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アメリカの新しい駐日大使となるラーム・エマニュエル氏は5日、首都ワシントンでNHKの単独インタビューに応じました。

この中でエマニュエル氏は、駐日大使への打診をバイデン氏から受けたのは政権発足前のおととし12月だったと明らかにしました。

そのうえで、「日本が重要な国だからというだけでなく、歴代の偉大な駐日大使の顔ぶれから大変な重責だと感じた」と述べました。

また、エマニュエル氏はバイデン政権が「最大の競合国」と位置づける中国について、香港や南シナ海をめぐる問題に言及し「中国はよき隣人ではなく地域の利益を発展させる存在でもない」と指摘して民主主義という価値観を共有する日米両国こそが地域の発展に貢献できることを示すべきだと強調しました。

そして日米関係について、「2つの民主主義国家は共通の価値観を発展させるため、重要な局面を迎えている」と述べ、関係強化に尽くしたいという考えを示しました。

またエマニュエル氏は自身について、物事を成し遂げる信念の人物だと評したうえで、「両国の関係強化や共通の課題解決に向けて誠実、かつ率直に話し、相手の意見に耳を傾けながら取り組んでいく」と述べて、日米の友好のために駐日大使としての役割を果たしたいという意欲を示しました。

歴代の駐日アメリカ大使には、大物政治家や大統領と個人的なつながりを持つ人物が選ばれ、日米関係の強化や問題解決に重要な役割を果たしてきました。

このうち、カーター大統領のもとで1977年に就任したマンスフィールド氏は、民主党の上院トップである院内総務を歴代最長の16年間務めた大物議員です。

11年半にわたって駐日大使を務め、日米関係が貿易摩擦で悪化する中、揺るぎない日米安保体制の維持こそがアジア・太平洋地域の平和にとって不可欠だとして、安定した関係構築に力を尽くしました。

また、クリントン大統領のもとで1993年に就任したモンデール氏は、カーター政権で副大統領を務めた人物で、大使在任中に沖縄県普天間基地の移設をめぐる交渉にあたり、1996年には基地の機能を県内に移すことを条件に、普天間基地を全面返還することで当時の橋本総理大臣と合意しました。

一方、最近では政治経験が少なくても大統領と個人的に強いつながりを持つ人物が選ばれるケースが続きました。

2013年に就任したキャロライン・ケネディ氏は、ケネディ元大統領の長女で、高い知名度の一方、外交や政治に携わった経験はほとんどありませんでしたが、オバマ大統領の選挙戦で対策本部の共同議長を務めるなど、熱心な支持者として知られていました。

また、2017年に就任したハガティ前駐日大使もトランプ前大統領を選挙戦中から支持し、その後も政権移行チームに入るなど、トランプ前大統領に近いとされていました。

新しい駐日大使となるエマニュエル氏は、政治経験が豊富なうえにバイデン大統領と親しく、その手腕に期待する声が上がっています。

岸田総理大臣は6日、オーストラリアのモリソン首相とオンライン形式で、自衛隊とオーストラリア軍が円滑に活動を行うための「日・豪円滑化協定」の署名式を行いました。

円滑化協定は、自衛隊とオーストラリア軍が、お互いの国に部隊を派遣して共同訓練や災害対応を行う際の法的地位や手続きなどをあらかじめ取り決めておくもので、両国で運用面の協議を行う「合同委員会」も設置します。

日米地位協定を除けば、同様の協定を結ぶのはオーストラリアが初めてとなります。

署名式の際、岸田総理大臣は「日豪の安保協力を新たな段階に引き上げる画期的な協定だ。現下の安全保障環境で日豪の安保協力の重要性はますます高まっており、両国が精力的に交渉してきた成果が結実したことを大変うれしく思う」と述べました。

モリソン首相は「現在のように急速に複雑な形で世界が変わっていく中、協定は極めて重要なものになる」と指摘しました。

このあとの会談で両首脳は、地域情勢をめぐって意見を交わし、中国が進出を強める東シナ海南シナ海の状況に深刻な懸念を表明するとともに、力による一方的な現状変更の試みに反対していくことで一致しました。

そのうえで、両首脳は中国などを念頭に両国の安全保障や防衛面での協力を一層拡大するため、安全保障協力に関する新たな共同宣言を、可能なかぎり早期に発出できるよう作業を進めていくことを確認しました。

また岸田総理大臣は、5日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射は国連の安保理決議違反であり、日本や地域、国際社会の平和と安全を脅かすものだと指摘し、両首脳は、両国で緊密に連携し、安保理決議の履行を求めていく方針で一致しました。

自衛隊とオーストラリア軍が共同訓練などを円滑に進めるための協定に署名したことについて、日豪関係に詳しいオーストラリアのシンクタンク「ローウィー研究所」のリチャード・マグレガー氏は「地域で中国が影響力を強める中、オーストラリアにとって日本は当然のパートナーだ。両国には安全保障を強化したいという共通の関心がある」と指摘し、新たに日本と安全保障面での連携を強化することで、海洋進出を強める中国をけん制するねらいがあると分析しています。

オーストラリアは現在、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、日本とアメリカ、それにインドも加わった「クアッド」と呼ばれる4か国での連携や、アメリカ、イギリスと設けた安全保障の枠組み「AUKUS」を通じ、中国を念頭にした各国との協力を深めていますが、マグレガー氏は、今回の協定もその一環だと受け止めています。

そのうえでマグレガー氏は「円滑化協定は、地域のほかの国々にとっても連携が可能なことを示すシンボルになるだろう」と話し、今回の協定をきっかけに、インド太平洋地域のほかの国々の間でも今後、中国を念頭に多国間での連携が進む可能性があると分析しています。

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