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ロシアがウクライナとの国境周辺に大規模な軍の部隊を展開し、軍事的な緊張が続くなか、フランスのマクロン大統領は前日のロシアのプーチン大統領との会談に続いて8日、ウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

ウクライナでは2014年以降、東部で政府軍と、ロシアを後ろ盾とする武装勢力との間で停戦合意が守られないまま散発的に戦闘が起きていて、ロシアに軍事侵攻の口実を与えかねないといった懸念も出ています。

会談後の共同会見でマクロン大統領は、プーチン大統領とゼレンスキー大統領のいずれとも、停戦を徹底することの重要性で一致したことを明らかにしました。
そのうえで「この決意を共有することこそが平和を構築する唯一の方法だ」と述べ、停戦の順守に向けてロシアとウクライナ、ドイツとの4か国の高官協議を10日、ベルリンで行うと述べました。

またゼレンスキー大統領は、将来的には、4か国の首脳級で話し合うことを目指したい考えを示しました。

一方でロシアがNATO北大西洋条約機構をこれ以上、拡大させないことを要求していることに対して、欧米側は、譲歩しない立場を示していて、緊張の緩和に向けた道筋は見えていません。

ウクライナ情勢をめぐり、ドイツのショルツ首相フランスのマクロン大統領、それにポーランドのドゥダ大統領は8日、ベルリンで会談を行いました。

会談に先立って行われた共同の記者会見で、ショルツ首相は現状への強い懸念を示したうえで「われわれの共通の目標はヨーロッパでの戦争を防ぐことだ」と述べました。

マクロン大統領が7日、ロシアのプーチン大統領と会談を行ったのに続いて、来週にはショルツ首相もモスクワで会談を予定していて、外交を活発に行いながら緊張緩和に向けて一致した対応をとっていくとしています。

ロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習が、今月10日から20日までの日程で行われる予定となるなか、ウクライナのレズニコフ国防相は、ウクライナ軍も同じ日程で軍事演習を行うことを明らかにしました。

ウクライナ軍の演習は、ベラルーシとの国境にも近いウクライナ北部などで行われ、ロシアが警戒しているとされる無人機や対戦車ミサイルなどを使用する予定だということです。

アメリカなどは、ロシア軍が合同軍事演習の名目でベラルーシにも部隊を集結させ、ウクライナに侵攻するのではないかと警戒を強めています。

ウクライナとしては、ロシアとベラルーシと同じ日程で演習を行うことで警戒を強めるとともにロシア軍の動きをけん制したいねらいもあるとみられます。

アメリカのシンクタンクCSIS戦略国際問題研究所のグループは先月下旬、報告書を発表し、ロシアが実行する可能性がある軍事的な選択肢は少なくとも6つあると指摘しました。
報告書が指摘した6つの選択肢は次のとおりです。

1:ウクライナの国境周辺から地上部隊を撤収させる一方、親ロシア派への支援を継続し、サイバー攻撃などを仕掛ける。

2:ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力が支配する地域に部隊を派遣する。
本格的な戦闘を行わずに、ウクライナ政府に揺さぶりをかけるシナリオです。

3:ウクライナを北から南に流れ、首都キエフを通過して黒海に注ぐドニエプル川の東側まで占領する。
ねらいは、川を境に、ウクライナを東西に分割し、政権を破壊工作などで崩壊に追い込むことだといいます。

4:ドニエプル川の東側と、モルドバ東部の沿ドニエストル地方からロシア国境までの黒海沿岸の一帯を占領する。

5:沿ドニエストル地方とロシア国境までの黒海沿岸の一帯を占領する。
沿ドニエストル地方はモルドバから一方的に独立を宣言し、ロシアが軍を駐留させていて、影響力が強い地域です。
また、黒海沿岸の一帯を占領することで、貿易の拠点を奪い、ウクライナ経済に打撃を与えるねらいがあるとみられます。

そして、
6:ウクライナ全土を占領する。
分析にあたったCSISのセス・ジョーンズ上級副所長はNHKのインタビューに対し「もしロシアが動くとすれば、東部の親ロシア派の武装勢力が支配するドネツクとルガンスクの周辺までか、地理的な境界線となるドニエプル川の東側まで侵攻しウクライナを東西に分断する可能性が高い。そのうえで、ウクライナの西側に工作員などを送り込んで活用するほうが全面的な侵攻よりも可能性は高いだろう。目的は、暗殺や破壊工作などを組み合わせ、ウクライナ軍が敗北間近だと思わせることで、政権を崩壊に追い込むことかもしれない」と指摘しました。

