以下は論文の結論部分です。ゲラになったので、結論部分を公開します。「吉野と大己貴命の関係を語る神話史料は少ないとはいえ、『先代旧事本紀』の大己貴神が「天羽車大鷲」にのって天を飛び、茅渟縣の陶祇の活玉依姫に通って、屋上から零雨となって入りこんで姫を妊娠させたという物語は示唆深い。
— 保立道久 (@zxd01342) 2018年11月23日
(大己貴命とは大国主のことです。このしずくとなって入り込むというのはゼウスによるレダの妊娠の話しを想起させます)大己貴は、糸を裳に指されて正体がわかったが、その糸は「茅渟山を経て、吉野山に入り、三諸山に留まった」とある。ここには三輪山伝説よりも古い大己貴神話が現れている
— 保立道久 (@zxd01342) 2018年11月23日
ガリレオが発見した木星の衛星はイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと命名されている。この名前は木星(ジュピター、ゼウス)の愛人の名前から取ったものである。ここではそれらの衛星の名前の元となったギリシャ神話の挿話について述べる。現代的な視点で神話を読む限り、ゼウスの行為は恋愛と言うよりは、むしろ強奪、強姦と言うべきものである。
ゼウスの女性遍歴について語ったついでに、もっと有名なケースを紹介しよう。レダはスパルタ王テュンダレオースの王妃であった。その美しさに目をつけたゼウスは、愛と美の女神アフロディティ(ビーナス)に相談した。そこでアフロディティが鷲に化け、ゼウスが白鳥に化けて、鷲に追いかけられるシーンを演じた。そうして白鳥はレダに助けを求めた。レダは白鳥をかくまったら、ゼウスが白鳥の姿のまま、レダを犯した。それでレダは妊娠したのだが、レダはその夜、夫にも抱かれ、こちらの方も子どもを授かった。レダは二つの卵を産むことになる。それぞれの卵から双子が生まれた。ゼウスの子どもはヘレネー(トロイのヘレン)とポリュデウケースで、カストルとクリュタイムネーストラはテュンダレオースの子どもである。レダと白鳥の話は西欧絵画で人気のある主題で、多くの画家に描かれている。この絵は白鳥に犯されるレダで、ミケランジェロの作品である。
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/05/200320(ヘレネとは、ギリシャ神話の登場人物で、現在のトルコ領にあったとされるトロイアが「トロイの木馬」を使った古代ギリシャの都市国家の連合軍に滅ぼされたとされる戦争の引き金となった女性です。)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/17/200330(ギリシア神話では、コーカサスは世界を支える柱のうちの一つでゼウスがプロメーテウスを鎖で繋いだ場所でもある。)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/22/200130(キリスト教の天国は色地獄であって、ダッチドールにされる。)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20180901/1535798758(ヨハネ・パウロ二世は、エウロパの色街で女衒をさせられている。)
神位としては吉野大名持社の方が三輪山よりも高いことを軽くみることはできない。市川秀之は吉野大名持神社への信仰が民俗行事において大和一国に広がっている状況を活写したが(市川『広場と村落空間の民俗学』)、これは大己貴神信仰の中心は本来は吉野にこそあったことをよく示しているように思う」
— 保立道久 (@zxd01342) 2018年11月23日
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/04/200120(「最初に譲位した天皇、斉明女帝と大己貴(大国主)信仰ーー天皇と地震と近江」)
7・8世紀は母子王朝から父娘王朝と整理できる。七世紀王朝は皇極とその子天智・天武の在位期間が長く母子王朝という特徴をもち、八世紀王朝は聖武とその娘孝謙(称徳)の在位期間が長く、実質からいっても聖武・孝謙の父娘王朝というべき時代となった。学界では全体として女帝の色が濃いとされる。
— 保立道久 (@zxd01342) 2018年11月23日
これは王権内部の母子・父娘などの狭い関係の外にいる王族に厳しい運命をもたらした。青木和夫『奈良の都』以来、学会で確認されているように、奈良王朝の政治史は、聖武―称徳の系列に属さない天武の皇子などの多数の王族が流罪・死罪の運命にさらされるという無残なものであった。
— 保立道久 (@zxd01342) 2018年11月23日