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保守党の党首選を采配する「1922年委員会」の委員長、サー・グレアム・ブレイディは、保守党関係者を前に、トラス氏が8万1326票、対立候補のリシ・スーナク前財務相が6万399票を得たと発表した。投票率は82.6%だったという。

勝利が予想されていたトラス氏の得票率は約57%で、思われていたより僅差の勝利だった。2019年にはボリス・ジョンソン氏が得票率66.4%で、2005年にはデイヴィッド・キャメロン氏が67.6%で、2001年にはイアン・ダンカン・スミス氏が60.7%で、それぞれ保守党党首選に勝っている。

エリザベス女王は現在、スコットランドのバルモラル城に滞在中のため、トラス氏はロンドンのバッキンガム宮殿ではなく、バルモラルを訪れ、組閣の要請を受ける予定。

イギリスではジョンソン首相の行動についてさまざまな批判が相次いだ後、多数の閣僚や与党関係者が抗議辞任するに至り、ジョンソン氏は7月初めに党首を辞任。党首選と次の首相選びは、それを機に始まった。保守党議員による投票を繰り返した末、リシ・スーナク氏とリズ・トラス氏が決選投票に残った。

保守党の新党首になったトラス氏は、党員のスタンディング・オベーションに歓迎されて壇上に上がり、党首になるのは名誉なことだと感謝した。スーナク氏や自分の支持者に感謝しながら、保守党が用意した「史上最も長い採用面接」にも感謝を述べて、会場を笑わせた。

ジョンソン首相がスーナク氏などに造反された後も首相を支持し続けたトラス氏は、壇上でジョンソン氏の指導力に感謝。ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を実現したとたたえ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に立ち向かい、最大野党・労働党を前回の総選挙で「たたきつぶした」と評価した。

ジョンソン氏について「あなたはキエフウクライナ語ではキーウ)から(イングランド北部の)カーライルに至るまで、尊敬されている」とも述べたが、会場の大勢が拍手するまでにしばらくかかった。

トラス氏は外相として、ジョンソン首相と同様、ウクライナを侵攻したロシアに対して、強硬姿勢を貫いてきた。

トラス氏はさらに、保守党の思想はイギリス国民に共鳴するものだと述べ、これは自分たちの生活を自分で決める自由と、低い税金を意味すると述べた。保守党の党首選でトラス氏は、物価高騰を前に、減税の必要性を訴え続けていた。

その上でトラス氏は、減税と合わせた経済成長の実現に向けて、「大胆な計画」があると強調。また、イギリスで深刻化する光熱費の高騰については、各家庭の支払額の上限導入に取り組むとともに、長期的なエネルギー供給問題にも抜本的に取り組むと述べた。

「私たちは実行する、実行する、実行する」とトラス氏は党首選の最中に繰り返した合言葉をここでも強調し、2024年の総選挙で再び労働党を破り、保守党を勝利に導くと約束した。

トラス氏はツイッターでも、「この厳しい時代をみんなで切り抜け、経済を成長させ、イギリスの可能性を解き放つため、大胆に行動します」と書いた。

一方、敗れたスーナク氏はツイッターで、「この党首選で私に投票してくれた皆さん、ありがとうございます」と感謝を表明し、「保守党は一つの家族です。私はずっとそう言い続けてきました」と書いた。

そして、「厳しい時代にこの国のかじ取りをするリズ・トラス新首相を支えて、全員が団結するべきです」と述べた。

スーナク氏はジョンソン政権の閣僚を辞任することで、他の多くの政府要職者が一気に辞任するきっかけを作った1人。党首選では財政政策をめぐり、トラス氏と繰り返し対立した。

トラス氏は、スーナク氏が財務相として4月から導入した国民保険料の引き上げを強く批判し、自分が首相になればこれを撤回すると公約したほか、大規模な減税策を示した。さらに、スーナク氏が財務相として昨年3月に発表した来年4月からの法人税引き上げも、中止すると公約した。

これに対してスーナク氏は、トラス氏のこうした経済政策は「おとぎ話」だと反論。新型コロナウイルスパンデミックを経た国の財政を立て直すには増税が必要だとして、まるで「ただで何かを手にする経済」が現実に可能だとでもいうような言説をトラス氏が振りまいていると批判していた。

最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、トラス氏の勝利を祝福しつつ、「保守党政権が12年も続いた挙句、その成果として目の前にあるのは、低賃金と物価高と、保守党のせいで起きた生活費の高騰危機だ」と批判。

