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広島市平和公園で午前8時から行われた平和記念式典には、被爆者や遺族の代表をはじめ、岸田総理大臣のほか、過去最多となる111の国の代表が参列しました。

ことしの参列者は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前と同じ規模のおよそ5万人となりました。

式典では、この1年で亡くなった人や死亡が確認された人、あわせて5320人の名前が書き加えられた33万9227人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められました。

そして、原爆が投下された午前8時15分に、参列者全員が黙とうをささげました。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続け、核による威嚇を繰り返す中、ことし5月のG7広島サミットでまとめられた「広島ビジョン」では、核兵器のない世界の実現が究極の目標であることが再確認された一方、「核兵器は存在するかぎり、防衛目的のために役割を果たすべき」といった考え方が示されました。

これについて広島市の松井市長は、平和宣言で「世界の指導者は、核抑止論は破綻しているということを直視し、私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取り組みを早急に始める必要があるのではないか。平和な世界の実現に向け、為政者に核抑止論から脱却を促すことがますます重要になっている」と訴えました。

その上で、各国の為政者に対して、核による威嚇を直ちに停止し、対話を通じた信頼関係に基づく安全保障体制の構築に向けて一歩を踏み出すことを強く求めました。そして、日本政府には一刻も早く核兵器禁止条約の締約国になることや、まずはことし11月の締約国会議にオブザーバーとして参加することを要望しました。

続いて、地元の小学生2人が「平和への誓い」として、「被爆者の思いを自分事として受け止め、自分のことばで伝えていきます。誰もが平和だと思える未来を、広島に生きる私たちがつくっていきます」と述べました。

岸田首相「核兵器ない世界実現へ国際的な機運を呼び戻す」

また、岸田総理大臣はあいさつの中で、「核兵器によってもたらされた広島、長崎の惨禍は決して繰り返してはならない。わが国は引き続き非核三原則を堅持しながら唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』の実現に向けた努力をたゆまず続ける」と述べました。

その上で「現在、核軍縮をめぐる国際社会の分断の深まりやロシアによる核の威嚇などにより、その道のりはいっそう厳しいものになっている。しかし、このような状況だからこそ『核兵器のない世界』の実現に向け、国際的な機運をいま一度呼び戻すことが重要だ」と強調しました。

さらに、ことし5月のG7広島サミットに触れ「世界のリーダーたちに被爆者の声を聞いていただき、被爆の実相や平和を願う人々の思いに直接触れてもらった。すでに始まっている『国際賢人会議』の議論も踏まえながら『核兵器のない世界』の実現に向け引き続き積極的に取り組んでいく」と訴えました。

そして「被爆者の方々に対しては、原爆症の認定についてできる限り迅速な審査を行う」と述べ、高齢化が進む被爆者に寄り添いながら総合的な援護施策を推進していく考えを強調しました。

被爆者の平均年齢は85歳超に

原爆投下から78年がたち、被爆者の平均年齢は85歳を超えました。

高齢化が進む被爆者たちの悲惨な体験や核兵器廃絶を願う声をどのように引き継いで未来に伝え続けていくのか。核の脅威が高まる今こそ、問われています。

被爆地・広島はきょう1日、犠牲者を追悼する祈りに包まれるとともに、核兵器のない世界の実現を国内外に発信することになります。

維新 馬場代表「核兵器禁止条約の締約国会議に参加すべき」

日本維新の会の馬場代表は、広島市で開かれた平和記念式典に出席したあと、記者団に対し「原子爆弾の投下から78年になり、世界中から核を無くそうという声はあがるが、実際にアクションが進んでいる状況ではない。日本としても、ことし11月に開かれる核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバーとして参加すべきだ」と述べました。

一方で馬場氏は、日本の安全保障をめぐる環境を踏まえ「現状、日本が最悪な緊急事態を迎えた場合に、アメリカの核で守られることは動かしようのない事実だ。アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する『核シェアリング=核共有』の議論をアメリカと進めることは非常に重要だ」と指摘しました。

