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ロシア下院は15日、ウクライナ東部の親ロ地域の独立を認めることをプーチン大統領に求める決議を採択した。

  ボロディン下院議長は決議を「直ちに」プーチン大統領に送ると述べたが、大統領府は現時点で同決議に関する見解を示していない。外務省の見解を先に求める代替案は否決された。

  ロシアは2014年以来、ウクライナからの独立を目指す「ドネツク民共和国」および「ルガンスク人民共和国」を財政、軍事面で支援してきたが、公式にはこれを認めずウクライナへの再統合に向けた和平計画を支持している。

  ロシアがこれら地域の独立を認めれば和平は困難になり、表立った軍事支援への道が開かれる可能性もある。

原題:Russia Duma Votes to Ask Putin to Recognize Ukraine Separatists、Russia Duma Votes to Ask Putin to Recognize Ukraine Separatists (抜粋)

ロシア下院は15日、ウクライナ東部の親ロシア派が実行支配する2地域の独立を承認するようプーチン大統領に要請する案の採決を行い、承認した。ボロジン下院議長が明らかにした。

ウクライナ東部ドンバス地域の「ドネツク民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立が承認されれば、ウクライナ東部の停戦と和平への道筋を示した2015年の「ミンスク合意」が根底から覆されるため、ロシアと西側諸国との間の対立が一段と深まる恐れがある。

ボロジン下院議長は「ウクライナミンスク合意を履行していない。ドンバス地域に暮らすわれわれの市民と同胞は支援を必要としている」とソーシャルメディアに投稿。独立承認を要請する案は直ちに大統領府に送られるとした。ただプーチン大統領がどの程度の時間をかけて精査するかは不明。

ペスコフ大統領報道官は、ロシアはドンバス地域に大きな関心を持っていると述べたものの、現時点では何も決定されていないとし、下院が承認した案の内容に関するコメントは控えた。ミンスク合意については、ロシアはこれまでもコミットメントを繰り返し示してきたとし、履行を望んでいると語った。

プーチン大統領は記者会見で、どのように対応するかは明言しなかったものの、ロシアはドンバス地域の問題をミンスク合意を通して解決することを望んでいると述べた。

ロシア下院が同案を承認したことについて、ウクライナのクレバ外相は「決定されれば、ロシアは事実上、かつ法的にもミンスク合意を離脱することになる。これには代償が伴う」と述べた。

インタファクス・ウクライナによると、ウクライナは欧州安保協力機構(OSCE)とロシアとの間の緊急会合の開催を要請した。

北大西洋条約機構NATO)のストルテンベルグ事務総長はブリュッセルで記者団に対し「(独立が)承認されればウクライナの領土保全と主権に対するあからさまな侵害となる。ドネツクとルガンスクは疑いなく、国際的に認められたウクライナの国境内にある」と指摘。「ミンスク合意にも違反し、同合意に基づく政治的解決の模索が一段と難しくなる」と懸念を示した。

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表も、独立承認はミンスク合意違反になると警告。「ウクライナの独立、主権、領土保全に対するEUの支持とコミットメントは揺るぎない」と述べた。

ミンスク合意は、フランス、ドイツ、ロシア、ウクライナで構成する「ノルマンディー」グループが策定。フランスのルドリアン外相は、ロシアがドンバス2地域の独立を承認すれば「武器を使用しない攻撃」に相当すると警戒感を示した。

ロシアのプーチン大統領は、日本時間の15日夜、ドイツのショルツ首相と会談を行い、はじめに「ヨーロッパの安全保障に関する状況や、ウクライナ周辺で起きていることについて多くの時間を費やして話し合うだろう」と述べました。

これに対して、ショルツ首相は「対話を通じて解決していくことが最も重要だ」と述べ、緊張緩和に向けて外交努力を重視する姿勢を強調しました。

プーチン大統領は、今月12日、アメリカのバイデン大統領やフランスのマクロン大統領と電話会談しましたが、NATO北大西洋条約機構をさらに拡大させないことなど、ロシア側の要求を巡って欧米側との立場の隔たりは埋まらなかったと見られます。

ただ、プーチン大統領は、14日、ラブロフ外相と行った協議で対話重視だとする姿勢を強調しました。

また、ロシア国防省は15日、規模などは明らかにしていないもののウクライナ東部との国境近くに展開していた軍の一部の部隊が演習を終えて撤収を始めると明らかにしました。

アメリカなどが、ロシアが大規模な軍事行動を起こす可能性が十分あるとして警戒を強めるなか、両首脳は、この後、共同で記者会見を行う予定で、会談を受けてのプーチン大統領の発言が焦点となります。

日本とロシアは、15日、貿易や経済協力を協議する会合をオンライン形式で開き、日本側からは林外務大臣が、ロシア側からはレシェトニコフ経済発展相が出席しました。

この中で、林外務大臣は、緊張が続くウクライナ情勢を重大な懸念を持って注視していることを伝えたうえで、緊張を緩和し、外交的解決を追求するよう求めました。
これに対して、外務省によりますと、レシェトニコフ経済発展相からの発言はなかったということです。

一方、会合では、林大臣が、日本とロシアの経済分野での協力が両国の平和条約の交渉も含めた関係の発展につながるよう、対話の継続を呼びかけたのに対し、レシェトニコフ経済発展相も、コロナ禍でも両国の経済関係は進展しているとして、さらなる協力を進める考えを示しました。

ウクライナのクレバ外相は15日、イタリアのディマイオ外相との会談後、ウクライナ北大西洋条約機構NATO)加盟を決定するのはウクライナNATOのみと述べた。

また、ウクライナは紛争の外交的解決に引き続きコミットすると表明。ディマイオ外相がウクライナからロシアに向かうことも明らかにした。

ロシア国防省は15日、ウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると明らかにした。ウクライナのクレバ外相は、ロシア軍の撤収を目で確認するまで緊張緩和を確信しないと述べた。

