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 前日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(65)とともに金融商品取引法違反の罪で起訴された前代表取締役グレゴリー・ケリー被告(62)が月刊文芸春秋のインタビューに応じ、西川広人社長が2013年、自分の新しい家をいったん日産の資金で購入するよう依頼してきたと話した。関係者への取材で8日、分かった。10日発売の同誌に記事が掲載される。

 ケリー被告の説明によると、西川氏は13年春ごろ、日本国内の物件を自分の代わりに日産が購入してほしいとケリー被告に要望。その上で費用は毎月会社に返済し、退職時に残金を支払うと提案したとされる。最終的に実現しなかったという。

 逮捕に至る一連の動きの発端は、日産本社からかかってきた一本の電話だったという。

ケリー「昨年の11月、アメリカにいた私の元に、CEOオフィスのヘッドから、『日本に来てミーティングに出席して欲しい』と電話がかかってきました。

 私は困りました。以前から頚椎狭窄症を患っており、両腕もしびれていたので、12月7日に腰の骨を頚椎に移植する手術の予約を入れていたのです。

 体調面を考えると、飛行機に乗って行くことに不安があったので、ビデオ会議での参加を提案しました。すると『会社のチャーター機を出すから(11月19日の)月曜日に日本に着いてほしい。(22日の)感謝祭までにはアメリカに戻れるよう取り計らうから』と説得され了承しました。つまり当初は『3日で帰れる』と言われていたのです」

 逮捕は、羽田空港からタクシーに乗り、高速道路を20分ほど走ったときのことだった。

ケリー「『パーキングエリアで停まりなさい』。突然近付いてきた黒色のバンからこう指示を受けました。それは検察の車でした。

『後でお話をさせていただいてもいいですか』。私はこう言いましたが、もちろん許されません。そのまま東京拘置所に連行され、独房に入れられました」

 ゴーン前会長は、約90億円の報酬を隠して、有価証券報告書に記載しなかった罪が問われている。

 だが、ケリー氏はこの「報酬隠し」についてはっきりと否定し、「私は完全に無罪だと申し上げます」と語った。そしてゴーン氏のCEO退職後の「雇用契約書案」がゴーン氏、西川氏、ケリー氏の間で準備されていたことを明かした。

ケリー「もしゴーン氏の退職後の雇用契約について何らかの疑問があるのであれば、社内で処理、解決できたはずです。なぜ私、もしくはゴーン氏に『説明して欲しい』という話が一切ないまま、議論も会議もなく、突然の逮捕にいたったのか。この検討に関与していたのが私たち2人だけでないことを考えれば、本件での突然の逮捕は普通ではありえませんし異常です」

 インタビューでは、西川社長が「雇用契約書案」にどのように関与していたかや、日産への不動産購入要求、「特例中の特例」の手続きによって西川氏が手にした株価連動型役員報酬についても詳細に証言している。

 インタビューの全文「西川廣人さんに日産社長の資格はない」は、6月10日発売の「文藝春秋」2019年7月号に掲載されている。

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