随意契約による政府の備蓄米は、楽天グループやアイリスオーヤマの通販サイトで、29日から販売や予約の受け付けが始まりました。29日に予定していた分は完売したということです。
また小泉農林水産大臣は、小売業者に売り渡す令和4年産と令和3年産の備蓄米を試食し、去年やおととし収穫されたコメと比べても味に大きな違いはないとPRしました。
※記事の後半で、備蓄米の購入申し込みが確定した61社を紹介しています。
目次
古いコメ 味や香りの違いは?比べてみると…
どこで買える? 購入申し込みが確定した61社を一覧で
備蓄米を購入できた人は
小泉農相 備蓄米を試食「味に大きな違いはない」
今回の随意契約による備蓄米の売り渡しでは、令和4年産のいわゆる「古古米」と、令和3年産のいわゆる「古古古米」が対象になっています。
小泉大臣は29日、この2種類のコメと、去年やおととし収穫された2種類のコメを食べ比べました。
小泉大臣は「古古古米」については、「少し硬さを感じた」としながらも、「どれもおいしく食べられた」と述べ、ほかのコメと比べても味に大きな違いがないとPRしていました。
その上で「味や品質について、どうなのかという指摘があることも事実だ。販売店によってはブレンドをしたり、いろんな知恵や形が出てくると思うし、調理の提案や情報も出てくるかもしれない」と述べました。
古いコメ 味や香りの違いは?比べてみると…
古いコメの味や香りの特徴について、新潟大学の三ツ井敏明特任教授に聞きました。
古いコメを炊飯した時の香りを分析した結果、いわゆる「古米臭」の原因と言われている「ヘキサナール」という物質の値に、特徴がみられたということです。
実際に炊いてみると違いはあるのでしょうか。用意されたのは「コシヒカリ」の令和2年産、4年産、6年産の3種類です。同じ水分量で同じ時間をかけて炊きました。
越塚リポーターが味や香りを比べると……。令和6年産は、甘い、いい香りがしました。
令和4年産は、少し香りに違いがありますが、嫌な香りはしません。一方で見た目は、ちょっとツヤが薄く、そこまでお米がたっていない感じもしました。
そして令和2年産は、水けが足りないかという見た目の違いはわずかに感じますが、香りはそんなに違いがわかりませんでした。
こうしたコメに適した炊き方や保管方法について、三ツ井特任教授は「水分量としては、ちょっと新米よりは少なくなっているので、少し多めの水をあげてやるのはいいのかもしれません。温度が高くなりますと、酸化が進むということで味が悪くなりますので、冷蔵庫などを使って保管するといいです」と話していました。
備蓄米は保管のルールも決まっていて、農林水産省は5年間保管されたコメでもおいしく食べることができるとしています。
備蓄米 大手生活用品メーカーの精米工場に到着
仙台市に本社がある大手生活用品メーカー、アイリスオーヤマのグループ会社「アイリスアグリイノベーション」は、5月27日に随意契約で備蓄米1万トンを購入する契約を締結していて、29日午前10時に宮城県亘理町にある精米工場に、第1便となる12トンの備蓄米が到着しました。
コメは令和4年産の国産米で、トラックから降ろされたあとフォークリフトで倉庫に次々と運び込まれました。
このあと、検査で品質に問題がなかったコメの精米が行われ、午後1時半ごろからは袋詰め作業が始まりました。
販売にあたっては現在、ブレンド米向けで使っている袋を活用するほか、消費者が備蓄米と分かるよう袋にシールを貼るということです。
アイリスオーヤマの田中伸生執行役員は「1日でも早く消費者の手にわたるようにスピーディーに作業を進めてきた。まだ限られた量だが、今後、入荷次第早く店頭に並べたい」と話していました。
また、東北農政局の菅家秀人局長は「各社がスピーディーに対応していることに感謝したい。各社の取り組みによって全国のさまざまな消費者に備蓄米が届けられることを期待している」と話していました。
この会社では、5キロ入り税込み2160円で6月2日から宮城県と神奈川県、それに千葉県の店舗で販売を始めるということです。
このあと、自社の通販サイトで29日午後1時から予約の受け付けを始めましたが、開始から45分ほどで予定していた数量が完売したということです。
30日も予約を受け付けるとしていて、午後1時から開始する予定だということです。
「楽天グループ」通販サイトで販売 まもなく売り切れ
