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 かつてある企業の救世主だと称賛された元最高経営責任者(CEO)が空港で逮捕された。起訴されずに何日も勾留され、弁護士の同席なしに検察官の尋問を受けている。不正な金融取引の疑いがあるとメディアがリーク情報を流すなか、会社でのポストも解任された。

 共産党が支配する中国の話だろうか。いや、資本主義の日本で起きたことだ。日産自動車カルロス・ゴーン前会長は不可解な取り調べに耐えている。公式に入手できる事実はどうも曖昧だ。この出来事は、日本のデュープロセス(適正な手続き)やコーポレートガバナンス企業統治)に関心を寄せるどんな人をも悩ませるに違いない。

 日産を倒産の危機から救ったとして、ゴーン前会長が日本で絶賛を浴びたのはそれほど昔のことではない。だが今や、同容疑者は期限を定めずに拘置所に入れられ、家族との接触も、自分の名誉を擁護することも許されていない。自らの運命を知ることなく社用ジェット機で到着し、即座に逮捕された。日本人弁護士と2回ほど話し、レバノンとフランスの外交官に面会することができただけだ。

 日本の法律では逮捕後の容疑者を48時間まで身柄拘束できるが、裁判所が認めると10日間は起訴手続きなしに勾留でき、この期間はさらに10日間の更新ができる。その後、容疑を切り替えて再逮捕することも可能だ。だがそのような処遇は、不正行為や私的金融取引を行った前歴がない国際的なCEOよりも、ヤクザにこそふさわしい。日本の検察当局は、不正会計問題に揺れた東芝オリンパスの容疑者に対してこのような扱いをしなかったはずだ。

 メディアが報じる罪状について奇妙なのは、日産がずっと前にそのことに気づくべきだった点だ。報道によるとゴーン容疑者は5年間にわたり、約4400万ドル(50億円)の繰り延べ報酬を報告書に記載しなかった。だが日産は、財務情報開示において繰り延べ報酬を報告する義務があっただろう。社内外の監査人、それに最高財務責任者CFO)はどこにいたのだろうか。

 日産は米国人幹部のグレッグ・ケリー前代表取締役がこの報酬計画の黒幕だと主張する。ケリー容疑者も逮捕され、外部との連絡を絶たれている。だが仮に2人の容疑者が日産に気づかれないようにこれをやり通せたのだとしたら、同社は未公表の繰り延べ報酬よりもむしろ内部統制に重大な問題を抱えていると思われる。

 検察当局ではなく日産からのリークで報道されたもう1つの罪状は、ゴーン容疑者がリオデジャネイロベイルートで利用していた住宅を会社の資金で購入したというものだ。だがそうした資産が会社の住宅なのか個人の住宅なのかを日産が承知していたのは確実だ。ゴーン容疑者の家族に近い筋によると、本人は該当する不動産を所有していなかった。

 もしかすると、こうした容疑を支持する証拠が浮上するかもしれない。だが今回の逮捕劇や罪状の詳細を見ると疑念を持たざるを得ない。先週、日産はゴーン容疑者を会長職から即座に解任した。3社連合のパートナーである三菱自動車も26日、ゴーン容疑者不在のまま会長職を解任した。

 日産の現CEOの西川廣人氏は、ゴーン氏の盟友だった。だが西川氏は今や、ゴーン前会長にあまりに権力が集中したとし、2000年代に日産をV字回復させた功績を評価しすぎたと主張する。また逮捕以来、厳しい口調でゴーン容疑者を公然と批判している。

 日産の窮地を救ったことで日本国民の多くが今も尊敬している代表取締役会長の信用を失墜させようとするなら、今回の逮捕に至った容疑を申し立てるほど効果的なことはない。そして日本のメディアは逮捕を事前に知らされ、羽田空港の滑走路近くで待機していたのだ。

 あなたが陰謀論者ではないとしても、一連の出来事を見れば、フランス自動車大手ルノーのCEOも務めるゴーン前会長が進めようとした日産とルノー経営統合を阻止する動きの一環ではないかと思ってもおかしくない。ルノーが日産の救済に当たった経緯から、今も両社は相互に出資している。

 だが日産は仏政府が15%出資するルノーをはるかに上回る利益を誇る企業に成長した。西川氏はルノーとの資本関係に明らかに不満を抱いていたようだ。だが今回の逮捕で、両社の関係は取り返しのつかないほど悪化するかもしれない。

 日本は常に閉鎖的な企業文化を守ってきた。ゴーン前会長はこの「竹のカーテン」を外国人経営者として破った珍しい存在だった。不正会計問題の発覚以降、安倍晋三首相はコーポレートガバナンスの改革を推進してきた。だが同時に、日本のナショナリズムも後押ししてきた。もっと透明性を高め、容疑をはっきり説明し、ゴーン、ケリー両容疑者に自らを擁護する機会を与えることがなければ、日産による奇襲攻撃は、日本経済界の汚点として残ることだろう。

ウォール・ストリート・ジャーナルは26日付けの電子版で、ゴーン前会長が逮捕された事件について、社説を掲載しました。

社説では、「かつて救世主とされた前会長は、空港で逮捕されたまま起訴されることもなく勾留が続き、弁護士の同席もなく取り調べを受けている。メディアに情報がリークされるなか、会長職からも解任された」としたうえで、「共産党の中国?いや、資本主義の日本で起きていることだ」と捜査の在り方を厳しく批判しています。