78年前の原爆投下の日を、まるで生き地獄のようだったと振り返る当時8歳の被爆者は、「核兵器を保持する国の指導者たちは、広島、長崎の地を訪ね、自らの目で、耳で、被爆の実相を知る努力をしていただきたい。あの日、熱線で灼(や)かれ、瞬時に失われた命、誰からも看取られず、やけどや放射能症で苦しみながら失われていった命。こうして失われた数え切れない多数の人々の命の重さを、この地で感じてもらいたい。」と訴えています。

本年5月のG7広島サミットで各国首脳が平和記念資料館の視察や被爆者との対話を経て記帳された芳名録は、こうした被爆者の願いが各国首脳の心に届いていることの証しになると思います。

また、慰霊碑を参拝された各国首脳に私から直接お伝えした碑文に込められた思い、すなわち、過去の悲しみに耐え、憎しみを乗り越えて、全人類の共存と繁栄を願い、真の世界平和を祈念する「ヒロシマの心」は、皆さんの心に深く刻まれているものと思います。

こうした中、G7で初めて「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が独立の文書としてまとめられ、全ての者にとっての安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現が究極の目標であることが再確認されました。

それとともに、各国は、核兵器が存在する限りにおいて、それを防衛目的に役立てるべきであるとの前提で安全保障政策をとっているとの考えが示されました。

しかし、核による威嚇を行う為政者がいるという現実を踏まえるならば、世界中の指導者は、核抑止論は破綻しているということを直視し、私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取組を早急に始める必要があるのではないでしょうか。

市民社会においては、一人一人が、被爆者の「こんな思いは他の誰にもさせてはならない」というメッセージに込められた人類愛や寛容の精神を共有するとともに、個人の尊厳や安全が損なわれない平和な世界の実現に向け、為政者に核抑止論から脱却を促すことがますます重要になっています。

かつて祖国インドの独立を達成するための活動において非暴力を貫いたガンジーは、「非暴力は人間に与えられた最大の武器であり、人間が発明した最強の武器よりも強い力を持つ」との言葉を残しています。

また、国連総会では、平和に焦点を当てた国連文書として「平和の文化に関する行動計画」が採択されています。

今、起こっている戦争を一刻も早く終結させるためには、世界中の為政者が、こうした言葉や行動計画を踏まえて行動するとともに、私たちもそれに呼応して立ち上がる必要があります。

そのため、例えば、私たちが日常生活の中で言葉や国籍、信条や性別を超えて感動を分かち合える音楽や美術、スポーツなどに接し、あるいは参加して「夢や希望がある」といった気持ちになれるような社会環境を整えることが重要となります。

皆さん、そうした社会環境を整えるために、世界中に「平和文化」を根付かせる取組を広めていきましょう。

そうすれば、市民の支持を必要とする為政者は、必ずや市民と共に平和な世界に向けて行動するようになると確信しています。

広島市は、世界166か国・地域の8,200を超える平和首長会議の加盟都市と共に、市民レベルでの交流を通して「平和文化」を世界中に広めます。

そして、平和を願う私たちの総意が為政者の心に届き、武力によらず平和を維持する国際社会が実現する環境を作ることを目指しています。

また、被爆者の平和への思いを世界中の若者に知ってもらい、国境を越えて広め、次世代に引き継げるようにするために、被爆の実相に関する本市の取組をさらに拡充していきます。

各国の為政者には、G7広島サミットに訪れた各国首脳に続き、広島を訪れ、平和への思いを発信していただきたい。

その上で、市民社会が求める理想の実現に向け、核による威嚇を直ちに停止し、対話を通じた信頼関係に基づく安全保障体制の構築に向けて一歩を踏み出すことを強く求めます。

日本政府には、被爆者を始めとする平和を願う国民の思いをしっかりと受け止め、核保有国と非核保有国との間で現に生じている分断を解消する橋渡し役を果たしていただきたい。

