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イエレン米財務長官は19日、主要7カ国(G7財務相中央銀行総裁が、ロシアの侵攻に苦しむウクライナが必要とする金融支援を提供していくことで合意したと明らかにした。

同時に、共同声明草案で示された184億ドル規模の拠出については確認することを控えた。

ロイターが入手した声明草案によると、G7財務相中央銀行総裁会議で、ウクライナの当面の資金繰りを支援するため、融資など184億ドル規模の拠出を行うことで合意する見通し。

イエレン長官は記者団に対し、ウクライナが今後3カ月にかけ必要になると試算される150億ドルを超える支援へのコミットメントが示されたとし、「われわれがウクライナを支援し、苦境を乗り越えるために必要なリソースを集めるというのがわれわれのメッセージだ」と語った。米国からの75億ドル、欧州委員会からの90億ユーロが含まれるという。

さらに、19日の会議では、インフレ目標達成の重要性が強調されたものの、中央銀行によるインフレ目標引き上げについては協議されなかったとし、「インフレ目標へのコミットメントを示すために中央銀行が必要な行動を取ることの重要性について協議した」と述べた。

また、経済状況はそれほど根本的に変化していないとの認識が示されたとも指摘。米連邦準備理事会(FRB)は経済を「ソフトランディング(軟着陸)」させることができるとと確信しているとしながらも、「手腕と幸運が必要になる」と述べた。

また、ロシア産石油に対する関税や禁輸措置などを巡る協議は限定され、明確な戦略は打ち出されなかったと指摘。一定の水準以上の価格で原油を輸入しないカルテルの結成は、規模が十分に大きければ効果を発揮する可能性があるとしながらも、明確な戦略として何も示されなかったと語った。

鈴木財務大臣や日銀の黒田総裁が出席してドイツ西部のボン近郊で開かれているG7の財務相中央銀行総裁会議は、日本時間の20日午前1時すぎ、初日の討議を終えました。

この中で、各国は、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し経済制裁を通じて圧力を強めていくことを確認したほか、ウクライナへの追加の財政支援を巡って意見を交わしました。

また、原油などの原材料価格の高騰や食糧の供給不足によって減速が懸念される世界経済についても議論し、協調して対策に取り組むことで一致しました。

初日の討議のあと、鈴木財務大臣は記者団に対し「ウクライナに対する全面的な支援と連帯が必要だ。こうした観点から日本は世界銀行との協調融資を3億ドルから6億ドルに倍増することを表明した」と述べました。

また鈴木大臣は「最近の為替相場の急速な動きについて説明したうえで、日本としてG7で緊密な意思疎通を図り適切に対応していく考えであることを伝えた」と述べました。

G7各国は20日の討議を経て声明をまとめることにしていて、ロシアによる軍事侵攻や世界経済の減速懸念に、どこまで具体的な対応を示すかが焦点となります。

ブリンケン米国務長官は19日、ロシアがウクライナで食料を「武器」に使い、ウクライナ市民だけでなく、世界の数百万人もの食料供給を「人質」に取っていると非難した。

ブリンケン長官は国連安全保障理事会の会合で「食料を武器とする決定はロシアが下したもの」と強調。「ロシア政府の行動によって、ウクライナ国内の倉庫には2000万トン規模の穀物が眠っている状況で、世界の食料供給は減少し、価格が高騰、世界中で食料不安を引き起こしている」と述べた。さらに、ウクライナの港湾封鎖を解除するようロシアに訴えた。

国連のグテレス事務総長も食料危機の解決に向けて仲介に動いており、安保理の会合で「世界中には十分な食料がある。問題は分配であって、ウクライナの戦争と関連している」とに語った。

ロシアのネベンジア国連大使は、ここ数年間で醸成されてきた世界食料危機をロシアの責任にすることは「完全な誤り」と反発。ウクライナが外国船を港に閉じ込めていると批判したほか、西側諸国の対ロシア制裁によってロシアの食料や肥料の輸出に影響が及んでいると非難した。

