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シリアでは、北西部のイドリブ県でアサド政権が反政府勢力を支援するトルコ軍の部隊を空爆して兵士33人が死亡し、これにトルコ軍が報復攻撃に乗り出して、正規軍どうしの全面的な戦闘への懸念が強まっています。

これを受けトルコのエルドアン大統領は28日、アサド政権の後ろ盾となっているロシアのプーチン大統領と緊急に電話で会談し、近く首脳会談を開催することで合意しました。

ロシア大統領府によりますと、来月5日か6日に首脳会談をモスクワで開く方向で調整しているということです。

ただトルコ側は、アサド政権に対する報復攻撃を続ける構えで、アサド政権側も28日、外務省の声明で「テロリストを支援している」とトルコを強く非難し、双方とも対決姿勢を崩していません。

シリア北西部では、およそ95万人が家を追われ、戦闘の拡大で人道危機がさらに深まることも懸念されています。

トルコとロシアの首脳会談で停戦などの打開策で合意し、全面的な戦闘を避けることができるのか、情勢は緊迫しています。

シリア情勢が緊迫する中、アメリカのトランプ大統領は28日、トルコのエルドアン大統領と電話で会談しました。

ホワイトハウスによりますと、この中でトランプ大統領は、反政府勢力を支援するトルコ軍の兵士33人がアサド政権側の攻撃で死亡したことに哀悼の意を表し、アサド政権側を非難したということです。そのうえでトランプ大統領は、シリア北西部で事態を鎮静化させ、人道的な危機を回避するためにトルコを支援することを改めて確認したとしています。トランプ政権は、シリアとトルコで全面的な衝突になれば、ロシアやイランがシリアで影響力を拡大させることにつながると警戒感を強めています。

緊迫するシリア情勢をめぐり、フランスのルドリアン外相は28日、トルコのチャウシュオール外相と会談し、その後に発表した声明で「トルコと連帯する意向を伝えた」と明らかにしました。

そして、トルコの部隊を空爆したシリアのアサド政権と、その後ろ盾のロシアを強く非難し、軍事攻撃を速やかにやめるよう求めるとともに、ロシアに対してはシリア北西部の段階的な緊張の緩和と政治的な解決に向けて、トルコとの交渉の実現に努めるよう求めました。

シリアのイドリブ県で95万人もの避難民の救援が課題となる中、トルコでは28日、政府が国内に滞在する難民に対してヨーロッパ方面への国境を開いたという情報が広まり、大勢のシリア難民が移動を始めました。

イスタンブール中心部のファティフ区では、難民支援団体などがチャーターした無料のバスでヨーロッパ方面に向かおうと、200人以上のシリア難民が集まりました。

難民の男性は、「トルコはすでに多くの難民を受け入れていて、生活が苦しい。ヨーロッパで自分や子どもの未来を切り開きたい」と話していました。

トルコは、難民の流入を防ぎたいEU=ヨーロッパ連合と2016年に合意を結び、支援金などと引き換えに難民がヨーロッパ方面に向かうのを止めてきました。

トルコ政府は、政策の転換を正式には認めていませんが、難民がゴムボートに乗り込んでギリシャの島へ渡る様子を地元テレビが伝えるなど、ヨーロッパ方面へ向かう難民の動きが黙認されている状況です。

これを受けて、トルコと国境を接するギリシャブルガリアは急きょ、国境の警備を強化し、ギリシャの当局が国境の検問所に詰めかけた難民に向けて催涙弾を発射する騒ぎも起きています。

ヨーロッパ各国は、2015年に中東やアフリカから100万人規模の難民や移民が流れ込んで社会が混乱したことから、トルコの難民政策の行方を注視しています。

シリアでは、北西部のイドリブ県でアサド政権が、反政府勢力を支援するトルコ軍の部隊を空爆して兵士33人が死亡し、これにトルコ軍が報復攻撃に乗り出して、正規軍どうしの全面的な戦闘への懸念が強まっています。

こうした情勢を受けて、国連安全保障理事会は28日、緊急会合を開き、グテーレス事務総長が「対立構図が変化している」として、戦闘の本格化に強い危機感を示したのをはじめ、各国からも市民の犠牲を増やさないために即時停戦を求める声が相次ぎました。

会合でシリア側は、今回の空爆について「トルコ軍は監視ポストから離れ、反政府勢力を支援していた」と主張したのに対し、トルコ側は「イドリブ県でアサド政権による市民への攻撃を防ぐため、部隊を配置したものだ」と反論しました。

また、トルコを支持するアメリカ側が「もうたくさんだ」と感情をあらわにしてアサド政権と後ろ盾のロシアを非難したのに対し、ロシア側は「これはテロリストとの戦いだ」と従来の主張を繰り返しました。

今回の会合では、停戦を模索する必要性では一致したものの、当事者間の立場の隔たりが改めて鮮明になり、今後の展開は見通せない状況です。

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