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スイスの銀行大手UBSグループは、同業クレディ・スイス・グループを買収することに同意した。世界の金融市場に広がる恐れがあった信用危機を食い止めようと、スイス政府が歴史的な買収を仲介した。

  買収は30億スイス・フラン(約4300億円)規模の株式交換になり、合意には広範囲な政府保証と流動性供給が含まれる。クレディ・スイスの株式時価総額は17日終値時点で約74億フランで、買収額はこの半分未満となる。

  スイス国立銀行中央銀行)はUBSに1000億フランの流動性支援を提供する一方、政府はUBSが買収する資産から生じ得る損失に対し90億フランの保証を与える。スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)は、クレディ・スイス債約160億フラン相当が無価値になり、民間投資家がコストを負担することになると説明した。

  同計画は週末に急きょ開催された協議で取りまとめられた。顧客流出や、米国の比較的小規模な金融機関の破綻後1週間のクレディ・スイスの株・債券急落に対処することを目指す。スイス中銀が週半ばに行った流動性バックストップでは、カウンターパーティー離れを招きかねない市場の動揺に歯止めをかけることができず、業界により幅広く予期しない結果を招く恐れがあった。

  スイス中銀のヨルダン総裁は19日遅くの記者会見で、クレディ・スイスがシステム上重要な銀行であることを踏まえると、「迅速に行動し、できるだけ早く解決策を見いだすことが不可欠だった」と説明した。

市場の反応
  米連邦準備制度理事会FRB)と米財務省欧州中央銀行(ECB)はこの合意を歓迎した。両行とも米国で事業を営み、世界の金融システムにとって重要な銀行と見なされるため、米当局もスイス側と協力して関与しているとブルームバーグが先に報じていた。当局はアジアの金融市場が始まる前に合意を見いだすことを目指していた。

  買収合意や主要国・地域の中央銀行がドル供給を強化したのを受け、アジア時間20日早朝に米株価指数先物は上昇。FRBなど主要中銀6行は19日、国際金融システムで高まる緊張を緩和するため、米ドル・スワップ取り決めの下でドルの流動性供給拡充に向け協調行動を取ると発表した。

  UBSのコルム・ケレハー会長はここ数年損失を計上しているクレディ・スイス投資銀行部門を縮小すると述べ、CSファースト・ボストンのスピンオフの夢は終わる公算が大きいと話した。一方、クレディ・スイスの相対的に安定している1事業、スイス・ユニバーサル・バンクは、国内市場の集中を巡る懸念はあるものの維持される見通し。

  ケレハー会長は買収発表の記者会見で、「極めて明確にしておきたいのは、UBSはクレディ・スイス投資銀行業務を縮小し、当行の保守的なリスク文化に合致させる意向だということだ」と述べた。買収合意に伴う人員削減の可能性については、その規模に言及するのは時期尚早だと付け加えた。

  同会長は政府の保証が必要だった理由について、デューデリジェンス(資産査定)を行う時間がほとんどなかった上に、クレディ・スイスの帳簿に評価し難い資産がありUBSがそれを整理する計画だからだと説明した。その結果として損失が発生した場合は、UBSは最初の50億フランを、連邦政府は次の90億フランを引き受けることになる。それ以上の損失はUBSが負担する必要がある。

唯一可能な解決策  
  スイスのケラーズッター財務相は、「これは唯一可能な解決策だった」と述べ、スイスだけでなく国際金融市場を安定させるために必要なことだと指摘。クレディ・スイスはもはや単独では生き残れなかったと付け加えた。

  UBSは当初、約10億ドル(1株当たり0.25スイス・フラン相当)の買収案を提示。クレディ・スイスはこれに難色を示していたと、複数の関係者が明らかにしていた。

  英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、UBSはクレジット・デフォルト・スワップCDS)のスプレッドが大きく跳ね上がった場合には取引を無効にする「MAC条項」も求めていたが、この条件を和らげることにも同意した。

  1856年設立のクレディ・スイス買収はスイスのみならず、世界の金融業界に新たな歴史を刻む重要イベントになる。前身の銀行は山岳国であるスイスに鉄道網を敷くための資金融通を主な目的としていた。やがて世界有数の銀行に成長し、世界金融センターとしてのスイスの役割を象徴するまでになったが、金融危機後は銀行業の変革に追い付くのに苦戦した。

