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第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていたドイツやイタリア、台湾、フィリピン、タイ、パキスタン、多くの中南米諸国、そしていま、ついに韓国までもがそのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めているにもかかわらず、日本の「戦後」だけがいつまでも続く理由とは?

その「深刻な亀裂」が、まさにメリメリと音をたて、大きな口をあけたのが、いまから半世紀以上前の1963年4月のことでした。

そしてそのとき日本の外務大臣と駐日アメリカ大使の間で姿を現した亀裂は、その後もずっと修復されることがなく、半世紀たった現在に至るまで、日本の外交とさらには国家のシステムそのものに、大きなダメージを与えつづけているのです。

その亀裂の正体とは、当時日本の国会で大きな問題となっていた「アメリカ艦船による日本への核兵器の持ち込み疑惑」でした。

そもそもの始まりは、この年の1月のことでした。ライシャワー大使が日本政府に対し、米軍の新型原子力潜水艦「ノーチラス」の日本への寄港を正式に要請したことをきっかけに、日本の港に入港しているアメリカ艦船のなかに、核兵器を積んでいる船があるのではないかという疑惑が国会で大きな問題となったのです。

この騒ぎがなぜそこまで大きくなったかというと、その理由は3年前(1960年)、 岸政権のもとで行われた安保改定にありました。

そのとき「対等な日米新時代」のまさに象徴として、日本に配備される米軍の重大な軍事上の変更については、日本政府が事前に相談を受けるという「事前協議制度」が新設されており、新安保条約の付属文書で合意されていたのです。

それは当時日本国内で、占領時代となにひとつ変わらず傍若無人に行動していた米軍の動きに歯止めをかけ、失われていた国家主権を回復するための、安保改定の最大のセールス・ポイントだったのです。

ですからこの1963年に大問題となった、核兵器の持ち込み疑惑に関する野党の追及に対し、池田首相は、
「核弾頭を持った潜水艦は、私は日本に寄港を認めない」(3月6日・参院予算委員会)、
志賀健次郎防衛庁長官は、
「〔アメリカの艦船が〕日本の港に寄港する場合においては、核兵器は絶対に持ち込ん では相ならぬ、かように〔=そのように〕固い約束をいたしておる」(3月2日・衆院予算委員会
と国会で述べて、どちらもその事実を明確に否定しました。

ところが実際には、核兵器を積んだアメリカの艦船は、すでにその10年前の1953年から、ずっと途切れることなく横須賀や佐世保に寄港しつづけていたのです。それもただの寄港ではなく、補給をしたあと日本海東シナ海フィリピン海域へ展開し、そこからたとえば爆撃機平壌を核攻撃する演習などを行っていました。

それなのになぜ、それほど深刻な認識の違いが起きていたのか。

実は安保改定時に新設された事前協議制度には、正式に結ばれたオモテの取り決めのほかに、ウラ側で合意された「秘密の取り決め」があったのです(→『知ってはいけない2』第二章)。

1960年1月6日、つまり新安保条約がワシントンで調印される(同1月19日)約二週間前に、当時の藤山愛一郎外務大臣が東京の外務省本省で、マッカーサー駐日大使とその文書にサインしていました。

その密約文書によって、核兵器を積んだ米軍の艦船が日本の港に寄港することは、すでに了承済みだとアメリカ政府は考えていたのです。

そのため池田首相たちの発言を問題視したラスク国務長官は、ケネディ大統領も出席した重要会議でこの問題を検討し、その結果、ライシャワー大使が大平外務大臣に直接会って説明をすることになったのです。

アメリカ側の記録によれば、1963年4月4日、ライシャワーは大平をアメリカ大使公邸での朝食会に招き、話を始めます。

たしかにアメリカは日本政府に対し、事前協議なしには核を持ち込まないと3年前の安保改定で約束している。しかし、問題はその「持ち込む(イントロデュース)」という言葉の意味だ。これは日本の陸上基地のなかに核兵器を常時配備するという意味であり、その点については日米で合意があったはずなのだが、と。

その後の展開は、おおむね次のようなものでした。
ライシャワーの説明を聞いた大平は
「つまり、「イントロデュース」は艦上の核には当てはまらないんだね」
と尋ねた。ライシャワーが肯定すると
「これまでは厳密な意味で使っていなかったが、今後はそうする」
と約束した。

