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去年のノーベル平和賞を受賞したドミトリー・ムラートフ氏が編集長を務める、ロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」紙は、28日声明を出し、「当局からさらなる警告を受けた。われわれはウクライナでの特別な軍事作戦が終わるまで、ウェブサイトや紙面でのニュースの発信を停止する」として、活動を一時的に停止することを明らかにしました。

「ノーバヤ・ガゼータ」紙は、政権に批判的な報道姿勢で知られています。

警告の理由についてロシア国営のタス通信は、通信当局の話として、「“外国の代理人”について言及する際に、そうであることを適切に表示せずに掲載した」などとしていて、ロシア政府がスパイを意味する「外国の代理人」に指定した団体や個人について記事などで取り上げる際にそれを明示していなかったことを挙げています。

活動を一時停止することについてムラートフ氏は、別の独立系メディア「メドゥーサ」の取材に対し「読者にとても感謝しています。いつか戻れることを望みます」とコメントしました。

プーチン政権はロシア各地で軍事侵攻に抗議する市民の声を厳しく取り締まっていて、政権に批判的なメディアの論調に対しても神経をとがらせ、言論統制を強めています。

フィンランドの首都ヘルシンキとロシア第2の都市、サンクトペテルブルクの間では、長距離列車「アレグロ号」が1日に往復2便、運行していて、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて今月に入ってから、出国するロシア人の利用が大幅に増えていました。

列車を運行するフィンランドの国営鉄道会社は、ロシアに対する制裁を受けて対応を検討し、28日から列車の運行を停止すると発表しました。

運行停止を前に、ロシアにいる家族や友人のもとを訪れ、ヘルシンキに戻ってきたという乗客からは「列車が運行を停止すると聞いて予定を早めて出国した」とか、「今後、ロシアを訪れることは難しくなる」といった声が聞かれました。

ロイター通信は、ロシアとEU諸国を列車で結ぶ路線はこれで事実上なくなったと伝えています。

プーチン大統領は今月23日、アメリカやヨーロッパなどロシアが非友好的と指定した国がロシアから天然ガスを購入する際にはルーブルでの支払いしか認めない方針を示しました。

これをめぐってドイツの呼びかけでG7=主要7か国が28日夜、緊急でエネルギー大臣会合を開きました。

経済産業省によりますと会合では多くの支払いがドルやユーロで行われている中、プーチン大統領の要求は契約違反だとしてルーブルでの支払いを拒否することで一致しました。

そのうえでG7として自国の企業に対してルーブルでの支払いに応じないよう呼びかけることでも一致しました。

会合に出席した萩生田経済産業大臣は「G7が連帯をして確固たるメッセージを世界に対して発信していくべきだ。エネルギー源の多様化やLNG液化天然ガスへの投資などによってロシアへの依存度の低減を図っていく」と述べたということです。

一方、経済産業省によりますと日本の大手商社が出資するロシア極東の天然ガスの開発プロジェクト、「サハリン2」は現時点ではルーブルでの支払いは求められていないということです。

ロシアのペスコフ大統領報道官は29日、ロシアに対する「経済戦争」で状況が一変したため、天然ガスを購入する外国企業はルーブルを調達してルーブル建てで代金を払う必要があることを理解すべきだと述べた。

報道官は記者団に、天然ガスを無料で輸出することはないと改めて表明。ガス代金の支払いを簡素化し、明確で現実的なものにする計画を策定しており、3月31日までに全ての選択肢をまとめると述べた。

ロシアとウクライナ穀物の輸出大国でこのうち小麦は両国をあわせると世界の輸出量の3割を占めますが、輸出が滞る懸念から3月上旬には国際的な指標となる先物価格がおよそ14年ぶりに最高値を更新するなど高騰しています。

さらに、両国からの小麦の輸入に依存する国が多い中東やアフリカでは供給不足への懸念も広がり、食糧危機を招きかねない事態となっています。

このうち、小麦の輸入のおよそ7割をウクライナに頼ってきた中東のレバノンでは、ロシアの侵攻後、ウクライナからの輸入がストップしたうえ、おととし8月の首都ベイルートでの大規模な爆発事故で国内最大の穀物貯蔵庫が損壊した影響もあり、小麦のストックは1か月足らずとなっています。

