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 システムの用語に「ガベージイン・ガベージアウト」という言葉があります。システムがどんなに優れたものであっても、そこに入れる情報がゴミのようにくだらないものであれば、出てくるのはゴミのようにくだらないアウトプットでしかない、ということを指すシステム用語ですが、この指摘はそのまま独学のシステムにおいても当てはまります。


 いくら皆さんが優れた独学システムを構築したとしても、ゴミのようなインプットを繰り返していれば、いつまでたってもゴミのようなアウトプットしか生み出せないでしょう。


 となると、次に「ではどうやってゴミを峻別するか?」という問題が浮上します。結論から言えば、ゴミの峻別は結構難しいので、まずは名著・古典と言われているもの、つまり「ハズレ」のなさそうな評価の確立したインプットをしっかり押さえることが重要だと思います。


 たとえば経営学に関していえば、評価の確立していない新刊を広く浅く読むよりも、すでに評価の確立した名著とされる書籍をしっかりと読み込むということです。こういった書籍はそれほど量があるわけではありません。数え方にもよりますが、せいぜい20〜30冊程度でしょう。

 パーソナルコンピューターという概念を世界で初めて提唱したアラン・ケイは、研究所時代に1冊の本を半年間、他に何もせず、ひたすら集中して何度も読み返したことで「コンピューターは計算機という枠を外れて、いずれはメディアに近いものになるだろう」という革命的なアイデアに行き着いたと述懐しています。


 その本とはマーシャル・マクルーハンの『グーテンベルクの銀河系』です。このエピソードは、深く濃く読むに値する本を見つけて、それを何度も読むことの重要性を示唆しています。


 一般に、知的生産に優れた人と聞けば、大量の書籍を乱読しているというイメージを思い浮かべるかもしれませんが、それは必ずしも正しくありません。一見、数多くの書籍を乱読しているように見えるかもしれませんが、私の経験からいえば、彼らは間違いなく「深く鋭く読むべき本を見つけるために、大量の本を浅く流し読みしている」のです。

 そうした読み方を繰り返しながら、ある程度古典や名著に通暁してくると、「ゴミ」に対して目が利くようになってきます。表紙を見る、あるいはパラパラッと書店でめくってみてすぐに「あ、これはゴミだ」とすぐに判別できるようになります。