また、日本の司法制度を紹介したうえで、「このような扱いは犯罪歴のない国際企業の経営者に対して不適切だ」と指摘しています。そして、「日本には島国特有の閉鎖的な企業文化があり、前会長はその『竹のカーテン』を破ったまれな外国人経営者だった」とし、「日産による奇襲攻撃は、日本の経済界に汚点を残すことになるだろう」とまとめています。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/27/200430(Confirmation from Nikkei of the prosecution's focus on the legality of deferred payment. We will have to see whether the law says "should" or "must")

ゴーン前会長が6歳から10年余りを過ごし国籍を持つ中東のレバノンでは、ゴーン前会長はビジネスで大きな成功をおさめた人物として広く尊敬されています。

レバノンのバシル外相は27日、首都ベイルートに駐在する日本の山口又宏大使を外務省に呼び出し、ゴーン前会長の逮捕について説明を求めました。

レバノン外務省の発表によりますとバシル外相は「ゴーン氏は最も成功したレバノン人の1人であり、捜査に強い関心を持っている」と述べ、ゴーン前会長の逮捕にはいくつもの疑問符がつくとして懸念を示したうえで、山口大使に対し、具体的な説明を求めたということです。

また日本の司法には干渉しないとしながらも、国際的な規範にのっとって問題の解決にあたりできるだけ早く捜査を終えるよう要望したということです。

山口大使はNHKの取材に対し、「レバノン外務省から要望を受けたので、日本の外務省に申し送った。具体的なやり取りの内容について、明らかにする立場にはない」と話しています。

金融商品取引法違反の疑いで逮捕された日産の前会長、カルロス・ゴーン容疑者について、日産の内部調査でオランダの子会社がブラジルやレバノンなど海外の高級住宅の購入に関わっていた疑いが明らかになっています。

関係者によりますと、監査法人からこの子会社について、「投資」という設立目的に沿った業務をしているのかという指摘を日産が平成25年前後に複数回、受けていたということです。

これに対して日産は当時、「問題がない」という趣旨の説明をしていたとしています。

また、関係者によりますとゴーン前会長は有価証券報告書で開示している報酬以外にも株価に連動した報酬を受け取る権利、40億円分を与えられていたことが明らかになっています。

この権利についても、平成22年ごろに監査法人から有価証券報告書に記載が必要という指摘があったものの、日産は「プライベートな情報」などとして記載しなかったということです。

監査法人の指摘を受けながら十分には機能しなかった社内のチェック機能の立て直しが日産には求められます。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/31/200505(元NHKの人。昨年の事件当時も協会寄りの発言だったよね。)

日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、平成26年度までの5年間、有価証券報告書にみずからの報酬を50億円余り少なく記載していたとして、金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。

関係者によりますとゴーン前会長は、毎年の報酬を20億円程度としたうえで、報告書には10億円程度と記載し、差額は退任後に受け取ることで会社側と合意していたということです。

ゴーン前会長は特捜部の調べに対し、退任後に報酬を受け取ることで会社側と合意したとする文書の存在を認めたうえで、「文書にはサインをしておらず、退任後の報酬は正式には決まっていなかった」などと説明していることが関係者への取材で新たにわかりました。

また、「合法的に進めてくれと弁護士でもある前代表取締役に頼んで決めたことで、『合法です』という回答も得ていた」などと主張し容疑を否認しているということです。

東京地検特捜部は、退任後の報酬であっても金額が確定した段階で報告書に記載する必要があったと判断し、詳しい経緯を調べているものとみられます。

ゴーン容疑者は2006年頃、自身の資産管理会社と新生銀行との間でデリバティブ取引の契約を結んだものの、2008年秋のリーマン・ショックで約17億円の損失が発生し、担保不足に陥ったという。

新生銀行は担保の追加を求めたものの、ゴーン氏は損失も含めて日産側に権利を移そうとしました」(新生銀行元幹部)

 そこで動いた一人が、当時、新生銀行のキャピタルマーケッツ部長だった政井貴子氏(53)だ。

「政井氏ら新生銀行側と日産の幹部が協議した結果、日産が取締役会での議決を行うことを条件にゴーン氏の取引を日産に事実上、付け替えたといいます」(同前)

 ところが証券取引等監視委員会新生銀行や日産に検査に入ったことで状況は一変する。背任の恐れもあると指摘を受けて、最終的には、ゴーン氏との個人取引の形に戻したという。

 その後、政井氏は執行役員に昇進した後、2016年6月、日本銀行政策委員会審議委員に就任した。6人いる審議委員は、日銀総裁、2人の副総裁とともに日銀の政策委員会を構成し、金利など、日本の金融政策の最高意思決定機関の一員。会社でいえば、取締役にあたる重要ポストを務めている。

 新生銀行は「個別事案に関するお問い合わせにつきましては、弊行からご回答いたしかねます」。日本銀行は「2008年当時、新生銀行のキャピタルマーケッツ部部長の職にあったことは事実ですが、守秘義務の観点から、新生銀行における個別の取引に関するご質問については、事実関係も含め、お答えは差し控えさせていただきます」。日産自動車は「捜査が入っているので、何も答えられない」とコメントした。ゴーン氏の逮捕は、日本の中央銀行にも波紋を広げることになりそうだ。

これに対して28日、ゴーン容疑者の関係者は「当時、検討したが、当局に確認し、違法だと言われたので実行しなかった」と話しています。

 日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資で生じた約17億円の損失を日産に付け替えた疑惑について、前会長の弁護人の大鶴基成弁護士は28日、前会長が「付け替えは実行していない。日産に損失を与えていない」と話していると説明した。東京拘置所でゴーン前会長と接見した後、報道陣の取材に応じた。

 大鶴弁護士は、ゴーン前会長が損失の付け替えを含む対応策を検討したことを認めた上で、付け替えについて「当局に聞いたところ、違法だと言われ、実行しなかった」と述べた。

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