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政府は21日の閣議で、来年度の国家公務員の定員について、新型コロナウイルスへの対応などによって、今年度に比べて全体で399人増やすことを決めました。
定員が全体で増えるのは42年ぶりです。

それによりますと、デジタル化の推進に向けて来年9月の発足を目指す「デジタル庁」に393人を配置するとしています。

また、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国立感染症研究所の体制強化で361人、保健所の支援やワクチンの接種体制の整備などで111人それぞれ増員するなど合わせて7589人増員するとしています。

一方、各府省庁で業務の効率化や民間への業務委託などを進めて7190人削減し、全体の定員は今年度に比べて399人増やすとしています。

定員が全体で前年度より増えるのは、昭和54年度以来42年ぶりです。

このほか、組織の見直しで、農林水産物の輸出拡大に向けて農林水産省に「輸出・国際局」を設けることや、ベトナムのダナンに総領事館を設置することなども決めました。

21日閣議決定された国の来年度予算案は、一般会計の総額が106兆6097億円と、今年度の当初予算を3兆9517億円上回って過去最大となり、3年連続で100兆円を上回ります。

歳出が大幅に膨らんだ背景には、高齢化に伴って「社会保障費」が今年度より1507億円増えて過去最大の35兆8421億円となったことや「防衛費」が今年度より610億円増えてやはり過去最大の5兆3235億円に上ったこと、それに新型コロナウイルスへの対応として、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として5兆円を計上したことなどがあります。

一方歳入では、税収が新型コロナの影響による企業業績の悪化などを見込んで今年度の当初予算より6兆650億円少ない57兆4480億円としています。

また新規の国債の発行額は、歳入不足を補うための赤字国債が37兆2560億円、建設国債が6兆3410億円の合わせて43兆5970億円に上り、今年度の当初予算の段階から11兆408億円増えています。

当初予算どうしの比較で、新規の国債発行額が前の年度を上回るのは11年ぶりで、歳入全体に占める国債の割合は40.9%となります。

政府は、この来年度予算案を今月15日に決定した今年度の第3次補正予算案と合わせて年明けの通常国会に提出することにしています。

来年度予算案では、新たな借金にあたる新規の国債発行額が当初予算どうしの比較で11年ぶりに増加し、国の財政は一段と悪化することになります。

財政の健全性を示す代表的な指標で、政策に必要な費用を借金に頼らず、税収などでどれだけ賄えているかを示す「基礎的財政収支」は、一般会計で20兆3617億円の赤字で、赤字額は今年度の当初予算段階の9兆6264億円から2倍以上に拡大しています。

政府は、国と地方をあわせた「基礎的財政収支」を2025年度に黒字化する目標を掲げていますが、達成はますます困難な状況になっています。

内閣府はことし7月の時点で、高い経済成長を実現できたと仮定しても、2025年度の「基礎的財政収支」を7兆3000億円の赤字と試算しています。

目標の達成には、抜本的な歳出改革のほか、経済成長や増税によって歳入を大幅に増やすなどより強力な取り組みが必要になります。

国の財政状況は「国債の発行残高」で見ても深刻さを増しています。

今年度は、3度にわたる補正予算の編成もあって、新規の国債発行額が112兆5000億円余りに上ります。

さらに来年度分も加わることで、来年度末には国債の発行残高は、990兆3000億円まで積み上がる見通しだとしています。これは、5年前にあたる2016年度末と比べて19%の増加となります。

また、新型コロナウイルスの今後の感染状況によっては、財政事情はさらに厳しくなるおそれもあります。

政府は来年度の経済成長率について、物価の変動を除いた実質で4.0%程度という高めの見通しを前提に、来年度予算案の税収を計算していますが、経済の回復が遅れれば、税収が大きく下振れするリスクがあるからです。

一方で、再来年の2022年には、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上になり始め、社会保障費が大きく膨らむことが予想され、財政健全化は喫緊の課題です。