ロシア国防省の報道官は、オンラインで公開された動画で国内各地で大規模な演習は続いているが、南部と西部管区の一部部隊は訓練を終え、基地に向かっていると述べた。

国防省提供の動画には、戦車などの装甲車が鉄道貨車に積み込まれる様子が映っている。

英国のトラス外相は、ロシア軍がウクライナとの国境から全面的に撤収するのを目で確認するまでウクライナ侵攻の意思がないと信じることはできないと述べた。

報道によると、ウクライナのクレバ外相は、「ロシア側からはさまざまな発言が出ている。われわれは、目で見たことを信じることにしている。(ロシア軍の)撤収を実際に見ることができれば、緊張緩和を信じる」と述べた。

ロシア軍は10万人以上の部隊をウクライナ国境周辺に配置。10日から20日までベラルーシと合同演習を行っている。

ロシア国防省は15日ウクライナ東部との国境近くに展開していた西部と南部の軍管区の部隊が演習を終えて撤収を始めると発表しました。

また8年前に一方的に併合したウクライナ南部のクリミアでの演習を終えた部隊も撤収を始めたとして戦車などを列車に積み込む様子を公開しました。

一方、ウクライナ北部と国境を接するベラルーシでの合同軍事演習や、黒海などでの演習は続いていると強調しました。

ロシア国防省の発表について、NATO北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は「これまでのところ現地では、緊張が緩和した様子はなく、ウクライナとの国境近くのロシア軍が縮小される兆しもない」と述べ事態を慎重に見極める必要があると強調しました。

また、フランスのアタル政府報道官は「事実であれば、緊張緩和に向けた前向きな兆しだ」と評価した一方で「私たちは非常に警戒している」とも述べ、ロシア軍の動きを注視しながら、外交による働きかけを続ける方針を示しました。

またイギリスのジョンソン首相が「さらに多くの部隊がウクライナとの国境に近づいているという情報もある」と述べ、楽観できないという見方を示すなど欧米各国はロシア軍の動向を慎重に見極める必要があるという姿勢を示していてウクライナ情勢が緊張緩和に向かうのかは、依然、不透明です。

ウクライナのクレバ外相は15日ツイッターに「ウクライナ国境からの一部部隊の撤収に関するロシアの声明について、私たちには、『聞いたことを信じるのではなく、見たものを信じる』というルールがある。この声明を受けて本当に撤収が行われれば、真の緊張緩和が始まったと信じることができるだろう」と投稿し、ロシアの出方を慎重に見極めていく姿勢を示しました。

ロシア国防省の発表について、ドイツのショルツ首相は15日、プーチン大統領との会談後の共同会見で「よい兆しだ。さらに続くことを望んでいる」と評価しました。

そのうえで「持続的な安全保障はロシアと協力してこそ達成できる」と述べて事態打開に向けて外交努力を続ける考えを示しました。

ロシアがウクライナとの国境周辺に展開する軍の部隊の一部撤収を始めたと発表したことについてウクライナの首都キエフの市民の間からは、懐疑的な声が多く聞かれました。

このうち女性は「ロシアが軍を撤収させるという報道がありますが、確認できるまで信じません。ロシア軍の装備がなくなり、脅威がなくなったとはっきりするまでは安心できません」と話していました。

また、これから軍に志願して有事になれば戦うつもりだという若い男性は「もしかしたら撤収したとだましておいて、ウクライナから離れるのではなく、逆に近づいているのかもしれない」と話していました。

一方、別の女性は「ロシアは領土を奪い取ると人々を怖がらせ、かつてのようにウクライナをロシアに従わせようとしている」と話し、今後も軍事的な圧力をかけ続けるという見方を示していました。

ロシアのプーチン大統領は、米国およびその同盟国との間の緊張状態について、外交による解決を望んでいると述べた。またウクライナ国境付近に集結させている部隊について、一部撤収を明らかにした。その上で、ウクライナ北大西洋条約機構NATO)加盟を認めないようにというロシアの要求を巡る西側の対応を、同国が永遠に待ち続けることはないとも警告した。

  プーチン氏は15日、クレムリンで行われたショルツ独首相との会談後の共同記者会見で、「この問題についてわれわれは、交渉と平和的手段を通じて今すぐ、ないし近い将来の解決を望んでいる」と言明。「パートナーらがわれわれの懸念に耳を傾け、真剣に捉えることを強く希望する」と述べた。

  一方でショルツ首相は「軍事衝突を起こさない、平和的な進展を確実にすること」が鍵だと指摘。「軍事衝突が起きた場合、その後どのような展開になるかは極めて明確だ」とし、米国とその同盟国がロシアに警告している厳しい経済制裁の実施を示唆した。両首脳の会談は3時間に及んだ。

  ロシア側は一貫して侵攻の意図を否定しているが、プーチン氏はロシアの安全保障に関する要求が対処されない場合に緊張を一段と高める可能性も排除していない。

  NATOのストルテンベルグ事務総長は15日、ブリュッセルで記者団に対し、ロシア軍の一部部隊撤退の発表について「慎重ながら楽観的になる根拠」を与えるものだと発言。その上で「今のところ緊張緩和に向けた兆しは見えない」とし、集結しているロシア軍は依然として攻撃を行える状態にあると述べた。

ロシア、一部部隊が基地帰還開始と発表-NATO事務総長は慎重 (3)

原題:Putin Seeks Diplomatic Solution Amid ‘Partial’ Troop Pullback(抜粋)

ロシアのプーチン大統領は15日、モスクワでドイツのショルツ首相と会談し、ロシアはミサイルなど安全保障を巡る問題に関する西側諸国との協議を継続する用意があると述べた。

4時間に及ぶ会談後、ショルツ首相との共同会見で、ロシアはウクライナ近郊からの部隊の一部撤退を決定し、ロシア政府の安全保障上の要求について西側諸国とさらに協議する余地があると指摘。ただ、ロシアの要求に対して建設的な反応はこれまでなかったとした。

また、欧州での戦争を望んでいないとしながらも、ウクライナ東部ドンバス地方の状況は「ジェノサイド(大量虐殺)」だとし、同地区での紛争をミンスク和平合意の履行を通じて解消するよう求めた。

