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アメリカとタリバンは、先月、2001年の同時多発テロ事件以降続くアフガニスタンの軍事作戦をめぐり、アメリカ軍の完全撤退を含む、初めての和平合意に署名しました。

和平合意に基づいて10日行われる見通しだったアフガニスタン政府との直接対話について、タリバンの複数の幹部はNHKの取材に対し、対話の条件となる人質の交換が、アフガニスタン政府との間で進んでいないとして、対話を延期したと明らかにしました。

そのうえで「解放されるべき5000人のリストを作成し、アメリカ側に渡した」と述べ、アメリカ政府を通して人質の交換に向けた手続きを進めていると明らかにしました。

和平合意ではアフガニスタン政府が、タリバンの戦闘員など最大で5000人を、タリバンは政府側の兵士など最大で1000人をそれぞれ10日までに解放するとしています。

アフガニスタンでは去年行われた大統領選挙で再選したガニ大統領が9日、2期目の就任式を行ったものの、対立候補だった政権ナンバーツーのアブドラ行政長官が選挙に不正があったとしてガニ大統領の就任に強く反発していて和平合意への影響が懸念されています。

アメリカ政府とタリバンは先月、14か月以内のアメリカ軍の完全撤退や、アフガニスタン政府とタリバンの直接対話や、停戦協議の開始などを盛り込んだ和平合意に署名しましたが、アフガニスタン国内では署名以降もタリバンによる攻撃が続いています。

アメリ国務省のオータガス報道官は10日、声明を発表しタリバンアメリカ軍などの国際部隊に対する攻撃をやめる措置を取った一方で、大勢のアフガニスタン人を殺害している」と批判しました。

そのうえで「現在の暴力のレベルは容認できず、変えなければならない。和平を損ねる」として、タリバンに殺害をやめるよう警告しました。

一方、10日に行われる見通しだったアフガニスタン政府とタリバンとの直接対話が延期された理由について、オータガス報道官は声明で、去年の大統領選挙をめぐってガニ大統領の再選を対立候補が認めていない問題が影響し、政府の交渉団の結成が間に合わなかったと明らかにしました。

そのうえで、近く交渉団が結成される見通しだと説明し、和平合意に基づく直接対話の早期実現に期待感を示しました。

アメリカとタリバンは先月、アメリカ軍の完全な撤退を含む、初めての和平合意に署名しましたが、タリバンによる市民への暴力が続いているほか、アフガニスタン政府との直接対話も実現していません。

こうした中、国連の安全保障理事会は10日、和平合意を支持するとしたうえで、アフガニスタン政府とタリバンの双方に対して、タリバンによる暴力の削減を含む交渉を始めるよう求める決議を全会一致で採択しました。

決議の採択を受けて、アメリカをはじめ各国の代表からは「和平プロセスに女性の参加が重要だ」という発言が相次ぎました。

またこの日、国連本部ではアフガニスタンの国連代表部が女性の役割をテーマにしたセミナーを開き、ヒラリー・クリントン国務長官が演説しました。

クリントン氏は、タリバン時代は女性は1人で外出することさえ許されなかったが、いまは350万人の少女が学校に通い、政府でも女性が重要な地位についていると指摘したうえで「いかなる和平合意であっても女性の権利が尊重され参加が認められるべきだ」と述べ、今後の和平プロセスに女性が加わることを求める声が上がっています。

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