そして、「それがうまくいかなければ、東西ドイツ北朝鮮と韓国のような結果になるかもしれない。非武装地帯を中心にウクライナが二分され、一方は、親欧米、もう一方はロシアに支配されるという事態もありうるだろう」と警鐘を鳴らしました。

また、CSISの報告書は、ロシア軍の部隊がどのように増強されつつあるかを衛星写真などをもとに分析しています。

それによりますと、ウクライナの国境から北におよそ260キロ離れたロシア西部のエリニャに駐留する部隊を分析した結果、去年11月はじめからことし1月下旬にかけて、戦車や自走砲、短距離弾道ミサイルなどの配備は20%余り増強されたということです。

さらに、ロシア西部のボロネジの空軍基地には、シリアへの空爆にも使われた戦闘爆撃機スホーイ34」4機が新たに配備されたとみられるとしています。

ジョーンズ上級副所長は「ロシア軍の兵力の増強に加え、ロシア側にはベラルーシ軍や非正規軍の準軍事組織、民間の軍事組織もある。もし、ロシアが動くとすれば、ベラルーシ軍や非正規軍も活用すると考えられ、ウクライナへ侵攻するには十分だ。仮に、動くと決断した場合、正規軍と非正規軍を組み合わせたハイブリッド型の侵攻になる可能性が高い」と指摘しました。

そのうえで「仮にロシアが侵攻すれば、ロシアとヨーロッパのある種の温かい関係は終わる。ロシアの国境から伸びる新しい“鉄のカーテン”が設けられる決定的なポイントとなるだろう」と述べ、新たな冷戦が始まるおそれがあると指摘しました。

仮に、ロシアが侵攻した場合のバイデン大統領の対応について、ジョーンズ上級副所長はウクライナに軍を派遣することはないだろう」と指摘しました。

その理由は3つあるとし、
ウクライナNATO加盟国ではなく、防衛義務がないこと、
アメリカはアフガニスタンから軍を撤退させたばかりで、いつ終わるとわからない紛争に巻き込まれたくないこと、
▽米ロ両国が軍事的に直接対じすれば、核戦争まで事態がエスカレートしかねないことを挙げました。

そのうえでジョーンズ上級副所長は「1980年代、アメリカ軍はソビエトが侵攻したアフガニスタンに通常の部隊を展開しなかったが、ソビエトに抵抗する勢力を軍事的に支援した。米ロ両国の兵士が地上で直接対じするよりもありうる方法だ」と述べ、アメリカがウクライナの親欧米派に軍事支援を続け、ロシア軍に対抗していく可能性があるとし、ウクライナアフガニスタンのような泥沼の内戦状態に陥りかねないと警鐘を鳴らしました。

ウクライナ情勢をめぐって8日、ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領、それにポーランドのドゥダ大統領がベルリンで会談しました。

これを前に記者会見したショルツ首相は、軍事的な緊張が高まっている現状に強い懸念を示したうえで「われわれの共通の目標はヨーロッパでの戦争を防ぐことだ」と述べました。

ドイツ政府の発表によりますと、3か国の首脳はロシアがウクライナに侵攻すれば重大な結果をもたらすことになると強調し、対話による緊張緩和に向けて連携していくことを確認しました。

会談に先立つ7日には、マクロン大統領がモスクワを訪問してロシアのプーチン大統領と会談を行い、協議の継続で一致したほか、来週にはショルツ首相もモスクワで首脳会談に臨むことになっています。

EUヨーロッパ連合天然ガスの輸入の4割以上をロシアに頼っていることもあり、ドイツやフランスを中心に外交を通じて事態の打開を目指す動きが続いています。

ロシアのインタファクス通信は8日、国防省の発表として、ロシア軍艦6隻が演習に参加するために地中海から黒海に向かって航行していると報じた。事前に計画された移動の一環としている。

目撃者によると、このうち3隻が8日に黒海に通じるトルコの海峡を通過した。トルコ当局は残りの3隻は9日に通過するとしている。

この日にボスポラス海峡を通過したのは「コロレフ」「ミンスク」「カリーニングラード」と見られる。

ウクライナ情勢は緊張が続いていますが、ヨーロッパは電力などに必要な天然ガスの需要のおよそ4割をロシアからパイプラインを通じて供給を受けています。
しかし、仮にロシアがウクライナに侵攻した場合、アメリカやヨーロッパはロシアに対して経済制裁に踏み切る可能性を示していて、ロシアが対抗措置としてヨーロッパ向けの天然ガスの供給を絞るのではないかという見方も出ています。