ロシアとウクライナは小麦などの穀物や肥料の世界有数の輸出国ですが、軍事侵攻以降、両国からの輸出が滞って価格も高騰し、食料不足が懸念されています。

19日に開かれた国連安保理の閣僚級の会合では、グテーレス事務総長が「世界の人たちに十分な食料はあるが問題は配分で、ウクライナでの戦争と深く結びついている。何よりも重要なことは戦争を終わらせることだ」と訴えました。

そのうえで、ロシアの軍事侵攻でウクライナからの穀物などの輸出が滞っていることについて、輸出の再開に向けて両国や周辺国などと国連が交渉を続けていると強調しました。

このあと、議長国アメリカのブリンケン国務長官は、ロシアが黒海の港を封鎖するなどしてウクライナ海上輸送を妨害しているほか、ロシアに批判的な国に対し自国の穀物や肥料の輸出を控えると脅していると指摘し「ロシアは食料を武器にしている。ウクライナと世界中の人たちの食料供給は、文字どおりロシア軍によって人質に取られている」と非難しました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使「西側諸国はすべての問題をロシアのせいにしている」と反発し、欧米による制裁がロシアからの穀物や肥料の輸出が滞る原因になっていると主張しました。

バイデン米政権は、ウクライナに新型の対艦ミサイルを供与し、ロシアの黒海封鎖を打ち破る手助けをすることを検討している。複数の関係者が明らかにした。

ウクライナ政府は、既にいずれも携帯型の対戦車ミサイル「ジャベリン」や地対空ミサイル「スティンガー」といった強力な米国製兵器の提供を受けているが、より高性能の兵器を求める姿勢を表明している。その希望リストの中には、ウクライナ領内の黒海の港湾からロシアの艦艇を追い出し、穀物やその他の農産物などの輸出再開を可能にしてくれる対艦ミサイルも含まれる。

米国の政府高官や元高官、議会関係者に話を聞くと、ウクライナに対してより長射程で性能が強力な兵器を送る上では幾つかのハードルがある。戦争のエスカレートを巡る懸念はもちろんとして、兵器を扱うため長期の訓練が必要なことや、保守管理の難しさ、最新兵器がロシアの手にわたってしまう恐れなどが挙げられる。

そうした中で3人の米政府高官と2人の議会関係者は、ボーイングの「ハープーン」やノルウェー企業と米レイセオンの「NSM」の2種類の対艦ミサイルウクライナに直接供与、もしくはこのミサイルを保有する欧州の同盟国から供与する案が活発に検討されていると述べた。

ただ現実的な課題も残されている。ハープーンは、本来は艦対艦ミサイルなので、陸上から発射するためのプラットフォームを確保しにくいというのがその1つ。2人の米政府高官は、米海軍艦艇から発射装置を引き抜いて一緒に陸揚げする方法が模索されていると語った。米政府は対艦ミサイルをウクライナの戦闘機に搭載することも考えているとされる。

国防省によると、現在ロシアの艦艇は黒海の作戦区域に潜水艦を含めて約20隻いるという。

ハドソン研究所の海軍関係専門家、ブライアン・クラーク氏は、ハープーンのように射程が100キロを超える対艦ミサイルが12基から24基あれば、ロシア艦艇に十分脅威を与えられ、ロシア側に封鎖解除を決心させられると指摘。「もしもプーチン大統領が封鎖を維持しても、黒海に隠れ場所がない以上、ウクライナ側はロシア海軍の主力艦艇を葬り去ることができる」と強調した。

米政府高官の話では、自分たちからハープーンをウクライナに提供しても良いという国は何カ国か存在するが、こと自分たちが保有するハープーンがロシア艦艇を撃沈した場合の報復を恐れ、真っ先に名乗り出たがらないという事情もある。それでも、保有数の多いある国がまずハープーンをウクライナに送ることを検討中で、この国が供与を確約すれば他国も追随するかもしれないという。

NSMミサイルは射程250キロで、作戦に必要な訓練は14日弱。北大西洋条約機構NATO)諸国が地上発射装置を貸し出すこともできるため、配備に向けたハードルはより低いとみられている。米議会筋によると、ノルウェーウクライナにNSMを寄贈する選択肢もあり、この構想はノルウェーの議会メンバーから支持されている。

