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太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国の最高裁判所はおととし、被告の新日鉄住金、今の日本製鉄に対し、「徴用工として日本で強制的に働かされた」と訴えた韓国人4人に賠償するよう命じる判決を言い渡しました。

これについて日本政府は、1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みだとして、国際法違反の状態を是正するよう韓国政府に求めていて、日本製鉄も賠償に応じていません。

韓国の裁判所はことし10月、日本製鉄の韓国国内の資産の売却に関する書類をホームページに公開する「公示送達」の手続きをとりました。

そして、2か月後の9日午前0時をもって、資産の売却について意見を求める審問書などが日本製鉄側に届いたとみなされました。

これに先立って韓国の裁判所は、資産の差し押さえに関しても「公示送達」をしていて、日本製鉄はことし8月、「即時抗告」を行って手続きの差し止めを求めています。

今回、資産の売却について意見を求める審問書などが届いたとみなされたことで、原告側による「現金化」に向けた手続きが進んだ形ですが、韓国メディアは、さらに必要な手続きがあるため、実際に「現金化」されるまでには時間がかかるという見方を伝えています。

北朝鮮キム・ジョンウン委員長の妹のキム・ヨジョン(金与正)氏は、9日朝、国営の朝鮮中央通信を通じて5か月ぶりに談話を発表しました。

この中で、韓国のカン・ギョンファ(康京和)外相について「われわれの防疫措置を差し出がましく批評した。前後の計算もなく、妄言を述べたのをみると、凍りついたわれわれとの関係にさらに冷たい風を吹かせたいのだろう」と批判しました。

カン外相のどういった発言を問題視したか、具体的には言及していませんが、カン外相は今月5日の国際会議で、新型コロナウイルスの感染者がいないとする北朝鮮の主張に懐疑的な見方を述べています。

北朝鮮としては、アメリカのビーガン国務副長官が8日から韓国を訪問し、滞在中、カン外相と北朝鮮問題をめぐって意見を交わすことから、これを前に談話を発表することでアメリカと韓国の連携をけん制するねらいもありそうです。

アメリ財務省は8日、国連の制裁決議に違反して北朝鮮による石炭の密輸にかかわったとして、中国とベトナムにある6つの企業や団体アメリカ独自の制裁を科すと発表しました。

財務省は、声明の中で「中国国内の個人や企業、それに船舶が引き続き、国連の制裁決議に違反する行動にかかわっている」と指摘し、中国政府に対して制裁決議を順守するよう強く求めました。

この問題をめぐっては、アメリ国務省北朝鮮政策を担当するウォン次官補代理が先週「国連の制裁決議に違反して、石炭などを運んだ船が北朝鮮から中国に向かうのをアメリカ政府は過去1年間で555回確認したが、中国政府は1度も取り締まらなかった」と非難していました。

また、アメリカの新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、中国の船が北朝鮮の港で石炭を積んでいるとされる衛星写真などを掲載したうえで、中国がもはや秘密裏にではなく、公然と石炭の取り引きにかかわっていると報じました。

さらに、ことし1月から9月に北朝鮮が輸出した石炭は、金額にして3億3000万ドルから4億1000万ドルに上るというアメリカ政府の見方を伝えていて、北朝鮮と中国の関係への警戒が改めて強まっています。

アメリカ政府で北朝鮮問題を担当するビーガン国務副長官は、韓国側の招待で8日から4日間の日程でソウルを訪問していて、9日は韓国外務省のチェ・ジョンゴン(崔鍾建)第1次官などと会談しました。

韓国側の発表によりますと、チェ次官は、これまでムン・ジェイン文在寅)政権とトランプ政権が、北朝鮮情勢に進展をもたらしたなどと評価したうえで、こうした成果をアメリカの次期政権にも引き継ぎ、米韓関係のさらなる発展に向け、役割を果たしてほしいと、ビーガン副長官に求めました。

これに対してビーガン副長官は「アメリカの政権交代とは関係なく、米韓の信頼と協力は強固だ。朝鮮半島情勢と米韓同盟の懸案の安定的な管理のため、ともに最善を尽くしていこう」と述べ、韓国側と引き続き連携していく姿勢を強調したということです。

ビーガン副長官は、このあとイ・ドフン(李度勲)朝鮮半島平和交渉本部長とも会談したほか、滞在中、カン・ギョンファ(康京和)外相との食事会なども予定されていて、北朝鮮問題などをめぐって意見を交わすことにしています。

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