「この国が必要とする新鮮な再出発を実現できるのは、労働党だけだ」とも述べた。

野党・自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首は、トラス政権はジョンソン政権と同じような「危機と混乱」をもたらすはずだと述べた。

1975年に数学教授の父親と看護師の母親のもとでオックスフォードで生まれたトラス氏は、後に両親を「左翼」と呼んでいた。幼いころに、スコットランドに引っ越し、リベラルとして育った。

オックスフォード大学に進学したトラス氏は、哲学・政治・経済のコースを専攻。様々な活動や政治運動に参加し、大学の自由民主党サークルの代表になった。

1994年の野党・自由民主党大会では、王制廃止を訴え、「私たち自由民主党員は、全員に機会が与えられることを支持します。生まれながらの支配者など信じません」と述べていた。

その一方で、「個人の自由と自己決定権」ならびに自由市場主義を支持するトラス氏は、卒業前に支持政党を保守党に切り替えた。これは両親に衝撃を与えたという。

今回の保守党党首選の渦中で、かつて左派で自由民主党員だったことを野次られると、「誰でも間違うことはあるし、誰でも10代に無謀なまねをすることがある」として、「若いころにセックスとドラッグとロックンロールにはまる人がいるように、私は(左派の)自由民主党に入っていた。ごめんなさい」と答えた。

大学卒業後は石油大手シェルなどの会計士として働いた。2000年には同じ会計士のヒュー・オリアリー氏と結婚し、後に子供2人をもうけた。

2001年に北部ウェストヨークシャー・ヘムスワース選挙区の保守党候補として初出馬したものの、敗退。2005年にも別の選挙区で落選した。その後は右派シンクタンクなどで働き、2010年に北部ノーフォークの保守党地盤から初当選。2012年に教育担当の閣外相になり、2014年には環境相として入閣した。

ブレグジットについては、国民投票に向けて欧州連合EU)残留派として活動したものの、EU離脱が決まると、「物事の仕組みを刷新する」機会になると評価した。

テリーザ・メイ政権では女性として初の大法官と法相になり、ジョンソン政権では国際貿易相を経て、外相に就任した。

外相としては、ウクライナ侵攻直前のモスクワを訪れ、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相に強硬姿勢を示し、侵攻後も厳しい対ロ姿勢を貫いてきた。

相次ぐ不祥事で辞意を表明したイギリスのジョンソン首相の後任を選ぶ、保守党の党首選挙は5日、結果が発表され、トラス外相が8万1326票と、スナク前財務相の6万399票を上回り、新しい党首に就任しました。

トラス氏はジョンソン政権の国際貿易相として、おととし、日本との経済連携協定に署名し、去年9月の外相就任後は、ロシアに対して強硬な姿勢を示し、ウクライナへの支援を積極的に進めてきました。

トラス氏は6日、エリザベス女王の夏の静養先のスコットランドを訪れ、女王から首相に任命されます。

女性としては3人目の首相となります。

イギリスでは、インフレ率が10%を超える記録的な水準となる中、賃上げを求める労働者のストライキが広がっていて、首都ロンドンの市民からは「トラス氏はエネルギー危機や、深刻な物価高などの課題に対処できるとは思えない。物価高は国を分断する問題で、懸念している」などという声が聞かれました。

トラス氏は首相に就任後、直ちに緊急の経済対策を打ち出し、減税やエネルギー確保に取り組む方針を示していますが、光熱費が一層高騰する冬を前に、国民の不安や不満を解消できるかが焦点です。

ジョンソン首相の後任の首相に就任するトラス氏について、ロンドンの街ではさまざまな声が聞かれました。

高齢の女性は「トラス氏はもちろん、光熱費の値上がりの問題や、移民対策などを優先課題とするべきだ。最善を尽くすと思う」と話し、期待を示していました。

一方で「トラス氏は、エネルギー危機や深刻な物価高、そしてウクライナ情勢といった課題に対処できるとは思えない。この国は、ますます持てる者と持たざる者に分かれており、物価高は国を分断する問題で懸念している」と話す男性もいました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、5日に公開した動画で、次のイギリスの首相に決まったトラス氏について、「彼女は常にヨーロッパの政治をよくしようとしていた。私たちの国を守ることや、すべてのロシアの破壊的な試みを阻止するために、より多くのことをともにできると信じている」と述べ、今後もイギリスとの連携を強化していく考えを示しました。