ハープーンやNSMといった米国製品が絡む兵器への要請はすべて米国務省が承認する必要がある。

ロシア国防省は19日、空軍がミサイルで攻撃し、ウクライナ東部のドネツク州や南部のミコライウ州で武器庫や弾薬庫、対空ミサイルシステムを破壊したなどと発表しました。

また、東部の要衝マリウポリのアゾフスターリ製鉄所では、今月16日以降、ウクライナ側から合わせて1730人が投降したと発表するなど、ロシアが近くマリウポリを完全掌握するとみられていて、さらに東部2州全域の掌握に向け攻勢を強める構えです。

一方、イギリス国防省は19日、ロシア軍の動きについて、ロシアが成果をあげられていないとする幹部を解任していると指摘し、東部ハルキウの侵攻で戦車部隊を指揮した司令官や、旗艦「モスクワ」が沈没した黒海艦隊の司令官などが責任を追及されたという見方を示しています。

そのうえで、ロシア軍が劣勢にあるともされる中、現場の将校たちは責任を回避するため、より上層部に決定を委ねる事態になっているとして「このような状況でロシアが主導権を取り戻すことは困難だろう」と分析しています。

こうした中、ウクライナ側は徹底抗戦を続けていて、ウクライナの内務相顧問は「敵は、6月終わりから7月のはじめにかけて、私たちの反撃を強く感じることになるだろう」と強調しています。

さらに、ウクライナのクレバ外相は17日に公開されたインタビューで、ロシアに勝利したと見なすためには、東部のドンバス地域などに加え、8年前にロシアが一方的に併合したクリミアも解放される必要があるという認識を示しました。

ロシア軍の勢いが失われているという見方も出る中、ウクライナ側はクリミアの解放も掲げるなど、欧米の軍事支援を追い風に反撃の姿勢を強めています。

国防総省は19日、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長がロシアのゲラシモフ参謀総長と電話会談を行ったと発表した。ロシアが2月にウクライナに侵攻して以来、両氏の会談は初めて。

ミリー統合参謀本部議長の報道官は、両氏が「安全保障に関するいくつかの懸念事項について協議し、対話のホットラインをオープンにしておくことで合意した」と指摘。ただ「これまでの慣例に従い、会談の詳細な内容は公表しない」と述べた。

ロシア通信(RIA)は19日、ロシア国防省の情報として両氏がウクライナ情勢を含む「相互利益」について協議したと報じた。

グランホルム米エネルギー長官は19日、バイデン政権はロシア産原油を購入する国に二次的制裁を科す可能性を排除していないと述べた。ただ、原油市場への影響を考慮して慎重な姿勢を取っているとした。

米国は対ロシア制裁の一環で同国からの原油輸入を禁止しているが、イラン産原油を輸入する国に科したような二次的制裁には踏み切っていない。

インドや中国などはロシアからの原油輸入を継続しており、結果的にロシアの戦争の資金源となっている。

グランホルム長官は記者会見で、バイデン政権が二次的制裁を科すべきかとの質問に「(選択肢から)排除していない」と答えた。

ただ、二次的制裁に踏み切れば、政権がガソリン高に敏感になっている時に世界的な原油価格上昇を招く可能性がある。

長官は、西側によるこれまでの制裁で世界の供給が日量約150万バレル減少したとし、欧州連合(EU)による原油・石油製品の段階的禁輸で年末までにさらに同150万バレル減少する可能性があると指摘。

「そうすれば当然、価格への圧力が強まる。市民が打撃を受けることは望まない」と述べた。

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は19日、対ロシア制裁で差し押さえた同国の新興財閥「オリガルヒ」の資産をウクライナ復興資金に充てる方法を模索していると明らかにした。

委員長はZDFテレビとのインタビューで「ウクライナ再建のためにオリガルヒの凍結資産を活用できる方法を見つけるため、いま弁護士が取り組んでいる。ロシアも(ウクライナ再建に)貢献すべきだ」と語った。

また、ウクライナの長期的な再建とEU加盟に必要な改革を同時に進めることが好ましいとの考えを示した。

ウクライナはEU加盟国としての将来を見据えているが、加盟には法の支配や経済・政治分野で一定の基準を満たすことが必要だと説明した。

「加盟手続きは、申請国がどのように行動し、何を行うかに大きく左右される。ウクライナはEU加盟を強く望んでいる。つまり、必要な改革を行う意欲が強いということだ」と述べた。