関係者によりますとこうした情勢を踏まえ、政府は日本のLNGの一部をヨーロッパ向けに融通する方針を固めました。
ヨーロッパのエネルギー確保のためにアメリカのバイデン政権が要請してきたものに応える、日本としては異例の対応となります。

政府としては国内の電力を安定的に供給するための十分な量は確保したうえでLNGの権益を持つエネルギー企業などに協力を求め、ヨーロッパを支援することにしたものです。
早ければ9日にも正式に表明する見込みで、今後、融通する量や時期などの検討を進めることにしています。

これは9日夕方、萩生田経済産業大臣が記者団に対して明らかにしました。

この中で萩生田大臣は「ヨーロッパの厳しいガス不足の状況を踏まえ、アメリカからの要請を受けて協力することを決定した」と述べて、政府としてLNGをヨーロッパ向けに融通する方針を決めたことを表明しました。

萩生田大臣はこれに先立ち、EUヨーロッパ連合のフロア駐日大使と、アメリカのエマニュエル駐日大使と相次いで会談し、LNGを融通する方針を伝えました。

ヨーロッパは、電力などに必要な天然ガスの需要のおよそ3割から4割をロシアからパイプラインを通じて供給を受けています。

ウクライナ情勢は緊張が続いていますが、アメリカとEUは、ロシアがウクライナに侵攻した場合、経済制裁を科すと警告しています。

これに対してロシアが対抗措置として天然ガスの供給を絞る可能性も排除できない状況です。

こうした情勢を踏まえ、アメリカ・バイデン政権はヨーロッパのエネルギー確保のために日本側に協力を求めていました。

日本政府としては、国内の電力を安定的に供給するための十分な量は確保したうえで価値観を共有するヨーロッパを支援するためにLNGを融通する方針を決めたとしています。

日本の発電量に占める電源別の割合では2020年度実績で
▽火力発電が76.3%
▽太陽光が7.9%
▽水力が7.8%
原子力が3.9%でした。

火力発電のうちもっとも多くを占めるのがLNGで全体のうち39%を占めています。

LNG依存の高い日本は中国に次ぐ世界最大規模のLNG輸入大国でもあります。

この冬は過去10年間で最も電力需給が厳しくなると見込まれています。

電力に欠かせないLNGは足りているのでしょうか。

去年11月15日時点ではLNGの在庫は全国でおよそ220万トンと、前の年の同じ時期よりもおよそ60万トン多く、過去5年で最も高い水準となっていました。

その後、先月上旬、寒波の影響で全国的に冷え込みが強まって発電量が増え、今月6日時点では去年の同じ時期よりもおよそ14万トン多いおよそ163万トンとなっています。

一方で今月後半にかけては電力各社がLNGを追加調達する予定で在庫は今よりも増える見通しだとしていて、経済産業省は「今後の天候によって予断を許さないものの、この冬はLNG在庫が少ないことによって電力がひっ迫する事態は起きないと考えている」としています。

国や電力会社にとって苦い経験となったのが昨シーズンの電力需給の厳しさでした。

想定以上の厳しい寒さとなって暖房需要が増え、LNGの在庫量が全国的に不足するという事態に陥りました。

これを教訓に経済産業省はこの冬、大手電力会社に対してLNGの確保を呼びかけるとともに全社の在庫の総量を毎週確認して公表するという異例の取り組みを行っています。

日本の電力会社やエネルギー会社が輸入するLNG液化天然ガスのうち7割程度が10年間から20年間といった長期契約での取り引きです。

カタールやオーストラリアなどの売り主から毎年、ほぼ決まった量のLNGを輸入しています。

一方、すぐに取り引きするスポット市場での調達は3割程度を占めます。

企業が必要な時にLNG船で1隻ずつすぐに売り買いすることができ、需要の変動に対応できます。

主に長期契約の中にはLNGをほかの企業に転売することを原則禁止する「仕向地条項」という契約がついています。

資源国に有利な契約形態で電力会社などからすると需給に合わせて柔軟に転売できないデメリットがあります。

経済産業省によりますと、今回ヨーロッパ向けに融通するLNGは長期契約のうち、この「仕向地条項」がついておらず、余剰分としてスポット市場に売りに出すものを振り向けることを想定しています。