  UBSのルーツは160年余り前にさかのぼり、前身企業の数は約370社に及ぶ。1998年にスイス・ユニオン銀行とスイス銀行コーポレーションの合併で事業拡大は頂点を極めた。2008年の金融危機では政府に救済され、その脱却後は世界最大級の資産運用会社としての評判を築き、世界の富裕層にサービスを提供している。

  クレディ・スイス金融危機時に政府救済を受けなかったが、ここ数年は一連の損失や不祥事、幹部交代、訴訟といった問題が相次いでいた。財務の健全性に対する不安が強まり、昨年10ー12月で1000億ドルを超える顧客資金が流出。40億フランの増資後も資金流出は続いた。


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原題:UBS to Buy Credit Suisse in $3.3 Billion Deal to End Crisis (2)UBS to Buy Credit Suisse in $3.25 Billion Deal to End Crisis 、UBS to Buy Credit Suisse in Historic Deal to End Crisis (2)(抜粋)

スイスのベルセ大統領やスイスの中央銀行スイス国立銀行」などは19日、首都ベルンで記者会見を開きました。

このなかで「UBS」が「クレディ・スイス」を買収することで合意したことを明らかにしました。

「UBS」が株式交換の形で買収し、総額は30億スイスフラン、4200億円余りになる見通しです。この提案は17日時点の「クレディ・スイス」の企業の価値を示す時価総額・およそ1兆円を大きく下回るものです。
海外メディアは当初「UBS」は1300億円での買収を提案していたものの「クレディ・スイス」が難色を示していると伝えていました。

交渉はスイス政府や中央銀行の支援があったことでまとまったとしており、中央銀行などがアジアの金融市場が開く前に強力に交渉を仲介した形です。
また「スイス国立銀行」は2つの金融機関が最大で1000億スイスフラン、14兆円を超える資金供給の支援が受けられると発表しました。

クレディ・スイス」は、相次ぐ不祥事やリスク管理の甘さなどから業績が悪化していました。そのうえ顧客資金の流出が止まらず、今月15日には株価が急落するなど経営への不安が高まって世界の金融市場に動揺が走っていました。

クレディ・スイス」の買収で合意した「UBS」のケレハー会長は、会見の中で「はっきりさせておきたい。UBSはクレディ・スイス投資銀行業務を縮小し、われわれの保守的なリスク管理に合わせていく」と述べ、クレディ・スイスの業績悪化の一因となったリスク管理の甘さについて、改善を図っていく考えを強調しました。

その上で「今回の取り引きでクレディ・スイスの顧客に待望の安定をもたらせることをうれしく思う」と述べ、今回の合意をきっかけに金融市場の安定が図られることに期待感を示しました。

「UBS」による買収に合意した「クレディ・スイス」のレーマン会長は、会見で「きょうはクレディ・スイスと国際金融市場にとって非常に悲しくも歴史的な日だ。アメリカの銀行で最近起きた一連の出来事が私たちにとっては悪いタイミングだった」と述べ、アメリカで相次いだ銀行破綻がクレディ・スイスの経営にも大きな影響を及ぼしたという認識を示しました。

その上で「スイスと金融市場、それに私たちの顧客と従業員に、持続的な安定と安心をもたらす解決策が得られ、うれしく思う」として今回の合意内容を評価しました。

スイスの財務省は金融最大手「UBS」による「クレディ・スイス」の買収をめぐって、リスクを軽減するための支援策を講じると発表しました。

具体的には「UBS」が「クレディ・スイス」から引き継ぐ資産の価値が下がり、将来の損失が一定の額を超えた場合、政府が「UBS」に90億スイスフラン、日本円で1兆2000億円余りの政府保証を行うとしています。

買収にあたって「UBS」が「クレディ・スイス」の資産価値やリスクを十分に調査する時間がない中で政府がリスクを負担する支援策を打ち出すことで迅速な合意を後押ししたものとみられます。