ライシャワーはさらに、〔19〕60年1月6日、ダグラス・マッカーサー二世と藤山愛一郎が署名した「討論記録」〔という名の密約文書=本書では「討議の記録」と表記〕を取り出して、大平に示した。大平は〔このとき〕討論記録の存在を初めて知らされたが、驚いた様子を見せなかったという。

最後にもう一度、記録に目をやると
「池田〔首相〕にも伝える。問題はないだろう」
と言った。(略)
密約はこうして引き継がれた」(『「共犯」の同盟史― 日米密約と自民党政権豊田祐基子岩波書店

大平の娘婿で、長く第一秘書をつとめた元大蔵官僚の森田一氏によれば、このライシャワーとの会見直後から大平は、車のなかなどでよく目を閉じて、
「イントロダクション〔持ち込み〕、イントロダクション〔持ち込み〕......」
と小声でつぶやきながら、なにかを考えこむようになったといいます(『心の一燈 回想の大平正芳第一法規)。

それにしても、いったいどうしてこんなことが起きてしまうのでしょう。

1960年に岸政権が結んだ重大な密約が、わずか3年後、同じ自民党の池田政権の外務大臣(大平)に、もう引き継がれていないのです。さらに大平が「今後はそう認識する」といった密約の内容が、やはり次の佐藤政権にも伝わっていなかったのです。

というのも、ライシャワーが翌年(1964年)の9月、外務大臣の職を去って間もない大平に会って確認したところ、彼は後任の外務大臣である椎名(悦三郎)に対して、やはり密約の内容を伝えていないようだった。

そのためライシャワーは同年12月、池田に代わって首相になったばかりの佐藤栄作を官邸に訪ね、やはり同じ密約についての説明をしたのだそうです。

そのとき説明を聞いた佐藤がなにも反論してこなかったので、この時点でアメリカ政府は、日本政府が密約の内容を了承したものと考えていました。

ところがそれから4年たって(1968年)、ライシャワーの次に駐日大使になったアレクシス・ジョンソンが、やはり牛場信彦・外務事務次官と東郷文彦・アメリカ局長(どちらも戦後の外務省を代表する超エリート外務官僚です)に対してそれまでの経緯を説明し、 密約の内容についての確認を求めたところ、牛場と東郷は、1963年4月の一回目の大平・ライシャワー会談については外務省に記録があるとしながらも、大平がアメリカ側の解釈に同意したことは認めませんでした。

さらに、アメリカ側の主張にある二度目の大平・ライシャワー会談(1964年9月) と、佐藤首相への密約の説明(同年12月)については、外務省内を探しても、どこにも 記録が見当たらなかったとしたのです(東郷文彦「装備の重要な変更に関する事前協議の件」 /外務省「報告対象文書1 5」ほか)。

ここまで読んでいただいただけで、この問題をめぐる日米間の外交が、いかに混乱したドタバタ劇のような状況にあったかが、よくおわかりいただけたと思います。

しかし、いちばん重要なのはこのあとの話なのです。

結局、二度の「大平・ライシャワー会談」のあとも、「佐藤・ライシャワー会談」の あとも、さらには牛場や東郷が密約文書について、アメリカ側からはっきりその解釈を伝えられたあとも、日本政府は、
核兵器を積んだアメリカ艦船の寄港は事前協議の対象であり、日本に無断で寄港することはない。したがってこれまで一度も寄港したことはない」
という解釈を変えず、国会でも同じ答弁をつづけました。それが明らかなウソであることを知ったあとも、ずっと同じ立場をとりつづけたのです。

日本政府はその後、現在まで、この明らかなウソを一度も訂正していません。

広く知られているように、アメリカの核戦略の基本は1958年以降、核兵器があるかないかを「肯定も否定もしない」(Neither confirm nor deny)という「NCND政策」にあります。

ですから日本に寄港する船だけが核兵器を積んでいないとアメリカ政府が保証することなど、絶対にありえないと世界中が知っているのです。

それにもかかわらず、日本政府はずっと国会で、
事前協議がない以上、核兵器を積んだアメリカの艦船が日本に寄港することは絶対にない」
という百パーセントのウソをつきつづけたのでした。

歴史をふりかえると、この「核兵器を積んだアメリカ艦船の寄港」についての、半世 紀以上におよぶ国会での明白な虚偽答弁こそ、その後、自民党の首相や大臣、そして官僚たちが平然と国会でウソをつき、さらにはそのことにまったく精神的な苦痛や抵抗を感じなくなっていった最大の原因だといえるでしょう。

