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中国の李克強首相は安倍総理大臣とともに25日、北京中心部の人民大会堂で、日中平和友好条約の発効から40年を迎えたことを記念するレセプションに出席しました。

この中で、李首相は日中平和友好条約に触れ、「われわれは前の世代の政治家たちの先見性や知恵、それに勇気を学び、時代の潮流に沿ってさらに成熟して安定した両国関係を築く必要がある」と述べました。

そのうえで、「中国は日本が一帯一路に参加することや、ともに第三国の市場での協力を推進していくことを歓迎する」と強調し、「一帯一路」などを通じた連携を呼びかけました。

さらに「双方は多国間主義や自由貿易を守る必要がある」としたうえで、世界経済の安定的な発展をともにけん引していくべきだと強調し、貿易摩擦などをめぐって、アメリカと対立する中で日本と協力を深めていきたい考えを示しました。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/25/200235(米高官 軍需産業の中国依存を見直す考え)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/25/200225(訪中の安倍首相が李首相と懇談 日中関係の発展で一致)

中国国営の中国中央テレビは25日夜のメインニュースで、習近平国家主席が今月22日から25日まで、経済発展をけん引してきた南部の広東省を視察した様子を伝えました。

この中で、家電メーカーを訪れた習主席は「われわれの奮闘の出発点は自力更生にある。創造する力を強め、核となる技術をみずからのものにしていかなければならない」と述べて、技術力を高めるよう企業に呼びかけました。

これは、大手通信機器メーカー、ZTEがアメリカから制裁を科され、一時、操業停止に追い込まれたことを念頭に、建国の父、毛沢東が用いた「自力更生」という言葉を使って、アメリカの圧力に対抗するためにも技術力を高めて国力を強めていく姿勢をアピールした形です。

また、習主席は、中国のシリコンバレーと呼ばれる深※センで、ことしで40年となる改革開放政策の歴史を紹介した展示館を訪ね、「中国は改革開放の歩みを止めないことを世界に示していく。今後も質とレベルを向上させていく」と述べて、アメリカが保護主義的な政策を強める中、中国が市場開放を進める姿勢を強調して世界で存在感を示す狙いもあるとみられます。
(※「セン」=土へんに川)

中国を訪れている安倍総理大臣は、李克強首相との会談のあと、そろって記者発表に臨み、「日中両国の関係は競争から協調へという新たな段階に移りつつある。互いに脅威とならない協力のパートナーであるという原則を確認した」と述べました。

また、北朝鮮の非核化に向けた緊密な連携や、東シナ海を平和、協力、友好の海とするため前進していくことで一致したことを明らかにしました。

冒頭、安倍総理大臣は「李克強首相と大変率直で有意義な会談を行うことができた。『競争から協調へ』、日中両国の関係は新たな段階に移りつつある。李克強首相とともに両国関係を大きく前進させていきたい」と述べました。

そのうえで、「第三国の市場における日中協力を促進するため、新しい枠組みが誕生した。1000人を超える両国の経済人が集い、数々の協力文書に合意することがその証だ。国際スタンダードのうえに、ビジネス、金融、イノベーション、知的財産など、さまざまな分野で両国の協力関係を深化させていく」と述べました。

また、安倍総理大臣は「私たちは隣国どうしだ。互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない。この明確な原則を首脳会談で李克強首相と確認した」と述べました。

そして、「こうした原則を具体的な行動へと移していく。東シナ海における海難事故に協力して対処することや、李克強首相が日本を訪れた際に立ち上げた『海空連絡メカニズム』についてホットラインの早期開設に取り組むなど、平和、協力、友好の海の実現に向け前進していくことで一致した」と述べました。

さらに、安倍総理大臣は「東日本大震災の発生以来続いてきた日本産食品に対する輸入規制について、中国側から『科学的な評価に基づき緩和することを積極的に考える』と表明があったことを歓迎する。中国の皆さんに日本が誇るおいしい農産物をもっと堪能していただきたい」と述べました。

安倍総理大臣は「日中平和友好条約締結40周年の大きな節目の年に中国を公式訪問し、新しい時代の日中協力の道しるべともいうべき諸原則を確認できたことは大変意義があった。こうした原則のうえに、国際社会の平和と繁栄にともに、建設的な役割を果たしていくことで完全に一致した」と述べました。

安倍総理大臣は「日中両国の共通の目標である朝鮮半島の非核化にも引き続き緊密に連携して取り組むことでも一致した。国際社会と手を携えて、北朝鮮の拉致・核・ミサイルの問題を解決し、不幸な過去を清算して北朝鮮との国交を正常化する決意だ」と述べました。