新型コロナウイルスへの対応を進めながら、財政健全化への道筋をどう描くのかという難題に直面しています。

新たな借金にあたる新規の国債発行額は、43兆5970億円と、今年度の当初予算の段階より11兆408億円増加しています。

当初予算の段階で、新規の国債発行額が前の年度を上回るのは11年ぶりのことで、借金に依存する苦しい財政運営を反映しています。

このうち、
▼公共事業などに使いみちが限られている「建設国債」は、6兆3410億円で、今年度の当初より7690億円減る一方、
▼歳入不足を補うための「赤字国債」は37兆2560億円で11兆8098億円増える計画です。

この結果、歳入全体に占める国債の割合は40.9%と、今年度の当初予算の31.7%から、一気に9ポイント増加しています。

また、過去に発行し、満期を迎えた国債の償還費用を調達するための「借換債」は147兆1929億円で、今年度の当初予算より39兆2111億円増加しています。

これは今年度、新型コロナウイルスへの対応のために、短期国債を増発し、その償還の時期を迎えるためです。

これらを合計した来年度の国債発行総額は236兆82億円となり、当初計画としては今年度を82兆5461億円上回って過去最大となります。

普通国債の残高は来年度末の時点で990兆3000億円と過去最高を更新する見通しで、膨張の一途をたどっています。

一方、「赤字国債」の発行は、財政法で禁じられていて、発行するには特例法が必要ですが、平成28年に成立した現在の特例法は今年度末で期限を迎えます。
このため、政府は来年度から令和7年度までさらに5年間赤字国債を発行できるようにするための法案を年明けの通常国会に提出する方針です。

来年度の国の税収は、57兆4480億円と見込んでいます。

これは、今年度の当初予算で見積もった63兆5130億円と比べて6兆円余り減っています。

ただ、今年度の税収は、新型コロナウイルスの感染拡大による企業業績の悪化で法人税の税収が大幅に減ることなどを反映して当初の見積もりを下方修正し、55兆1250億円と見込んでいます。

これと比較すると、来年度の税収は、政府の経済対策によって景気が回復することなどを見込んで2兆3000億円余り増える見積もりとなっています。

今年度の最新の見通しと比較してみると、
▼消費税は1兆110億円、
法人税は9560億円、
所得税は1710億円、それぞれ増加することを見込んでいます。

このうち、最も税収が多いのは消費税で20兆2840億円を見込んでいます。

ただ、新型コロナウイルスの収束の見通しが立たない中、企業業績や個人消費、それに伴う税収がどこまで回復するかは不透明さも残っています。

歳出の主な内訳です。

▼全体の3分の1を占める「社会保障費」は、今年度の当初予算より1507億円増えて過去最大の35兆8421億円となりました。

▼「防衛費」は、今年度より610億円増えて過去最大の5兆3235億円となりました。

▼「公共事業費」は、今年度より26億円増えて6兆695億円、
▼「文化、教育、科学技術関連予算」は、今年度より57億円増えて5兆3969億円となりました。

地方自治体に配分する「地方交付税」は、今年度より1396億円増えて15兆9489億円、
▼過去に発行した国債の償還や利払いに充てる「国債費」は、4072億円増えて過去最大の23兆7588億円となっています。

加えて、
新型コロナウイルスへの対応のため、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として5兆円が盛り込まれています。

この結果、「社会保障費」と「地方交付税」それに「国債費」の3つの経費で歳出全体のおよそ70%を占めることになり、このほかの政策に自由に使える余地が小さい「財政の硬直化」と呼ばれる状況が続いています。

大規模な民間の事業などに国が資金を供給する「財政投融資」は、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した中小企業の資金繰りの支援などに総額40兆9056億円を投じる計画で、当初予算の段階としては過去最大となります。

財政投融資は、国が「財投債」と呼ばれる債券を発行して市場から資金を調達し、政府系の金融機関などを通して民間の大規模な事業に低金利で貸し出す仕組みです。

来年度は
新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した中小企業の資金繰り支援や、業態転換やデジタル化で生産性の向上に取り組む中小企業などへの支援に合わせて26兆6466億円を投じます。