楽天グループによりますと、政府の備蓄米について29日正午ごろから会社が運営する通販サイトで1袋あたり5キロ税抜き1980円、税込みでは2138円で販売を始めました。
29日の販売分は販売開始後まもなく売り切れたほか、予約の受け付けも午後2時すぎに上限に達したため、終了したということです。
また、サイトに一時的につながりにくい状況もあったということです。
会社は、サイトによって1人が1回で購入できる数を1袋あるいは2袋までに制限し、販売や予約が上限に達した場合は、一時的に受け付けを終了することもあるとしていました。
今後も複数のサイトで備蓄米が入荷されしだい、順次販売するということです。
随意契約での備蓄米の売り渡しをめぐっては、楽天グループはこれまでに1万トンの購入を申請していました。
「イトーヨーカ堂」5月31日から通販サイトで販売
大手スーパーの「イトーヨーカ堂」は、随意契約で購入した備蓄米の販売について、自社の通販サイトで31日の午前10時から始めると明らかにしました。
会社によりますと価格は5キロで税込み2160円で、これとは別に送料が550円かかるとしています。
購入は1人あたり1点までで、同じ日に再び注文することはできないということです。
購入した人には6月15日以降に順次、届くよう発送するとしています。一方、店頭での販売については、調整を続けているということです。
「LINEヤフー」受け付け開始から24分で終了
LINEヤフーは、29日から運営する通販サイトで備蓄米の予約の受け付けを始めました。
今回の販売量は50トンで、価格は1袋5キロあたり税込みで1998円とし、6月中旬以降、順次、配送するとしていました。
購入にあたっては1人あたり注文は1回のみで4袋までとなっていましたが、会社によりますと、今回分は受け付けの開始から24分で上限に達し、受け付けを終了したということです。
今後については在庫が追加され次第、順次、販売するとしています。
どこで買える? 購入申し込みが確定した61社を一覧で
農林水産省は、27日まで申し込みを受け付けた、大手小売業者を対象にした備蓄米の売り渡しについて、61社からのあわせて21万9000トンあまりの購入の申し込みが確定したと発表しました。
申し込み量が最も多かったのが
▽流通大手イオンのグループ会社の「イオン商品調達」と
▽ドラッグストア大手の「コスモス薬品」で
それぞれ2万トンを申し込みました。
続いて
▽大手ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」などを運営する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」が1万5000トン
▽ドラッグストア大手の「サンドラッグ」が1万2866トン
▽スーパーの「オーケー」が1万500トン。
▽大手生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」のグループ会社の「アイリスアグリイノベーション」と
▽「楽天グループ」
▽スーパーのロピアなどを展開する「OICグループ」
▽LINEヤフー傘下の通販サイトの「アスクル」が
それぞれ1万トンを申し込みました。
収穫された年別にみると、令和4年産が19万9000トンあまり、令和3年産が1万9000トンあまりでした。
一方、大手コンビニのセブンーイレブン・ジャパンとファミリーマート、それにローソンは、大手の小売業者を対象にした備蓄米について購入の申請を行いましたが、販売の条件を満たさなかったことなどから受理されなかったということです。
このため3社は農林水産省と調整したうえで30日から始まる中小のスーパーやコメの販売店を対象にした備蓄米について購入の申請を行うことにしています。
「備蓄米」の違い わかりやすく
コメの価格高騰が続き、これまで3回行われた入札の対象は令和6年と令和5年産米でした。
5月になって、個別の相手に売り渡す「随意契約」の対象としたのが古古米と呼ばれる令和4年産米と「古古古米」と呼ばれる令和3年産米でした。
令和4年産米は大手小売業者の申請が相次ぎ上限に達しました。29日から販売が行われたのは、この令和4年産米です。
そして、コメの販売店や中小のスーパーなどを対象に売り渡す令和3年産米は30日から申請の受け付けを始める予定です。