また、内戦が続く中東のイエメンでは小麦の輸入の4割をロシアとウクライナに頼っていますが、主食のパンが値上がりを続けるなか、食糧危機に拍車がかかり、飢餓に陥る人がさらに増える恐れがでています。

こうした国々はロシアとウクライナに代わる小麦の輸入先を探していますが、自国の食糧確保のために輸出を制限する国も出ていて、世界的な影響が広がっています。

FAO=国連食糧農業機関のボーバカル・ベンハサン市場・貿易部長は「特に経済的に貧しい国は深刻な影響を受けるおそれがあり、食糧の輸出制限を設けないよう各国に働きかけている」と話していました。

#中東

ロシアのラブロフ外相は28日、ロシアと中国の関係がこれまでで最も強固な状態にあるとの認識を示した。

西側諸国は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアを孤立させるため前例のない制裁を発動しているが、中国政府は制裁に繰り返し反対を表明。ロシアとの通常の経済・貿易関係を維持する方針を示している。

ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記が28日、ウクライナ政権交代はロシアの「特殊軍事作戦」の目標ではないと言明したと、インタファクス通信が報じた。

パトルシェフ氏は、ウクライナ政権交代がロシアの狙いとする西側諸国の見解は正しくないと強調したという。

ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は28日、ウクライナ軍の兵士らが捕虜のロシア軍兵士を虐待している様子を撮影したソーシャルメディア上の動画について、ロシア当局が調査すると発表した。

動画には「醜悪な映像」が映されており、法的に判断される必要があると指摘。この「拷問」に加わった者に責任を負わすべきとした。

これに先立ち、ウクライナ軍のオレクサンデル・モツヤニク報道官は「現時点でこの動画の真偽を確認できる者はいない。どこで起こったのか、誰か参加したのかも分かっていない」と指摘。ウクライナ軍のザルジニー最高司令官の発言として「ウクライナ国防軍の信用を落とすために、敵国はウクライナ軍兵士によるロシア人捕虜への非人道的な扱いに関する動画を作成し広めている」とした。ただ、ザルジニー司令官の主張を裏付ける証拠は示されていない。

米国防当局者は28日、ウクライナ軍が北東部スムイのトロスティアネツをロシア軍から奪還したと明らかにした。

これに先立ち、首都キエフ近郊にあるイルピンの市長は、ウクライナ軍がイルピンを完全に奪還したと発表していた。

アメリカ国防総省の高官は28日、ウクライナの戦況について、東部の要衝マリウポリが引き続きロシア軍に包囲され、激しい圧力にさらされていると指摘する一方、北東部ではウクライナ軍が町を奪還する動きもあるとし、各地で激しい戦闘が続いているとの認識を示しました。

この高官によりますと、ロシア軍は首都キエフに対して遠距離からの砲撃は続けているものの、周辺に展開する地上部隊が中心部に向けて前進する兆候はみられないということです。

最も近い部隊でも北西におよそ15キロから20キロの位置にとどまり、別の部隊は北東におよそ55キロの位置にまで後退したあと動きがないとしています。

一方、親ロシア派の武装勢力が一部を事実上支配する東部のドンバス地域ではロシア地上軍の活動が活発化していると指摘し、ロシア軍がこの地域での作戦を優先しているとの見方を重ねて示しました。

東部ハリコフ州の町イジュームの南東では、ロシア軍の部隊がドンバス地域に向けて徐々に南下する動きが確認できるということで、戦力を集中しているものとみられます。

また、ドンバス地域の中心、ドネツク州にある要衝のマリウポリは、ウクライナ側が防衛にあたっているものの、遠距離からの砲撃に加えて引き続きロシア軍に包囲され、激しい圧力にさらされていると指摘しました。