また、
▼新型コロナの影響で休業や事業の縮小を余儀なくされた医療機関や福祉事業者への資金繰りの支援に1兆6898億円を投じます。

▼大学の国際競争力を強化するため、世界トップレベルの研究開発環境を整備するための基金の創設に4兆円を投じます。

また、
▼高速道路の4車線化や整備新幹線の建設、空港の防災対策など、回収に長い期間が必要なインフラ整備には合わせて9228億円を投じます。

このほか、
▼日本企業の海外展開などを支援するため、国際協力銀行国際協力機構などに合わせて2兆411億円を投じる計画です。

麻生副総理兼財務大臣は、一般会計の総額が過去最大となる来年度予算案について、記者会見で「今回の予算編成は新型コロナウイルスの感染拡大が見られる中で『感染拡大防止』『経済再生』『財政健全化』のバランスを取らなくてはならなかった点が最も難しかった」と述べました。

そのうえで「感染拡大に万全を期しつつ、デジタル改革、グリーン社会の実現など中長期的な課題もしっかり対応していかなければならない」と述べました。

一方、当初予算の比較で、新たに発行する国債が11年ぶりに前の年度を上回り、歳入全体に占める国債の割合が40.9%に上っていることを踏まえ、麻生副総理は「財政が厳しい状況であることは事実。公債への依存度を減らすということがコロナの影響ですっかり崩れたのが、少々残念だ。今回決定した予算案を着実に実行しながら経済再生と財政健全化を進めていきたい」と述べ、歳出と歳入の両面で改革を進めていく考えを改めて強調しました。

政府は、21日の閣議で一般会計の総額が過去最大の106兆6097億円となる来年度・令和3年度予算案を決定しました。私たちの暮らしはどう変わるのか。盛り込まれた主な内容をまとめます。

新型コロナウイルス

新型コロナウイルス関連の主な事業です。

1. 感染拡大防止

まず、感染拡大防止策です。

国立感染症研究所の職員を増員するための費用などとして9億円、▽各地の保健所の体制がひっ迫していることを受けて、感染症対策を専門で担当する保健師を現在の1800人から1.5倍の2700人に増やせるようにするための経費として、20億円が計上されました。

▽保健所の危機管理体制を強化するため、結婚や出産などで働いていないいわゆる「潜在保健師」を登録する「人材バンク」を創設し、自治体間の応援を支援する費用などとして5億円が盛り込まれました。

2. 企業・雇用などの支援

企業などの取り組みや雇用を下支えする支援策です。

▽経営が厳しい航空会社を支援するため、予算と税の両面から支援し、1200億円規模の負担軽減を図ります。

具体的には、
▽航空会社が支払う空港使用料は羽田空港など国が管理する空港では、国内線を対象に90%減額するとともに、
▽国内線の燃料税は現在の半分に減額します。

また、
▽輸入に頼っていた物資の不足が顕在化したことから、人工呼吸器や人工透析装置といった機器を国内で開発・製造するための補助金などとして65億円が計上されました。

▽観光客が大幅に減少した国立公園の利用を促すため、ワーケーションの推進などを行う費用として159億円が計上されました。

また、
▽都市部から地方への移住などを促すため、農村や漁村の情報通信環境を整備する費用などとして98億円が盛り込まれました。

一方、
雇用調整助成金の上限額を引き上げる特例措置を延長する費用などとして、特別会計も含めて6240億円が盛り込まれています。

政権が掲げる重点施策

続いて、菅政権が掲げる重点施策です。

1. デジタル改革
まず、デジタル改革です。

▽国の情報システムを標準化していくための費用として合わせて2986億円が計上されました。

また、
▽小・中学校で1人1台、パソコンなどの端末を配備するのに伴って、小学校5年生と6年生、それに中学生を対象にデジタル教科書を配布する費用として20億円が盛り込まれました。

このほか、
▽農業分野でロボットやAIを活用するスマート農業の普及、それに最新の農機具やサービスの開発・導入を支援する事業として13億円が計上されました。

▽令和4年度末までに、ほぼすべての国民にマイナンバーカードが行き渡るようにする目標の実現に向けて、カードの交付を担当する市区町村の体制整備を支援する経費などとして1001億円が計上されました。

▽地域社会のデジタル化を来年度からの2年間で集中的に推進するため、デジタル人材の育成など自治体が行う取り組みに対して財政支援する経費として2000億円が計上されました。

スーパーコンピューターよりもはるかに高い計算能力を持つ「量子コンピューター」でも絶対に解読することができない次世代の暗号技術「量子暗号通信」の実現に向けて、研究開発を進めるため、今年度予算のおよそ2倍にあたる34億円が計上されました。

