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世界銀行は7日、世界経済の最新の見通しを公表し、ことしの成長率を2.9%と、前回、1月時点の予測から1.2ポイント下方修正しました。

国や地域別では、▽ユーロ圏が1.7ポイント、▽アメリカが1.2ポイントそれぞれ引き下げられ、いずれも2.5%になるとしています。

また、▽新型コロナウイルスの厳しい規制を続ける中国は、0.8ポイント引き下げて4.3%とし、▽日本は1.2ポイント引き下げて1.7%と、去年と同じ1%台の成長を見込んでいます。

成長率の下方修正は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をきっかけにエネルギーや穀物の価格高騰に拍車がかかっていることに加え、主要な国の間でインフレの抑制に向けた金融引き締めの動きが加速しているためです。

一方、▽厳しい制裁を受けるロシアの成長率はマイナス8.9%に、▽ウクライナはマイナス45.1%に、それぞれ落ち込むとしています。

世界銀行は、物価の上昇と景気の減速が同時に進む「スタグフレーション」のリスクが世界的に生じていると警鐘を鳴らし、とりわけ途上国の食糧不安や貧困の悪化に懸念を示しています。

世界銀行は7日、最新の世界経済見通しを公表し、2022年の世界実質GDP(国内総生産)成長率予測を2.9%に下方修正した。1月時点の予測は4.1%だった。

ロシアによるウクライナ侵攻が、新型コロナウイルスパンデミック(世界的な大流行)による打撃に追い打ちをかけ、多くの国にとって景気後退(リセッション)を避けるのが難しくなると想定。低成長とインフレの高止まりが長期間続く局面に入る可能性があるとした。

マルパス総裁は序文で「現時点でスタグフレーションに陥る危険性はかなり高い」と記した。「世界の大部分で投資が低迷していることから、鈍い成長が2020年代いっぱい続く可能性が高い。多くの国でインフレ率は数十年ぶりの高水準にあり、供給の伸びは緩やかにとどまる見込みであるため、高インフレが長期間続くリスクがある」とした。

世界成長率は21年の5.7%から22年に2.9%に減速し、23年と24年は同水準付近で推移すると予想。23年には世界のインフレ率は緩やかになるとみられるが、多くの国で目標値を上回る可能性が高いとした。

マルパス氏は記者会見で、下振れリスクが顕在化した場合、世界経済の成長率は22年に2.1%、23年に1.5%に落ち込み、1人当たりGDP成長率はゼロに迫るとの見解を示した。

世銀の地域別予測では、21年に5.1%に達した先進国の成長率は、22年には2.6%、23年には2.2%と急減速する見通し。

22年の米国とユーロ圏の成長率は、ともに2.5%と見込んだ。

22年の新興国・途上国の成長率は3.4%と、11─19年の年平均4.8%を大きく下回る水準にとどまるとした。21年は6.6%成長を達成していた。

中国は21年の8.1%から22年は4.3%に大幅に鈍化するとみている。

ウクライナ経済は45.1%、ロシア経済は8.9%のそれぞれマイナス成長になるとした。

「一過性」は誤り
イエレン米財務長官は国民の生活費上昇に関する議員らの質問攻めに遭い、インフレは高い状態が続く可能性が高いと回答。高インフレは長期化しないと昨年に予想したのは間違っていたと認め、自分自身もパウエル米連邦準備制度理事会FRB)議長も「『一過性』より良い表現を使えたはずだ」と話した。

予想さらに引き下げ
世界銀行は今年の世界経済成長率予想をさらに引き下げた。平均以上のインフレと平均以下の成長が数年続き、低中所得国・地域を不安定化させるリスクがあると警告。「世界的リセッション(景気後退)が回避できたとしても、大幅な供給増加が始まらなければスタグフレーションの痛みは数年続く可能性がある」と分析した。

軟着陸の「確率高い」
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のアンソニー・クレセンツィ氏は、米金融当局が経済のソフトランディング(軟着陸)を実現する確率は「かなり高い」と指摘。市場は金融当局をなお信頼しており、「深刻なリセッション(景気後退)の確率はかなり低い」とブルームバーグテレビジョンで述べた。

ロシア経済に警戒感
ロシアのプーチン大統領は景気に強さが見られると強調した上で、主要な産業セクターは深刻な減速に直面しつつあると警戒感を示した。ウクライナ侵攻後の世界的な制裁措置がロシアを苦境に追い込んでいる。プーチン氏は具体的に自動車セクターを挙げて懸念を示したほか、鉄鋼などの産業は「中期的に大幅な生産減に陥るリスク」があると指摘した。

上場維持も選択肢
東芝島田太郎社長は投資家やスポンサーから募集していた株式の非公開化を含む戦略的選択肢について、今後の検討次第では上場維持を選択する可能性もあることを示唆。ブルームバーグのインタビューで「株主の価値が上場していた方が最大化されること」になるなら、非公開化ではなく上場維持を選ぶこともあると述べた。

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