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ロシア軍が、ウクライナの首都キエフの包囲に向けて軍の部隊を進めるなど、各地で攻勢を強める中、10日、トルコが仲介する形で行われたロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相による停戦交渉は、両者の溝が埋まらず、進展は見られませんでした。

これに関連して、岸田総理大臣は、昨夜、記者団に対し「緊迫した場面に直面しており、事態の展開しだいでは世界もわが国も戦後最大の危機に陥ることになる」と述べました。

政府は、今後、ロシア軍が首都キエフなどへの攻撃を強め、さらに事態が悪化することへの懸念を強めていて、引き続き停戦の実現に向けて関係国との外交交渉にあたるとともに、産油国との協議などを通じて、エネルギーの安定供給に全力をあげる方針です。


一方、日米両政府は、11日、外務・防衛の局長級による会合を東京都内で開きます。

この中では、ウクライナ情勢をめぐる今後の対応を協議するほか、海洋進出の動きを強める中国などを念頭に、連携策などについて意見を交わすことにしています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受けて、政府は、さらに厳しい対応が必要だとして、ロシアと同盟関係にあるベラルーシに対する追加の制裁措置を11日の閣議で了解しました。

具体的には、先にEUヨーロッパ連合がSWIFTと呼ばれる国際的な決済ネットワークから締め出すことを発表した3つの金融機関の資産凍結を盛り込んでいます。

政府は、ウクライナ支援のため「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正し、自衛隊保有する防弾チョッキなどを送ることにしており、その第1便となる防弾チョッキとヘルメットを載せた航空自衛隊のKC767空中給油・輸送機が今月8日、愛知県の小牧基地を出発しました。

防衛大臣閣議のあとの記者会見で、自衛隊の輸送機が日本時間の10日夜、ウクライナの隣国のポーランドに到着し、防弾チョッキとヘルメットがウクライナ側に引き渡されたことを明らかにしました。

そのうえで岸大臣は「粘り強く侵略に抵抗するウクライナの人々の命を守る一助となってくれることを強く願っている。引き続き、ウクライナのためにできるかぎりの支援を行っていく」と述べました。

自衛隊の防弾チョッキがほかの国に提供されるのはこれが初めてで、政府は、今後、防寒服や非常用の食料など、ほかの支援物資も準備が整ったものから運ぶことにしています。

ウクライナの隣国、ポーランドとの友好親善を目指す超党派議員連盟の会合が開かれ、ポーランドの駐日大使は、ウクライナからの避難民が一日10万人のペースで増えているとして、事態が長期化した場合には、財政や物資の支援が必要になると訴えました。

国会内で開かれた議員連盟の緊急会合には、自民党立憲民主党などのおよそ40人の議員が出席しました。

参議院側の会長を務める自民党の中曽根元外務大臣は「ポーランドには、ヨーロッパで最大規模と言われる避難民が避難している。どういう支援や協力ができるか検討したい」と述べました。

このあと、ポーランドのミレフスキ駐日大使が講演し「ヨーロッパは第2次世界大戦後、最大の安全保障の危機にひんしている。ロシアは、あからさまに世界秩序を破り、人道に反する行為をしていて絶対に許してはならない」と指摘しました。

そして、ウクライナからの避難民について「一日当たり10万人のペースで増えている。今はポーランド国民がそれぞれの家で迎えているが、今後長期化すれば財政や物資の支援が必要になる」と訴えました。

会合のあと、ミレフスキ大使は「日本はG7の一角で、国連でも多くの役割を果たしている。経済制裁をはじめ、ロシアを止めるよう、国際社会と一丸となって働きかけてもらいたい」と述べました。

古川法務大臣は11日午後、法務省ウクライナのコルスンスキー駐日大使と会談しました。

この中で古川大臣は「一刻も早く、ロシアが侵略行為をやめて、ウクライナに平和が戻るよう、ウクライナや国際社会と強く連帯することを表明する」と述べ、ウクライナから国外に避難する人を積極的に受け入れる方針を伝えました。

これに対し、コルスンスキー大使は「大きな感謝の意を表したい」と述べたうえで、避難者を受け入れてもらう際は、就労が可能で中長期的に滞在できるよう求め、古川大臣は、避難者のニーズに応じて適切に対応していく考えを示しました。

