https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

『講孟箚記(上)』
P205

わたくしが最近の諸藩の政治を行っている人物を観察すると、そのやり方、だいたい、目の前をどうやり過ごすかということを計るばかりで、まだ天下後世のためにしようという志を立てて事に当っている人を見出し得ない。現今、国歩艱難の際に当り、武士の教育、民衆の政治より軍備の問題に至るまで、すべてその最善のあり方を研究してこれを国政に実施するならば、天下の人々が、必ず来て手本とするであろう。これこそ天下の師となることである。しかしこのことは、君主たるものが、天地の神々にお仕えする真心から発してこそ成功するところであって、眼前の小さな功利の論とは根底を異にしている。ああ、この方法によるのでなければ、その国を一新する力がないのである。

この問題はもちろん、重要な仕事ではあろうが、これは法制に関係することであるから、もしも人情にも合わず土俗にもよろしからぬことがあったならば、大いに民間を混乱に陥れることになる。それ故に、井田の実行よりも、この一節に説いている精神を主眼として実施したいと思うことである。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20071228#1198901916