2. 脱炭素社会の実現

続いては、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「脱炭素社会」の実現に向けた事業です。

▽地域での排出削減に向けた計画づくりや再生可能エネルギーの導入などを支援する費用として204億円が計上されました。

また、
技術開発などを後押しする予算として、
▽将来の主力電源の1つと位置づける洋上風力発電に82億円、
▽水素の活用に66億円、
▽自動車の電動化のカギを握る蓄電池には23億円が盛り込まれました。

3. 不妊治療

不妊治療についての予算も盛り込まれています。

▽妊娠しても流産や死産を繰り返す「不育症」の検査のほか、若い世代のがん患者が将来子どもを授かる可能性を残すため、卵子精子、受精卵の凍結保存などの治療にかかる費用負担を軽減するため23億円が計上されました。

暮らし

暮らしに身近な予算です。

1. 介護報酬

▽来年4月に改定される介護報酬について、新型コロナ対策の費用として0.05%を臨時に上乗せしたうえで、全体で0.7%のプラス改定を行うため196億円が計上されました。

2. 薬価

▽国が定める薬の価格については、来年度の改定で引き下げる品目を全体のおよそ7割とする一方、新型コロナの感染拡大の影響を勘案し、引き下げ幅を一定程度緩和して年間4315億円、国費ベースでは1001億円削減します。

3. 待機児童

▽待機児童の解消に向けて、保育所の運営費用を盛り込んだ「新子育て安心プラン」を実施する費用に111億円が計上されました。

4. 少人数学級

▽少人数学級の実現に向けて、公立の小学校の1クラスの定員を来年度から5年かけて35人以下に引き下げる第1段階として、来年度、小学2年生の教員を増やすための費用として3億円を上積みするなど、1兆5164億円の義務教育費国庫負担金を計上しました。

5. その他

▽石油を原料とするプラスチックを減らすため、植物を原料にした代替素材の生産や高度なリサイクル設備の導入を支援する費用として43億円が計上されました。

各省庁の主な事業

各省庁が盛り込んだ、このほかの主な事業です。

防衛省

▽配備を断念した新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策として、新型のイージス艦2隻の建造に向けた設計などの費用として17億円が計上されました。

また、
航空自衛隊のF2戦闘機の後継となる次期戦闘機の開発関連経費576億円が盛り込まれました。

このほか、
在日アメリカ軍の駐留経費について、日米交渉の年内の妥結が見送られるなか、暫定的に今年度と同水準の2017億円を計上しました。

国土交通省

▽防災や減災、国土強じん化を進めるための費用として3兆7591億円を盛り込みました。

このうち、相次ぐ豪雨災害などを受けて、河川の治水対策を行う費用として3000億円を計上しています。

また、
▽開業が予定より1年程度遅れることになった北陸新幹線と、北海道、九州の3つの整備新幹線の事業費に、国の負担として804億円を盛り込んでいます。

環境省

原発事故から10年となる福島県で、再生可能エネルギーや最先端の廃棄物処理技術などを導入して復興のまちづくりを支援するため5億円が計上されました。

農林水産省

▽外食用のコメの需要が減り『コメ余り』が深刻化していることを受けて、主食用のコメから飼料用のコメや野菜などへの転作を促す交付金事業に3050億円が盛り込まれています。

また、
▽農林水産物や食品の輸出額を2030年までに5兆円に引き上げるという目標の達成に向けて、販路開拓や産地育成の費用として99億円が計上されました。

文部科学省

▽博士号の取得者を増やすため、大学の博士後期課程で学ぶ学生に生活費や研究費を支援する事業のため23億円が盛り込まれています。

経済産業省

▽中小企業の事業継承や再編を後押しするため、事業を引き継いだ経営者が新たに設備投資や販路開拓を行った場合、それに専門家を活用した場合の費用を補助する事業に16億円が計上されました。

復興庁

東京電力福島第一原子力発電所で増え続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分などをめぐり、風評被害の払しょくに向けて、情報発信を強化するための費用として今年度の当初予算の4倍の20億円が計上されました。