#矢部宏治(日本政府「事前協議がない以上、核兵器を積んだアメリカの艦船が日本に寄港することは絶対にない」)

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#日米(矢部宏治 「朝鮮戦争ジーム」「サンフランシスコ・システム」・旧安保条約/行政協定・安保改定/三つの密約)

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#日米(矢部宏治 「朝鮮戦争ジーム」「サンフランシスコ・システム」

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#矢部宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書

重要:2016年のトランプ大統領の最初の主要な外交政策演説を主催した軍事外交現実派シンクタンクの雑誌The National Interestが、「日本は核兵器を持つ運命にある」という記事を掲載
https://nationalinterest.org/feature/japan-destined-have-nuclear-weapons-207811

"アメリカの「核の傘」は、ますますほころびを見せており、おそらく修復不可能だ" と核の傘が機能していないことを公に認めた

"日本は、アメリカの保護があったからこそ可能だった理想主義の道を歩み続けるべきなのか。それとも、世界情勢が大きく変化し、自分たち以外には頼れないという現実を受け入れるべきなのか。日本人の中で最も希望に満ちた平和主義者であっても、これらの問いに対する答えはひとつしかないことに気づくだろう。日本は核兵器を開発しなければならない。"

トランプが大統領になった際、日本は独立して核兵器を持つ方向に進む可能性が高い

#ナショナル・インタレスト「日本は核兵器を持つ運命にある」

8日から水戸市で行われていたG7内務・安全担当相会合は、最終日の10日、共同声明を採択しました。

今回の声明で主要な項目の1つとなったのが、国境を越えて行われる組織的な詐欺への対策です。

イギリスでは、組織的な詐欺の年間の被害額が日本の特殊詐欺の去年1年間の被害額の11倍にあたる4100億円余りにのぼるほか、アメリカではインドなど南アジアの「コールセンター」を拠点にした詐欺で、年間1400億円余りの被害が出ています。

こうした被害の抑止のため、各国が連携して取り組んでいくことで合意しています。

また、急速に進展している生成AIのリスクへの対応も話し合われました。

共同声明では、犯罪やテロに生成AIの技術が悪用される可能性があることを各国が認識した上で、最新の情報を共有し、捜査機関の能力向上や、産業界との連携強化を進めるとしています。

このほか共同声明には、
児童ポルノなど、子どもの性の搾取の問題への取り組みとして、SNS事業者などに子どもを守るための機能の整備などを促していくこと
▽経済安全保障の観点では、政府機関や企業から先端技術や情報が流出するのを防ぐための連携強化などが盛り込まれました。

特殊詐欺 去年の被害額 日本では371億円
日本では20年ほど前から広がり始めた特殊詐欺の被害。去年1年間の被害額は371億円にのぼっています。

一方、G7内務・安全担当相会合では被害が拡大している各国の状況も明らかになりました。

イギリス
中でも深刻な被害が報告されたのはイギリスです。

SNSで外国人をかたり、恋愛感情を抱かせて金銭をだましとる「国際ロマンス詐欺」など被害の総額は23億ポンド。

日本円に換算すると4100億円余りにのぼり、詐欺の7割は国外のグループによるものと分析されているということです。

アメリ
アメリカでは、パソコン画面に「ウイルスに感染した」などとうその警告を表示させ、海外のコールセンターに電話をさせて金銭をだましとる手口が広がり、年間の被害額は10億ドル。

日本円で1400億円余りにのぼるとされています。

コールセンターは、南アジア、特にインドを拠点にしたものが多く、FBIがインド警察と協力して撲滅を進めているということです。

その他の国
▽このほか、フランスでも「国際ロマンス詐欺」などで、深刻な被害が続いています。

▽ドイツでは、高齢者を狙った架空請求の詐欺が相次いでいて、トルコから電話がかけられているケースが多いとされています。

▽イタリアでも、日本の「還付金詐欺」に似た手口の詐欺などで、
▽また、カナダでは、警察官や親族をかたるなど日本の特殊詐欺と似た手口がみられ、それぞれ多額の被害が出ているということです。

#G7(内務安全担当相会合・共同声明 「詐欺とAIリスク対策を」)

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#外交・安全保障