この高官はロシア軍がドンバス地域に戦力を集中する背景について、周辺のウクライナ軍を足止めし、北部や南部の前線への移動を阻むねらいや、停戦交渉を優位に進めたい思惑があると指摘しました。

これに対してウクライナ軍の反撃も続き、北東部スムイ州のトロスティアネツという町を奪い返したほか、南部の中心都市の一つ、ヘルソンを奪還しようと試みているとして、各地で激しい戦闘が続いているとの認識を示しました。

ロシアとの和平交渉に協力するようウクライナが要請していたロシアの富豪ロマン・アブラモビッチ氏およびウクライナ側の少なくとも2人の交渉担当者が今月行われたキエフでの会談後に中毒が疑われる症状を発症していたと、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)と調査報道機関「べリングキャット」が関係者の話として28日に報じた。

WSJによると、ロシアのウクライナ侵攻を終わらせる交渉に協力するようウクライナの要請を受けたアブラモビッチ氏と、ウクライナ側の少なくとも2人の幹部が影響を受けたという。

報道について、ウクライナ側は否定的な見解を表明。ウクライナ代表団のポドリャク大統領顧問は「多くの憶測、様々な陰謀論がある」と指摘した。他の交渉担当者も「信ぴょう性の低い情報」を信用しないよう呼び掛けた。

ウクライナのクレバ外相は国営放送のインタビューで「誰もがニュースやセンセーションに飢えている」と述べたほか、「ロシアとの交渉に行く人は、何も食べたり飲んだりしないことを勧める。できれば何の表面にも触れないほうがいい」と皮肉った。

米当局者は28日、ロイターに対し、アブラモビッチ氏およびウクライナ交渉担当者の体調不良は毒物ではなく環境要因によるものとの見解を示した。

ロシア大統領府は現時点で電子メールによるコメント要請に応じていない。

<目の充血や皮膚の剥がれ>

WSJの報道によると、目の充血や痛み、顔や手の皮膚の剥がれなどが見られたが、その後回復し命に別状はないという。

ロイターも事情に詳しい関係者の話として同件を確認した。

べリングキャットは、事件を調査した専門家の話として「化学兵器による中毒」の可能性が最も高いと報道。使用された毒物の量や種類は命を脅かすほどではなく「被害者を怖がらせる意図があった公算が大きい」とした。

ロシア大統領府は24日、アブラモビッチ氏がロシアとウクライナの初期の和平交渉に関与していたことを明らかにした。現在は、両国の交渉団が協議に臨んでいるという。

アブラモビッチ氏は、プーチン大統領に近い「オリガルヒ」と呼ばれる富豪の1人で、サッカーのイングランドプレミアリーグチェルシーのオーナーとして知られていますが、ウクライナとロシアの仲介にあたっていたとされています。

アブラモビッチ氏とウクライナの交渉団の3人は、今月初めウクライナの首都キエフで目が充血し涙が止まらなくなり、顔や手の皮がむけるなどの症状が出ましたが、すでに回復して命に別状はないということです。

ウォール・ストリート・ジャーナルとともに調査にあたった国際的な調査報道グループのベリングキャットは、「専門家による検査によれば、何らかの化学兵器によって症状が出た可能性が高い」としています。

これに対してウクライナのゼレンスキー大統領の報道担当者はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し「毒が盛られた疑いがあるという情報はない」としているほか、ロシア側からも公式な発表はありません。

真相は明らかではありませんが、過去にロシアの反体制派の指導者ナワリヌイ氏が化学兵器の神経剤で襲われる事件も起きているだけに、今後の停戦交渉の行方に影を落とすことも懸念されます。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、東部の軍事作戦を強化する方針を示し、東部の要衝マリウポリの完全掌握に向け、攻勢を強めています。

国連人権高等弁務官事務所は、軍事侵攻が始まった2月24日から3月27日までに、ウクライナで少なくとも1151人の市民の死亡が確認されたと発表しました。

またウクライナの複数のメディアは28日、マリウポリボイチェンコ市長の話として、マリウポリだけで子ども210人を含むおよそ5000人が死亡したと伝えるなど、東部で深刻な人道危機が続いています。