一方、ショルツ首相はウクライナ近郊からのロシア軍の一部撤退を歓迎。「外交的な可能性はまだ尽きていない。解決策を見出すことは可能なはずだ。状況がいかに困難で深刻そうに見えても、望みがないとは言わない」とし、他の欧州当局者に比べ明るい見方を示した。同時に、状況改善に向けたさらなる行動を望むとした。

ロシア国防省は15日、ウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると明らかにした。ウクライナのクレバ外相は、ロシア軍の撤収を目で確認するまで緊張緩和を確信しないと述べた。

プーチン大統領はまた、欧州側の承認待ちとなっているロシアからドイツに天然ガスを運ぶ「ノルドストリーム2」について、「欧州のエネルギー安全保障を大幅に強化することを目的とした欧州最大のインフラプロジェクトの1つ」とし、「純粋に商業的なプロジェクトであり、政治も政治的な色合いもない」という考えを改めて示した。

さらに、ロシア国営天然ガス独占会社のガスプロムが、ドイツのシュレーダー元首相を取締役候補に指名する決定を歓迎するとし、「われわれの協力に有益」と述べた。シュレーダー氏は「ノルドストリーム」の運営会社で株主委員会会長も務めている。

ショルツ首相は「元独首相の私的な商業的追求」について一段のコメントをすることは望まないとした上で、「われわれは既存の合意に従い、ウクライナベラルーシポーランド、およびノルドストリーム1を経由する欧州のガス輸送を確実にすることにコミットしている」と述べた。

さらに「ウクライナにおける軍事的対立を回避する欧州の平和的発展を確保したいと考えている。そのような軍事的対立が起きれば、遠大な結果をもたらすだろう」とした。

両首脳は北大西洋条約機構NATO)を巡り、激しい議論を繰り広げた。プーチン大統領は、NATOが1999年に旧ユーゴスラビアを爆撃し、紛争を開始したと批判。ショルツ首相は、ジェノサイド(民族大量虐殺)を防ぐことが目的だったと応じた。

プーチン大統領はこれに対し、ロシアはウクライナ東部ドンバス地方などでのロシア市民殺害をジェノサイドとみなしていると反論した。

ショルツ首相は会談後、記者団に対し、プーチン氏が共同記者会見でドンバス地域の状況について「ジェノサイド」という言葉を使ったのは誤りだと指摘した。

ロシアのプーチン大統領は、15日、モスクワを訪れたドイツのショルツ首相と会談したあとの共同記者会見で「安全保障に関するロシアの提案に対し、アメリカなどから受け取った回答は、ロシアの基本的な要求を満たしていない」と述べ、NATO北大西洋条約機構をこれ以上、拡大させないとするロシア側の要求にアメリカなどが応じていないと改めて批判しました。

一方で「アメリカなどの回答には、われわれが以前、提案した内容も含まれている。ヨーロッパの安全保障の問題や中・短距離ミサイルなど特定の兵器に関する問題だ。この共同作業を継続する用意がある」と述べ、アメリカなどと交渉を続ける姿勢を示しました。

また、プーチン大統領は「ウクライナは、いまはNATOに加盟する準備ができていないと言われているが準備ができたら、加盟が受け入れられるということなのか。だからこそ、この問題をいま解決しなければならない」と述べ、ウクライナNATOに加盟させないための交渉を急ぎたい考えを示しました。

一方、ウクライナ周辺のロシア軍の一部の部隊が撤収すると発表されたことを巡り、プーチン大統領は、部隊は今後、現場の状況に応じた計画に沿って動くことになると説明しました。

アメリカのブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相は15日、電話会談を行いました。

ロシア外務省の発表によりますと、「ロシアが提起したあらゆる問題について実用的な対話を求めた」ということでラブロフ外相は、NATO北大西洋条約機構を拡大させないことなどロシア側の要求も取り上げたと見られます。

また、ヨーロッパの安全保障を巡るアメリカとNATOの提案について、「引き続き、共同作業を続ける必要性を強調した」として、対話を継続する姿勢を示したということです。

両外相は、両国のさまざまな外交のレベルで、今後行う協議のスケジュールを話し合ったということで、対話を継続することで一致しました。

一方、アメリ国務省の発表によりますと、ブリンケン長官は、アメリカとNATOの提案に対するロシア側からの書面での回答を待つと伝えるとともに、外交的な解決を追求すると強調したということです。

また、ロシア国防省が15日、ウクライナとの国境近くに展開していた軍の部隊が演習を終え、撤収を始めると発表したことについてブリンケン長官は会談の中で「検証できる確かで意味のある緊張緩和が必要だ」と強調し、撤収の規模や状況を踏まえ、ロシア側が安全保障をめぐる問題で真剣に交渉を行う用意があるのか見極めていく考えを示しました。

ウクライナの戦略コミュニケーション・情報セキュリティーセンターは、ウクライナ国防省が15日にサイバー攻撃を受け、同省ウェブサイトへのアクセスが停止されたと発表した。

サイバー攻撃を実施した主体は発表されていないが、声明ではロシアの関与を示唆した。

ウクライナ国防省のウェブサイトのトップページにはメンテナンス中とのメッセージが表示されている。同省はツイッターで、ウェブサイトがサイバー攻撃を受けたとみられ、アクセスの回復に努めているとした。

また、ウクライナの銀行2行もサイバー攻撃を受けたという。

ホワイトハウスは、ウクライナに対するサイバー攻撃に関する報告は承知しているとした上で、ウクライナ政府に対し調査と対応の面で支援を提供していると明らかにした。

ロシアとウクライナを巡る情勢が緊迫化する中、15日はロシア国防省ウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると明らかにした。一方、ウクライナは同国の国防省と銀行2行がサイバー攻撃を受けたと発表。侵攻はサイバー攻撃から開始されるとの見方もある中、警戒が高まっている。

ウクライナの戦略コミュニケーション・情報セキュリティーセンターは、ウクライナ国防省が15日にサイバー攻撃を受け、同省ウェブサイトへのアクセスが停止されたと発表。サイバー攻撃を実施した主体は発表されていないが、声明ではロシアの関与を示唆した。