安倍総理大臣は「次は習近平国家主席を日本に迎えて、日中友好の流れにさらに弾みをつけたい」と述べました。

また、「来年を日中青少年交流推進年とすることで合意した。中国の学生などに対する一層のビザ緩和も決定した。2020年には東京で、2022年には北京でオリンピックとパラリンピックが開かれる。この絶好のチャンスを生かし、両国民の交流をさらに拡大し、新しい時代の日中の絆を一層、強いものにしていきたい」と述べました。

一方、中国の李克強首相は「現在の国際情勢は不安定で、不確定要素が増え、グローバル化に逆行する傾向も広がっており、双方はこの地域や世界に重要な影響力を持つ国家として積極的に自由貿易を守っていくべきだと確認した」と述べました。

そのうえで、「われわれはRCEP=東アジア地域包括的経済連携や中国と日本、それに韓国との自由貿易協定の協議を加速させ、アジア太平洋地域の経済の一体化を実現することで世界の自由貿易の発展に貢献していきたい」と述べ、自由貿易を積極的に推進する考えを示しました。

また、李克強首相は「双方は北朝鮮の核問題について意思疎通や協力を行うことに同意した。中国は日朝が対話を通じ関係を改善し双方の懸案となっている未解決の問題を適切に解決することを支持する」と述べ、日朝間の対話を支持する考えを示しました。

日本の総理大臣として7年ぶりに中国を公式訪問している安倍総理大臣は、26日午前、李克強首相と首脳会談を行ったあと、そろって記者発表に臨みました。

この中で、安倍総理大臣は「李首相と大変率直で有意義な会談を行うことができた。『競争から協調へ』、日中両国の関係は新たな段階に移りつつある。李首相とともに大きく前進させていきたい」と述べました。

また、「私たちは隣国どうしだ。互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない。この明確な原則を確認した。この原則を具体的な行動に移していく」と述べました。

そのうえで、「第三国の市場での日中協力を促進するため、新しい枠組みが誕生した。国際スタンダードのうえに、ビジネスや知的財産などの分野で協力関係を深化させていく」と述べました。

また、「朝鮮半島の非核化にも引き続き緊密に連携して取り組むことでも一致した。北朝鮮の拉致・核・ミサイルの問題を解決し、不幸な過去を清算して北朝鮮との国交を正常化する決意だ」と述べました。

さらに、東シナ海を平和、協力、友好の海とするため前進していくことで一致したとしたうえで、海上や空での偶発的な衝突を避けるための連絡方法などを取り決めた「海空連絡メカニズム」のホットラインの早期開設に取り組むことで合意したことを明らかにしました。

一方、原発事故を受けた中国による農産物の輸入規制について「李首相から『科学的な評価に基づき緩和することを積極的に考える』と表明があったことを歓迎する」と述べました。

そして、安倍総理大臣は「次は習近平国家主席を日本に迎えて、日中友好の流れにさらに弾みをつけたい」と述べました。

そのうえで、来年を「日中青少年交流推進年」とすることで合意したことや、中国の学生などに対する一層のビザの緩和を決定したことなどを明らかにし、再来年の東京オリンピックパラリンピックなどを通じて、さらに交流を拡大していきたいという考えを示しました。

日本産の食品に対する輸入規制をめぐっては、原発事故のあと、一時、81の国や地域で輸入停止や規制が行われ、現在も中国や韓国、シンガポールなど合わせて8つの国と地域で輸入停止の措置が取られています。

中国では、放射性物質による汚染が懸念されるとして、福島、宮城、東京など10の都県で生産されたすべての農産物や水産物、それに、家畜などに与える飼料の輸入が停止されています。

日本政府は「科学的見地に基づいた措置を行うべきだ」として、規制の解除を求めています。

中国の李克強首相は共同記者発表で、「両国の首脳が半年以内の短い期間に相互訪問を実現したことは、中日の関係改善や平和と友好、それにウィンウィンの発展に対する両国の国民の願いを反映させたものだ」と評価しました。

そのうえで、「長期にわたって安定的かつ健全に発展する中日関係を維持することは両国の利益となり、地域と世界の利益にもなる」と述べて、日中関係の重要性を強調しました。

そして、李首相は、歴史や台湾について適切に対応し、両国関係の政治的な基礎を守ることを確認したと説明したうえで、「双方は互いが協力のパートナーであり、脅威でないことを実際の行動で示すべきだという考えで一致した」と述べました。

さらに、李首相は「来年の適切な時期に安倍総理大臣が中国を訪問し、第8回の中国、日本、韓国の首脳会議に出席することを要請したい」と述べました。

また、李首相は、経済分野をはじめ幅広い分野で協力を深めることで一致したことを紹介し、来年を両国の「青少年交流を促進する年」と定めて両国の若者の相互理解を促進する考えを示しました。