スイスのベルセ大統領は会見の冒頭「クレディ・スイスはわが国の2大銀行の1つであり、その運命はスイスのみならず、金融システム全体にとって決定的なものになる」と述べ、交渉がまとまらなければ世界の金融システムに大きな影響を及ぼす恐れがあったという認識を示しました。

その上で「各関係者が負の影響を最小限に抑えるため力を尽くした。クレディ・スイスとUBSの間でまとまった解決策を歓迎する」と述べて、今回の合意内容を歓迎する考えを表しました。

スイスの金融大手「UBS」による「クレディ・スイス」の買収合意について、ヨーロッパ中央銀行のラガルド総裁は19日に「スイス当局の迅速な対応と決定を歓迎する」と声明を発表しました。

ラガルド総裁は声明の中で、ユーロ圏の銀行について「強固な資本と流動性がある」とした上で「必要に応じてユーロ圏での流動性資金の支援を提供する」としています。

また、イギリスの中央銀行イングランド銀行も19日、声明を発表しました。

声明では「金融の安定化をはかるためにスイス当局が行った一連の動きを歓迎する」とした上で「買収の発表に向けた準備が進む間、われわれは国際的なカウンターパートと緊密に連携をとっていて、引き続き支援していく。イギリスの銀行システムには十分な資本と資金があり、安全で健全な状態を維持している」としています。

スイスのUBSによる「クレディ・スイス」の買収合意について、アメリ財務省のイエレン長官とFRB連邦準備制度理事会のパウエル議長は共同で声明を発表しました。

声明では「金融システムの安定を支えるためスイス当局が発表した内容を歓迎する」とした上で「アメリカの銀行・金融システムは強固で健全だ。われわれは金融システムの安定に向けて世界の当局と緊密に連絡を取り合っている」としています。

米当局者は19日、国内銀行の預金流出が鈍化あるいは停止し、一部で逆転するなど、預金の動きが安定化したとの見方を示した。その上で、米銀からの預金流出はスイスの金融大手クレディ・スイスの問題と無関係だと述べた。

UBSによるクレディ・スイス買収の発表を受け、匿名を条件に語った。米銀はクレディ・スイスへのエクスポージャーをここ数カ月で減らしたため、限定的になっているとした。

米銀行当局がクレディ・スイスの状況についてスイス当局と連絡を取り合っているとも明らかにした。

アデエモ財務副長官も17日、CNBCに対し、過去5営業日の間に「地方銀行や小規模銀行の預金流出が収まり、緩やかに逆転しているケースもある」と述べていた。シリコンバレー銀行とシグネチャー・バンクの預金保険対象外も含めた預金の全額保護や、連邦準備理事会(FRB)の新たな資金供給措置が安定化につながったとの認識を示した。

クレディ・スイスは19日、UBSによる買収の一環としてスイス当局の指示の下、160億スイスフラン(172億4000万ドル)相当のAT1債(その他ティア1債)を無価値化すると発表し、債権者から怒りの声が上がった。

スイス金融市場監査局(FINMA)は、この決定がクレディ・スイスの資本増強につながると説明。民間投資家に痛みの分担を求めた格好だ。

FINMAのマーレン・アムスタッド局長は「大きすぎてつぶせない」金融機関の枠組みに沿って決めたと説明。

AT1債が無価値となる一方で、返済の優先順位が社債より下位となる株式の保有者は、UBSによる株式交換方式の買収で総額32億3000万ドルを受け取ることになる。

クレディ・スイスのAT1を保有するアクシオム・オルタナティブ・インベストメンツの調査責任者、ジェローム・ルグラス氏は「AT1所有者と株主の序列をどうして逆転できるのか理解できない」と批判した。

UBSのラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)はAT1債の無価値化について、クレディ・スイスが責任を問われないようFINMAが決定したと述べた。

当局の決定について投資家からは、他行がAT1債を発行しづらくなるとの指摘が聞かれた。

スイスの金融最大手の「UBS」は、「クレディ・スイス」を買収することで合意し、買収総額は30億スイスフラン、日本円にして4200億円余りになる見通しです。

この買収に伴って、スイス金融市場監督機構は19日、「クレディ・スイス」が発行していた「AT1債」と呼ばれる社債が無価値になると発表しました。
160億スイスフラン、日本円にしておよそ2兆2000億円に相当します。