ロシアによる軍事侵攻でウクライナから国外に避難した人について、政府は、積極的に受け入れていく方針で、受け入れに協力する意向を示す自治体や企業も出ています。

こうした中、11日の自民党の会合で、出入国在留管理庁の担当者は、来週にも自治体や企業などからの相談を一元的に受け付ける窓口を設置する方針を示しました。

政府は引き続き、日本への入国希望の把握を進めるとともに、自治体や企業などと連携し、滞在先の確保などニーズに応じた支援体制を検討することにしています。

日本政府は支援の必要性が高まっているとして、ウクライナとその周辺の国に対して総額1億ドル、116億円余りの緊急人道支援を行うことを正式に決めました。

国連によりますと、ロシアによる軍事侵攻で先月24日から今月9日までにウクライナで少なくとも549人が死亡したほか、国外に避難した人の数は9日時点で231万人に上っています。

こうした事態を受け政府は、ウクライナポーランドハンガリーなど周辺5か国に対して総額1億ドル、日本円にして116億円余りの緊急人道支援を行うことを決めました。

具体的には、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所や、ICRC=赤十字国際委員会などを通じて、テントや毛布といった生活必需品や食料、水、医薬品を現地に届けるということです。

外務省は「国際社会と連携しながら国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきたい」としています。

政府は、ウクライナに軍事侵攻したロシアに対する追加の制裁措置について、新たに、一般向けの半導体やセンサーなど57品目を対象とし、3月18日から原則、輸出禁止にすることを決めました。

経済産業省が新たにロシアへの輸出規制の対象としているのは、一般向けの半導体や通信装置、センサー、レーダー、それに、暗号装置など31種類の物品と、ソフトウエアなど、26の技術の合わせて57品目です。

政令を改正し、3月18日から原則、輸出禁止にすることを決めました。

日本は、2014年にロシアがウクライナ南部のクリミアを併合したことに対して、軍事転用可能なおよそ200の製品については、輸出管理を厳格化してきました。

今回のウクライナへの軍事侵攻を受けて、政府は対象を一般向けの製品などにも広げ、人道目的の場合を除き、こうした製品の輸出を原則として禁止する厳しい措置をとることにしたものです。

日本としては、アメリカやヨーロッパと協調してロシアの軍需産業などに打撃を与えるねらいです。

萩生田経済産業大臣は、11日の閣議のあとの記者会見で「国際社会と連携し、問題の解決に向け全力で取り組んでいく」と述べ、ロシアに対して制裁の実効性を高めていく考えを強調しました。

日ロ両政府は、2016年に当時の安倍総理大臣がロシアのプーチン大統領に産業振興やエネルギー開発など8項目の経済協力プランを提案し、関係する事業を進めてきました。

これに関連し、松野官房長官衆議院内閣委員会で、「ロシアとは政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を発展させられるよう粘り強く平和条約交渉を進めてきたが、ウクライナ情勢を踏まえればこれまでどおりとすることはもはやできない」と指摘しました。

そのうえで、「8項目の協力プランを含むロシアとの経済分野の協力に関する政府の事業は当面見合わせることを基本に、国際的な議論も踏まえてエネルギーの安定供給や人道上の配慮に留意しながら対応する」と述べました。

#日露

ロシア国防省北方領土に配備された地対空ミサイルシステム「S300」の訓練を行ったと10日、発表しました。

「S300」は半径400キロ以内に接近した戦闘機やミサイルを撃ち落とす能力をもつ対空防衛のための兵器で、訓練では空中にある数十個の目標をすべて撃墜したとしています。

ロシアのプーチン政権は軍事侵攻をきっかけに各国から厳しい制裁を科されたことに反発を強め、今月7日には「非友好的な国と地域」を公表し、日本やアメリカ、イギリス、EUヨーロッパ連合の加盟国、それに韓国や台湾などを含めました。

ウクライナへの軍事侵攻のさなかに北方領土で訓練を行った背景には、ロシアに制裁を科し圧力を強めるアメリカや日本をけん制するねらいがあると見られます。

防衛省によりますと、10日午前2時ごろ、北海道の襟裳岬の東北東およそ180キロの太平洋を、ロシア海軍の艦艇10隻が航行しているのを海上自衛隊の哨戒機や艦艇が確認しました。

確認されたのは駆逐艦フリゲート艦などで、11日にかけて津軽海峡を通過し、日本海に出たということです。

ロシア海軍は先月以降、オホーツク海などで大規模な海上演習を行っていて、10隻はこの演習に参加していたとみられています。

津軽海峡は「国際海峡」のため、軍艦を含めて外国の船舶の航行が国際的に認められていますが、防衛省関係者の1人は取材に対し「これだけの数のロシア海軍の艦艇が津軽海峡を一度に通過するのは珍しく、ロシアに制裁を科すなどした日本をけん制した可能性もある」と話しています。

防衛省は、ロシア軍が日本周辺での活動を活発化させているとみて、航行の目的などを分析しています。

#反ロシア#対中露戦

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#外交・安全保障