欧州の外交筋は匿名を条件に、ロシアによるウクライナ侵攻はサイバー攻撃から開始される可能性があるため、今回の攻撃は懸念に値すると指摘。「(サイバーでない)物理的な攻撃が近く実施されるか、ロシアがウクライナに干渉し続ける可能性があることを意味している」と述べた。

ホワイトハウスは、ウクライナに対するサイバー攻撃に関する報告は承知しているとした上で、ウクライナ政府に対し調査と対応の面で支援を提供していると明らかにした。

ロシア連邦保安局(FSB)からコメントは得られていない。

<外交努力継続>

ロシアがウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると表明する中、ロシアと西側諸国は外交努力を継続。

ロシアのプーチン大統領はこの日、モスクワでドイツのショルツ首相と会談し、ロシアはミサイルなど安全保障を巡る問題に関する西側諸国との協議を継続する用意があると発言。ショルツ首相はウクライナ近郊からのロシア軍の一部撤退を歓迎するとし、「外交的な可能性はまだ尽きていない。解決策を見出すことは可能なはずだ」と述べた。

こうした中、米国のブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相がこの日、電話会談を実施。ラブロフ外相はブリンケン長官に対し、協力継続の必要性を強調し、安全保障に関する実利的な対話を求めた。ブリンケン氏はウクライナ侵攻が可能になっていることを米国は懸念していると伝え、「検証可能で信頼できる意義のある」緊張緩和が必要との考えを表明。危機解決に外交手段を追求していく意向を改めて示したほか、欧州の安全保障に関するロシアの書面での回答に期待していると伝えた。

<ロシア下院が親ロ地域の独立承認要請>

外交努力が続けられる中、ロシア下院はウクライナ東部の親ロシア派が実行支配する2地域の独立を承認するようプーチン大統領に要請する案の採決を行い、承認した。

ウクライナ東部ドンバス地域の「ドネツク民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立が承認されれば、ウクライナ東部の停戦と和平への道筋を示した2015年の「ミンスク合意」が根底から覆されるため、ロシアと西側諸国との間の対立が一段と深まる恐れがある。

プーチン大統領は記者会見で、どのように対応するかは明言しなかったものの、ロシアはドンバス地域の問題をミンスク合意を通して解決することを望んでいると述べた。

北大西洋条約機構NATO)のストルテンベルグ事務総長はブリュッセルで記者団に対し「(独立が)承認されればウクライナの領土保全と主権に対するあからさまな侵害となる。ドネツクとルガンスクは疑いなく、国際的に認められたウクライナの国境内にある」と指摘。「ミンスク合意にも違反し、同合意に基づく政治的解決の模索が一段と難しくなる」と懸念を示した。

ミンスク合意は、フランス、ドイツ、ロシア、ウクライナで構成する「ノルマンディー」グループが策定。フランスのルドリアン外相は、ロシアがドンバス2地域の独立を承認すれば「武器を使用しない攻撃」に相当するとして、警戒感を示した。

バイデン米大統領は15日、ホワイトハウスで演説し、ロシアのウクライナ侵攻はなお起こり得るとし、一部部隊をウクライナ国境近辺から撤収したとするロシアの主張については米国はまだ確認していないと述べた。

  バイデン大統領はロシア軍の多くの部隊が依然としてウクライナを脅かす態勢にあると指摘。ロシアが14日に外交による解決がなお可能との見解を示したことには同意すると語った。

  大統領は「われわれは外交努力による解決の可能性を最後まで追求すべきであり、それぞれの安全保障上の懸念に対処する現実的な方法が存在すると私は考える」と発言。「ロシアの市民に呼び掛けたい。あなた方は米国の敵ではない。そしてあなた方はウクライナを破壊する残酷な戦争を望んでないと私は信じる」と話した。

  ロシアはウクライナ侵攻の意図を繰り返し否定してきたが、その一方で多くの兵士や戦車、迫撃砲などをウクライナ国境近辺に集結させてきた。バイデン大統領はロシアが現在、ウクライナ周辺に兵士約15万人を配備していると述べた。

  ロシア国防省が一部部隊の撤収を示唆したことから、15日の金融市場は一時、落ち着きを取り戻した。しかし軍事アナリストは、対象の部隊がウクライナ国境からかなり離れたところに配備されているとして、これが大規模な撤収のシグナルかどうかは疑わしいと指摘した。

  バイデン大統領はロシア国防省の主張について、「事実なら良いことだが、われわれはまだ確認していない」とし、「われわれのアナリストはロシアの部隊がなおウクライナを脅かす態勢にあるとしている。侵攻がなお起こり得ることは疑いない」と話した。

  ロシアのプーチン大統領はこの日これより先に、米国およびその同盟国との間の緊張状態について、外交による解決を望んでいると述べていた。またウクライナ北大西洋条約機構NATO)加盟を認めないようロシアが要求していることについて、西側の対応を永遠に待ち続けることはないとも警告した。

原題:

Biden Says Threat to Ukraine Remains, Awaits Russia Pullback (1)(抜粋)

アメリカのバイデン大統領は15日午後、日本時間の16日朝ウクライナ情勢について演説を行いました。

この中でバイデン大統領は「外交と緊張緩和の余地は十分残されている」と述べました。

その上で「アメリカやNATO北大西洋条約機構はロシアの脅威ではない。ロシアを攻撃する意図もない」と強調し、改めて外交を通じた解決を目指す考えを強調しました。

その一方でバイデン大統領はロシア国防省が軍の一部の撤収を始めると発表したことについて「まだ確認できていない。今この時もロシアはウクライナを取り囲むように15万人を超える兵力をおいている。侵攻はまだ十分にあり得る」と述べ事態を慎重に見極める考えを示しました。

そしてバイデン大統領は仮にロシアがウクライナに侵攻した場合には「世界中の責任ある国々は対抗措置を取ることをためらいはしないだろう」と述べ欧米が結束して厳しい措置で応じるとして、外交的な解決を含めてあらゆる事態に対応できるよう備えていくと強調しました。