メルカリ「備蓄米の出品禁止」発表 転売対策進む
「メルカリ」は、運営するフリマアプリで29日から政府の備蓄米の出品を禁止すると発表しました。
転売などによって生活必需品である米の適正な取り引きが阻害されるおそれがあるためだとしています。
AIなどを活用して出品状況を監視し、備蓄米が出品されていた場合は削除するほか、備蓄米を出品した利用者のアカウントを停止するといった措置を行うということです。
一方、政府から随意契約で備蓄米を購入した事業者が販売することは認めるとしています。
また「楽天グループ」も運営するフリマサイトで28日から備蓄米の出品を禁止したことを明らかにし、サイト内で出品が検知された場合は該当する商品を削除するとしています。
政府の備蓄米をめぐっては、「LINEヤフー」も28日から運営するオークションサイトとフリマサイトで、出品を禁止する措置を始めていて転売を防ごうと対策を取る動きが進んでいます。
備蓄米を購入できた人は
関東に住む30代の女性は29日、「楽天グループ」とアイリスオーヤマの2つの通販サイトを通じて、政府の備蓄米を購入することができたということです。
女性は、夫と2歳と4歳の子どもの4人家族で、毎日5合のコメを炊いているといいます。
コメの価格高騰が続くなか、ふだん利用しているスーパーでは5キロで4500円ほどに値上がりしているうえ、手に入りづらくなっているため、少しでも安いコメを購入したいと、29日午後、政府の備蓄米の販売が開始した直後に、スマートフォンで通販サイトにアクセスしました。
当初、繋がりにくい状態になったこともありましたが、令和4年産の5キロ2000円ほどの備蓄米3袋を購入できたということです。
女性は「買えた時はねばってよかったなと安心しました。少し古いお米なので、品質が気になる部分もありますが、家庭で炊いて食べる分には、価格が大事だと思い購入しました。小さな子どももいて、コメは毎日食べているので、相次ぐ値上がりが家計に響いています。今後は、スーパーでも5キロ3000円台や2000円台で購入できるようになるととても助かるので、早く価格が安くなってほしいです」と話していました。
子ども食堂 運営の女性「買えなかった あすも頑張る」
通販サイトを通じて備蓄米の販売が始まったのにあわせて、札幌市中央区にある子ども食堂では、運営する女性が販売開始の20分ほど前からパソコンの前で待機しました。
この子ども食堂では、3年前から月に1度、中学生までは無料で食事を提供していて、毎回、およそ40人の子どもたちが利用しています。
月に5キロほどのコメを消費していますが、支援者からの寄付でまかなえない分は自分たちで購入しているということです。
午後1時に販売が始まると同時に購入を試みましたが、パソコンの画面には、アクセスが集中して購入ページが閲覧しづらい状態だという表示が出ました。
そして、午後2時ごろには完売したと表示され、購入することはできませんでした。
子ども食堂を運営している木村ゆかりさんは「去年買ったお米が、底をついてきたので、買わないといけないと思っていました。今後も買うことができない場合、麺類のメニューを増やす対応になってしまいます。買えるかわかりませんが、あすもまた、頑張ってみます」と話していました。
中小の小売業者向けに6万トン 売り渡しの仕組み発表
また、農林水産省は29日午後、随意契約による備蓄米の売り渡しの新たな仕組みを発表しました。
売り渡しの対象は令和3年産の8万トンでこのうち精米能力があるコメの販売店向けに2万トン、年間1000トン以上、1万トン未満の取扱量がある中小の小売業者向けに6万トンを割り当てます。
価格は60キロあたり税抜き1万80円で、単純計算では税抜き価格で5キロあたり840円で売り渡すとしています。
申請は30日から始まり申込量が予定量を上回った場合には農林水産省が調整の上、契約量を決めるとしています。
29日夕方、農林水産省による事業者向けの説明会がオンラインで開かれました。
この中で農林水産省の担当者は、10トン以上の申請から売り渡すほか、一般の消費者向けに8月までに販売することなどが売り渡しの条件になると説明していました。
説明会に参加したコメ販売店からは落胆の声
東京 目黒区にあるコメの販売店「スズノブ」では店主の西島豊造さんが説明会に参加しましたが「10トンのコメをまちの米屋がトラックから積み下ろすことはできず、一般の消費者向けだけに8月までに売り切ることはとてもできない」と話していました。