一方、首都キエフの北西に隣接するイルピンについて、マルクシン市長は28日、ウクライナ軍が奪還したとSNS上で報告し、キエフ近郊ではウクライナ側が反撃に転じる動きもみられます。

こうしたなか、ロシアとウクライナの代表団による対面形式の停戦交渉が日本時間の29日午後からトルコのイスタンブールで行われる予定で、ロシアの代表団が日本時間の28日夜、現地に到着したのに続いて、ウクライナの代表団も29日朝早く到着しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、今後の交渉でNATO北大西洋条約機構への加盟に代わる新たな安全保障の枠組みについて議論する考えを示しており、ロシアが求めるウクライナの「中立化」をめぐり譲歩する姿勢をみせています。

これに対しプーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記も28日、「軍事作戦の目標は、ウクライナの体制転換ではない。人々をジェノサイドから守ることであり、ウクライナの『非軍事化』と『非ナチ化』だ」と述べ、ロシア軍が想定以上の苦戦を強いられる中、ゼレンスキー政権を相手に交渉を続ける姿勢を示したものと受け止められています。

ただ、ウクライナは領土の保全をめぐっては譲れないとの立場を崩していないことから、まずは「中立化」をめぐって双方が歩み寄り、妥協点を見いだせるかが焦点です。

ロシアが軍事侵攻したウクライナの情勢をめぐり、国連のグテーレス事務総長は28日、ニューヨークの国連本部で記者会見し「国連による仲介として、ウクライナでの人道的な即時停戦の合意に向けて直ちに可能性を探るよう、国連で人道問題を担当するグリフィス事務次長に指示した」と明らかにしました。

そのうえで「敵対行為の停止は必要な人道支援の提供を可能にし、市民の安全な移動を可能にする。命を救い、苦しみを防ぎ、市民を守るものだ」と述べ、東部のマリウポリなどでの人道危機に歯止めをかける停戦に向けて、国連として取り組む考えを強調しました。

また、記者団がロシアとウクライナの首脳らとの会談も模索しているのかと質問したのに対し「事務次長ができるだけ早い時期にモスクワとキエフを訪問できるよう期待している」と述べました。

一方、このあとロシアの国連代表部が声明を発表し「事務総長はロシアが安全保障理事会に提出した人道支援をめぐる決議案に言及しなかった」と遺憾の意を示しており、今後国連がロシア側の協力を取り付けることができるのか、予断を許さない状況です。

アメリカのバイデン大統領は先週、外遊先のポーランドで演説を行った際、ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領について「この男を権力の座に残しておいてはいけない」と非難し、ロシアの体制転換を求めたとも受けとめられました。

この発言についてバイデン大統領は28日「道義的な怒りを表現しただけだ。政策を変更したつもりはない」と釈明しました。

また、記者団から大統領としての発言の重みをどう考えているのかと問われアメリカがプーチン大統領を引きずり下ろそうとしていると信じる人はいない」と述べ、みずからの発言の火消しに追われました。

バイデン大統領の発言について、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「バイデンが決めることではない。ロシアの大統領を決めるのはロシア国民だ」と反発したほか、同盟国フランスのマクロン大統領も「ことばや行動によって事態を悪化させることなく、ロシアの軍事侵攻を止めるべきだ。私ならそのようなことばは使わない」と述べ、苦言を呈していました。

バイデン米大統領は28日、ロシアのプーチン大統領について「権力の座にとどまってはならない」と26日の演説で述べたことに関して、米国の政策変更を打ち出したわけではないとし、ロシアによるウクライナ侵攻についての自分の怒りを表明したものだと説明した。

  バイデン大統領はホワイトハウスで記者団に対し、「撤回するものは何もない。道義上感じた激しい憤りを表明したというのが実情だ」と言明した。先の演説での発言を受けて同盟国の一部に警戒感が生じたことを後悔するかとの質問に答えた。また、演説の際も現時点も「政策変更を打ち出しているわけではない」と強調した。