緊張が続くウクライナ情勢をめぐってアメリカのバイデン大統領とフランスのマクロン大統領は15日、およそ1時間にわたって電話会談しました。

フランス大統領府によりますとロシアがウクライナ周辺に展開していた部隊の撤収を始めると発表したことについて、両首脳は、規模やその意図を検証する必要があるという認識で一致したということです。

その上で両国が引き続き連携しながらロシア側と交渉を続けていくとしています。

また、フランス大統領府は、撤収の発表は勇気づけられる兆候だが、撤収の完了には時間がかかりその間、対話を続けなければならないとしています。

ウクライナ情勢をめぐってロシア国防省が15日、軍の一部の撤収を始めると発表したのに対して、バイデン大統領など欧米側は「確認ができていない」として慎重に見極める姿勢を示しています。

米ロ両国は協議の継続では一致しているものの、ロシアのプーチン大統領は15日、改めてウクライナへの軍事行動を否定したうえで、ウクライナNATOに加盟させないよう求める立場を強調しました。

一方で、バイデン大統領は演説で「基本原則を犠牲にすることはない。国家には主権と領土保全の権利があり、自国の進路を決め、どういった国々と関係を持つかを決める自由がある」と述べ、NATO加盟についてはウクライナの意向を尊重する立場を改めて示しました。

そのうえで「軍備管理や戦略的安定性をめぐる対応について、新たな提案を行っている」と述べ、安全保障の分野でロシアとの協議を進める考えを示しました。

ただ、ロシアが譲れない一線とするウクライナNATO加盟について双方の立場の隔たりが埋まらない中、協議によって緊張緩和に向けた糸口を見いだせるかは不透明な状況です。

ウクライナの情報セキュリティー当局は、16日、公式サイトに声明を出し、ウクライナ国防省などがサイバー攻撃を受けたと発表しました。

それによりますと、ウクライナ国防省ウクライナ軍の公式サイト、それに2つの銀行がサイバー攻撃を受け業務に支障が出たということです。

攻撃は、大量のデータを送りつけることでシステムをダウンさせる「DDoS攻撃」と呼ばれるタイプでした。

ウクライナの当局は、誰がサイバー攻撃を仕掛けたかを調べているとしたうえで、あらゆる手段を講じて対応するとしています。

ドイツのショルツ首相はウクライナ危機に関し指導力が弱く、ロシアにも弱腰だと批判されてきたが、15日のプーチン大統領との会談後の記者会見ではいつもの抑えた口調を保ちつつも、予想外にタフな一面を見せた。

ロシアの政治家が海外から訪れる要人の根性を試すことはよくあるため、専門家の間では、12月に就任したばかりの物腰柔らかなショルツ氏が、強気のプーチン氏にどのように立ち向かうかが注目されていた。プーチン氏はメルケル前独首相と2007年に会談した際、メルケル氏が犬嫌いで有名だったにもかかわらず、黒のラブラドール犬を会談の場に入れている。

しかし、ショルツ氏は記者会見でプーチン氏の主張にうまく反論する好戦的な一面を見せた。プーチン氏が北大西洋条約機構NATO)について、1999年に旧ユーゴスラビアを爆撃し、戦争を開始したと批判したのに対し、ショルツ氏は、ジェノサイド(民族大量虐殺)を防ぐことが目的だったと応じた。

プーチン大統領はこれに対し、ロシアはウクライナ東部ドンバス地方などでのロシア市民殺害をジェノサイドと見なしていると反論した。ショルツ氏はその後の単独会見で、プーチン氏のジェノサイドの用法は間違っていると指摘した。

ショルツ氏は、プーチン氏が懸念するNATOの東方拡大についても、近い将来の検討課題ではないとして、プーチン政権が既に長期化していることに絡めて揶揄(やゆ)する余裕も示した。

「大統領がどれほど長く在任するつもりかは分からないが、長い期間だという印象はある。しかし永遠ではないだろう」とプーチン氏に笑みを見せながら述べた。

ショルツ氏が市民の権利の問題に懸念を表明し、複数の活動家と面会したことを称賛する声も一部である。一方、近い将来のウクライナNATO加盟に否定的な発言については、譲歩し過ぎだという批判もある。

それでもなお、今回のロシア訪問ではっきりとした物言いを印象付けたことは、欧州の大国ドイツの首脳として国際社会の信任を高めるのに役立つとみられる。

ロシア国防省は前日の15日には、ウクライナ東部との国境近くに展開していた部隊が演習を終えて撤収を始めると発表した一方、ウクライナ北部と国境を接するベラルーシでの合同軍事演習や、黒海などでの演習は続いているとしていました。

ウクライナ情勢をめぐって、ロシア国防省が15日、軍の一部の撤収を始めると発表したのに対して、アメリカのバイデン大統領が「確認ができていない」と述べるなど、欧米側はロシア軍の動向を慎重に見極める姿勢を見せ、緊張緩和の糸口を見いだせるかは不透明な状況です。

一方、ロシアによる軍事行動の可能性が指摘されているウクライナでは、16日、情報セキュリティー当局が声明を出し、国防省や軍の公式サイトのほか、2つの銀行が強力なサイバー攻撃を受けたことを明らかにしました。

ウクライナでは、16日が「国民統合の日」に定められ、ゼレンスキー大統領はビデオメッセージで「ウクライナの東西南北が一体となる、幸せな日になることを祈ります。私たちは、一つになった時にこそ強くなれる」と団結を呼びかけました。

そして、ゼレンスキー大統領が首都キエフの郊外で軍の兵士などとともに国旗を掲げ、国歌を歌う姿がテレビで全国放送されました。

またキエフでは、大勢の市民がスタジアムに集まり、巨大な国旗を持って行進するなどして、ロシアからの圧力に屈しない姿勢を示しました。

ロシアの議会下院は15日、ウクライナ東部で8年前、一方的に独立を宣言した親ロシア派の武装勢力が事実上支配している地域を独立国家として承認することを検討するよう、プーチン大統領に求める決議案を賛成多数で可決しました。