ウクライナのゼレンスキー大統領は19日のビデオ演説で、ロシア軍が東部ドンバス地域を「完全に破壊した」と述べ、無意味な砲撃を行っていると非難した。

大統領は、ロシア軍ができるだけ多くのウクライナ国民を殺害し、ジェノサイド(大量虐殺)を行っていると批判を繰り返した。

ウクライナ軍が首都キーウ(キエフ)東部のハリコフ地域の解放を進める一方、ロシア軍はドンバス地域への圧力を強めていると指摘。19日のセベロドネツクでの「残虐で全く無意味な砲撃」により12人が死亡したと述べた。

「オデーサ(オデッサ)地方やウクライナ中部の都市には絶え間なく爆撃が行われている。ドンバスは完全に破壊された」と述べた。

ロシア国防省は19日、ウクライナ東部の要衝マリウポリウクライナ側の拠点アゾフスターリ製鉄所から今月16日以降、合わせて1730人が投降したと発表しました。ロシア軍は、マリウポリの完全掌握とともに東部2州全域の掌握をねらっていると分析され、ロシア国防省は東部ドネツク州などで武器庫や対空ミサイルシステムを破壊したと主張しました。

ロシア軍の攻撃についてウクライナのゼレンスキー大統領は19日、東部2州は「完全に破壊された」などと訴えて攻撃が激しくなっているとしたうえで「大量虐殺だ」と非難しました。

戦況についてアメリカ国防総省の高官は、マリウポリではかつてのような攻撃は見られないとして、ロシア側はウクライナ側の抵抗は終わったと見ているという分析を明らかにしました。一方でこの高官は、第2の都市ハルキウ周辺でロシア軍が空爆を続けているのに対し、ウクライナ軍の部隊が押し返しているという見方を示しました。

またイギリス国防省はロシア軍が勢いを失っているというここ最近の見方とともに、軍の幹部が解任されていると指摘し、東部ハルキウで戦車部隊を指揮した司令官や旗艦「モスクワ」が沈没した黒海艦隊の司令官らが責任を追及されたとしています。

さらに、現場の将校たちは責任を回避するためより上層部に決定を委ねる事態になっているとして「このような状況でロシアが主導権を取り戻すことは困難だろう」と分析しています。

ロシアの攻撃に対しウクライナの内務相顧問は「敵は6月終わりから7月のはじめにかけて、私たちの反撃を強く感じることになるだろう」と述べました。

さらにクレバ外相は、インタビューでロシアに勝利したと見なすには東部2州などに加え8年前にロシアが一方的に併合したクリミアも解放される必要があるという認識を示し、徹底抗戦の姿勢を強調しています。

イタリアのドラギ首相は19日、交渉を通じたウクライナでの戦争終結を可能にするため、早急な停戦を呼びかけた。ウクライナへの支援を継続すると表明し、武器供与の可能性を排除しなかった。

隣国ウクライナに侵攻したロシアに対し強硬姿勢を取っているドラギ氏は「ロシアを交渉の場に着かせるため」、経済制裁を通じて圧力をかけ続けることが重要と指摘。「可能な限り早期の停戦が必要だ」と述べ、ウクライナ支援を巡る上院での議論を開始した。

同国の支援を巡っては与党内で緊張が高まっている。

ドラギ氏は、連立与党の左派「五つ星運動」と右派「同盟」が反対するウクライナへの武器提供を継続するかどうかに直接言及しなかった。

ただ、欧州のパートナーと緊密に連携し、ロシアの侵略を撃退するウクライナ政府の取り組みを引き続き支援するとし、追加の武器提供を排除しない姿勢を示唆した。

イタリアはこれまでに武器提供を承認する3つの法令を採択している。

ドラギ氏は、交渉による戦争終結を促すために可能な限り尽力するとした上で、いかなる取り決めも持続可能にするためにはウクライナの全面的な支持が必要だとした。

アメリカのハンバーガーチェーン大手、マクドナルドは19日、撤退を決めたロシアの事業をフランチャイズ契約を結ぶ現地のオーナーに売却することで合意したと発表しました。