  大統領は、自身の発言が状況をエスカレートさせているとする外国政府の不満をはねつけるとともに、この出来事によって北大西洋条約機構NATO)の同盟が弱まったことは一切ないと指摘。「言語道断の行動」をプーチン氏が起こす口実にはできないとも語った。

  さらに、プーチン氏がどのように反応する可能性があるか懸念しているかとの質問に対し、バイデン大統領は「彼が何を考えようがかまわない」とぶっきらぼうに答え、自身の発言への反応にいら立ちを示した。

  その上で、「悪者たちが悪事を働き続けることがあってはならないのと同様、彼も権力の座にとどまってはならない。しかし、それはどのような方法であってもプーチンを倒すために何かする基本的な政策がわれわれにあることを意味しない」と話した。

  このほか、将来的にプーチン氏との再会はあるかとの質問には、その可能性は排除しないとしつつも、協議の結果次第だと述べた。

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バイデン米大統領プーチン氏巡る発言で釈明-同盟国からも苦言 (1)

原題:

Biden Says Putin Remark Showed Outrage, Not Change in Policy (2)(抜粋)

「ロシアのプーチン大統領は権力の座にとどまってはならない」――。26日のバイデン米大統領によるこの発言が大きな波紋を広げ、バイデン氏側近や西側諸国、そしてバイデン氏本人も釈明に追われる事態になっている。誰もが米ロの対立激化を望んではいないからだ。

バイデン氏が衝撃的な発言をしたのは、ポーランドの首都ワルシャワにおける演説でだ。これにより、何人もの専門家がバイデン氏としては就任以来最も素晴らしい内容とみなした演説の骨子は注目されなくなり、ロシアに対する同盟国の結束に成功するはずだった同氏のワルシャワ訪問も、逆に同盟国を不安に陥れる結果になった。何よりも、冷戦期の敵だったロシアに米国がこの先対応するための長期的な戦略がどうなっているのかを巡り、さまざまな疑問が浮かび上がっている。

ホワイトハウス高官の1人はロイターに、「権力の座」のくだりはバイデン氏の演説草稿にはなかったと明かした。ではバイデン氏の「本音」が出たのかと聞かれたこの高官は直接答えず、大統領はプーチン氏を「殺人者」「戦争犯罪人」と呼ぶことに全くためらいを感じていないと指摘した。

バイデン氏はこれまでの政治家人生において、記者らとの自由な懇談の場や予定にないイベントなどで、幾つか目立つ「アドリブ失言」をしてきた経緯がある。最近の欧州訪問時には、ロシアがウクライナ化学兵器を使用すれば米国も「同様の」対応をするし、米軍が最前線に向かうと示唆。いずれも現在の米国の政策とは異なっている。

一方今回の発言は、事前に準備された草稿を聴衆に向けて読み上げる状況で飛び出した。ただバイデン氏のある側近は、多くの西側諸国や米有権者の間にはウクライナに侵攻したロシアに対する鬱屈した感情があり、同氏はそれを代弁したのだと擁護する。実際、この発言の直前の演説会場は、約1000人の聴衆がバイデン氏の言葉に共鳴し、拍手をしたり、旗を振り回したり、歌い出す人まで出るほど熱気に包まれていた。

また複数の米政府高官は、バイデン氏が発言の前日、ウクライナ難民やウクライナ政府関係者と会談したとも明かし、同氏の感情を揺さぶったのではないかと推測する。

それでもバイデン氏の発言は、ロシアなどが長年米国を非難してきた内容、つまり米国は世界中の紛争において帝国主義的な役割を果たそうとしている、という構図を裏書きし、予測不能性が高まるばかりのプーチン氏を何とか制御しようとしている西側の努力に水を差す形になっている。

このため発言の火消しが迅速に、かつ幅広い方面から行われた。バイデン政権内にたとえ大統領の評価に傷がつこうとも、ロシアとの対立激化をどうしても避けたいという強い願いがあることが分かる。