ウクライナでは2014年、南部のクリミア半島がロシアによって一方的に併合されたあと、ロシアを後ろ盾とする武装勢力が東部の一部地域を占拠し、これを認めない政府軍と激しい衝突を繰り返しました。

その後、フランスとドイツが仲介して停戦合意が成立したものの、散発的な戦闘が続き、これまでに市民を含むおよそ1万4000人が犠牲になっています。

プーチン政権は紛争への関与を否定する一方、2019年からこの地域の住民に対してパスポートを発給していて、これまでにおよそ70万人がロシア国籍を取得したとされています。

ロシア下院のボロジン議長は15日、「ウクライナ政府は停戦合意を順守していない。東部に住むわれわれの同胞は支援を必要としている」と述べていて、親ロシア派の支配地域に高度な自治権を与えることなどを盛り込んだ、停戦合意の順守をウクライナ政府に迫るねらいもあるものとみられます。

今回の決議についてロシア大統領府のペスコフ報道官は「公式な決定は一切、なされていない」と述べていて、プーチン大統領が実際に承認するかどうかは不透明です。

一方、ウクライナ外務省は15日声明を出し、プーチン大統領が決議を承認したとしても、法的拘束力はないとしながら「プーチン大統領が仮に承認すれば、国際的な法の支配と世界の安全保障の枠組みに、より広範で破壊的な結果をもたらす」と、強くけん制しています。

ロシアの外交・安全保障政策に詳しい笹川平和財団の畔蒜泰助主任研究員は、ロシアが軍の一部の撤収を始めると発表したことについて「一部撤退を開始したのは事実だと思う」という見方を示したうえで「軍事侵攻は間近だとするアメリカ側からの情報戦に対抗する意味合いがあるのではないか」と指摘しています。

その理由として、この発表の前日の14日、ロシアのプーチン大統領が欧米側との対話を継続することなどについて、ラブロフ外相などと交わしたやりとりを国営テレビで中継し公開したことをあげ「軍事侵攻するつもりはないということをわざわざ会話の映像を流し、シグナルを送ったのだろう。アメリカのある意味ネガティブキャンペーンを打ち消す目的があったということだろう」と分析しています。

一方で、畔蒜氏は今回の動きを受けて「全面的に緊張緩和につながるとは言えない」としたうえで「引き続き、ロシア側としては緊張感を維持し、場合によっては再び高めるアプローチをとりながら、西側との交渉を継続するだろう」として、ロシアが再び軍事的な圧力を高める可能性もあると指摘しました。

またロシア議会下院が、ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力が事実上、支配している地域を独立国家として承認するようプーチン大統領に求める動きについて「大統領府と密接に連携を取って行われたと思う」と述べて、ウクライナ政府に揺さぶりをかけるねらいがあるとしました。

また今後については、NATO北大西洋条約機構をさらに拡大させないことを求めるロシアとアメリカの立場の隔たりは埋まっておらず、畔蒜氏は「アメリカ側に対して、プーチン大統領は正式な回答を出していない。これがどういうタイミングで出てくるのか」として、プーチン大統領が示す対応の内容が焦点になるという見方を示しました。

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宮家)ベラルーシは、地図をご覧いただけるとよく分かるのですけど、この国に海はないですよね。北はバルト三国で、西にポーランドがある。ロシアが東で、南にウクライナがある。東西南北が陸上国境で挟まれているのです。ここで30年も独裁者がいるというのも驚きですが、それは置いておきましょう。

では、ロシアから見た場合、ベラルーシとはどういう国か、ウクライナとはどういう国なのでしょう。簡単に言うと、ロシアに対する脅威は基本的に3つあります。1つはアジアからの脅威、これは中国ですよね。もう1つはイスラムの脅威、南から来る、チェチェンなどがそうですよね。そしてもっともプーチンさんが気にしているのが、西からの脅威。すなわち西ヨーロッパからの脅威、いまならNATOですよね。ヒトラーの場合もそうだし、ナポレオンの場合もそうだし、ドイツやフランスがロシアに攻めて来るときは、必ずポーランドベラルーシウクライナを通ってくるわけですよ。ですからその意味ではここは絶対に守らなきゃいけないところ。ここが落ちたらもうロシアは丸裸になっちゃう、みたいな気持ちでいるわけです。それでロシアは緩衝地帯を拡大したい、それでも心配だから、ベラルーシウクライナはもちろんソ連の一部だったけれど、ポーランドなども影響下に置き、一時は東ドイツまで行ったわけですよね。そこでやっと安心していたら、1990年ごろからソ連がこけてしまいました。

こけたらどうするかというと、西側にこう言ったのです。「NATO東方拡大はしないのだよね」と。「拡大しないと1990年に約束したではないか」と。アメリカが約束したという説もあるのだけど、口頭で何か言ったことはあったかもしれないが、文書に残っているわけじゃない。しかもロシアに隣接する国々からすれば、ポーランドハンガリーもそうですけれども、ロシアの報復が怖くてしょうがないですから、早くNATOに入りたいわけですよ。あんまり急激にNATOを拡大するのはいかがなものかという議論が90年代にあったかもしれないけれども、東欧諸国からすれば出来るだけ早くNATOに入りたいという気持ちがある。しかしロシアから見れば、特にプーチンさんからすれば「話が違うじゃないか」ということなのです。

そういう経緯の中で、最近(ロシアが)ウクライナ周辺に軍隊を集結させているという報道があった。ベラルーシウクライナから見れば北ですが、そこで合同演習をやるという名目であればロシアは自由に軍隊を動かせるでしょう。それが陽動作戦なのか、本気なのかはわからないけども、どうやら軍事進攻の準備はしているように見える。そこがベラルーシという国でございます。ロシアはベラルーシを自国の勢力圏の一部だと思っています。ウクライナもその一部だと思っているから、何とかウクライナNATO加盟だけは阻止したい。それがプーチンさんのいちばんの望みじゃないでしょうか。

