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サウジアラビアは2017年6月、対立するイランへの接近などを理由にUAEアラブ首長国連邦バーレーン、それにエジプトとともに、カタールとの国交を断絶し、人の往来や物流を停止させ、圧力を強めました。

これに対し、湾岸諸国を結束させてイラン包囲網を強めたいアメリカが仲介を行ってきました。

こうした中、サウジアラビアの北西部ウラーで5日開かれた、GCC湾岸協力会議の首脳会議に断交しているカタールのタミム首長が招かれ、サウジアラビアムハンマド皇太子が空港で出迎えました。

会議の後、サウジアラビアのファイサル外相は、断交している3か国とともにカタールと国交を回復させることで合意したことを明らかにしました。

サウジアラビアはこれまで独自の外交を進めるカタールに、イランとの外交関係の縮小などを求めてきましたが、カタールはこれに応じず、かえってイランとの関係を深める結果となっていました。

このため、今後、カタールが、アメリカやサウジアラビアの思惑どおり、イランとの関係を見直し、湾岸諸国との和解が一気に進むのかは不透明な情勢です。

アメリカのポンペイ国務長官は5日「湾岸諸国の団結の修復に向けた前向きな一歩だ」と歓迎する声明を発表しました。

そのうえでアメリカは湾岸諸国が和解に継続して取り組むことを期待したい。外交関係が完全に回復することはこの地域の共通の脅威に立ち向かう上で不可欠だ。われわれがともに立ち上がるとき、さらに強くなる」として、今後も湾岸諸国の結束を後押しし、イラン包囲網の強化を目指す考えを強調しました。

今回、サウジアラビアカタールと国交回復で合意したことについて、元外交官でアメリカの中東政策に詳しい三菱総合研究所の中川浩一 主席研究員は「バイデン次期政権の発足まであと2週間となった段階でトランプ大統領アラブ諸国の首脳の駆け込み外交が加速化している」との見方を示しました。

一方、中川主席研究員は、バイデン次期政権とアラブ諸国の今後の関係構築についてアラブ諸国の首脳にもイランの首脳にも共通するのはバイデン次期政権において中東政策を具体的につかさどるメンバーが決まらないなど、今後の中東情勢に不透明感が漂う中で、一歩でも強い立場でバイデン次期政権と相対し、自国に有利に事を運びたいという思いだろう」とすでに外交の駆け引きが始まっていると分析しています。

中東カタールアラビア半島にあるペルシャ湾岸の国で中東の地域大国サウジアラビアとイランに挟まれた人口280万人の小さな国ですが、世界有数の天然ガスの輸出国で、豊富な資金力で国内の開発を進めてきました。

首都ドーハにある国際空港は、世界各地を結ぶカタール航空が拠点とし、地域のハブ空港として成長し、来年には中東で初めてとなるサッカーワールドカップが開催される予定です。

外交面では、湾岸諸国がサウジアラビアと足並みをそろえる中、覇権を争うトルコの部隊を受け入れ、対立するイランとも良好な関係を築くなど独自の外交を展開してきました。

また、政府が出資して開設した衛星テレビ局、アルジャジーラはほかのアラブ諸国での独裁的な政治体制を問題視する報道などを続け、情報戦略の面でも独自色を打ち出しています。

こうした中、3年半前、サウジアラビアUAEアラブ首長国連邦バーレーン、それにエジプトはカタールとの国交断絶を一方的に表明し、カタールとの往来を停止し、物流を制限するなど経済封鎖を強め、圧力をかけました。

そのうえで、解除の条件として、トルコやイランとの外交関係の縮小や、アルジャジーラの閉鎖などの要求を突きつけましたがカタールはこれに反発し、支援するトルコやイランとの関係がさらに深まる形となり、2年前にはサウジアラビアが主導する、OPEC石油輸出国機構から脱退しました。

イラン政府は4日、中部・フォルドゥの核施設で濃縮度20%のウランの製造を始めたことを明らかにしました。

濃縮度20%以上のウランは、「高濃縮ウラン」に分類され、6年前の核合意で定められた平和利用の範囲内である濃縮度3.67%を大幅に逸脱するもので、核兵器に転用できるウランを製造するまでの時間の短縮につながると指摘されています。

これについて、原子力庁のサレヒ長官は5日「24時間以内にわれわれは濃縮度20%のウランを製造できるようになった。安定して製造できている」と述べ、月に8キロから9キロを製造する能力があるとして生産性の向上を強調しました。

その一方で、ザリーフ外相は4日、ツイッター「すべての関係国が完全に合意を履行すれば、われわれの措置も撤回可能だ」と投稿し、アメリカの制裁が解除され、ヨーロッパなど各国との経済関係が正常化するのであれば、濃縮の強化を取りやめ、合意を順守するとしています。

イランとしてはウラン濃縮を外交カードアメリカのバイデン次期政権に揺さぶりをかけるねらいもあるものとみられます。

これに対して、アメリカのトランプ政権は、イランがテロを支援したり大量破壊兵器を拡散させたりする資金を断つためだとして、新たにイランの鉄鋼関連メーカーなどに制裁を科すと発表しました。

アメリ財務省は5日、イランの鉄鋼や金属のメーカーが、テロ支援などを行っているイラン政府に資金を提供しているとして、経済制裁を科すと発表しました。

対象には、イランの企業に物資を提供した中国企業も含まれていて、今回の制裁によって、アメリカ国内の資産が凍結されるほか、アメリカの金融機関との取り引きが禁止されます。

ムニューシン財務長官は声明で「トランプ政権は、テロリストを支援し、大量破壊兵器を求めるイラン政府への資金源を断つことに注力する」と強調しています。

トランプ政権は、原油の全面的な禁輸措置を科すなどイランを経済的に孤立させる政策を進めてきましたが、イランが核合意を大幅に逸脱する濃縮度20%のウランの製造を開始するなか、制裁を一段と強化した形です。

今後は、今月20日に就任するバイデン次期大統領が、イランにどのように対応していくかが、焦点になりそうです。

サウジアラビアが主導するOPEC石油輸出国機構とロシアなど非加盟の産油国は4日から5日にかけて来月以降の原油の生産量を決める会合をオンラインで開きました。

これらの産油国は新型ウイルスの感染拡大による世界的な需要の低迷で急激に落ち込んだ原油価格を下支えしようと去年5月から協力して生産を絞る協調減産を続けています。

ただ、原油価格は、ワクチンの普及への期待などから去年11月以降、上昇傾向で、5日はニューヨーク原油市場のWTI先物価格が去年2月以来となる1バレル=50ドル台にまで回復しています。

こうしたことから、会合では市場の混乱が改善に向かっているとの認識で一致し、来月と3月の生産量の目標について、ロシアとカザフスタンは増産の主張が認められ、全体としてわずかながら引き上げられることが決まりました。

ただ、感染の拡大で各国で経済活動の制限が強まっていることから、産油国の間では原油需要の先行きへの警戒感が根強く、このうちサウジアラビアは自主的に追加の減産を行い、原油価格を下支えする姿勢を示しています。

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