警察庁

▽来年、開催が予定されている東京オリンピックパラリンピック警備体制の充実やテロの未然防止を図るための警戒警備に必要な費用、223億円が計上されました。

21日閣議決定された国の来年度予算案は、一般会計の総額が106兆6097億円と、今年度の当初予算を3兆9517億円上回って過去最大となり、3年連続で100兆円を上回ります。

歳出が大幅に膨らんだ背景には、高齢化に伴って「社会保障費」が今年度より1507億円増えて過去最大の35兆8421億円となったことや「防衛費」が今年度より610億円増えてやはり過去最大の5兆3235億円に上ったこと、それに新型コロナウイルスへの対応として、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として5兆円を計上したことなどがあります。

一方歳入では、税収が新型コロナの影響による企業業績の悪化などを見込んで今年度の当初予算より6兆650億円少ない57兆4480億円としています。

また新規の国債の発行額は、歳入不足を補うための赤字国債が37兆2560億円、建設国債が6兆3410億円の合わせて43兆5970億円に上り、今年度の当初予算の段階から11兆408億円増えています。

当初予算どうしの比較で、新規の国債発行額が前の年度を上回るのは11年ぶりで、歳入全体に占める国債の割合は40.9%となります。

政府は、この来年度予算案を今月15日に決定した今年度の第3次補正予算案と合わせて年明けの通常国会に提出することにしています。

これは「ワニの口」とも呼ばれる国の財政状況を示すグラフです。

上側の折れ線は「歳出」、下側の折れ線は「税収」で、2本の線の間隔が開くほど財政状況が厳しいことを示します。

1990年ごろまでは2本の線が平行する形で増加していました。

しかし、90年代以降「歳出」は増加して高止まりする一方、「税収」は低迷した結果、2本の線の間隔はワニの口のように開いていきました。

さらに、今年度は新型コロナウイルスへの対応で3度にわたる補正予算案を編成した結果、歳出は175兆円余りに膨らむ見通しになり、線の間隔が一気に開いてしまいました。

来年度は21日に決定された当初予算案の時点で歳出は過去最大の106兆円余りに上り、今年度ほどではないものの、ワニの口は大きく開いています。

今後の新型コロナウイルスの感染状況や景気動向によっては、歳出が膨らんだり税収が落ち込んだりして、ワニの口がさらに開くことも懸念されます。

来年度予算案では、新たな借金にあたる新規の国債発行額が当初予算どうしの比較で11年ぶりに増加し、国の財政は一段と悪化することになります。

財政の健全性を示す代表的な指標で、政策に必要な費用を借金に頼らず、税収などでどれだけ賄えているかを示す「基礎的財政収支」は、一般会計で20兆3617億円の赤字で、赤字額は今年度の当初予算段階の9兆6264億円から2倍以上に拡大しています。

政府は、国と地方をあわせた「基礎的財政収支」を2025年度に黒字化する目標を掲げていますが、達成はますます困難な状況になっています。

内閣府はことし7月の時点で、高い経済成長を実現できたと仮定しても、2025年度の「基礎的財政収支」を7兆3000億円の赤字と試算しています。

目標の達成には、抜本的な歳出改革のほか、経済成長や増税によって歳入を大幅に増やすなどより強力な取り組みが必要になります。

国の財政状況は「国債の発行残高」で見ても深刻さを増しています。

今年度は、3度にわたる補正予算の編成もあって、新規の国債発行額が112兆5000億円余りに上ります。

さらに来年度分も加わることで、来年度末には国債の発行残高は、990兆3000億円まで積み上がる見通しだとしています。これは、5年前にあたる2016年度末と比べて19%の増加となります。

また、新型コロナウイルスの今後の感染状況によっては、財政事情はさらに厳しくなるおそれもあります。

政府は来年度の経済成長率について、物価の変動を除いた実質で4.0%程度という高めの見通しを前提に、来年度予算案の税収を計算していますが、経済の回復が遅れれば、税収が大きく下振れするリスクがあるからです。

一方で、再来年の2022年には、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上になり始め、社会保障費が大きく膨らむことが予想され、財政健全化は喫緊の課題です。