極東シベリアで25の店舗を運営するアレクサンドル・ゴボル氏がロシア国内にあるマクドナルドのすべての店舗を引き継ぎ、新しいブランドで運営していくということです。

売却の金額は明らかにしていませんが、規制当局の承認などを得たうえで今後、数週間で取り引きを完了する見込みだとしています。

マクドナルドはソビエト時代の末期、1990年にモスクワに進出し、熱狂的な人気を集めましたが、ウクライナへの軍事侵攻を受けて今月16日、ロシアの事業からの撤退を発表していました。

ドイツ連邦議会の委員会は19日、シュレーダー元首相に対し、議会内の事務所を使う権利を停止する動議を賛成多数で可決しました。

シュレーダー氏は、1998年から2005年まで首相を務めたあと、ロシア国営の石油大手ロスネフチの会長などを歴任し、軍事侵攻後も職を続けているとされています。

エネルギーをロシアに大きく依存するドイツの現状に関わった代表的な政治家と指摘され、国内ではロシア寄りだと強く批判されていました。

元首相の権利が取り消されるのは異例で、シュレーダー氏が軍事侵攻後もロシアの企業の職にとどまっていることが理由とみられます。

また、同じ政党に所属するショルツ首相は19日の記者会見で、動議の可決を支持する考えを示したうえで「元首相は職を退くべきだ」と述べ、ロシアとの関係を断つようシュレーダー氏に求めました。

ロシアへのエネルギー依存からの脱却を急ぐドイツでは、ロシアとの関係が深い政治家への風当たりが強く、今回の議会の対応は世論も意識したものとみられます。

ブッシュ(子)元米大統領が18日、ロシアのウクライナ侵攻について、自身の政権下で開始したイラク侵攻と間違えて「残忍」で「不当」と語り、直後に訂正する出来事があった。

テキサス州ダラスでの演説でロシアの政治体制を非難していたところ、「ロシアではチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)の欠如が生じ、一人の男が全く不当で残忍なイラク侵略を開始することになった」と発言。その後、首を振りながら「ウクライナのことだ」と言い直し、歳のせいで間違えたと聴衆を笑わせた。

米主導のイラク侵攻はブッシュ政権下の2003年に始まったが、米国が主張した大量破壊兵器は発見されなかった。紛争は長期化し、死者は数十万人に上った。

ロシアのショイグ国防相20日国防省で開かれた会議で、ロシア軍が包囲を続けてきたウクライナ東部の要衝マリウポリの製鉄所では、ウクライナ側から合わせて1908人が投降したと明らかにしました。

さらに、ショイグ国防相「東部のドンバス地域で、支配を拡大している。東部ルハンシク州の解放はまもなく達成される」と述べ、ルハンシク州での戦闘が大詰めを迎えているという認識を示し、東部2州全域の掌握に向け攻勢を強める構えです。

東部の戦況をめぐってウクライナのゼレンスキー大統領は19日、ルハンシク州のセベロドネツクで、ロシア側の攻撃により12人が死亡し、数十人がけがをしたと明らかにしました。

ゼレンスキー大統領は「犯罪的な試みで虐殺と見なされるべきで、占領者は必ずや裁きを受けるだろう」と非難しました。

また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は19日の分析で、ロシア軍は、ルハンシク州セベロドネツクでのさらなる攻勢に備えて、その南に位置するポパスナでの侵攻を強化していると分析しています。

ロシア軍は、セベロドネツクを攻略し、完全掌握を目指しているルハンシク州で支配地域をさらに拡大したいねらいとみられます。

一方、ロシア軍の動きについて、イギリス国防省20日「ロシア軍は、マリウポリを押さえたあと、東部ドンバス地域の作戦を強化するため部隊を移動する可能性が高い。しかし、マリウポリでのウクライナ側の抵抗によってロシア軍は部隊を整備し、改修する必要がある」と指摘しています。

しかし「現場の司令官は、目標を達成するよう圧力をかけられているため、適切な準備をせずにすぐに部隊を展開する可能性がある」として、準備不足から十分な戦果を得られない可能性があるという見方を示しました。

欧米の軍事支援を受けるウクライナ軍は、反撃を一層強める姿勢で、東部で激しい攻防が続く見通しです。

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