AT1債は、2008年のリーマンショックで銀行救済に多額の公的資金が使われた反省から銀行が自己資本の不足に備えて導入を進めたものです。
資本不足に陥った場合には自己資本に組み入れることができます。

今回、金融当局はこの社債を無価値にして「クレディ・スイス」の自己資本を増やすとしています。

これを受けて金融市場では、この社債の損失が広がることに警戒感が強まりました。

市場関係者は「アジアで同じタイプの社債を発行する金融機関の株式を売る動きが強まった」と話しており、市場は不安定な状況が続いています。

20日のヨーロッパの株式市場は、クレディ・スイスの一部の債券が無価値になると発表されたことへの不安感から銀行株に売り注文が出て、各国の株価指数は値下がりしています。

ロンドンやパリ、フランクフルトなど、主要市場の株価指数は、日本時間の午後6時半現在で、0.5%程度の下落となっています。

このうち、クレディ・スイスの買収を決めたスイスの金融最大手の「UBS」の株価は一時10%以上と大幅に下落しました。

ヨーロッパの株式市場では、クレディ・スイスが救済の形で買収されたことや、日米欧の中央銀行が協調してドル資金の供給拡充を打ち出したことから、いったんは株価が値上がりしました。

しかし、クレディ・スイスの一部の債券が無価値になると発表されたことを受けて、売り注文が増える展開となっています。

20日のアジアとオセアニアの株式市場では、取り引き開始前にスイスの大手金融グループ「クレディ・スイス」の買収合意などが発表されたものの、投資家の懸念を取り除くまでにはいたらず、株価は下落しました。

各地の代表的な株価指数20日終値は先週末と比べて
▼香港で2.6%の大幅な下落となったほか、
▼オーストラリア・シドニーで1.3%、
シンガポールでも1.3%、
▼韓国では0.6%、それぞれ下落しました。

市場関係者は「世界の金融当局が投資家の不安を取り除こうと相次いで対応を示しているが、クレディ・スイスが発行した一部の社債が無価値になると発表されたこともあり、リスクを避けようとする動きが続いた」と話しています。

クレディ・スイスの買収に関する発表から一夜明け、チューリヒにあるクレディ・スイス本店の前では、通勤途中の人などが、人けのないオフィスをのぞき込んだり、写真を撮ったりする様子が見られました。

このうち、チューリヒ在住の女性は「国を代表する大銀行がこんな危機に陥るなんて、私たちスイス人にとって本当にショックです。今回、同じスイスの銀行が救ってくれて本当に安心しました」と胸に手を当てながら話していました。

また、以前から銀行経営に不満があったという男性は「私のような年金暮らしの者への支援をおろそかにして、銀行を助けるために税金を湯水のごとく使うなんて許せません。全く不公平です」と憤っていました。

一方、ドイツから銀行の様子を聞きに来たという部品メーカーの経営者は「銀行にとって一番大事な『信頼』が大きく損なわれてしまった。今回の銀行の統合で、不安がなくなったかというと疑問です。このまま金融市場が落ち着くのか正直不安な思いです」と話していました。

クレディ・スイスの買収をめぐる動きの背景や日本経済への影響について、ヨーロッパ経済が専門のニッセイ基礎研究所、伊藤さゆり研究理事に聞きました。

Q.なぜこうした事態に至ったのか。

A.先週の段階では、スイスの中央銀行クレディ・スイスの資金繰りを支援することを発表して、いったんはマーケットも落ち着いたように見えたが、この週末にかけて資金の流出が止まらなかった。
それだけアメリカの銀行の相次ぐ破綻などをきっかけに、市場の不安心理が高まっていた。
こうした資金の流動性の危機は非常に進行のスピードが速いのが特徴で、銀行の経営が追い込まれていった。

Q.なぜスイスの金融当局は、この週末に対応を急いだのか。

A.クレディ・スイスは、スイス国内だけでなくグローバルな金融スシテムにとっても影響力を持つ金融機関だ。
無秩序に経営破綻となれば、世界の金融システムが一時停止し、世界で取り引きが停止するような大きなインパクトを持つ可能性もあった。
スイスの金融当局もグローバルな金融危機の引き金は引きたくないという思いで、最小限に打撃を抑えるためには秩序だった再編が必要だった。
対策が取られないまま金融市場で今週の取り引きが始まっていればかなりの混乱が予想されていたので、短期間でまとめなければいけないということで、金融当局も支援して異例の措置が取られた。

Q.今回の買収に伴ってクレディ・スイスが発行した「AT1債」と呼ばれる社債の価値がゼロになると発表されたが、この影響は?

