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『悪の民主主義』
P168

 ところが、それはおかしい、公約違反ではないかと言って攻撃したのが、同じ保守党のディズレーリ。同じ保守党だけれども、それは立憲政治の原則に反していると言って首相に質問した。
穀物法を廃止するのはいい。しかしながら、それをやるのであれば、まず穀物法を守ると言って選挙に勝ち、政権に就いたのが保守党なのだから、保守党は自由党に政権を譲り、自由党政権をもって穀物法を廃止させるべきである。これが立憲の常道ではないか」
 ディズレーリは「自由党が入浴中に、その衣類をかっぱらったものである」とロバート・ピールを批難した。政策をかっぱらってはいけない。
 もちろん、ピール首相も黙ってはいない。議会における圧倒的多数を背景に反論した。
「選挙の公約には反するかもしれないけれど、私は君主の信任を得ている。女王の信任を得て、内閣総理大臣になった。だから、国家のために必要であるところの政策は、断乎として行う」
 ディズレーリは、これに反発していわく――。
「もしも閣下が農村紳士の支持を得られなかったのならば、すなわち総選挙で勝たなかったならば、君主は閣下に信任を授けられたでしょうか」
 ディズレーリの大演説とピールの応答は、今に伝えられる大論争になった。そして、ここで重要なのは、その大論争の結果、与党たる保守党の代議士は一人去り二人去り、五人去り一〇人去り、とうとう保守党は少数派に転落、内閣は総辞職せざるをえなくなったことだ。
 立憲政治の基礎ともいうべき前例が、ここで確立されたのである。

Justin McCarthy (historian and politician) - Wikipedia, the free encyclopedia

His most important work is his History of Our Own Times (vols. i.iv., 1879-1880; vol. v., 1897),which treats of the period between Queen Victoria's accession and her Diamond Jubilee. Easily and delightfully written, and on the whole eminently sane and moderate, these volumes form a brilliant piece of narrative from a Liberal standpoint.