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核合意をめぐってイランは、アメリカの制裁によって約束された経済的な利益が得られていないとして、ウラン濃縮度の引き上げに踏み切り、枠組みの存続が危ぶまれています。

これについて最高指導者のハメネイ師は16日、宗教指導者に向けた演説で、合意に参加しているヨーロッパ各国はイランの経済を守るという約束を果たしておらず、合意の順守を呼びかけるのは筋違いだなどと非難しました。

そのうえで、「われわれは合意の義務停止を始めており、このプロセスは確実に続ける」と述べて、今後も段階的に合意義務を停止させていく考えを強調しました。

イランが今月7日に濃縮活動を強化して以降、ハメネイ師が核合意について言及するのはこれが初めてです。

イランは、9月上旬には濃縮活動のさらなる強化も含めた義務の停止に踏み切るとしていて、ヨーロッパ各国はイランとの協議を通じて、合意の維持を目指す考えを示しています。

しかし、アメリカが経済制裁を強化する中でイランへの説得は難航していて、核合意の枠組み維持に向けて厳しい局面が続いています。

イラン情勢をめぐり、アメリカ軍はホルムズ海峡の安全を確保するため、同盟国などと有志連合の結成を検討していることを明らかにしています。

こうした中、アメリ国務省でイラン政策を担当するフック特別代表は16日、ワシントンで行われたトークイベントの席上、今月19日に関係国の外交関係者国務省に招いてホルムズ海峡などの安全を確保するためのアメリカ政府の新たな構想について説明する場を設ける考えを明らかにしました。

具体的にどの国が出席するかは明らかにしていませんがフック特別代表は「戦略は国際的なものでなければならない。ホルムズ海峡を通る大半の原油はアジアに運ばれている。同じ目的を持つ国々は関与することが重要だ」と強調しました。

そのうえで「インドはすでに役割を果たしている」とも述べ、6月に起きたタンカーへの攻撃を受けてインドがホルムズ海峡周辺に艦船を派遣して自国の民間船の護衛にあたっていることを念頭に、インドの取り組みを評価しました。

アメリカ政府としては有志連合への参加を含めた、新たな構想を関係国に説明し、理解を求める可能性もあります。

イギリス国防省は16日、ホルムズ海峡の航行の自由を維持するためペルシャ湾フリゲート艦と補給用タンカーの合わせて2隻を年内に派遣すると発表しました。

イギリスとイランの関係をめぐってはイギリス領ジブラルタルの地元当局が今月、イランのタンカーを拿捕したことで緊張が生じています。ただ、イギリス国防省は今回の追加派遣について、最近の緊張の高まりを受けたものではないとしてこの問題との関わりを否定する姿勢を強調しています。

インドの外交筋はNHKの取材に対し、先月、ホルムズ海峡周辺でタンカーが攻撃された事件を受けて、現地に艦船2隻と偵察機を派遣して、自国の船の護衛にあたっていることを明らかにしました。

そのうえで、原油を始めとした多くのインド向けの物資がホルムズ海峡を通過しており、国益のために実施している。このことはイラン側にも伝えていて地域の安全を守る活動としてイランに歓迎されている」と話し、アメリカが検討している有志連合とは独立した動きであると強調しています。

インドは日本と同様に原油の調達を中東に依存していて昨年度、輸入した原油の60%以上をイランやサウジアラビアなどの国々から調達しています。

アメリカとイランの対立で緊張が高まる中、アメリカ軍はホルムズ海峡の安全を確保するため、同盟国などとの有志連合の結成を検討していて、国務省のフック特別代表は、今月19日に関係国に対し新たな構想について説明する場を設ける考えを明らかにしました。

これを受けて日本政府は、アメリカにある日本大使館から担当者を出席させる方向で調整しています。

有志連合の結成をめぐっては、岩屋防衛大臣は16日「この段階で、いわゆる有志連合に自衛隊の参画を考えているものではなく、自衛隊を派遣することは考えていない」と述べています。
ただ日本政府としては有志連合をめぐるアメリカの構想が明らかにならない中、担当者を出席させることで構想の具体的な内容について情報を収集するねらいもあるものとみられます。

アメリカのポンペイ国務長官は16日、ホワイトハウスで行われた閣議でイラン情勢について「イランが初めてミサイル開発について交渉する用意があると話した」と述べました。

これを受けてトランプ大統領「イランが対話したがっているなら何が起きるか見てみよう。大きな進展が見られている」と述べ、緊張緩和に期待を示しました。さらに「われわれはイランを助けたいと思っている。アメリカはイランの体制の転換を求めていると言う人がいるが、求めていない」と述べました。

これに先立ってアメリカの一部メディアはイランのザリーフ外相弾道ミサイル開発について交渉の議題になる可能性を示唆したと伝えていて、トランプ政権としてはイランに寄り添う姿勢を見せることで、対話のテーブルに引き出そうという思惑があるとみられます。

ところが、イランの国連代表部の報道官は即座にツイッターで報道内容を否定したうえで「イランのミサイル開発に交渉の余地はない」と述べ、対話するつもりはないと強調しました。

トランプ政権に対するイランの不信感は根強く、両国の溝の深さが改めて浮き彫りになりました。

トルコは、みずからが属するNATO北大西洋条約機構と対立するロシアから地対空ミサイルシステム、S400の搬入を始めました。

アメリカ国防総省は、トルコが購入を望んでいるアメリカの最新鋭ステルス戦闘機F35とともにミサイルが運用されれば、F35の機密情報がロシアに漏えいするおそれがあると懸念を示していて、トランプ大統領は16日、記者団に「われわれはトルコにF35を売らない。トルコは非常に厳しい状況にある」と述べ、売却しない方針を示しました。

その一方で、こうした事態になったのは、前のオバマ政権がトルコに地対空ミサイルを売却しなかったからだとし、「ロシアのミサイルを買ったから、アメリカが何十億ドルもの航空機を売れないというのは不公平な状況だ」と前政権を批判しました。

アメリカ議会からはS400を導入するトルコに制裁を求める声もあがっていますが、トランプ大統領としては来年の大統領選挙を見据え、兵器の輸出を増やすことで国内の雇用を生み出し、支持を広げたいという思惑もあるとみられます。

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