A.一般的に経営問題を抱えた金融機関が破綻などをした場合は、株式を持つ株主が、債券を持つ投資家よりも先に損失を負担することになる。
しかし、今回は、株主は必ずしも負担がゼロとはならない一方、AT1債を持つ投資家はその価値がゼロとなり、全額負担という形となった。
これまでAT1債は、大手の金融機関が発行しているかぎりにおいては、現実に損失が発生することはあまり意識されてこなかったが、今回の措置で改めてリスクを伴う債券だということが強く意識された。
その結果として、きょうのアジア市場でもこの債券をめぐって動揺が生じた。
今回は、短期間で買収をまとめなければいけないという異例の措置としてクレディ・スイスを買収しやすくするようないくつかの条件設定が行われたので、やむをえなかった面はあると思うが、AT1債のリスクをめぐる市場の動揺が金融システムに波及しないかという点が、今回の買収の副作用として心配される。

Q.日米欧の6つの中央銀行が協調して市場へのドルの供給を拡充すると発表したねらいは。

A.国際金融システムではドルを中心に取り引きが行われており、リーマンショックの際には、各国の金融機関でドルが不足して混乱を招いた経験がある。
現在も金融機関の間で不安心理がまん延している状況で非常に慎重になっているので、不安を和らげる必要ががあった。
各国の中央銀行が連携する形で金融機関が必要とするだけのドルを十分に供給すると約束することで、ドル不足による危機は防ぎますという強いメッセージとなっている。

Q.金融市場の混乱は収束するのか。

A.市場の不安心理は完全には払拭(ふっしょく)できていない。マーケットでは、今回のクレディ・スイスアメリカで破綻した銀行と同様の経営問題を抱えた金融機関がほかにもないのか、リスクの再評価が行われている状況で、今後も同様のことが起きる可能性は否定できない。
欧米の金融当局は、インフレを抑制するために金融引き締めを行う一方で、金融システムの安定を維持するために市場での流動性は潤沢に供給するという難しい対応を迫られており、しばらくは綱渡りの状況が続くと見られる。

Q.日本経済への影響は?

A.日本の金融機関ではアメリカのように特定の分野に預金を依存するような特殊なビジネスモデルは見られない。
また急激な利上げが進んだ欧米と比べて、日本でははるかに低水準に金利が抑えられるなど、欧米の金融機関とは取り巻く環境が違うので、欧米の金融機関のように資金流出が起きるリスクは低いとみられる。
ただ欧米での金融システムの混乱を通じて、想定以上に世界経済が減速して日本経済に影響がでるおそれもあり注視が必要だ。

スイスの金融大手UBSは、経営不安が強まっていた同業クレディ・スイスを30億スイスフラン(32億3000万ドル)で買収すると発表した。金融不安の拡大を恐れたスイス当局が主導して合意を取りまとめた。欧州中央銀行(ECB)など主要中銀は、銀行システムは健全だと強調した。

買収は株式交換の形で実施し、2023年末まで完了する見込み。

スイス国立銀行中央銀行)は、UBSとクレディ・スイスに1000億フラン(1080億ドル)の流動性支援を行うと発表した。

ECBはユーロ圏の銀行を支えるため、必要に応じ融資を行うと表明。スイス当局によるクレディ・スイスの支援は安定回復に「有益」だとした。「ユーロ圏の銀行部門は強固な資本・流動性の基盤があり、耐性がある」と指摘した。

米連邦準備理事会(FRB)と財務省もスイス当局による金融安定支援を歓迎すると表明した。

FRBはまた、ドルスワップ協定を通じた流動性供給でECB、イングランド銀行(英中銀)、スイス中銀、カナダ中銀、日銀と協調すると発表、連携して対応する姿勢を示した。