#藤和彦

英与党保守党は5日、ジョンソン首相の後任となる新党首にエリザベス・トラス外相を選出した。トラス氏が率いる新政権は物価高騰に伴う国民の生活費増大や労働紛争といった内政面の大きな課題を突き付けられる上に、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後の諸問題やウクライナの戦争など外交上の懸案を抱えた船出になる。

主な課題は次の通り。

◎生活費増大

目下の英国で最大の課題は、40年ぶりの物価高とエネルギー価格高騰、長引く恐れがある景気後退(リセッション)に苦しむ国民にどう支援の手を差し伸べるかだろう。

昨年は各家庭で平均1277ポンドだったエネルギー支出は今年10月以降、一気に3549ポンドに跳ね上がり、来年はもっと高まる見通しだ。

トラス氏は先月、生活費が危機的に膨らんでいる国民を支援する手段としては、各種給付金よりも減税が好ましいとの見解を示した。ただ現時点では、より幅広い家計支援策を打ち出すとみられている。

またトラス氏は首相就任後すぐに、減税とともに緊急的なエネルギー危機対策予算を計上すると約束。これらの措置には、党首選を争ったリシ・スナク氏が財務相時代に導入した国民保険料引き上げの撤回も含まれるだろう。

もっともこれで助かるのは主に所得の高い層になりそうだ。

ストライキ

新政権は発足後ただちに、強硬姿勢の労組指導者への対応を迫られる。英国では鉄道労働者から法曹家、医療従事者、大学職員までさまざまな働き手がストライキを実行中か計画している状況にある。物価高を受け、賃上げ要求に力が入っているからだ。

トラス氏は、労組によるストを抑えるために「厳格かつ断固とした」行動を取ると明言している。

ブレグジット

トラス氏は、ブレグジットの実務的な処理に取り組みつつ、前任のジョンソン氏が合意したEUとの離脱協定を修正するという約束を実行する必要がある。トラス氏は外相として、北アイルランド議定書の変更に向けた法案を推進してきた。これはジョンソン政権がEUと取り交わした離脱協定の一部、つまり英領北アイルランドとEU加盟国との開かれた国境を維持する目的で、北アイルランドを実質的にEUの関税圏にとどめるという内容を破棄する動きだ。

英国は長らく、この北アイルランド問題を巡るEUとの交渉で成果を得られない点に不満を持ち、議定書変更法案は英国の立場を守る予防的対応とみなしている。

しかしEU側は、新政権がこうした一方的行動を撤回しない限り、世界最大の研究開発助成プログラム「ホライズン」で英科学者に提供する枠を減らす対抗手段を行使するかもしれない。この対立は最終的に貿易戦争に発展しかねない雲行きと言える。

トラス氏は、まだ英国内で適用されているEUの法令を来年までに全て廃止する方針も表明している。

◎難民問題

英政府はこれまで、英仏海峡を小型船で渡航してくる亡命希望者をいかに減らすかに苦心を重ねてきた。

複数の政府関係者の話では、今年これらの人数は最大6万人と、過去最高だった昨年の2倍に達する恐れが出てきた。

そこで今年4月、政府は海を渡ってきた亡命希望者の一部をルワンダに移送し、同地で亡命手続きを行わせる計画を発表。その第1便出発は、欧州人権裁判所(ECHR)が直前に差し止めを命令した。

トラス氏は亡命希望者移送計画について、移送先となる国を拡大すると約束した。同氏はこの計画を断行する決意を示すとともに、ECHRが阻止し続けるならば英国はECHRを脱退するための法制化を進めるとしている。

ウクライナ

ロシアのプーチン大統領は、この冬に欧州が経済的痛みに耐えかね、ロシアのウクライナ侵攻に反対姿勢を後退させることを期待している。

英国はこれまでのところウクライナに対する最大の軍需物資支援国の1つで、約7000の対戦車兵器や数百のミサイル、戦闘装甲車を供給してきた。ウクライナ兵の軍事訓練も行っている。トラス氏はこうした英国のウクライナ向け軍事・経済支援を継続すると約束した。

問題は、ウクライナへの国際的な支援が弱くなる場合にどうなるかだ。

ただトラス氏は保守党党首選で、自身が首相になればウクライナにとって英国は「これ以上ないほど強力な同盟国」になると発言している。

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