新型コロナウイルスへの対応を進めながら、財政健全化への道筋をどう描くのかという難題に直面しています。

新たな借金にあたる新規の国債発行額は、43兆5970億円と、今年度の当初予算の段階より11兆408億円増加しています。

当初予算の段階で、新規の国債発行額が前の年度を上回るのは11年ぶりのことで、借金に依存する苦しい財政運営を反映しています。

このうち、
▼公共事業などに使いみちが限られている「建設国債」は、6兆3410億円で、今年度の当初より7690億円減る一方、
▼歳入不足を補うための「赤字国債」は37兆2560億円で11兆8098億円増える計画です。

この結果、歳入全体に占める国債の割合は40.9%と、今年度の当初予算の31.7%から、一気に9ポイント増加しています。

また、過去に発行し、満期を迎えた国債の償還費用を調達するための「借換債」は147兆1929億円で、今年度の当初予算より39兆2111億円増加しています。

これは今年度、新型コロナウイルスへの対応のために、短期国債を増発し、その償還の時期を迎えるためです。

これらを合計した来年度の国債発行総額は236兆82億円となり、当初計画としては今年度を82兆5461億円上回って過去最大となります。

普通国債の残高は来年度末の時点で990兆3000億円と過去最高を更新する見通しで、膨張の一途をたどっています。

一方、「赤字国債」の発行は、財政法で禁じられていて、発行するには特例法が必要ですが、平成28年に成立した現在の特例法は今年度末で期限を迎えます。
このため、政府は来年度から令和7年度までさらに5年間赤字国債を発行できるようにするための法案を年明けの通常国会に提出する方針です。

来年度の国の税収は、57兆4480億円と見込んでいます。

これは、今年度の当初予算で見積もった63兆5130億円と比べて6兆円余り減っています。

ただ、今年度の税収は、新型コロナウイルスの感染拡大による企業業績の悪化で法人税の税収が大幅に減ることなどを反映して当初の見積もりを下方修正し、55兆1250億円と見込んでいます。

これと比較すると、来年度の税収は、政府の経済対策によって景気が回復することなどを見込んで2兆3000億円余り増える見積もりとなっています。

今年度の最新の見通しと比較してみると、
▼消費税は1兆110億円、
法人税は9560億円、
所得税は1710億円、それぞれ増加することを見込んでいます。

このうち、最も税収が多いのは消費税で20兆2840億円を見込んでいます。

ただ、新型コロナウイルスの収束の見通しが立たない中、企業業績や個人消費、それに伴う税収がどこまで回復するかは不透明さも残っています。

歳出の主な内訳です。

▼全体の3分の1を占める「社会保障費」は、今年度の当初予算より1507億円増えて過去最大の35兆8421億円となりました。

▼「防衛費」は、今年度より610億円増えて過去最大の5兆3235億円となりました。

▼「公共事業費」は、今年度より26億円増えて6兆695億円、
▼「文化、教育、科学技術関連予算」は、今年度より57億円増えて5兆3969億円となりました。

地方自治体に配分する「地方交付税」は、今年度より1396億円増えて15兆9489億円、
▼過去に発行した国債の償還や利払いに充てる「国債費」は、4072億円増えて過去最大の23兆7588億円となっています。

加えて、
新型コロナウイルスへの対応のため、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として5兆円が盛り込まれています。

この結果、「社会保障費」と「地方交付税」それに「国債費」の3つの経費で歳出全体のおよそ70%を占めることになり、このほかの政策に自由に使える余地が小さい「財政の硬直化」と呼ばれる状況が続いています。

大規模な民間の事業などに国が資金を供給する「財政投融資」は、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した中小企業の資金繰りの支援などに総額40兆9056億円を投じる計画で、当初予算の段階としては過去最大となります。

財政投融資は、国が「財投債」と呼ばれる債券を発行して市場から資金を調達し、政府系の金融機関などを通して民間の大規模な事業に低金利で貸し出す仕組みです。

来年度は
新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した中小企業の資金繰り支援や、業態転換やデジタル化で生産性の向上に取り組む中小企業などへの支援に合わせて26兆6466億円を投じます。