低気圧と寒気の影響で関東甲信の広い範囲では10日、雪が降って気温も下がる見込みで、東京電力の管内では暖房の使用が増えるなど電力の需要が高まると予想されています。

9日午後3時時点の予想では、電力の供給力に対する需要の割合を示す「使用率」が10日のピーク時には97%と非常に厳しくなる見通しです。

東京電力の管内では先月6日、厳しい寒さで電力需要が高まり、この冬初めて北海道電力東北電力中部電力関西電力の4社から電力の融通を受けました。

東京電力は10日についても供給力を確保するため全国の電力需給を調整している「電力広域的運営推進機関」と協議を進めていて、予想よりひっ迫した場合には速やかに電力の融通を要請するとしています。

東京電力は使っていない部屋の電気や暖房を消すなど日常生活に支障のない範囲で効率的に電気を使用するよう呼びかけています。

決議は9日の参議院本会議で自民・公明両党、立憲民主党日本維新の会共産党、国民民主党などの賛成多数で採択されました。

決議では「ウクライナ国境付近の情勢は国外勢力の動向によって不安定化しており、緊迫した状況が続いていることを深く憂慮し、自国と地域の安定を望むウクライナ国民と常にともにあることを表明する」としています。

そのうえで「いかなる国であろうとも、力による現状変更は断じて容認できない」として、地域の安定に向けて関係国をはじめ日本政府に対しても外交交渉に全力を尽くすよう求めています。

決議を受けて、林外務大臣は「政府はウクライナの主権や領土の一体性を一貫して支持し、関係国に緊張の緩和と対話を通じた解決を求めてきている。決議の趣旨も踏まえ、G7をはじめとする国際社会と連携し適切に対応していく」と述べました。

ウクライナ情勢をめぐっては、8日に衆議院本会議でも同様の決議が採択されています。

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「かりに今後、ウクライナ問題で西側が譲歩し、NATO不拡大を文書で国際合意するような事態になれば、わが国周辺の国際安全保障環境に与える悪影響は計り知れない」

#潮匡人#孤立無援#四面楚歌

9日、都内で記者会見したウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使は、ロシア軍がウクライナとの国境付近に展開し、軍事的な緊張が続いていることについて、「ロシア軍が入ってくれば、何万もの人々が徹底抗戦する準備ができているが、われわれから攻撃を仕掛けることはない」と述べました。

そのうえで、コルスンスキー大使は「われわれは武力紛争を望んでおらず、あくまでも外交的手段を尽くしたい。活発な外交をあらゆる面で展開したい」と述べ、事態の打開に向けて外交努力を継続する考えを重ねて示しました。

また、日本の国会がウクライナ情勢に関連し「力による現状変更は断じて容認できない」として、関係国や日本政府に対し地域の安定に向けた外交努力を求める決議を採択したことについて「非常に感謝している。ウクライナだけでなく世界への重要なメッセージになる」と指摘し、ロシアへの制裁などへの対応にあたっては、G7=主要7か国で足並みをそろえるよう求めました。

軍事的な緊張が続くウクライナ情勢をめぐって、岸田総理大臣は、カナダのトルドー首相と電話で会談し、ウクライナの主権と領土の一体性を一貫して支持することを確認するとともに、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

電話会談は9日午前、およそ30分間行われました。

この中で、軍事的な緊張が続くウクライナ情勢について重大な懸念を持って注視し、ウクライナの主権と領土の一体性を一貫して支持することを確認するとともに、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

また「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、協力や連携をさらに進めていくことに加え、日本やカナダなど11か国が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定について、中国の加入の申請を踏まえ、高い水準のルールを維持していく重要性を確認しました。

このほか、中国や北朝鮮などの地域情勢をめぐっても意見を交わし、北朝鮮の核・ミサイル問題で深刻な懸念を共有するとともに、拉致問題を含めた北朝鮮への対応について、引き続き緊密に連携していくことになりました。

