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アメリカと北朝鮮の実務者協議は5日、スウェーデンの首都ストックホルム郊外で行われ、終了後に北朝鮮のキム・ミョンギル首席代表は「協議は決裂した」と主張しました。

今後の協議についてアメリ国務省は声明で2週間後に再び行う意向を示しましたが、北朝鮮のキム首席代表は6日、経由地モスクワの空港で記者団に対し「6月の米朝首脳会談から99日という長い時間が過ぎたのに、アメリカは新たな打開策を用意しないままやって来た。2週間で何ができるのか非常に疑わしい」と述べ、不信感をあらわにしました。

また、北朝鮮は6日夜に外務省報道官の談話を発表しアメリカがわれわれへの敵視政策を完全に撤回する措置を取るまで今回のような協議を行う意欲はない」として、協議の継続には制裁の解除や体制の保証など具体的な措置が必要だという考えを示しました。

一方、アメリカのビーガン特別代表は取材に応じることなく現地をあとにしました。

アメリカとしては今回の実務者協議をきっかけに非核化の進め方を話し合う継続的な協議につなげたい考えでしたが、北朝鮮側があくまでもアメリカに譲歩を求め、思惑が外れた形です。

ただ北朝鮮は談話で「対話の運命はアメリカの態度にかかっている。その期限は年末までだ」アメリカに対応を求めていて、米朝の駆け引きは今後も続くものとみられます。

アメリカと北朝鮮の実務者協議は5日、スウェーデンの首都、ストックホルム郊外で行われ、終了後、北朝鮮のキム・ミョンギル首席代表は「協議は決裂した」と述べましたが、アメリ国務省は声明で2週間後に再び協議を行う意向を示しました。

これについて北朝鮮のキム首席代表は7日午前、経由地、中国 北京の空港に到着したあと、記者団に対し「6月の米朝首脳会談からおよそ100日すぎても何の打開策も見つけられなかったのに、2週間でつくれるだろうか」と述べ、アメリカへの不信感とともに再協議に懐疑的な見方を示しました。

そして「打開策としてアメリカに何を望むのか」と記者団から問われたのに対し、キム首席代表は「われわれはすべて提案したので、アメリカ側に聞いてほしい」と述べ、提案の内容については明かさなかったものの協議を再び行うかどうかはアメリカ側の出方しだいだと強調しました。

そのうえでキム首席代表はアメリカがしっかり準備しなければどのようなひどいことが起きるのか分からない。見てみましょう」と述べ、アメリカをけん制しました。

官房長官は記者会見で「今後の協議の見通しも含めて、一つ一つにコメントすることは差し控えたい。重要なことは朝鮮半島の完全な非核化に向けた北朝鮮のコミットメントを含む米朝首脳の合意が、完全、迅速に履行されることであり、今後とも米朝プロセスを後押ししていきたい」と述べました。

また菅官房長官は今回の協議結果について、アメリカ側からすでに一とおりの説明を受けているとしたうえで、外務省の滝崎アジア大洋州局長が近くアメリカのワシントンに赴き、さらに詳細な説明を受け今後の対応を協議することを明らかにしました。

そのうえで「一連の国連安保理決議は北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した、いかなる発射も停止するよう求めている。わが国としては引き続き安保理決議の完全な履行のために、アメリカをはじめとする国際社会と緊密に連携していくという立場に変わりはない」と述べました。

北朝鮮の非核化をめぐる米朝の実務者協議を受けて、日米韓の高官が今週、アメリカのワシントンで今後の対応について協議することになりました。

これは韓国外務省が7日午前、発表したものです。それによりますと協議には日本の外務省の滝崎アジア大洋州局長と、アメリ国務省北朝鮮問題を担当するビーガン特別代表、それに韓国のイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長が出席するということです。

韓国外務省は「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和の定着に向けた協力案について議論する」とコメントしています。

7日午前9時すぎ、石川県の能登半島の北西、およそ350キロの沖合にある日本の排他的経済水域内で、水産庁の漁業取締船「おおくに」と北朝鮮の大型の漁船が衝突しました。

衝突したのは「大和堆(やまとたい)」と呼ばれる日本有数の漁場で、衝突した際に北朝鮮の漁船は浸水して沈没し、乗組員が海に投げ出されました。

このため水産庁の漁業取締船などが救助活動にあたった結果、これまでに海に投げ出された北朝鮮の乗組員およそ60人全員を救助しました。

海上保安庁によりますと、救助された漁船の乗組員は全員、別の北朝鮮の船に引き取られたということです。

また水産庁の漁業取締船の乗組員にはけが人はいませんでした。

一方、水産庁によりますと、事故当時の状況について、「おおくに」の乗組員は北朝鮮漁船とみられる船を発見し、水域から出るように警告をしたところ、船が急に接近してきて接触した」と話しているということです。

大和堆」ではここ数年、初夏から冬にかけて北朝鮮イカ釣り漁船による違法操業が繰り返されていて、海上保安庁水産庁が巡視船や取締船を出して警戒を続けています。

第9管区海上保安本部のヘリコプターが午前10時ごろ、上空から撮影した画像では「おおくに」の船体に目立った損傷などは確認できません。

画像の左下には救命ボートや救命いかだが3つ写っていて、いずれも「おおくに」から落としたものだということです。

安倍総理大臣は衆議院本会議で「きょう午前9時7分ごろ、日本海大和堆のわが国の排他的経済水域内で水産庁の取締船と北朝鮮籍と思われる船舶が衝突し、水産庁の取締船が乗組員の救助にあたっているとの報告を受けている」と述べました。

そのうえで「政府としては、詳細は今後しっかり調査していく。引き続き、わが国の排他的経済水域内での外国漁船による違法操業の防止のため、毅然と対応していく」と述べました。

自民党の岸田政務調査会長は記者会見で「政府には人命救助のため最大限の努力をしたうえで、実際にどういう経緯で衝突が起きたのか実態を明らかにしてもらいたい。党としても状況を注視しており、適切に対応していきたい」と述べました。

水産庁の漁業取締船と北朝鮮の漁船が衝突した事故について、北朝鮮の経済事情に詳しい聖学院大学の宮本悟教授はロシア当局の警備が強化される中、日本のEEZ排他的経済水域内を漁場としてねらう北朝鮮の漁船が増えており、今後も事故が発生するおそれがあると指摘しました。

宮本教授は日本のEEZ内で大型の漁船が操業していたことについて「大型漁船が操業する北朝鮮の沿岸では魚を捕りすぎて、沿岸の資源が枯渇していることが考えられる。国から課されたノルマの達成や金を稼ぐために遠くに行って命懸けで漁業をしなければいけなくなっている」と述べ、北朝鮮の厳しい漁業環境が影響しているとの見方を示しました。

そのうえで最近ロシア当局が警備を強化し、拿捕(だほ)される北朝鮮の漁船が増えていることに触れ、宮本教授は「ロシアの海域での操業が難しくなっている。日本が拿捕などの強硬手段をとらなければ、北朝鮮の大型の漁船が日本の海域にどんどん入り、操業するだろう」と述べ、今後、日本のEEZ内をねらう北朝鮮の漁船が増えるという見方を示しました。

宮本教授によりますと、北朝鮮では大型の漁船は軍の傘下にある事業所が運用していますが、漁獲量のノルマが課され、その期限は通常12月に設定されているということです。

このため宮本教授は「ノルマを達成しなければいけない期限が12月末に迫っているので、今後もこういう衝突は起こりうる。日本の排他的経済水域で漁業をできないことを示すことが必要だ」と述べ、北朝鮮による違法な操業へのさらなる対応が求められると指摘しました。

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