飯田)まあ、ここから先、ウクライナをそのために武力で侵攻するのではというようなことが、しきりに言われていますが。

宮家)するかしないか、私は、「わからない」と言っているのですけどね。プーチンさん自身もわからないのではないですか。

飯田)プーチンさんもわからないと。

宮家)そう思いますね。彼は1990年代に母なるロシアが蹂躙されたと考え、今それをようやく巻き返そうとしている。アメリカが中国とこれから覇権争いする、そうしたらちょうど欧州に空白ができるではないですか。そこをうまく突いてロシアの権益をもう一回拡大しようと思っているに違いないわけです。その意味ではバイデンさんにはかわいそうだけど、バイデンさんはテストされているのですよ。プーチンさんからすると、どっちでもいいけども、軍事的にどうするかはこれから決めると思う。もしバイデンさんが譲歩すれば「ありがとうございます、いただきます」となる。アメリカが譲歩しないでガチンコで来たら、「それなら、こっちも力を見せてくれるわ」と強硬策に出る。どう転んでもプーチンさんは諦めないだろうなというのが私の見方です。

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 多くの歴史家はこの引用文を見て、ソ連邦による一九七九年のアフガニスタン侵攻を思い出すであろう。
 しかし逆説的に、過去二〇〇年間、ヨーロッパにおけるバランス・オブ・パワーは、いく度かロシアの努力と英雄的行動のお陰で保つことが出来たことも、同じく真実である。ロシアなくしては、ナポレオンもヒトラーも、世界帝国をつくり上げることに成功したかもしれない。二つの顔を持つヤヌスの神のように、ロシアはバランス・オブ・パワーに対する脅威でありつつも、このバランス・オブ・パワーを保障するカギの一つでもあり、この均衡を保つ上で不可欠であるとともに必ずしもこの均衡と完全に一体をなすものではなかったのである。ロシアはその歴史を通じて、多くの場合、単に外の世界から押しつけられた制約をしぶしぶ受け入れたに過ぎなかった。それでも、特にナポレオン戦争が終わった後の約四〇年の間は、ロシアはその強大な力にまかせて利益を引き出すことをせず、かえってこの力を中央ヨーロッパ及び西ヨーロッパでの保守的な諸価値を守るために用いたのである。

 もしイデオロギーが必然的に外交政策を決定するなら、ヒトラースターリンの提携というものは、その三世紀前のリシュリューとトルコのスルタンの提携以上にありそうにないものだったろう。しかし、共通の地政学的利益は強力な絆である。それは、ヒトラースターリンというそれまでの敵を否応なく一緒にしてしまった。

まず、なぜロシアは、大軍をウクライナ国境付近に展開しているのか、その経緯を簡単におさらいしておこう。

1990年、ソ連東西ドイツの統一を容認したが、その際一つ条件を出した。それは、ドイツより東に「反ソ連(反ロシア)軍事同盟」NATOを拡大しないことだ。

米国は、不拡大を約束した。しかし、ソ連崩壊後、米国は約束を破り、東欧諸国だけでなく、かつてソ連の一部だったバルト三国リトアニアラトビアエストニア)をもNATOに加盟させた。ソ連崩壊時16ヵ国だったNATOは、現在では30ヵ国にまで増えている。

そしてさらに、米国は、ロシアの隣国で旧ソ連ウクライナジョージアNATOに加えようとしている。

プーチンは、米国がロシアとの約束を破り、NATOの東方拡大を続けていることに憤っているのだ。

ウクライナの西を見渡すと、ポーランドチェコスロバキアハンガリールーマニアと、NATO加盟国がずらりと並ぶ。

ウクライナはロシアとNATO勢力の間にあり、プーチンは「最後の緩衝国家」とみている。それでプーチンは、ウクライナNATO加盟を何としても阻止しよう決意している。

だが、この問題は、東欧三ヵ国(ポーランドチェコハンガリー)がNATOに加盟した1999年からずっと続いている問題だ。それなのになぜプーチンは昨年11月になって突然、ウクライナとの国境に大軍を集結させたのか?

真相は、プーチンと側近以外誰にもわからない。しかし筆者は、「米中覇権戦争が激化していることと関係がある」とみている。

どういうことか?

米中の覇権戦争は、2018年10月のペンス演説から始まった。それがバイデンの時代になっても終わることはなく、さらにエスカレートしている。

戦略的な米国は、敵の数を減らそうとする。たとえば、米国は第2次世界大戦中、ナチスドイツを倒すために、宿敵ソ連と組んだ。大戦が終わると、今度はソ連を打倒するために、かつての敵ドイツ(西ドイツ)、日本と組んだ。

プーチンは、「米国は、中国とロシア、二大国を同時に敵に回したくないはずだ。今ならウクライナ問題で妥協を引き出せる」と読んだのだろう。

そこで彼は、大軍を集結させることで、米国とNATOを脅した。

ウクライナNATOに加盟させない法的保証をしろ! さもなくば……」と。

ちなみに、プーチンは、「ウクライナに侵攻する」とは明言していない。だが、国境に大軍を送ることで、「拒否すればウクライナに侵攻する」ことを理解させたのだ。

さて、日本ではまったく報道されていないが、ロシアで1月31日、驚愕の出来事が起こった。「全ロシア将校協会」のHPに「ウクライナ侵攻をやめること」と「プーチン辞任」を要求する「公開書簡」が掲載されたのだ。

イヴァショフは、プーチンが強調している「外からの脅威」を否定しない。しかし、それは、ロシアの生存を脅かすほどではないとしている。

〈 全体として、戦略的安定性は維持されており、核兵器は安全に管理されており、NATO軍は増強しておらず、脅迫的な活動をしていない 〉

では、プーチンが「ウクライナNATOに加盟させない法的保証をしろ」と要求している件について、イヴァショフはどう考えているのか?

彼は、「ソ連崩壊の結果ウクライナは独立国になり、国連加盟国になった。そして、国連憲章51条によって、個別的自衛権集団的自衛権を有する。つまり、ウクライナにはNATOに加盟する権利があるのだ」と、至極真っ当な主張をしている。

ロシアは、ウクライナを自分の勢力圏にとどめておきたい。どうすれば、そうすることができたのか?