また、
▼新型コロナの影響で休業や事業の縮小を余儀なくされた医療機関や福祉事業者への資金繰りの支援に1兆6898億円を投じます。

▼大学の国際競争力を強化するため、世界トップレベルの研究開発環境を整備するための基金の創設に4兆円を投じます。

また、
▼高速道路の4車線化や整備新幹線の建設、空港の防災対策など、回収に長い期間が必要なインフラ整備には合わせて9228億円を投じます。

このほか、
▼日本企業の海外展開などを支援するため、国際協力銀行国際協力機構などに合わせて2兆411億円を投じる計画です。

国の来年度予算案は、社会保障費の増加や新型コロナウイルスへの対応などで一般会計の総額で106兆6097億円と、今年度の当初予算を4兆円近く上回り、過去最大となりました。

一方、歳入をみますと、税収は今年度の当初予算より6兆円余り少ない57兆4480億円、新規の国債の発行額は、11兆円余り多い43兆5970億円としています。

その結果、歳入全体のうち国債で賄う割合は40.9%と、当初予算の段階としては7年ぶりに40%を超え、財政状況は一段と深刻化しています。

政府は、切れ目のない支援が必要だとして先週、決定した今年度の第3次補正予算案とあわせた「15か月予算」の考え方で感染拡大防止策や、ポストコロナに向けた経済構造の転換を目指した事業を盛り込んだことから、来年度の終わりには、GDP国内総生産はコロナ前の水準に回復することが見込まれるとしています。

ただ、感染が想定以上に拡大し、経済活動が大きく停滞すれば、税収が下振れするおそれもあります。

これ以上の財政の悪化を食い止めるには、景気の回復が欠かせず、事業の実効性が問われることになりますが、新型コロナウイルスの収束の見通しが立たない中、難しいかじ取りが続くことになります。

政府は毎年12月に地方創生の施策の方向性を示す「総合戦略」を改訂しており、21日の閣議で、ことしの改訂版を決定しました。

それによりますと、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、テレワークをさらに推進するほか、デジタル分野の専門人材を派遣するなどして市町村を支援するとしています。

また、企業版の「ふるさと納税制度」の対象に、東京以外の全国の地方自治体などに社員を派遣する、企業の取り組みを加えたことで、企業と地方自治体の結び付きを強め、人や資金の流れを活発化させていくとしています。

さらに、地域で活躍する人材を育成し、定着させるため、再来年4月から地方の国立大学の定員を増やす検討を進めることなどを盛り込んでいます。

原子力規制委員会は21日、東京電力のトップと意見交換し、規制委員会の更田委員長は東京電力に対し、事故の原因調査と検証にさらに力を入れるよう求めました。

原子力規制委員会は各電力会社のトップと定期的に意見交換を行っています。

21日は原発事故から来年で10年となるのを前に東京電力の小早川智明社長が招かれました。

この中で規制委員会の更田豊志委員長は、規制委員会が去年から原発事故の調査を再開したことに触れ「原発事故に学ぶことはまだある。東京電力としても現場をもっと調査してほしい」などと述べ、事故の詳細で依然、わかっていないことが多くある中、廃炉だけでなく、現場の調査と検証にもさらに力を入れるよう求めました。

これに対し、小早川社長は「必要な人員などの体制を整えたい。調査を通じてリスクを理解することは、重要な知見になる」などと答えていました。

また、たまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分については規制委員会から「東京電力が主体的に問題の解決に取り組んでほしい」などと注文がつけられました。

小早川社長は、具体的な処分方法や見通しなどには言及せず、「関係者としっかり調整し、対応を進めたい」と述べました。

このほか、再稼働の手続きが進む新潟県にある柏崎刈羽原発についても、具体的な予定などには触れませんでした。

自民党吉川貴盛農林水産大臣は、21日午後、コメントを発表しました。

この中で、吉川氏は「現在、慢性心不全などにより入院治療を行っているが、近日中に手術を受けることが決まった。術後はさまざまな日常生活に最も気をつけなければならないことが予想される」としています。

そのうえで「今までのように国会議員としての職責を果たすことが難しく、国民の負託にお応えする十分な活動ができなくなる」として、衆議院議員を辞職することを表明しました。

吉川氏は、衆議院北海道2区選出の当選6回で70歳。北海道議会議員などを経て、平成8年の衆議院選挙で初当選し、おととし10月、農林水産大臣として初入閣し、去年9月まで務めました。

