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ASEAN東南アジア諸国連合の外相会議が9日、テレビ会議形式で始まりました。アメリカと中国の対立が深まる南シナ海の問題で、ASEANとして緊張緩和に向けたメッセージをどのように打ち出すか、意見が交わされているとみられます。

会議に先立ち開かれた開会式で、議長国を務めるベトナムのミン副首相兼外相は「複数の国で威圧的な外交や利己主義、一貫性を欠いた姿勢を示す傾向が強まっている。南シナ海を含む地域の平和と安定などを脅かす挑戦が常に存在している」と述べ、名指しは避けつつも、米中の間で高まる緊張に懸念を示しました。

会議ではASEAN加盟国の一部や中国などが領有権を争う、南シナ海の問題が焦点の1つで、中国がほぼ全域の権益を主張しているのに対して、アメリカは「完全に違法だ」と指摘し、両国の軍事的な活動も活発になっていて緊張が高まっています。

ASEAN加盟国では、こうした状況に対する懸念が広がっていて、NHKが入手した外相会議の共同声明案では「地域の緊張を高める埋め立てや活動、深刻な事案に対し懸念を示す」としたうえで、自制を促す文言が盛り込まれています。

会議ではカンボジアなど中国との関係を重視する国もある中で、ASEANとして、緊張緩和に向けたメッセージをどのように打ち出すかが焦点となっています。

ASEANの一連の外相会議はテレビ会議形式で開かれ、会議には日本の茂木外務大臣アメリカのポンペイ国務長官らが参加しています。

これを前に日米両政府は8日、東南アジア最長の川であるメコン川流域のインフラ整備について、共同で閣僚声明を発表しました。

この中で、メコン川流域のベトナム、タイ、カンボジアラオスミャンマーの5か国では、経済成長に伴い電力需要が急増しており、電力網などの整備が喫緊の課題だと指摘しています。

そのうえで、インフラ整備を加速させるため、関係国や地元の電力会社などとの連携を強めたり、技術支援を進めたりするとしています。

メコン川流域では、これまで中国が多額のインフラ投資を行ってきたほか、先月には中国が新型コロナウイルスのワクチンの開発に成功すれば、流域国に優先的に提供する意向を示すなど、影響力を強めています。

南シナ海の問題をめぐって中国との対立を深めるアメリカとしては、日本と連携してメコン川流域でのインフラ整備に力を入れる姿勢を示すことで、中国をけん制するとともに、各国の取り込みを図るねらいがあるとみられます。

中国とASEAN10か国による外相会議は、日本時間の9日午後4時すぎからテレビ会議形式で開かれました。

会議の冒頭、中国の王毅外相は「ASEANは、現在、中国にとって最大の貿易相手となっている。新型コロナウイルス対策の医療分野でお互いに協力をしていきたい」と述べました。

また、王外相は、ASEANの一部の加盟国などと領有権争いがある南シナ海の問題について、「地域の特性を反映したルールづくりを目指したい」などとして、紛争を防ぐためのルール「行動規範」の早期の策定を呼びかけました。

南シナ海をめぐっては、中国がほぼ全域の権益を主張しているのに対して、アメリカはことし7月、「完全に違法だ」として中国に対抗していく方針を鮮明にし、空母2隻を展開させる大規模な軍事演習を繰り返すなど関与を強めています。

こうした現状を受けて、中国としては「行動規範」の策定を進める姿勢を示すことで南シナ海の領有権を争う当事国どうしで問題解決を進める立場を強調し、アメリカの関与を排除するねらいがあるとみられます。

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