イヴァショフによると、「ロシアの国家モデルと権力システムが魅力的なものである必要があった。しかし、ロシアは魅力的なシステムを作ることができなかったので、ウクライナは、欧米に行ってしまった」のだ。

プーチン政権の政策は、事実上すべての隣国とその他の国々を遠ざける結果になったとイヴァショフは嘆く。

そして、「世界のほとんどの国がクリミアを今もウクライナ領と認識している。このことは、ロシア外交と内政の失敗をはっきりと示している」と、強調している。

イヴァショフは、ロシアのウクライナ侵攻に反対している。その理由は、

第1に、国家としてのロシアの存在を危ういものにする。
第2に、ロシア人とウクライナ人を永遠の敵にしてしまう。
第3に、ロシアとウクライナの若くて健康な男性が、数万人亡くなる。

興味深いことに、イヴァショフは、NATOが結局、ウクライナ側に立ち、ロシアに宣戦布告。ロシア軍はNATO軍と戦うことになると予測している。

そして、ウクライナ侵攻の結果は……。

〈 ロシアは間違いなく平和と国際安全保障を脅かす国のカテゴリーに分類され、最も厳しい制裁の対象となり、国際社会で孤立し、おそらく独立国家の地位を奪われるだろう 〉

要するに、イヴァショフと全ロシア将校協会は、「長期的に見ればロシアは必ず負けるから」戦争に反対しているのだ。

話はここで終わらない。公開書簡は、「ウクライナ侵攻をやめること」だけでなく、「プーチン辞任」も要求しているのだ。

なぜか?

彼は、プーチンと側近が、ウクライナ侵攻はロシアに悲惨な結果をもたらすことを理解しているとみている。

では、なぜ侵攻したいのか?

イヴァショフによると、「ロシアは現在、深刻なシステム危機に陥っている。しかも、ロシアの指導者たちは、国をシステム危機から救うことができないことを理解している。システム危機が続くことで、いずれ民衆が蜂起し、政権交代が起こる可能性が出てくる」。

だが、ウクライナに侵攻すれば、どうだろうか? イヴァショフは次のように言う。

「戦争は、しばらくの期間、反国家的権力と、国民から盗んだ富を守るための手段だ」

彼と将校協会から見ると、「ウクライナ侵攻」は、プーチン「自分の権力と富を守るためだけの戦争」なので、辞任を要求したのだ。

「クリミア併合」の例を見てもわかるように、プーチンは常に「戦略的決断」を下すわけではない。

彼は、ほぼ無傷で、クリミアを奪った。これは、ロシアから見ると、戦術的大勝利だった。しかし、その後の欧米日の制裁で、ロシア経済はまったく成長しなくなった。

ロシアは、プーチンの1期目2期目(2000年~08年)、年平均7%の高成長をつづけていた。しかし、クリミアを併合し、経済制裁を科された2014年から2020年の成長率は、年平均0.38%にとどまっている。

人口1億4600万人のロシアのGDPは、人口5200万人の韓国よりも少ない。つまり、プーチンは戦術的には勝利をおさめたが、戦略的には負けているのだ。

この例からわかるように、今回もプーチンが「戦略的」「理性的」判断を下すとは限らない。そこで、ウクライナ侵攻の可能性が出てくる。

結果は、どうなるのだろうか?

ロシアは、ドネツク、ルガンスクを完全支配できるようになるだろう。おそらく両州の独立を認めるという形になるはずだが、実際は、「完全属国化」だ。

だが、欧米(そして日本も)、ロシアに強力な経済制裁を科す。欧米では、「ロシアのドル取引を禁止する」「SWIFTから除外する」などが検討されている。

具体的にどのような内容になるかは不明だが、いずれにしても、ロシア経済が今以上にボロボロになることだけは間違いないだろう。

だが、一番悲惨なのは、NATOとロシアに挟まれて翻弄されるウクライナだ。

米国情報機関の分析によると、ウクライナ侵攻で首都キエフは2日で陥落。5万人の市民が死傷し、最大500万人の難民が発生するとみられている。

悲劇以外の何物でもないロシアのウクライナ侵攻。プーチンが、将校たちの警告を聞き入れ、思いとどまることを心から願っている。

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中国外務省は16日、ウクライナ情勢について、米国が軍事的脅威を演出し緊張を作り出していると批判した。

ロシアは15日、軍をウクライナ国境付近に集結させていた軍を一部撤収させると表明したが、バイデン大統領はウクライナ周辺に配置されたロシア軍部隊は15万人規模に拡大しており、ロシアのウクライナ侵攻の可能性は依然あると指摘した。

中国外務省の汪文斌報道官は16日の定例会見で、「一部西側諸国の継続的なデマ発信は混乱と不確実性を生み、世界に試練や不安、分断をもたらす」と指摘。

「関係者はデマの拡散をやめ、平和や相互信頼、協力に寄与する行動をするよう希望する」と述べた。

その上で「中ロの首脳は、非同盟、非対立、第三国を標的にしないという原則の下、長期的な善隣関係、互恵協力関係の発展に常に取り組んでいる」と述べた。

ウクライナ情勢をめぐり、政府は、事態が急速に悪化する可能性が高まっているとして、現地に滞在する日本人に退避を呼びかけるなど安全の確保に全力を挙げているほか、アメリカなど関係国と連携し、今後の対応について検討を進めています。

こうした中、岸田総理大臣は、16日夜6時すぎから20分余り、イギリスのジョンソン首相と電話で会談しました。

このあと、岸田総理大臣は記者団に対し「ウクライナの主権と領土の一体性を一貫して支持することを確認し、力による現状変更は認めることができないことでも一致した。緊張緩和に向けて外交努力を続け連携していくことを確認した」と述べました。

そのうえで「ウクライナ情勢については引き続き、重大な懸念を持って注視していきたい。G7=主要7か国をはじめとする国際社会と緊密に連携しながら適切に対応していきたい」と述べました。

一方、イギリスとの関係をめぐり、岸田総理大臣は「自由で開かれたインド太平洋をはじめ、安全保障や外交、経済、貿易などの分野で引き続き関係を強化していく取り組みでも一致した」と述べました。

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#反ロシア#対中露戦

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