そのうえで、「令和6年産のコメは確保ができない状況が続いていて、備蓄米の流通に期待していたがこの内容では諦めた。切り捨てられた気持ちだ」と話し、購入の申請はしない意向を明らかにしました。
茨城のスーパー「令和3年産米が対象なのは不公平」
茨城県常陸大宮市にあるスーパーでは、備蓄米を調達できておらず、コメの販売価格は5キロあたり税込みで4000円以上と去年の倍以上になっていて、十分な在庫も確保できていないということです。
今回の随意契約での備蓄米の売り渡しでは大手の小売業者が令和4年産の購入を申請できたのに対し中小のスーパーやコメの販売店は令和3年産の「古古古米」が対象になっています。
このためスーパーの店長は申請の仕組みが不公平だとしているほか、令和4年産の備蓄米を販売する大手のスーパーなどに客が流れてしまうのではないかと懸念しています。
さらにこのスーパーは自社で精米設備を持っておらず、随意契約で備蓄米を調達しても、外部に精米を委託しなければならないことから、申請は難しいと考えています。
スーパーヒロセヤ常陸大宮店の古木正美店長は「われわれはスーパーの中でもただでさえ弱い立場なので、令和4年産と3年産なら、どうしても客は4年産を求めることになる。政府の対応は現場のことを考えていないと思わざるをえない」と話していました。
小泉農相「コメ不足感の払拭は極めて大事」
小泉農林水産大臣は29日の参議院農林水産委員会で、随意契約による備蓄米の売り渡しに関連して「コメの不足感を払拭することは価格に対する影響も含めて極めて大事だ。今までは端境期に足りなくなるのをおそれて卸売業者も少しずつ出していた。買い物する人々も足りなくなったら困るから少し多めに買おうとしていたが、今回の売り渡しでこうした行動に変化が生まれると思う」と述べ、コメの値下がりにつなげるため、消費者のもとに備蓄米ができるかぎり早く届くよう全力をあげる考えを強調しました。
また「今までのコメの流通といきなり小売業者に流すというこの両方の流通の形をしっかりと分析、検証して、コメの流通のどこに課題があるのか解明していかなければいけない」と述べ、農林水産省として今後コメの流通の課題について分析や検証を進めていく考えを示しました。
そして、中小のスーパーなどを対象に今後、随意契約で売り渡す予定の令和3年産の備蓄米について「これから消費者にもまた扱う事業者にも判断してほしいと思うが、町のお米屋さんはこれから流通する古古古米と例えばもち米などを一部ブレンドしてこういった形だとおいしく食べられるという情報提供を考えるなど、さまざまな現場での知恵やいろんな取り組みが出てくると思う。私が想定する以上に備蓄米の販売のあり方も多様化した形が想定される」と述べました。
小泉農相 JA全中の山野会長と面会
また小泉大臣はJA全中=全国農業協同組合中央会の山野徹会長と面会しました。
面会のあと、山野会長と並んで記者団の取材に応じ「随意契約で備蓄米を出すことについて、山野会長からは消費者のコメ離れを防ぐ思いは同じだと理解してもらった。この価格の異常な高騰をしっかり収めて、消費者のコメ離れを防いでいくきっかけとしたい」と述べました。
山野会長は「備蓄米がいっときも早く店頭に並んで消費者の手に届くようにということは私たちも全く同じ考えで一体となって取り組んでいきたい」と述べました。
国民 玉木代表 “「動物のエサ」発言は現行制度を説明したもの”
一方、備蓄米をめぐり国民民主党の玉木代表は、28日の国会審議で「1年たったら動物のエサになるようなものを『安く売ります』と言ったって、それは安く出る」などと述べ、ほかの党から「今の局面で使うべきことばではない」などとの指摘が出ています。
玉木代表は29日、旧ツイッターの「X」に行った投稿で、自身の発言について「5年持ち越した備蓄米は『飼料用米』として売り渡すことになっている現行の制度を説明したものだ。小泉農林水産大臣も『エサ米』ということばを使って同じ説明をしている」としています。
そして「私が言いたかったのは、備蓄米を放出するだけでは石破総理が約束した『コメの平均価格3000円台』は実現できないのではないかということだ」とした上で、コメの増産や農家の所得の直接補償などへと、政策を転換する必要性を重ねて強調しています。