米中堅銀行のシリコンバレー銀行とシグネチャー・バンクが相次ぎ経営破綻して以来、金融市場に動揺が走り、米欧の当局が対応を余儀なくされた。

過去の不祥事で投資家や顧客の信頼が低下していたクレディ・スイスの株価は先週、25%急落。中銀から最大540億ドルの借り入れを行うと発表していた。

買収ではクレディ・スイスの株主が保有する同社株22.48株に対しUBS株1株を割り当てる。UBSは最大54億ドルの損失を引き継ぐ。

ECBは「いかなる場合もユーロ圏の金融システムに必要に応じ流動性を供給し、金融政策の円滑な効果波及を維持する政策措置がわれわれには十分備わっている」と強調した。

英中銀もスイス当局の介入を歓迎し、英国の銀行システムに資金は潤沢にあると表明した。

UBSによるクレディ・スイス買収のニュースを受け、外為市場でユーロ、ポンド、豪ドルが対米ドルで軒並み約0.4%上昇。リスク選好意欲がある程度高まったとみられる。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニア投資ストラテジスト、ブライアン・ジェーコブセン氏は「非常に大規模かつ断固たる介入だったようだ」と指摘。「市場が他のくすぶる問題に嗅覚を働かせない限り、かなり前向きな動きだ。各国政府は、火が燃え移って手に負えなくなる前に火種を消す決意だ」とし。

UBSのコルム・ケレハー会長は記者会見で、クレディ・スイス投資銀行部門を縮小すると説明。27年までに年間で約70億ドルのコスト削減を見込むとした。

#経営不安(銀行・クレディ・スイス

中国企業とスイスの証券取引所を接続する制度が、当の中国当局の怒りを買っている。ブルームバーグは16日、中国の証券規制当局が中国本土企業によるチューリヒでのグローバル預託証券(GDR)発行申請について、認可を中止したと報じた。

中国の投資家が海外でGDRを買って国内で売り、手早く一儲けしようとしている、という当局の懸念は正当なものだ。しかし、国際的な機関投資家がGDRに関心を抱いていない以上、そもそもこの制度自体がほとんど役に立たない。

ディールロジックのデータによると、昨年以降に中国企業11社がスイス証券取引所でGDRを発行し、総額36億ドルを調達した。本国より上場基準が緩く、認可スピードも速いため、ドル資金を調達したい中国企業にとって、スイス証取は魅力的な発行の場所となった。

IFRは先月、少なくとも30社が新たにチューリヒでのGDR発行計画を発表したと報じた。世界最大のリチウムイオン電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)は、欧州における中国GDR発行で過去最大規模となる50億ドルの発行を計画している。

だが、GDRは新たな国際的投資家を呼び込むどころか、中国のトレーダーにとって手軽な裁定取引の手段と化している。中国本土企業のGDRは、大半が国内の実勢価格より10%程度安く発行され、通常120日のロックアップ期間が過ぎれば、上海か深センの上場株に転換できる。

このため海外資金にアクセスできる目ざとい投資家たちは、中国上場株を空売りして割安なGDRを買うことで、比較的小さいリスクで手早く儲けを手にできる。

スイス発行のGDRがほとんど売買されていないのは、このためだ。電池メーカーの欣旺達電動汽車電池は昨年11月、深セン上場株より16%安い価格で4億4000万ドル相当のGDRを発行したが、その半分以上は深セン上場株に転換されたことを最近明らかにした。

同業の国軒高科は昨年、GDRを発行したものの、ロックアップ期間が空けて以来、売買が一切行われていない。

中国規制当局がGDRの認可手続きを厳格化し、参加する投資家を精査するようになれば、新規投資家の誘致に関心が無い企業をふるいにかけることが可能かもしれない。国境を越えた裁定取引を取り締まれば、GDRを本土上場株に転換する際に生じる本土株の下落圧力を和らげることもできそうだ。

それでも根本的な問題は残る。国際的な投資家は欧州の証券取引所で中国株を買うことにほとんど関心がない。CATLなどの株は上海や深センといった、より流動性の高い市場で直接取引する手段がいくらでもあるからだ。

