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かつてヨーロッパで隆盛を誇ったハプスブルク家の帝都ウィーン。豪華な宮殿や重厚な教会はその栄華を今に伝えています。

そのウィーンをことし4月、黒いマントを羽織った男たち500人が行進しました。彼らが向かったのは、街の中心部にある教会、シュテファン大聖堂です。

大聖堂ではある儀式が執り行われました。中心にいた人物の名はカール・ハプスブルクロートリンゲン。あのハプスブルク家の当主その人です。儀式はハプスブルク家の当主に忠誠を誓い、騎士団の一員として承認を受けるためのものでした。当主の前でひざまづく彼らの表情は誇りにあふれ、どこかうっとりしているようにすら見えました。

そのメンバーはそうそうたるものです。オーストリアの大臣やハンガリーの副首相、ブルガリアの元大統領をはじめ、軍の幹部や大手新聞社のCEOなど、ヨーロッパ14か国の大物政治家や企業経営者らが名を連ねています。入団できるのは、騎士団が「エリート」と認めるキリスト教徒のみだといいます。

騎士団が模範とするのは、ちょうど100年前に消失したハプスブルク家の帝国です。オーストリアを中心に、イタリア北部やポーランド南部などの広い範囲を500年以上にわたり支配し、当時のドイツやフランスと対等に渡り合った大国でした。

その中心にあったキリスト教に基づく文化と価値観」こそが、騎士団がヨーロッパに取り戻したいものだと言います。

「ヨーロッパのどの国を歩いても、街の中心には教会がある。キリスト教に基づく文化と価値観こそ、ヨーロッパのアイデンティティーだ。これを守らないと、ヨーロッパは消滅する」

オルトナーさんが騎士団の考え方に共鳴するようになったきっかけは3年前。ヨーロッパに100万人を超える難民や移民が入ってきたのを目の当たりにしたことだったといいます。

難民や移民を際限なく受け入れることは、自滅行為だと話すオルトナーさん。「キリスト教に基づく文化と価値観」を守るため、特にイスラム教徒の難民や移民の受け入れを制限すべきだと主張しているのです。

オルトナ―さんら騎士団は、2度の大戦を経て戦後ヨーロッパが是としてきた「リベラルな秩序」に真っ向から疑問を呈しています。

25年前に発足したEUは、すべての加盟国が守るべき基本的な価値観として「人間の尊厳と人権」「自由」「平等」を挙げています。ユダヤ人の大量虐殺=ホロコーストなど、宗教や民族を理由にした迫害を引き起こしてしまったことを反省し、キリスト教を特別扱いすることを、あえて避けたのです。

しかしオルトナ―さんは「今のEUの価値観では、ヨーロッパは守れない」と言い切ります。あらゆる宗教は平等だとするEUの価値観は「欺瞞(ぎまん)」でしかなく、今のヨーロッパを生んだ文化と価値観に立ち返るべきだ。キリスト教を最優先にすべきだ、と。

騎士団のメンバーは、4年前の140人から700人に増えました。オーストリアだけでなく、ハンガリーチェコスロベニアなど9か国に支部ができ、入団希望者もあとを絶ちません。

その背景には、ヨーロッパが抱えてきた問題があります。EUに後から加盟した、いわゆる「後発組」の国々の間では、EUがドイツやフランスの都合ばかりで動いていて、不利益を被っているという意識が根強くあります。

その不満は3年前、ドイツのメルケル首相が難民の受け入れを「後発組」を含むEU各国に求めたことをきっかけに、ピークに達しました。

「難民・移民問題で証明されたのは、ドイツやフランスにただ従っていると、ヨーロッパは崩壊しかねないということだ」ーー騎士団の創始者で、「男爵」という貴族の称号を持つノルベルト・ハンデルさんはそう指摘します。オーストリアの政権与党に太いパイプを持ち、外交政策の顧問も務める人物です。

いま、EUの「後発組」でドイツやフランスに反発している国々の多くは、かつてハプスブルク家が支配した領内に位置します。「帝国の国々を再結集すれば、ドイツやフランスに対抗できる勢力になる」ハンデル氏は、騎士団の人脈を活かし、かつてハプスブルク家が支配した国々の政財界の連携を強めることで、EUに変革を迫ることのできる新たな勢力を作りたいと話します。