そして、最後に、「双方が大局的な視野に立てば、両国関係は必ず安定的かつ健全に前進し、新たな成果を得て美しい未来を切り開くことができる」として今後の関係発展に期待を示しました。

日中両政府は、首脳会談に合わせて、東南アジアなど第三国での経済協力を話し合う「日中第三国市場協力フォーラム」を北京で初めて開き、企業や政府機関の関係者などおよそ1400人が出席しました。

全体会合には安倍総理大臣と李克強首相が出席して、双方の企業や政府機関が52のプロジェクトを協力して進める文書を交わしました。

プロジェクトには、タイ東部にある経済特区での都市開発や、ヨーロッパでの洋上風力発電への投資のほか、証券会社や銀行などによる新たなファンドの設立などが含まれています。

中国が巨大経済圏構想「一帯一路」を提唱し、周辺国のインフラ投資を進める中、日本としては、第三国の利益となり、国際標準に沿ったプロジェクトを進めることで、日中の経済面での関係を強化したい考えです。

フォーラムは、全体会合のあと、金融、エネルギーなど4つの分野で分科会が行われ、それぞれの企業関係者がプロジェクトの具体的な内容について発表します。

今回、協力文書が交わされたプロジェクトの1つとして、証券大手の野村ホールディングスなどは、中国の政府系ファンドとの間で1000億円を超える規模のファンドを設立することで基本合意しました。

発表によりますと、野村ホールディングス大和証券グループ本社、それに、三菱UFJ、三井住友、みずほの3大金融グループは、中国の政府系ファンド「中国投資」との間で、新たなファンド「日中産業協力ファンド」を設立することで、26日、基本合意しました。

新たなファンドは、ほかの金融機関などからも出資を募って1000億円から2000億円程度の投資能力を確保することを目指し、日中双方の幅広い企業を対象に、お互いの国に進出しあう場合や、アジアを中心にした第三国への進出などを支援していくということです。

中国の習近平国家主席は、安倍総理大臣との首脳会談の冒頭で、「世界の主要な経済大国で重要な影響力を持つ国として、中日関係が長期にわたって健全で安定的に発展することは両国の国民の根本的な利益であり、地域と国際社会の普遍的な期待でもある」と述べて、両国関係の重要性を強調しました。

そのうえで、「この数年、中日関係は絶えずう余曲折をへて、双方の努力のもと、再び正常な軌道に戻り、前向きな勢いが表れている」と述べて、今の関係改善の勢いを双方が重視すべきだという考えを示しました。

さらに、習主席は「中日の交流は2000年以上続いていて、両国国民は長期にわたり学び合い、互いを手本として発展してきた。この中で痛ましい歴史も経験し、中国の人々は巨大な民族の災禍を被り、日本の人々も深く傷つけられた」と述べました。

また、1972年の国交正常化や1978年の日中平和友好条約の締結に触れ、「こうした年月を振り返ることは、われわれが平和と友好、協力とウィンウィンの信念と決心を揺るぎないものとするのに役立つ」と述べました。

そして、習主席は、現在の世界情勢について、この100年になかった大きな変動を経験しているという認識を示したうえで、「新たな情勢のもとで中国と日本の2国間の相互依存は日に日に深まっていて、多国間の関係においても、より広範で多様な共通の利益と関心を有している」と述べました。

そして、「客観的な情勢の変化は、両国のさらなる高いレベルの協力を可能にしている。われわれはこの歴史的な機会を捉えて、中日関係の発展を新たに方向づけなければならない」と述べて、両国の関係発展に意欲を示しました。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/09/22/200215(日中分断策は欧米のアジア政策の基本)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/09/21/200120(米軍は、戦後も日本を占領下に置いたままにするために、北方領土問題、尖閣問題、竹島問題を計画的に残したままにして、ユーラシアで日本だけを孤立させる戦略を取って来た。)

中国を訪れている世耕経済産業大臣は、「日中第三国市場協力フォーラム」に出席したあと、経済や貿易政策を担当する鍾山商務相と会談しました。

この中で、日本や中国、インドなど16か国が参加するRCEPの交渉について、参加国の中で経済規模が最も大きい日中両国がリーダーシップを発揮することが重要で、各国が目標としている年内の実質的な妥結に向け協力していくことで一致しました。

また会談のあと、世耕大臣は記者会見で、国際的なルールに基づいた自由貿易の推進に向けたWTO世界貿易機関の改革について「改革しなければならない点は認識が一致したが、方法論は今後、中国と議論を深めていく必要がある」と述べ、中国との間で今後も対話を続けていく考えを示しました。