中国株のロンドン上場を可能にする同様の制度も、流動性の低さが一因で苦戦した。中国企業の上場を呼び込みたいスイスおよび他の欧州証券取引所も同じ運命をたどりそうだ。

米当局者は19日、国内銀行の預金流出が鈍化あるいは停止し、一部で逆転するなど、預金の動きが安定化したとの見方を示した。その上で、米銀からの預金流出はスイスの金融大手クレディ・スイスの問題と無関係だと述べた。

UBSによるクレディ・スイス買収の発表を受け、匿名を条件に語った。米銀はクレディ・スイスへのエクスポージャーをここ数カ月で減らしたため、限定的になっているとした。

米銀行当局がクレディ・スイスの状況についてスイス当局と連絡を取り合っているとも明らかにした。

アデエモ財務副長官も17日、CNBCに対し、過去5営業日の間に「地方銀行や小規模銀行の預金流出が収まり、緩やかに逆転しているケースもある」と述べていた。シリコンバレー銀行とシグネチャー・バンクの預金保険対象外も含めた預金の全額保護や、連邦準備理事会(FRB)の新たな資金供給措置が安定化につながったとの認識を示した。

ニューヨーク州に拠点を置くシグネチャーバンクは暗号資産関連の企業向けの融資で知られていましたが、去年11月に暗号資産の交換業大手のFTXトレーディングが破綻し、今月にはシリコンバレーバンクが破綻したことから預金の引き出しが相次いで経営が悪化し今月12日に経営破綻しました。

資産規模は去年末の時点でおよそ1103億ドルにのぼりアメリカの銀行として過去3番目の規模の破綻でした。

シグネチャーバンクの資産はFDICが引き継ぎ買収先を探していましたがFDICは19日、同じニューヨーク州に拠点を置くニューヨーク・コミュニティーバンコープ傘下のフラッグスター銀行が預金と資産の一部を買収することで合意したと発表しました。

FDICには最大で3億ドル、およそ400億円相当が支払われます。

ただ、シグネチャーバンクのデジタルバンキング部門の40億ドルの預金は買収の対象外で、FDICシグネチャーバンクの破綻によって現時点でおよそ25億ドル、日本円で3300億円の費用が生じるとしています。

#経営破綻(銀行・シグネチャーバンク)

連邦預金保険公社(FDIC)は、経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB)の直近の売却入札で買い手が現れなかったことを受け、事業を分割した上で再度買い手を募る方法を視野に入れている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者の1人は、FDICがまず22日にSVBのプライベートバンク部門の売却手続きに着手することを選択肢として考えていると述べた。プライベートバンク部門はSVBのリテール事業に属し、富裕な個人を顧客としている。

関係者の話では、FDICは24日にSVBの貯蓄銀行部門について別途売却入札を行う予定だが、こうした計画は今後変更される可能性もある。貯蓄銀行部門もリテール事業の一部で、消費者からの全預金を管理している。

#経営破綻(銀行・シリコンバレーバンク)

#経営破綻(銀行・シリコンバレーバンク)

週明けの東京市場が始まる前の日本時間の20日早朝、日銀とアメリカのFRB連邦準備制度理事会ヨーロッパ中央銀行イングランド銀行カナダ銀行、それにスイス国立銀行の6つの中央銀行は、協調して金融市場へのドル資金の供給を拡充すると発表しました。

ドルを市場に供給する資金供給の頻度をこれまで週単位だったのを毎日できるようにし、20日から、少なくとも来月末まで実施するとしています。

金融市場が動揺する中で投資家の間で主要通貨のドルを手元に確保しておこうという需要が高まると見込まれ、これに対応する措置を打ち出すことで市場の混乱を抑えるねらいがあります。

今回の対応について日銀は「グローバルな資金調達市場の緊張を緩和する重要な安全弁として機能することでこうした緊張が家計や企業に対する信用供給に及ぼす影響を軽減することに資するものだ」としています。

日銀や各国の中央銀行が協調して主要通貨のドルを供給したのは2008年のリーマンショックのときが初めてで、2020年3月に新型コロナの感染拡大の影響で金融市場の動揺が続いた際にも協調してドル資金の供給を拡充する措置をとっています。

