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アメリカと中国は、貿易摩擦の解消やアメリカが強い不満をもつ知的財産権の侵害などの問題をめぐって、ワシントンで、2日間の日程で閣僚級の協議を行っています。

アメリカは中国に、より高い関税を課す追加の制裁措置の発動を来月1日まで猶予していて、トランプ大統領ツイッターに、「閣僚級協議は順調に進んでいる。中国は追加の関税を課されたくないんだ」と投稿し協議が進展していると強調しました。

そのうえで、「長年にわたるより困難な問題について議論するため、近い将来私と習近平国家主席が会うまで最終的な合意はないだろう」と投稿し、習主席との首脳会談で合意を目指す考えを示しました。

これについてアメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国側が、今月下旬に予定されている米朝首脳会談のあと、中国南部の海南省で、米中の首脳会談を開くことを提案したと伝えています。

米中の貿易摩擦は、両国だけでなく世界経済のリスクにもなっていて1か月後の交渉期限までに合意にこぎ着けるのか注目されています。

アメリカは、中国の輸入品に対して、より高い関税を課す制裁措置の発動を来月1日まで猶予したうえで、貿易摩擦の解消に向け、30日から2日間、ワシントンで閣僚級の協議を行いました。

協議を終え、ホワイトハウス「進展があった一方で、多くの課題が残されている」という声明を発表しました。また、中国国営の新華社通信は「重要な進展があった」と伝えたものの、合意には至らなかったことを明らかにしました。

協議のあと、トランプ大統領は、中国側の代表を務めた劉鶴副首相と会談し「最終的な課題については、習近平国家主席と議論するつもりだ」と述べ、米中首脳会談を開いて決着を目指す考えを示しました。

これに関連して、アメリカメディアは、中国側が、今月下旬に予定されている米朝首脳会談のあと、中国南部の海南島で、首脳会談を開くことを提案したと伝えています。

これまでの協議では、中国がアメリカの農産品やエネルギー資源などの輸入を拡大する方針を示していますが、アメリカが不満をもつ知的財産権の侵害や技術の強制移転といった問題で依然として、隔たりが残っています。

アメリカ側は、交渉期限までに満足できる成果が得られなければ、中国に対して追加の制裁措置に踏み切ると強調していて、米中首脳会談までに隔たりをどこまで埋めることができるのか注目されます。

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米中の貿易摩擦の影響による中国経済の減速を背景に、大手機械メーカー「川崎重工業」や電機メーカーの「富士電機」などが、相次いで今年度の業績見通しを下方修正しました。

このうち、川崎重工業は今年度1年間の売り上げの見通しを下方修正し、3か月前の時点の予想より250億円少なくなる見通しになったとしています。

これは、中国向けの産業用ロボットの受注が減少するなどしているためです。

川崎重工は「中国のマーケットの縮小傾向が鮮明になっている。イギリスのEUからの合意なき離脱の可能性も高まっており、これまで以上に先行きに不透明感が増している」としています。

このほか、電機メーカーの「富士電機」も中国経済の減速を背景に工作機械などに使われる半導体の需要が減っているとして、今年度の売り上げを従来の予想から50億円引き下げたほか、最終利益も35億円引き下げました。

富士電機の荒井順一執行役員常務は記者会見で、「昨年度の下半期に比べるとパワー半導体の受注が落ち込んでいる。今のような状況が来年度の第1四半期あたりまで続くのではないか」と述べました。

また、産業ロボット大手の「ファナック」も、中国経済の減速などを背景に受注が落ち込んでいるとして、今年度の営業利益を従来の予想より30億円、最終利益を4億円引き下げました。

ソニーが発表した去年4月から12月までの9か月間の決算は、売り上げが6兆5381億円と前の年よりも0.8%減り、営業利益は8115億円と13.9%増えました。

これは、スマートフォン関連の事業や、運用益が悪化した生命保険事業で厳しい業績となったものの、好調なゲーム事業などが全体を支える形となったためです。

一方、今後の見通しについては、スマホ市場が中国での消費の落ち込みなどの影響を受けていることから、自社が手がけるスマホ端末の販売などでこれまでの見通しよりも業績が厳しくなると予想しています。

このため、今年度1年間の業績見通しについて、売り上げを従来の予想より2000億円引き下げ8兆5000億円に下方修正しました。

ただ、営業利益については、ほかの分野を改善させることで過去最高となる8700億円の予想を維持しました。

米中の貿易摩擦による中国経済の減速を背景に、このところ「川崎重工業」や「富士電機」など、メーカー各社が今年度の業績見通しを相次いで下方修正しています。

ソニーの十時裕樹最高財務責任者は記者会見で「スマホ市場を始め、さまざまなリスクが顕在化し、今後は楽観できない。環境の変化の兆候に対する感度を上げるとともに、リスクへの備えを怠らないようにしていきたい」と述べていました。

世界市場におけるスマホ販売の不振は、部品を手がける日本メーカーの業績に影響を及ぼしています。

電子部品などを手がける日本のメーカー各社は、これまでアップルのiPhoneに代表されるスマホ向けに部品を供給してきたことで好調な業績が続いていました。

アップルでは、部品を供給する主なサプライヤー200社のうち43社を日本企業が占めています。しかし、中国での消費の減速などを背景にスマホの世界市場は成長が鈍化しています。

イギリスの調査会社のIHSマークイットによりますと、去年の世界の出荷台数は14億3710万台で、前の年に比べて650万台減りました。調査を始めた2010年以来、初めて減少に転じたということです。

調査会社では、スマホの技術革新が限界に近づき、メーカーが目新しい機能を付けることが難しく消費者の買い替えの時期が遅くなっていることや、世界最大の市場の中国の景気が減速し購買力が低下していることが要因とみています。

IHSマークイットでは「スマホという大きな市場に製品を投入することで、日本のメーカーも利益をあげてきた。一方、今後のスマホの需要が見通せないなか、スマホメーカーは部品メーカーへの発注を抑える傾向にある。今後もスマホ市場では大きな成長は期待できないのではないか」と話しています。