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WHOは、ことしの年次総会を来週18日からテレビ会議の方式で開催し、新型コロナウイルスの対策などを話し合う予定で、WHOに加盟していない台湾はオブザーバーの資格での参加を目指しています。

中国外務省の趙立堅報道官は14日の記者会見で、台湾は中国の一部だとしたうえで、「WHOの年次総会の規則の中に主権国家の一地区がオブザーバーとして参加する根拠はない」と述べ、参加に反対すると改めて強調しました。

そして、台湾が国民党政権の時にオブザーバーとしての参加資格を得たことについて、「両岸が『1つの中国』の原則を堅持するという基礎のもと、中国政府が台湾地区に参加させる特別な対応を行った」と説明しました。

そのうえで、民進党は台湾独立の立場を堅持しており、台湾地区が参加する政治的な基礎はもはや存在しない」と強調しました。

台湾の参加をめぐっては、アメリカや日本などが支持していますが、趙報道官は「個別の国がかたくなに台湾に関する提案を行う目的は感染対策の国際協力を破壊するためであり、中国を含む国際社会は断固として反対する」と述べました。

WHOの年次総会は毎年5月に開かれ、ことしは来週18日から2日間の日程でテレビ会議を通じて、194の加盟国が参加します。

ことしは世界的に感染が広がる新型コロナウイルスへの対策が最大の焦点で、各国は最新の状況や感染の封じ込めに向けた取り組みなどについて話し合います。

しかし、WHOをとりまく状況はアメリカと中国の対立によって、かつてなく厳しくなっています。

原因の1つは新型コロナウイルスの発生源をめぐる議論で、アメリカのトランプ大統領が、中国湖北省武漢にある研究所から広がった可能性があるという認識を示す一方、中国は証拠がないとして反論しています。

また、アメリカのトランプ大統領は、WHOが中国寄りだとして不信感をあらわにし、資金の拠出を一時的に停止する考えを明らかにしたのに対し、中国政府はWHOを支持する立場を強調し、新たに多額の資金拠出を行うと表明するなど、両国の攻防の舞台となっています。

さらに、対立をあおっているのがWHOに加盟していない、台湾のオブザーバー資格での参加を認めるかどうかです。

「1つの中国」の原則を掲げる中国政府は、台湾は中国の一部だとして参加に強く反対する一方、アメリカは参加を支持しています。

11日の時点で、13の加盟国が台湾を招待するよう提案していますが、WHOは「参加の是非は194の加盟国が決めることだ」として明言を避けています。

全世界で30万人を超える死者を出している新型コロナウイルスへの対応をめぐって、アメリカと中国の政治的な対立が、国際的なウイルス対策への足並みの乱れにつながらないか懸念されます。

台湾の呉外交部長は、来週18日から始まるWHOの年次総会を前に、台北で15日、NHKの単独インタビューに応じました。

この中で、呉部長は「ことしのWHO総会に事務局長の招待を受けて、オブザーバーになることを希望している」と述べ、オブザーバーの資格で総会への参加に意欲を示す一方、現時点では、招待状は届いていないことを明らかにしました。

呉部長は「われわれが参加に向けて動くなか、強大な力によるけん制を受けている。強大な力とは、すなわち中国だ」と述べ、現状では実現は難しいという見方を示しました。

そのうえで、呉部長は「WHOから台湾が排除され、速やかに情報が共有されず、協力を得ることができなければ、台湾は地理的な空白となる。このことは、台湾にとって、不公平なだけでなく、世界の感染症予防が行き届かない地域になってしまうおそれもある。われわれは、こうしたことは望んでいない」と述べました。

そして、「台湾の新型コロナウイルス対策の経験は、かなりの成功を収めてきた。台湾が、このような重要な国際組織などに参加することができれば、ほかの国々とわれわれの経験を分かち合うことができる」と述べ、WHO総会への参加によって、抑え込みに成功している自分たちの経験を共有し、ウイルス対策が喫緊の課題となっている国際社会に貢献できると主張しました。

呉部長は「引き続き、さらに多くの国が台湾への支持を表明してくれれば、台湾の参加に向けて大きな助けとなると信じている」と述べ、日本やアメリカなどと連携しながら、最後まで実現を目指す考えを強調しました。

中国外務省の趙立堅報道官は15日の記者会見で新型コロナウイルスの感染が始まって以来、台湾の民進党の当局はこの機会を政治的に大いにもてあそんでいる。年次総会への参加を目指す真の目的は、外国の力を借り、この機会に乗じて台湾独立をたくらもうということだ」と述べ、改めて断固反対する考えを強調しました。

そのうえで趙報道官は「台湾の参加については、必ず『1つの中国』の原則に基づいて処理されるべきだ。民進党は台湾独立の立場を堅持し、この原則を拒否しており、台湾が参加できないのは民進党みずからが引き起こしたものだ」と述べ、台湾側を重ねて批判しました。