ブリンケン国務長官ホワイトハウス報道官、北大西洋条約機構NATO)大使、ドイツのショルツ首相らが一致して、バイデン氏が発言したその日のうちに、これは体制転換を意図したわけではないと説明し、ワシントンで記者団から体制転換を求めたのかと聞かれたバイデン氏本人も「ノー」と言い切った。

さらにバイデン氏は28日、ホワイトハウスで記者団に自身の発言は、米国の政策変更ではなくプーチン氏の行動についての「道義的な憤り」を反映したものだと述べた。もっともプーチン氏が「今の路線を続けていけば、世界からつまはじきとなり、国内の支持もどうなるか分からない」と改めてくぎを刺した。

<想定されていない着地点>

米国ではグラム上院議員共和党)などから、ウクライナ危機の解決はプーチン氏の強制排除だとの主張も出ているが、バイデン政権はそうした考えには一定の距離を置いてきた。

ただ同政権は、ロシアの企業、銀行、政府当局者やオリガルヒ(新興財閥)に発動した制裁の直接の標的がプーチン氏で、同氏から支持者たちを引き離そうとしている。

バイデン氏は今月1日、上院で行った一般教書演説で、プーチン氏はかつてないほど世界から「孤立している」と強調。その1週間後には、プーチン氏をもっと「締め付ける」と表明した。

ところがバイデン氏がこれほどプーチン氏に対して直接的な措置を講じても、結局ウクライナ侵攻を止めることはできなかった。するとバイデン氏は、2月24日のウクライナ侵攻以降、ロシア国民に呼びかける方式に戦術を転換。ワルシャワでも「ロシア国民の皆さん、あなた方は敵ではない」と訴えた。

バイデン政権は、ウクライナ侵攻についてホワイトハウスがどんな「決着」シナリオを描いているのか、あるいはどうすればプーチン氏が対立を和らげる可能性があるのか、今のところ答えを出していない。

ロシア側は今回のバイデン氏の発言に関して、ペスコフ大統領報道官が「これは警戒すべきメッセージであるのは間違いない」と語るなど強く反発している。

戦略国際問題研究所(CSIS)の研究員で紛争問題専門家のアンドルー・ローゼン氏は、ロシアが米国の行動の裏に悪意があるという偽情報の流布を企てる上で、バイデン氏発言が利用されると警鐘を鳴らした。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、東部の軍事作戦を強化する方針を示し、要衝のマリウポリの完全掌握に向け、攻勢を強めています。

ウクライナの戦況について、アメリカ国防総省の高官は28日、マリウポリは引き続きロシア軍に包囲され、激しい圧力にさらされているとする一方、北東部では、ウクライナ軍がひとつの町を奪還したと指摘しています。

こうした中、ロシアとウクライナの代表団による4回目となる対面形式の停戦交渉が日本時間の29日午後4時半ごろにトルコのイスタンブールで始まる予定で、ロシアの代表団は日本時間の28日夜、現地に到着しウクライナの代表団も28日朝早く到着しました。

交渉を前にウクライナのクレバ外相は28日にテレビ局のインタビューで「最大の計画は停戦合意に達することだ。国民や領土、主権に関して取り引きはしない」と述べました。

一方、プーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記は28日、「軍事作戦の目標は、ウクライナの体制転換ではない。人々をジェノサイドから守ることであり、ウクライナの『非軍事化』と『非ナチ化』だ」と述べて、ロシア軍が想定以上の苦戦を強いられる中、ゼレンスキー政権との停戦交渉を続ける姿勢を示したものと受け止められています。

停戦交渉はウクライナが領土の保全をめぐっては譲れないとの立場を堅持していることから、まずはロシアが要求するウクライナの安全保障上の「中立化」をめぐり双方が歩み寄り、妥協点を見いだせるかが注目されます。

北大西洋条約機構NATO)加盟国がロシアとウクライナの和平合意を目指し条件の議論を進める中、戦略を巡る加盟国間の溝を示す兆候が表れている。

  ウクライナ侵攻開始から1カ月余りとなる中、ウクライナが受け入れ可能な条件、特にNATO加盟国が同国に提供し得る安全保障を巡るジレンマが浮上した。

  ウクライナに追加供与する武器の種類や、ロシアのプーチン大統領と協議することが有効かどうかについても加盟国の見解が分かれている。この1週間に米欧首脳が行った会談の内容に詳しい関係者のコメントと、ブルームバーグが確認した文書で明らかになった。

