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日本製鉄がアメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」を買収する計画をめぐって、アメリカのバイデン大統領は14日「USスチールは国内で所有、運営されるアメリカ企業であり続けることが不可欠だ」とする声明を出し、外国企業による買収には否定的な考えを示しました。民間企業の買収計画に現職の大統領が直接言及するのは極めて異例です。

日本製鉄は去年12月、アメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」を買収することで両社の間で合意したと発表し、買収額はおよそ2兆円にのぼる見通しです。

この買収計画をめぐってアメリカのバイデン大統領は14日、「USスチールは1世紀以上にわたってアメリカの象徴的な鉄鋼会社であり、国内で所有、運営されるアメリカ企業であり続けることが不可欠だ」とする声明を出しました。

このなかでバイデン大統領は「私は鉄鋼産業の労働者に『彼らを後押ししている』と言ったがそれは本心だ」と強調していて外国企業による買収には否定的な考えを示しました。

民間企業の買収計画に現職の大統領が直接言及するのは極めて異例で民主党の支持母体である鉄鋼業界の労働組合が反対していることから、バイデン大統領としては秋の大統領選挙を前に労働者の支持を取りつけたいねらいがあるものとみられます。

この買収計画をめぐっては民主・共和両党の一部の議員が鉄鋼産業はアメリカの安全保障に不可欠だなどとして強く反発しているほか返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領も「私なら即座に阻止する」として買収を認めない考えを明らかにしています。

4月に日米首脳会談 カービー補佐官「同盟関係 もっとも強固」
日米関係をめぐっては、アメリカのバイデン大統領が、岸田総理大臣を4月、国賓待遇で迎え、首脳会談などが予定されています。

こうした中、バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収計画に否定的な考えを示したことについて、ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は14日、記者団から日本側にどのように説明するかを問われました。

これに対しカービー補佐官は「日本との同盟関係はこれまででもっとも強固だ。バイデン大統領は外交や経済、それに安全保障など、二国間関係における幅広い課題について協議するのを楽しみにしている」と述べるにとどめました。

アメリカ 鉄鋼業界の労働組合 大統領声明を歓迎
日本製鉄がアメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」を買収する計画をめぐって、アメリカのバイデン大統領が買収に否定的な考えを示したことをうけて、アメリカの鉄鋼業界の労働組合、USW=全米鉄鋼労働組合は14日、歓迎する声明を発表しました。

声明では「外国企業によってアメリカ最大の鉄鋼メーカーの1社が買収されることは国防と重要インフラという観点からアメリカをぜい弱にするものだ」としています。

そのうえで「『USスチールは国内で所有、運営されるアメリカ企業であり続けなければならない』というバイデン大統領の声明は買収をめぐる議論に終止符を打つものだ。バイデン大統領は組合員を後押しすると語っており、私たちは大統領の揺るぎない支援に感謝している」としています。

外国企業の業界団体「今回の買収は政治に左右される」
バイデン大統領の声明についてアメリカに投資する外国企業でつくる業界団体「グローバル・ビジネス・アライアンス」のナンシー・マクラーノンCEOはNHKの取材に対し、「非常に困ったことだが今回の買収は政治に左右されるすべての要素を備えている」と指摘しました。

具体的にはUSスチールが本社を置くペンシルベニア州はことし秋の大統領選挙のカギを握る激戦州の1つで、鉄鋼業界の労働組合の本部もありバイデン大統領とトランプ前大統領がそれぞれ支持の獲得をねらっているため、政治的に重要な問題になっているとしています。

また「法律的にはこの買収を阻止する理由があるとしたら国家安全保障上の問題で、政府の外国投資委員会が審査することになっているがバイデン大統領がその審査プロセスを待たずに声明を出したことに驚いている」と述べ今後、日本を含む外国の企業がアメリカに投資などを行う際大きな影響を与える可能性があるという考えを示しました。

さらに外国企業による買収に否定的なバイデン大統領の声明をうけて今後、アメリカの鉄鋼メーカーがUSスチールに買収のオファーを出し買収が成立する可能性があると指摘しました。

その上で「日本はアメリカに対する最大の投資国であり多くの労働者を雇用している。アメリカと日本は常に強力な同盟国だったが今回の声明がその妨げにならないことを願うし、バイデン大統領が再検討することを願っている」と述べました。

これまでの経緯は
日本製鉄が「USスチール」を買収することで両者の間で合意したと発表したのは去年12月でした。

しかし、発表の直後、アメリカの鉄鋼業界の労働組合、USW=全米鉄鋼労働組合が買収を非難する声明を発表し、一部の議員からも強い反発の声が上がりました。

このうち民主党のフェターマン上院議員は旧ツイッターのXに「労働者、そしてペンシルベニア州にとって間違っており実にとんでもないことだ」と投稿しました。

また共和党ではバンス上院議員が「金のためにアメリカの防衛産業基盤の極めて重要な部分が売却されることになった」という声明を発表しました。

こうした中、ホワイトハウスも去年12月には「バイデン大統領は、外国企業による買収は、同盟国であっても安全保障とサプライチェーンへの潜在的な影響という観点から真剣な精査に値すると考えている」という声明を発表していました。

一方、ことし秋の大統領選挙に向けて共和党の候補者になることが固まっているトランプ前大統領は「ひどい話だ。私なら即座に阻止する。絶対にだ」と述べ、大統領に再び就任した場合には買収を認めない考えを明らかにしています。

USスチールが本社を置くペンシルベニア州民主党共和党の支持がきっ抗する激戦州で、2016年の大統領選挙ではトランプ氏が制した一方、2020年はバイデン氏が勝利しています。

秋の大統領選挙でも勝敗のカギを握る重要な州となっていて、バイデン氏とトランプ氏はいずれも労働組合や労働者にアピールするねらいもあるとみられています。

日本製鉄「強い決意のもとプロセスを完遂」
日本製鉄は15日USスチールの買収に関して新たなコメントを発表しました。

この中では「USスチールへの投資の拡大と先進技術の提供を通じてアメリカの優位性を高め、アメリカのサプライチェーンと中国に対する経済安全保障を強化します。独占禁止法の要件を満たした上で、このようなアメリカの優位性強化を独力で実現しうるほかのアメリカ企業はありません。強い決意のもとプロセスを完遂し、本買収を完了させて参ります」などとしています。

官房長官「日米同盟 かつてなく強固に」
官房長官は、閣議のあとの記者会見で「声明については承知しているが、個別の企業の経営に関してコメントすることは差し控えたい。いずれにせよ、日米同盟はかつてなく強固になっており、インド太平洋地域の持続的・包摂的な経済成長の実現や、ルールに基づく自由で開かれた経済秩序の維持・強化などで、引き続き連携していく」と述べました。

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