吉川氏をめぐっては、広島県福山市にある大手鶏卵生産会社の元代表が、現金500万円を渡したなどと周囲に説明していることが関係者への取材で明らかになっていて、吉川氏は、今月2日に、国会審議と党運営に迷惑をかけたくないとして、党の役職を辞任していました。

東京都は、21日都内で新たに10歳未満から90代までの男女合わせて392人新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

土曜日や日曜日に休診の医療機関が多く、発表人数が比較的少ない月曜日としては、これまでで最も多くなりました。

年代別では、
▽10歳未満が3人、
▽10代が10人、
▽20代が101人、
▽30代が97人、
▽40代が58人、
▽50代が57人、
▽60代が22人、
▽70代が17人、
▽80代が17人、
▽90代が10人です。

21日の392人のうち、
▽およそ35%に当たる136人は、これまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、
▽残りのおよそ65%の256人はこれまでのところ感染経路が分かっていないということです。

一方、都の基準で集計した21日時点の重症の患者は、20日より3人減って63人でした。

これで都内で感染が確認されたのは合わせて5万1838人になりました。

また、都は、感染が確認された1人が死亡したことを明らかにしました。

これで都内で死亡した人は合わせて567人になりました。

アメリカの著名な東アジア研究者で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者として知られるハーバード大学エズラ・ボーゲル名誉教授が、東部マサチューセッツ州の病院で死去しました。90歳でした。

これはボーゲル氏と親しかった、ハーバード大学で日米関係を研究するクリスティーナ・デービス教授が明らかにしたもので、ボーゲル氏がマサチューセッツ州の病院で手術を受けた後、容体が急変し、現地時間20日朝、死去したとボーゲル氏の妻から連絡があったということです。

ボーゲル氏は、ハーバード大学社会学の博士号を取得したあと、2年間日本に滞在するなど日本社会の研究に携わり、1979年に出版された日本の高度経済成長の要因を分析した著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」はベストセラーになりました。

ボーゲル氏は、日本研究とともに中国研究でも知られ、改革開放を推し進めたトウ小平氏の生涯についておよそ10年の歳月をかけてまとめました。

去年には、日本と中国の交流の歴史をたどった著書「日中関係史」を出版するなど、日本語と中国語を操り、双方に幅広い人脈を持つアメリカ人東アジア研究者として、亡くなる直前まで活発に活動していました。

また、人材の育成にも力を入れていて、ハーバード大学の敷地に近い自宅に、日本の企業や政府機関などからの留学生を定期的に招き、日米関係をはじめさまざまな問題を議論する場を設けて、日本の若者との交流を長年続けてきました。

ボーゲル氏が40年前に初代の所長を務めた、ハーバード大学日米関係プログラムのクリスティーナ・デービス所長は「私がハーバードの学生だった当時、ボーゲル氏は日本政治を学ぶ学生を自宅に招いて、彼らの日本への関心をかきたてるような人だった」と述べて、ボーゲル氏が、日本に対して深い愛着を持っていたと振り返りました。

また「ボーゲル氏は学生の交流や、政治指導者の間の意思疎通の価値を固く信じていた」と述べ、ボーゲル氏の研究や著作は日本と中国や、日本とアメリカの相互理解を促進するためだったと評価しました。

そして「ボーゲル氏が分け隔てない態度と、丁寧な分析力で社会をよりよくしようと取り組んできたように、わたしたちも努力しなければならない」と述べて、ボーゲル氏の研究姿勢と業績を受け継いでいきたいという思いをにじませました。

ボーゲル名誉教授の死去を受けて、アメリカ大使館はツイッターの公式アカウントにコメントを投稿し「エズラ・ボーゲル氏の研究はアメリカ人と日本人の絆を一層強めました。今でも、ボーゲル氏の著書『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は、日本の経済力を理解する上で欠かせない1冊です。ボーゲル氏のご家族、ご友人ならびに世界中の関係者にお悔やみ申し上げます」とボーゲル氏の功績をたたえました。

ボーゲル名誉教授の死去について、中国外務省の汪文斌報道官は21日の記者会見で「ボーゲル氏は中国とアメリカの交流と両国民の相互理解のため、たゆまぬ努力をされた。中国はボーゲル氏が両国の関係発展を推し進めるために行った貢献を深く心に刻みつけたい」と述べ、哀悼の意を表しました。

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