まず、いまドイツ社会や世論の主導権を握っているのは(これはどこの国でも同様かもしれないが)50歳代の「冷戦末期~ポスト冷戦初期」に価値観の原型がある世代で、彼らにはエネルギー調達問題にて、いわゆる中東産油国に依存したくない!という地味ながら強固な意識があります。なぜなら中東への依存はすなわちアメリカ合衆国への従属につながるからで、政治的にも社会文化的にも「それはイヤ」という感覚がおそろしく根強い。また、伝統的に中東諸国との折衝はめんどくさくて厄介というイメージがあり、それだったら、文化・対話基盤の共通性が高い(とドイツ人は思っている)ロシアのほうがまだいいじゃん。経済的な相互依存関係も深いし。こちらが弱みを握られる代わり、向こうの弱みも握っているから「もし何かあってもなんとかなる」だろう、という理屈があるのです。個人的にそれはロシアとプーチン政権を甘く見過ぎている気もするのですが、冷戦とポスト冷戦の外交・経済関係の積み重ねがそういう認識を生み、現在に至るのです。

この「冷戦末期~ポスト冷戦初期」的な記憶というのはなにげに大きなポイントで、ロシア側に目を転じてみるとたとえばフィオナ・ヒルの名著『プーチンの世界』で強調されているように、プーチンの対欧米強硬路線を支えているのは旧ソ連ブロック解体への危機感だけでなく、冷戦終結後の混乱期に西側の政治家や企業家に騙されて相当ひどい煮え湯を呑まされた怨念だったりもするわけで、そのへんの「物語」は実は、ロシアでもドイツでも今なお現役稼働しています。

しかし今回、そして将来、ずっとそんなお約束の延長の駆け引きだけでやっていけるのか、自分としてはやや不安な印象を持たずにいられません。

いっぽうロシアはロシアで、いつまでも武力を「第一の対外的影響力」要素に据えておくわけにはいかず、もっと魅力的な国際的ビジネスモデルを構築・アピールする必要が不可避的に出てきます。そこでドイツが何かポジティブな役割を演じることができるのか、というのが、実は「戦後ドイツ」の真価が真に問われる局面だったりするのかもしれないと思ったりする今日このごろです。

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会合において非常に印象的であったのが、「日本人が一人しか出席していない(しかも、実は顔つきが似ているため、事務局を別とすると私のことを皆、「カザフスタン人」だと思っている)」にもかかわらず、我が国に対する惜しみない賞賛の声が繰り返し聞かれたことであった。端的に言うと「第二次世界大戦における敗戦であれほどひどい状況になったのに、その後、巧みな産業発展を実現した日本の手腕は素晴らしい」というのである。
我が国から直行便が未だ無いカザフスタンは「遠くて実は近い国」だ。一番楽な方法でそこに辿りつくためにはソウル経由を選ぶのが良いが、そこから5時間のフライトでついてしまう。旧ソ連諸国の例にもれず、独立当初は大変な苦難を抱えていたが、「原油天然ガスを筆頭にほとんどの鉱物資源が大量に国土の地下に眠っていること」「肥沃な国土で食糧自給率が100パーセント近いこと」の2つをアドヴァンテージにしつつ、すぐさま頭角を現した。だが旧共産圏であったことが現在もなお、その経済体制に暗い影を残している。なぜならば網の目のように張り巡らされた官僚制は事実上、マフィア構造を形成しており、汚職がはびこってきたからだ。そうした中で経済改革を志す勢力の中からは「我が国はなぜあの日本のような健全な経済発展を遂げることが出来ないのか」という声が上げられてきたというわけなのである。
私たち日本人は我が国の経済発展の礎は何といっても「大企業の努力」にあったと考えるのが一般的だ。時たま「昭和の想い出」といった形でマスメディアが報じる「熱血!技術開発ストーリー」の主人公はその後、大企業となった日本企業の創業者や主要メンバーたちの伝説ばかりだからだ。だが、カザフスタンやユーラシア諸国の人々が関心を持っているのは全くもってそこではない。「戦後日本の経済発展を支えたのは分厚い中小企業の存在であり、その高い成長力がそのまま日本全体の健全な成長につながったのだ」という事実にこそ、彼らは関心を今、寄せているのである。その実態を目の当りにして、私は正直、会議場の現場だというのに涙を禁じ得なかった。

