの状態」として、津波が事故の主な原因かどうかさえ分からないと指摘しています。
そのうえで、関西電力原子力規制委員会が、事故原因の徹底的な究明に注意を払わないのであれば、「新しい規制基準に向かう姿勢に非常に不安を覚えるものといわざるをえない」と批判しています。
さらに、「災害が起こるたびに『想定を超える』災害だったと繰り返されてきた過ちに真摯(しんし)に向き合うならば」「対策の見落としにより過酷事故が生じたとしても、致命的な状態に陥らないようにすることができるという思想に立って新規制基準を策定すべき」としたうえで、関西電力の説明は不十分で、新しい規制基準を直ちに安全の根拠とすることは「ためらわざるをえない」としています。

福井原発訴訟(滋賀)支援サイト | 2016/03/09仮処分命令申立事件(高浜3,4号機)について、再稼働差し止めの仮処分決定