そして、一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となり、核兵器廃絶に向けた議論の共通基盤の形成に尽力するために、まずは本年11月に開催される第2回締約国会議にオブザーバー参加していただきたい。

また、平均年齢が85歳を超え、心身に悪影響を及ぼす放射線により、生活面で様々な苦しみを抱える多くの被爆者の苦悩に寄り添い、被爆者支援策を充実することを強く求めます。

本日、被爆78周年の平和記念式典に当たり、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、被爆地長崎、そして思いを同じくする世界の人々と共に力を尽くすことを誓います。

令和5年(2023年)8月6日 広島市長 松井 一實

#広島平和記念式典(松井市長「核抑止論から脱却を」)

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#NPT=核拡散防止条約(準備委員会・広島長崎市長・スピーチ)

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映画版『はだしのゲン』の原爆投下シーン

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#G7(広島サミット2023・「広島ビジョン」・松井広島市長「核兵器が存在するかぎり、防衛目的で役立てるべきとの考えが示された」・平和宣言「核抑止論からの脱却」)
#G7(広島サミット2023・「広島ビジョン」・鈴木史朗長崎市長・G7広島サミット評価も核抑止前提を批判)

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#ジョセフ・ナイ(核倫理再訪)

 広島で被爆したカナダ在住のサーロー節子さん(91)が6日、平和記念式典に参列し、記者会見した。岸田文雄首相のあいさつを核兵器廃絶に向かう具体的な計画を聞きたかった。物足りなかった」と批判した。一方、松井一実市長が「核抑止論は破綻している」と言及した点は「うれしかった」と評価した。

平和記念式典が行われたあと、広島市内のホテルでは被爆者団体の代表7人が岸田総理大臣と面会して、要望を行いました。

この中で被爆者団体側は、G7広島サミットで発表された核軍縮に関する「広島ビジョン」では、核抑止体制からの脱却と核廃絶への道筋を示せていないとして、核兵器禁止条約に日本も署名と批准をするよう求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「核兵器禁止条約は重要な条約だが、核兵器国は1か国も参加していない」と指摘したうえで、「核兵器国を条約に、どれだけ近づけさせることができるかが唯一の戦争被爆国であるわが国の大きな責任だ」と述べました。

そして「『広島ビジョン』を確かな土台として、FMCT=兵器用核物質生産禁止条約やCTBT=包括的核実験禁止条約といった具体的な取り組みを進めていくことが大きな責任だ」と述べました。

また、原爆症認定の審査の迅速化に向けた取り組みを強化していく考えを示しました。

一方、被爆者団体が求めていた11月に開かれる核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加については、直接言及しませんでした。

県被団協 箕牧理事長 “被爆者の考え方とマッチしていない”

岸田総理大臣らと面会したあと、広島県被団協の箕牧智之理事長は報道陣の取材に応じ、「『核兵器国は1か国も参加していないのが現実で、核兵器国を条約にどれだけ近づけさせることができるかが重要だ』という岸田総理大臣の考え方は、被爆者の考え方と基本的にマッチしていない」と話していました。

また、もう1つの広島県被団協の佐久間邦彦理事長は核兵器禁止条約に核保有国が入ることを前提にするのではなく、核兵器をなくしていこうという国々を被爆国の日本が引っ張っていくことが大切だ」と話していました。

岸田首相 原爆養護ホームを訪問

岸田総理大臣は被爆者団体の代表と面会したあと、高齢の被爆者が暮らす広島市の原爆養護ホーム「倉掛のぞみ園」を訪れておよそ40人の入所者を前にあいさつし、「新型コロナの感染で大変な時、オンラインで中学生に悲惨な経験を伝える努力をしていただいたと聞いており心から敬意を表したい。これからもしっかりと支援し、応援させていただく」と述べました。

#核兵器禁止条約(被爆者団体「署名批准求める」・岸田首相「拒否」)

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#外交・安全保障