  こうした見解の相違の一部はバイデン米大統領がロシアのプーチン大統領は権力の座にとどまってはならないと週末に発言して物議を醸した後に明るみに出た。

バイデン米大統領「撤回するものは何もない」-プーチン氏巡る発言で

  マクロン仏大統領はフランスのテレビでバイデン氏の発言に関する質問に対し、「われわれは言葉や行動でエスカレートさせるべきではない」と指摘。外交的手段を通じてまずは停戦を実現し、その後にロシア部隊の撤退を目指すべきだと述べた。

  ドイツもフランスに同調。ショルツ首相のヘーベシュトライト首席報道官は28日、記者団に対し、「今後数日間、実際には数週間にわたり、われわれが耐えなくてはならない悲惨な状況を考慮すれば、殺害を止めるために停戦を実現可能にすることが最優先課題だ」と語った。ショルツ首相は同日、ゼレンスキー大統領と交渉プロセスについて話し合った。

  しかし他のNATO加盟国は独仏両国の対話路線は逆効果であり、プーチン大統領の術中にはまるとみている。ブルームバーグが確認した文書で明らかになった。

  それによると、ハンガリーを除く東欧・中欧諸国と英国はプーチン大統領が和平合意交渉に本気で取り組んでいるか懐疑的だ。また東欧諸国の外交官は、ロシア部隊の完全撤退が含まれない和平協定に同意するようウクライナを促す者はプーチン氏の片棒を担ぐことになると指摘。プーチン氏と頻繁に会談する当局者は自国民へのアピールが目的だと述べた。

  プーチン大統領との対話に懐疑的な加盟国の別の外交官2人はブルームバーグに対し、停戦と引き換えにロシアが求める中立化の条件にウクライナが同意するよう、マクロン大統領がゼレンスキー大統領を追い込む可能性を懸念していると語った。ただ、ウクライナの領土の一体性と主権に関するロシアの要求についてはマクロン大統領は明確に異議を唱えているとも指摘した。

  ゼレンスキー氏はロシアとの和平協定の一環でウクライナの中立化を受け入れることにオープンな姿勢を示しているが、安全保障と国民投票実施が不可欠だとしている。

原題:

NATO Allies Are Split on Whether They Should Talk to Putin(抜粋)

ウクライナ原子力規制当局は28日、ウクライナ東部のハリコフにある核物質を扱う国立物理技術研究所がロシア軍による攻撃を再び受けたと発表しました。当局は施設に深刻な被害が出たとしていますが「激しい戦闘中のため詳しい被害の程度や安全性への影響は分からない」としています。

この施設は今月6日以降、これまでにもたびたびロシア軍の攻撃を受けたと発表していました。

ウクライナに軍事侵攻しているロシア軍は、29日も東部の要衝マリウポリの完全掌握を目指すなど攻勢を強めています。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、首都キエフの北西に隣接するイルピンについて「私たちの軍は、キエフ周辺で前進していて、イルピンはロシア軍から解放された」とするなどウクライナ軍も反撃を続けています。

ロシアとウクライナが戦況の優位性を強調する中、双方の代表団による対面形式の停戦交渉がトルコのイスタンブールで、日本時間の29日夕方から行われています。

仲介役をつとめるトルコのエルドアン大統領は、代表団を前にあいさつし「紛争を長引かせることは誰の利益にもならない。交渉は具体的な成果をあげるべき時に入った」と述べて、交渉の進展に期待を示しました。

そのうえで「交渉が進展すれば、双方の首脳会談も可能になる。トルコとして支援を惜しまない」と述べ、積極的に仲介を進める姿勢を示しました。

これまでの交渉でウクライナ側は、NATO北大西洋条約機構への加盟に代わる新たな安全保障の枠組みについて議論する考えを示していて、ロシアが求めるウクライナの「中立化」をめぐり、譲歩する姿勢もみせています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は28日「直接対話で交渉を進めることは重要だ」と述べ、事態の打開に期待を示しました。