鈴木財務大臣は、財務省内で記者団の取材に応じ、「各中央銀行がそれぞれ連携し合うということで、評価している」と述べました。

また、経営不安にさらされているスイスの大手金融グループ「クレディ・スイス」を同じスイスの金融最大手「UBS」が買収すると発表したことについて、鈴木大臣は「特に日本の金融機関にどういう影響を与えるのか、今後ともよく注視していかなければならない」と述べました。

歴史的
スイスの銀行大手UBSグループは、同業クレディ・スイス・グループを買収することに同意した。世界の金融市場に広がる恐れがあった信用危機を食い止めようと、スイス政府が歴史的な買収を仲介した。買収は30億スイス・フラン(約4300億円)の株式交換になる。クレディ・スイスの株式時価総額は17日終値時点で約74億スイス・フラン。買収額はこれを大きく下回る。1856年設立のクレディ・スイス買収はスイスのみならず、世界の金融業界に新たな歴史を刻む重要イベントになる。同行はここ数年、一連の損失や不祥事、幹部交代、訴訟といった問題が相次いでいた。財務の健全性に対する不安が強まり、昨年10ー12月で1000億ドルを超える顧客資金が流出。40億フランの増資後も資金流出は続いた。

解体
破綻したシリコンバレー銀行(SVB)を巡り、連邦預金保険公社(FDIC)は解体に向けて動いていることが明らかになった。受け皿銀行の入札期限は当初19日だったが、適切な買い手が見つからず、24日に延長されたという。FDICは現在、同行を少なくとも2つに分割して売却することを模索。SVBプライベート・バンクの入札は22日までに行う予定だという。最終決定はされておらず、売却プロセスのスケジュールや構造は変わる可能性がある。

今週発表か
ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)は破綻したシグネチャー・バンクの買収で合意を目指していると、事情を知る複数の関係者が明らかにした。今週中にも連邦預金保険公社(FDIC)が合意を発表する可能性があるという。非公開の情報のため、関係者らは匿名で話した。最終決定はまだで、交渉が決裂する可能性もあるという。NYCB、およびFDICの担当者はコメントを求めるメッセージに返信していない。

オマハの賢人
米SVBの経営破綻など同国地銀の危機連鎖を背景に、投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを率いる資産家ウォーレン・バフェット氏がバイデン政権高官と接触していることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。一連の話し合いでは、バフェット氏が米地銀セクターに何らかの方法で投資する可能性が議論の中心となっている。ただ、バフェット氏は現在の混乱全般についても勧告や助言を行っているという。バフェット氏には過去に何度も、危機に陥った銀行の救済に乗り出し、投資家として抜群のステータスと資金力を武器に信頼回復につなげた実績がある。

予測困難
パウエル米連邦準備制度理事会FRB)議長率いるFOMCは今週、インフレ抑制のための利上げを続けるか、米地銀破綻の連鎖を受けた市場の混乱を背景に利上げを一時停止するかという、極めて困難な判断に直面する。SVB破綻とその影響が波及する前の段階では、0.5ポイントの追加利上げが見込まれていた。しかしその後の金融市場のボラティリティーの高まりを踏まえ、FRBウオッチャーの多くは今週の会合での利上げ幅が0.25ポイントになると予想しているほか、当局が利上げを一時停止するとの観測も一部で浮上している。最新の四半期経済予測と、会合後のパウエル議長の記者会見も注目される。

欧米の金融不安への懸念を背景に、比較的安全な資産だとされる金の需要が高まり、大阪取引所で取り引きされている金の先物価格は20日、5営業日連続で取り引き時間中の最高値を更新しました。

大阪取引所で金の先物の取り引きの中心となる「来年2月もの」の先物価格は、午後の取り引きで一時、1グラムあたり8411円まで上昇し、最高値を更新しました。

市場関係者は「経営不安にさらされていたクレディ・スイスの買収や、日米欧の6つの中央銀行によるドル資金の供給の拡充が決まったものの、金融市場の懸念はなお根強く、比較的安全な資産だとして金を買う動きが続いている」と話しています。

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