ポロシェンコ大統領は4日、議会での演説の中で、安倍総理大臣について「世界的な指導者であり、信頼の置けるパートナーかつ友人だ」と述べ、今回の訪問は日本の首相の初めての公式訪問であり、ウクライナにとって歴史的なものになるとの認識を示しました。
さらにカナダのハーパー首相のウクライナ訪問にも言及し「こうした訪問はウクライナが国際社会の支持を受けていることを明確に示している。ウクライナは幅広い国際的な支持とロシアへの制裁がなければ、敵の侵攻を食い止めることはできない」と述べ、ロシアと対じしていくうえで、日本をはじめG7の後ろ盾を得ることに期待を示しました。
ポロシェンコ大統領としては、日本政府がロシアへの制裁を続ける一方で今回、安倍総理大臣がウクライナを訪問することを高く評価し、対ロシア政策で連携を強化したい考えとみられます。
またウクライナ経済は、去年から続く混乱や戦闘の影響で厳しい状況に置かれ、対外債務は300億ドル(日本円で3兆7000億円)を超えているほか、ことしのGDP=国内総生産の伸び率もIMF=国際通貨基金の予測でマイナス9%になるとみられていて、経済的な苦境を乗り越えるためにも、支援を取り付けたい考えです。
安倍総理大臣が日本の総理大臣として初めてウクライナを訪問することについて、ロシアのペスコフ大統領報道官は4日、地元メディアに対し、「ロシアは、ほかの2国間関係に立ち入るつもりはない」と述べ、現時点で静観する構えを示しました。
このなかでペスコフ報道官は、「ほかの2国間関係については、ロシアの国益に影響を与える場合にだけコメントする」としたうえで、今回の安倍総理大臣のウクライナ訪問について、「コメントすることは適当ではない」と述べました。
ペスコフ氏の発言は、現時点で日ロ関係に影響を及ぼさないとの考えを示す一方、実際の訪問が、ロシアの国益に関わるものかどうか注視していることを示すねらいもあるものとみられます。