一方、ウクライナのクレバ外相は28日、テレビ局のインタビューで「最大の計画は停戦合意に達することだ。国民や領土、主権に関して取り引きはしない」と強調しました。

双方の間では、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアの承認や、親ロシア派の武装勢力が事実上、支配している東部地域の独立承認などは、ウクライナが拒否するなど、主張の隔たりが続いています。

対面形式の交渉は、ベラルーシで今月7日に実施されて以来、4回目となり、ロシアが求めるウクライナの「中立化」などで妥協点を見いだし、事態の打開につなげられるかが焦点です。

これまでの交渉でウクライナ側は、戦闘の停止やロシア軍の即時撤退、などを強く求めています。

一方、ロシアがウクライナを「中立化」させるとしてNATO北大西洋条約機構に加盟しないことなどを求めていることについては「今は現実的でない」などと、必ずしも加盟にこだわらない姿勢を示しています。

そのうえで、NATO加盟に代わり、アメリカやイギリスなど主要国や、近隣のトルコと新たに協定を結び、集団的な安全保障の枠組みを新たに作ることを要求しているとみられます。

また、主権と領土の一体性についても主張しています。

ゼレンスキー大統領は「中立化」などの実現に向けてはウクライナ憲法を改正するため民意を問う必要があるとしていて、国民投票を実施できる環境を整えるためにもロシア軍が撤退すべきだとしています。

ロシア側は、NATOに加盟しないことをウクライナが法的に保証する「中立化」を求めています。

ただ、NATOに加盟しない代わりに、ウクライナが要求する安全保障の枠組みを作ることには前向きな姿勢を示すとともに、ウクライナが自国の軍を持つことも認めるとする考えを示しています。

一方、ロシアの脅威となる兵器を撤去させる「非軍事化」、それに「非ナチ化」を進めるとして、強硬な民族主義を排除することや、ロシア語教育やロシア文化などに関する制限を撤廃することを求めています。

また、8年前に一方的に併合した南部クリミアの承認や親ロシア派の武装勢力が事実上、支配している東部地域の独立承認などを要求しています。

ロシアとウクライナ双方は「中立化」などの争点となっている安全保障の枠組みをめぐり、譲歩する動きも見られますが、原則的な立場の隔たりは埋まっていないとされています。

ロシアのショイグ国防相は29日、ウクライナ軍の能力は著しく低下し、軍事作戦の第1段階の主な任務は完了したと改めて表明した。テレビ中継された会議で述べた。

また北大西洋条約機構NATO)がウクライナに戦闘機や防空システムを提供すれば、ロシアは適切に対応すると警告した。

ウクライナへの軍事侵攻を続けているロシア軍は、29日も東部の要衝マリウポリの完全掌握を目指すなど攻勢を強める一方、ウクライナ軍も反撃しています。

それぞれが戦況の優位性を強調する中、双方の代表団による対面形式の停戦交渉がトルコのイスタンブールで行われました。

交渉の終了後、双方が会見を行い、このうちロシア国防省のフォミン次官は「相互信頼を高めて次の交渉に必要な条件を整えて条約の調印という目標を達成するため、首都キエフ周辺と北部のチェルニヒウでの軍事作戦を大幅に縮小することを決定した」と述べました。

一方、ウクライナ代表団の関係者はNATO北大西洋条約機構への加盟に代わる新たな安全保障の枠組みについて協議したことを明らかにしたうえで、それが機能すればロシアが求めるウクライナの「中立化」に応じる考えを示すなど一定の進展があったという認識を示しました。

協議の内容を受けて両国の首脳がどのように判断するのかが今後の焦点です。

ロシア国防省のフォミン次官は、イスタンブールで記者団に対して「首都キエフ周辺と北部のチェルニヒウでの軍事作戦を大幅に縮小することを決めた」と述べました。

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d1021.hatenadiary.jp
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