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焦点:南シナ海裁定、中国軍部から習主席に「強硬対応」促す声 | ロイター

南シナ海における仲裁裁定に対し、人民解放軍の一部からより強硬な対応を求める声が上がっているが、中国政府は米国との衝突誘発を恐れ、この圧力に抵抗している、と関係筋が1日明らかにした。

これまでのところ中国政府は、さらに強硬な行動をとる意欲を示していない。その代わり、中国の領域を防衛することを宣言しつつ、対話による平和的な解決を求めている。


しかし、自信を強めつつある中国人民解放軍の一部は、米国及び域内の同盟国を対象とした、恐らく武力を伴う、より強硬な対応を求めていることが、軍及び指導部と緊密な関係を持つ4人の関係者への取材から明らかになった。


軍との人脈を持つ関係者の1人は、「人民解放軍は準備を整えている」と述べた。「1979年に蠟小平がベトナムに対して行ったように、われわれも踏み込んでいくことで、相手の面目をつぶすべきだ」


中国の同盟国であったカンボジアクメール・ルージュ政権を、当時のベトナム政府が退陣に追い込んだことに報復するため、中国が短期的にベトナムに侵攻した一件を引き合いに出して、同関係者は匿名を条件にロイターに語った。


習近平主席は、人民解放軍の支持を取り付けることに細心の注意を払っており、軍に対する指導力をしっかりと固めている。その指揮権が脅かされたことはない。


習主席は、総合的な軍事改革を監督しており、軍の戦闘能力を強化しているが、その一方、中国が経済減速も含めた国内の開発問題に対応するうえで、対外環境の安定が必要だとも述べている。同主席が議長役を務める20カ国・地域(G20)首脳会議が9月に開催されるまでは、中国は大きな動きを控えるだろうと考えられている。


だが、ハーグ裁定に対して軍の一部が態度を硬化させていることで、南シナ海における挑発的な行動や不慮の事件によって、より深刻な衝突へとエスカレートするリスクは高まっている。

勇ましい発言にもかかわらず、緊張激化の原因になりかねない確固たる軍事行動はいまだ見られない。外交関係者からの情報によれば、中国指導部は衝突の危険性について十分に承知しているという。


「彼らは守勢に立たされており、国際的な反応を非常に気にしている」と北京駐在の上級外交官は、中国当局者との会話に触れ、そう語る。「中国政府は、(領有権についての)協議を正常化させたいと真剣に望んでいる。指導部は、次に打つべき手について慎重かつ真剣に考えなければならない」


中国軍部内にも、米国との直接的な対立は中国にとって分が悪いという認識がある。


「米軍相手に、わが国の海軍では相手にならない。あの水準のテクノロジーにはまだ達していない。一般の中国国民だけが苦しむことになる」と前述した軍に近い関係者は語る。


この関係者によれば、今のところ、こうした消極論の方が優勢のように見えるという。1979年のベトナムとの国境紛争についても、政府が宣伝活動で国民に信じ込ませようとしているほどには、中国にとって有利には運ばなかったという認識があるという。


中国政府は2013年、東シナ海防空識別圏を設定して日米両国などの怒りを招いたが、中国本土からの距離を考えれば、南シナ海ではそれさえも実行困難かもしれない。


中国は防空識別圏を設定する権利があると繰り返し主張しているが、その決定は中国が直面する脅威のレベル次第となる。


指導部に近い2人目の関係者は「戦争の可能性はない」と断じる。 「しかし、軍事演習は今後も続けていくだろう」と言う。「米国の海軍艦艇は今後も(南シナ海の係争水域に)来るだろう。誤算は排除できない」


中国の王毅外相は、対話の重要性を強調し、今こそ物事を「正しい軌道」に戻し、裁定について「新しいページをめくる」べき時期だと語った。


米国はこうした提案に対して前向きな反応を示しており、事態沈静化に向けたメッセージを託して、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)を今週、中国に派遣する。


また米政府は、今回の裁定に便乗して攻撃的な動きに出ないよう他の域内各国を説得するため、静かな外交活動を進めている。


中国は、南シナ海における米国の「航行の自由」作戦に怒りを示したが、中国軍は米艦を追尾して警告を送るだけの反応にとどめている。西側諸国やアジア諸国の外交筋によれば、それは中国が米軍を不必要に刺激したくないと考えていることを示す。


また中国は、何らかの事件が発生することで、9月に杭州で開催されるG20首脳会議に影を落とすことを心配している。習近平主席にとって、世界の主要経済大国のほとんどの首脳を集めて議長役を演じるという、今年の外交日程でもっとも重要なイベントとなる。


北京駐在の外交官によれば、中国が何か動きを見せるとすれば、G20の閉幕後、11月に米大統領選挙が行われるまでの時期を選ぶだろうという。「だが、米国が座視したまま動かないだろうと中国が考えるとすれば、それは間違った判断だ」と付け加えた。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160731#1469962515