また台湾の参加をアメリカや日本などが支持していることに関連して、趙報道官は「個別の国がかたくなに台湾に関する提案を行う目的は、ただ衛生上の問題を政治的な問題にすることだ」と述べ、厳しく批判しました。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大についてアメリカは、中国による隠蔽が原因だと批判を強めているのに対し、中国は根拠のない主張だと反論し、激しく対立しています。

こうした中、トランプ大統領は14日に放送されたFOXビジネスネットワークのインタビューで、中国の習近平国家主席と話したかと問われると、「習主席と関係は良好だが、今は話したくない」と述べました。

さらに中国への対応について「われわれができることはたくさんある。すべての関係を断つこともできる」と述べ、強い言葉で中国を警告しました。

また、ウイルスの発生源をめぐっては「研究所からであろうが、コウモリからであろうがウイルスは中国からきたものだ。その発生源で止めるべきだった」と述べ、世界中で感染が拡大した責任は中国にあると改めて批判しました。

新型コロナウイルスをめぐっては与党・共和党から中国に責任をとらせるべきだという声が相次いでいて、トランプ大統領としては共和党や支持者向けに中国への強硬な姿勢を示すねらいもあるとみられます。

アメリカ議会上院は、中国でウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者を対象に、制裁の発動を政府に求めるウイグル人権法案」を可決しました。

議会下院でも近く可決される見通しで、新型コロナウイルスをめぐって対立するアメリカと中国の関係はさらに悪化しそうです。

アメリカ議会上院は14日、中国の新疆ウイグル自治区で多くのウイグル族の人たちが不当に拘束されているとして、ウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者を対象に、制裁の発動をアメリカ政府に求める「ウイグル人権法案」を全会一致で可決しました。

この法案は上院と下院が、去年それぞれ可決した法案に修正を加えたもので、近く下院に送られ可決される見通しです。

議会上院の外交委員会の、共和党民主党の代表は声明を出しウイグルの人たちに対する人権侵害は認められないという中国政府へのメッセージだ」として、超党派で中国政府に対する厳しい姿勢を示しました。

中国政府はこれまで、法案が成立すれば対抗措置を取る可能性を示唆してきました。

法案の成立には、下院で可決された後、トランプ大統領の署名が必要で、法案が成立すれば新型コロナウイルスをめぐって対立するアメリカと中国の関係はさらに悪化しそうです。

#米中
#反中国

中国の国家統計局は15日、先月の主要な統計を発表しました。

それによりますと、工業生産は去年の同じ月に比べて3.9%のプラスとなりました。

中国の工業生産は、新型コロナウイルスの影響でことし1月から2月にかけて、去年の同じ時期に比べてマイナス13.5%と10%を超える大幅なマイナスとなりました。

しかし、中国政府が国内での感染拡大を「基本的に抑え込んだ」として、企業に生産の再開を積極的に促した結果、先月は去年12月以来4か月ぶりにプラスに転じました。

一方、消費の動向を示す小売業の売上高はおよそ2兆8178億人民元、日本円で42兆円余りで、去年の同じ月に比べて7.5%のマイナスとなりました。

マイナス幅は前の月よりも8.3ポイント改善したものの、ことし1月以降、マイナスが続いています。

内訳を見ると、自動車の販売が前年並みとなる一方、飲食業は依然として30%を超えるマイナスとなっています。

背景には、消費者の間に感染への懸念が根強く、外食などを控える傾向が続いていることがあるとみられ、今後の景気回復に向けて、消費者のマインドをいかに改善できるかが課題となりそうです。

中国国家統計局の劉愛華報道官は記者会見で「国内では感染拡大のコントロールで大きな成果をあげているが、経済面ではまだ全面的に正常な水準に回復したとは言えない」と述べて、景気の現状に厳しい見方を示しました。

そのうえで「情勢の変化に応じて速やかに政策を打ち出して対応し、経済の全面的な復旧を進めなければならない」と述べ、今後、景気の回復に向けて追加の対策が必要だという認識を示しました。

#経済統計

WTO世界貿易機関アゼベド事務局長が、来年までの任期を1年残してことし8月末で退任すると表明しました。

スイス・ジュネーブに本部があるWTOは日本を含めた164の国と地域が加盟する国際機関で、貿易紛争の解決や貿易のルールづくりなどにあたっています。

トップを務めるブラジル出身のアゼベド事務局長は、2013年に就任して現在2期目で、任期は来年8月末までとなっています。

14日、アゼベド事務局長は加盟国に対し、任期を1年残してことし8月末で退任すると表明しました。理由については「家族と話し合った結果で、個人的な決断だ。健康問題でも政治的な動きでもない」としています。

そのうえで、新型コロナウイルスの影響でことしの開催が見送られ、来年開かれる、最高意思決定機関の閣僚会議に向けて、新しい事務局長の選任を急ぎ、十分な準備を進めるべきだと説明しています。

設立から25年がたったWTOは、今の貿易問題に十分対応できていないと加盟国から指摘され、改革をどう進めるかが大きな課題になっています。

とくに貿易紛争解決の手段は、裁判官にあたる委員の選任がアメリカの反対で滞り、機能不全に陥っていて、解決に道筋がつかない中でトップが退任することになりました。

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