いずれにせよそのようなわけでユーラシアは我が国にとって今、完全なる「空白地帯」である。特にカザフスタンは2017年にアスタナで万博開催を画策し、かつほどなくして世界でトップ30位の国にまで登りつめようという計画を掲げている。今回のユーラシア・ビジネス・フォーラムの背景には「ユーラシア関税同盟」があり、2015年から2020年までそれは新たな「EU」すなわち「ユーラシア連合(Eurasian Union」としての姿を現すことになる。つまり現代のシルク・ロードが実力を伴う形で姿を現すというわけなのだ。
今回、席上で声をかけてきたルーマニアの政府関係者がこう言っていたのが忘れられない。
欧州連合とユーラシア連合という二つの『EU』がつながることでユーロ・ユーラシア連合が出来上がる。それがここにいる人たちの密かな戦略なのですよ」
東欧の中でもルーマニアと言うと我が国から見てやや縁遠い印象はある。しかしユーラシア諸国の西端がウクライナである時(カザフスタンの西がロシア、そしてそのさらに西がウクライナ)、それに接する欧州の東端はルーマニアなのである。つまりこの巨大な連合体が出来上がる時、ルーマニアは東西の結節点としてこれまでとは全く違う役割を果たすことになるというわけなのだ。

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エリツィンは91年に政権を奪取すると、直ぐに、ロシアを社会主義経済から市場経済に転換させた。巨大な共産主義体制は、小さな内乱が発生しただけで、静かに崩れ落ちた。しかし、ロシア人にインテリさえ、市場経済とは何かを知らず、売り惜しみし、高値の吹っかけ、騙し合いによって、自由に儲けるのが、市場経済だと錯覚し、農奴時代の社会感覚から脱却できなかった。 経済が混乱し、一時期には対外債務を返済できなくなり、国家破産に落ち込み、国全体が貧しくなり、犯罪が激増した。ロシアの物盗りは、まず人を殺し、それからゆっくり盗むと怖がられた。
官僚や党幹部の一部は国有企業が民営化される時、特権、コネ、情報を利用して、大量な株式を安い価格で手に入れた。彼等は、石油、天然ガス非鉄金属、テレビ放送等の分野で、独占企業の経営者になって、莫大な利益をあげ、献金によってエリツィン政権の政策を動かすまでになった。これらの新財閥はオリガルヒと呼ばれ、大部分がユダヤ人だった。彼等は、金の力でロシアを乗っ取る勢いだった。

そうした時、突然、プーチンが登場して、経済の実権をオリガルヒから奪還し、国営企業を復活させ、言論を統制し、警察力を強化して、伝統的な独裁国家体制を取り戻した。強いロシアが戻ったのだ。プーチンは、プーチン批判を繰り返す反抗的なオリガルヒには脱税や国有資産の横領という罪を着せ、牢に繋いだり、国外に追放したりした。
プーチン政権は、反抗的オリガルヒの1人が経営していた石油・天然ガスの大会社・ユーコスを脱税容疑によって破産に追い込み、国営企業ガスプロムに吸収させた。イラク戦争の勃発とともに、原油価格が上昇を続け、国営巨大企業のガスプロムは収益が膨張し、その高配当がロシアの膨張する財政を支え、経済の高成長を実現した。 プーチン政権が発足した2000年以後、10年間で、ロシアのGDP(ドル換算)は、5倍以上になった。500メートル四方という巨大なスーパーが各地に現れ、そこには品物が溢れていた。夢に見た豊かな国になった。

ロシアの不安は製造業に広い裾野がないので、中産階級が育たず、貧富の差が大きいことだ。

多くの知識層は、ロシア的な一神教を信じて共同体的な生活をしている農民こそ、真のロシア人であると敬愛した。

ロシアはソ連時代に74年間も宗教を厳しく弾圧したが、その間も、農民は立体感のないイコンを信じて、餓死・凍死すれすれの生活を生き延びた。各地に釘を使わない木造と石造を組み合わせ、ネギ坊主型をしたロシア正教の教会があり、農民はそこへ黙々と通い、神を頼りに生きた。
プーチンは、ロシア正教が行き渡れば、汚職、犯罪、自殺が減り、国家資本主義が成功すると思っている。ロシア正教は1000年も前から、極貧の時にはロシア人の心の救世主になり、スターリン時代でも生き抜き、現在、ロシアを大国に押し上げる力になっている。
彼等は、ごく近い将来外資と組み、底辺の広い自動車産業等をヨーロッパ・ロシアにも、シベリアにも育成して、幅広い中産階級を創造する計画だ。ロシア人の才能とロシア正教には、それだけの力がある。

#竹内宏

#NATOexpansion

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#反ロシア#対中露戦

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