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インド政府は、今月6日、カシミール地方のインド側の州でイスラム教徒が多数を占めるジャム・カシミール州の自治権を撤廃しました。

インドとパキスタンカシミール地方の領有権を争っていますが、この州では議会に強い権限が認められるなど、1949年以来、憲法上、特別な自治権が保障されてきました。自治権の撤廃を受けてパキスタン政府は、8日、新たな対抗措置として東部の都市ラホールとインドの首都ニューデリーを結ぶ国際列車の運行を停止することを明らかにしました。

この列車は、領有権をめぐってパキスタンとインドが対立するたびに運行の停止と再開が繰り返されてきたことから、「友好列車」と呼ばれ、両国の関係を示すバロメーターとなっています。

パキスタン政府は7日にもインドに駐在する大使の召還や当面の貿易関係の停止などの対抗措置を明らかにしており、今後、両国の間で再び軍事的な緊張が高まることも懸念されています。

インド政府は、6日、パキスタンと領有権を争うカシミール地方でインドが実効支配するジャム・カシミール州に長年、憲法で認めてきた自治権を撤廃しました。

この決定についてインドのモディ首相は8日国民向けにテレビ演説を行い、「インドが憲法で保障してきた自治権パキスタンが利用して、テロや分離主義を生み出し、4万2000人が死亡した」と述べ、自治権があるためにインドの政策が反映されず、パキスタンに利用され治安が悪化したと批判しました。

そのうえで「今回の決定はジャム・カシミール州とインドの経済発展を進め、地域に平和をもたらすだろう。新たな時代を迎えた」と述べ自治権を撤廃したことの正当性を強調しました。

インドの決定に対しパキスタンはインド駐在の大使を召還したり、貿易関係を当面停止したりするなどの対抗措置を打ち出し、両国間の緊張が高まっています。

インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方をめぐってはインド政府が、実効支配を続けるジャム・カシミール州に認めてきた自治権を撤廃したのに対し、パキスタン政府がインドとの貿易関係を当面停止する対抗措置を打ち出すなど、両国の緊張が高まっています。

こうした状況を受け、国連のグテーレス事務総長は8日、声明を発表しカシミール地方の最終的な地位については、当事者が選ぶ平和的手段で解決することを定めた両国の合意がある」としてインド政府の決定は一方的だという認識を示しました。

そのうえで「インド当局が現地の人々の行動を制限し、人権状況が悪化しているという多くの報告を気にかけている」として懸念を示し、カシミールの地位に影響を及ぼす行動を控えるよう呼びかける」としてインドとパキスタンの双方に自制を求めました。

国連の関係者によりますと、パキスタンはこの問題について話し合う緊急会合を開くよう安全保障理事会の理事国を通じて要請していますが、今のところ前向きに応じる理事国はないということで、各国は事態の推移を見守る姿勢を見せています。

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