ウィーン中心部にある国立の博物館には、帝国時代のハプスブルク家が最も大切にした宝物が展示されています。500年以上前までさかのぼるきらびやかな宝物の多くには十字架があしらわれていて、キリスト教徒の統治者であり、守護者だったとの自負が、時を超えて伝わってきます。

騎士団の主張を聞けば聞くほど、その行き着くところはイスラム教徒の排斥なのではないかとの懸念がぬぐえません。当主のカール・ハプスブルクロートリンゲン氏に疑問をぶつけると「帝国にもイスラム教徒はいたし、信仰の自由はあったよ」と笑いながら否定しました。そして、こう付け加えました。

「ヨーロッパを守るために、誰を受け入れて、誰を受け入れないか。その線引きをする手伝いをしたいだけだ」

EUでは難民・移民問題をきっかけに、自国第一主義を掲げる国が増えています。ハンガリーは「キリスト教を最優先にする民主主義」を実践すると表明し、イスラム教徒の移民の受け入れをかたくなに拒否して、EUと対立しています。オーストリアポーランドも、「キリスト教に基づく文化と価値観」を守るためだとしてEUの難民・移民政策の見直しを求めています。

一方で、「キリスト教に基づく文化と価値観」を優先することは、EUの価値観とは相容れません。戦後ヨーロッパが、世界の模範たるべきとして掲げ続けてきた「人権、自由、平等」は「欺瞞」でしかなかったのではないか。騎士団の問いかけは、現在のEUが、深刻なアイデンティティーの危機に直面していることを物語っています。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/11/200252(第1次大戦終結100年 現状を当時と重ねる見方も)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/09/200130エリザベート
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20180706/1530874212(戦前の武装共産党で書記長を務めた清玄は治安維持法違反で11年を獄中で過ごし、その後は右翼に転向して熱烈な天皇主義者となった。また海外の石油開発などの事業を手掛けて中国のトウ小平アラブ首長国連邦のシェイク・ザイド大統領、欧州の名門ハプスブルク家の当主オットー大公、山口組三代目の田岡一雄組長など絢爛たる人脈を持つ人物として知られた。)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20171107/1510050940(1618年,オーストリアの属領ベーメンボヘミア)の新教徒が,ハプスブルク家によるカトリック信仰の強制に反抗したのをきっかけに,三十年戦争がおこった。この戦争の一つの対立軸は旧教対新教で,スペインは旧教側のハプスブルク家の皇帝を支援し,新教国デンマークはこれとたたかった。)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20161123/1479897475ハプスブルク帝国をどう思うか、フランツ・ヨーゼフ帝をどう思うか)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20160722/1469183982(銀座ハプスブルク・ファイルヒェン)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20160518/1463567944(「そうですね。スペインの王様であるハプスブルク家はこうして得た膨大な銀で、ヨーロッパ最強にのし上がって、ヨーロッパを完全支配しようとするんですが、失敗して破たんします。ハプスブルク家が失敗した後にナポレオンが同じことを試みてやはり失敗、そしてヒトラーも失敗というふうに、ヨーロッパに政治統合した世界帝国をつくるのは、軍事や官僚を維持するのにおカネがかかりすぎてうまくいきませんでした。逆にうまくいったのは、ヨーロッパ以外の地域を組み込んだ経済的な統合というやり方でした。それが世界を一体化して大規模な分業体制をつくる世界システムというわけです」)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20151123/1448274864ハプスブルク家 - Wikipedia
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20141115/1416047868ヴェストファーレン条約 - Wikipedia
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20141113/1415875049エリザベートは因習にとらわれた宮廷で、皇太后ゾフィー(桜一花)らの守旧派とぶつかりながら自我を通そうとする。信じていた皇帝の裏切り、息子である皇太子ルドルフ(芹香斗亜、柚香光のダブルキャスト)の自死など多くの試練が彼女を襲う。死を人格化したトートを配すことで彼女の心の揺らぎが浮き彫りにされ、2人の姿をルキーニに俯瞰(ふかん)させることで帝国を統治するハプスブルク家を取り巻く社会情勢が明らかになる。巧みな構成だ。)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/20141026/1414319799三十年戦争 - Wikipedia
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