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アメリカ司法省は28日、制裁下にあるイランとの金融取引をめぐる詐欺などの罪で、孟晩舟副会長と法人としてのファーウェイや関連会社を起訴したと発表しました。

孟被告は先月、アメリカの要請でカナダ当局に逮捕されたあと、パスポートの提出などを条件に保釈され、現在は自宅のあるカナダに滞在していて、アメリカ政府は28日、カナダ側に身柄の引き渡しを正式に要請しました。

今後、カナダの裁判所で引き渡しの手続きを進めるか審理が行われ、最終的にカナダの司法相が身柄を引き渡すか判断することになります。

今回の事件についてトランプ政権の閣僚らは中国との通商交渉とは別だという考えを示していますが、孟被告の起訴や身柄の引き渡しに中国は強く反発していて、今月30日から行われる米中の閣僚級による貿易協議を前に、アメリカと中国の対立が深まっています。

カナダ司法省もアメリカ政府から孟晩舟副会長の身柄の引き渡しについて「正式に要請された」とコメントしており、30日以内に引き渡しの手続きを進めるかどうかを決めます。

手続きを進めることになった場合は、バンクーバーの裁判所で審理が行われ、最終的にはカナダのトルドー政権の閣僚、デビッド・ラメッティ司法相が判断します。

焦点になると見られているのが、先月11日、ロイター通信のインタビューでのトランプ大統領の発言です。

この中でトランプ大統領は「重要な貿易交渉や国の安全保障のために必要であれば介入する」と述べて、中国との貿易交渉をまとめる助けになるのであれば捜査に介入することも辞さないという考えを示しました。

一方で、カナダのトルドー政権は今月、親から望まない結婚を迫られたなどとして難民の認定を受けたサウジアラビアの18歳の女性を受け入れ、空港にフリーランド外相が出迎えるなど、人権を重視する国であることを積極的にアピールしています。

仮にトランプ政権が、孟副会長を中国との貿易交渉などに利用し、カナダ側が「孟副会長の人権が守られていない」と判断すれば、引き渡しに応じないこともありえます。
また、孟副会長側は、カナダが身柄の引き渡しを認めた場合、これを不服としてカナダの最高裁判所まで争うことができます。

先月、カナダで逮捕された中国のファーウェイの孟晩舟副会長は、日本円でおよそ8億5000万円の保釈金を納付し、バンクーバーにある自宅で過ごしています。

孟副会長は、国外に逃亡しないことを示すためにパスポートを提出したほか、セキュリティー会社に24時間体制で監視されていて、29日、この会社の警備担当者に付き添われて裁判所に出廷しました。

孟副会長は詐欺などの罪でアメリカで起訴され、アメリカ司法省がカナダに身柄の引き渡しを正式に要請してから、公に姿を現すのは初めてで、裁判所に保釈の条件となっている保証人の変更を求め、認められたということです。

カナダ司法省は、3月1日までにアメリカに身柄を引き渡すための手続きを進めるかどうかを決めることになっていて、進めることになれば、孟副会長が出廷して裁判所で審理が行われます。

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キャタピラー社 アジアで売り上げ伸び悩み 中国経済減速で

アメリカは、中国からの輸入品への関税を引き上げる制裁措置の発動を3月1日まで猶予したうえで、貿易問題や知的財産権の侵害などをめぐって中国と協議しています。

現地時間の30日からは閣僚級の協議がワシントンで行われる予定で、アメリカはライトハイザー通商代表やムニューシン財務長官、中国は劉鶴副首相らが出席します。

これまでの協議で、アメリカの貿易赤字の削減に対する中国の対応では進展がありましたが、中国による知的財産権の侵害への対策では隔たりが残っていて、この問題で中国がどれだけ譲歩するかが焦点になっています。

アメリカ側には、「サイバー攻撃によって企業秘密は盗まない」という約束が守られていないとして、中国への不信感が根強く、合意内容を守らせる新たな仕組み作りを求めています。

今回の協議は、中国の通信機器大手、ファーウェイの事件をめぐって米中の対立が深まるとともに、貿易摩擦が世界経済に悪影響を与えるという懸念が高まる中で行われ、交渉期限に向けて、合意に向けた道筋が見いだせるか注目されます。

中国政府がまとめた新たな景気対策によりますと、一定の環境基準を下回る自動車を新車に買い替えた場合や、農村部で使用されている三輪の自動車をトラックや小型自動車に買い替えた場合に補助金を支給するとしています。

また、家電については、冷蔵庫や洗濯機、それにエアコンなどを対象に、古いモデルから省エネモデルやインターネットとつながるスマート家電に買い替えた場合に補助金を出します。

中国では、去年のGDPの伸び率が28年ぶりの低い水準にとどまり、景気の減速が鮮明になっています。

増加を続けてきた輸出も、先月には前の年の同じ月を下回り、今後、アメリカとの貿易摩擦などを背景に輸出のさらなる減少も懸念されています。

中国政府は、インフラ投資の拡大や大型の減税など景気対策を相次いで打ち出していて、今回は、家電や自動車など消費の柱となる分野で刺激策を講じることで内需を拡大し、景気を下支えするねらいがあります。

貿易問題などをめぐるアメリカと中国の閣僚級の協議が現地時間の30日、ワシントンで始まるのを前に、中国の程永華駐日大使が30日、NHKのインタビューに応じました。

この中で、程大使は「中国とアメリカの貿易摩擦は中国が起こしたことではないが、基本的にやはり話し合いを通じて打開の道を探ることが大事だ」と述べました。

そのうえで、「中国にとってアメリカや日本は経済貿易の大事なパートナーで、日本にとっても同じだろう。自由貿易の規則を守りながら話し合いで問題を解決し、世界が共に繁栄できる努力を日本もしてほしい」として、問題の解決に向けて日本にも協力を求めました。

一方で、日中関係について「ことしは大きな発展のチャンスを迎えている。日本側から習近平国家主席の訪日を実現したいという強い要望も寄せられており、そのための準備や環境作りが必要だ。さまざまな面で両国関係を一段とステップアップさせる努力を双方とも続けていきたい」と述べて、日本側とともに習主席の訪日に向けた環境作りを進めたい考えを示しました。

この調査は、各地の財務局が大企業から中小企業まで全国のおよそ1000社を対象に先月から今月中旬にかけて行いました。

それによりますと、アメリカと中国との貿易摩擦などの通商問題が今の時点で経営に影響しているか尋ねたところ、回答した500社余りのうち「影響がある」と答えた企業が18%に上りました。

具体的な影響として、情報通信機器や生産用機械のメーカーから「取引先の企業が中国への設備投資に慎重になり受注が減少した」といった回答が寄せられたほか、電機メーカーからは「アメリカが課した追加関税で中国からの輸出コストが上昇した」といった回答もありました。

また「影響がある」と答えた企業に対策を取ったかどうか尋ねたところ、「対策していない」と回答したところが56%と半数以上に上り、対応の難しさをうかがわせています。

財務省は「全体の一部ではあるものの、現時点でも製造業を中心に貿易摩擦の影響が出ていて、今後の影響を注視したい」と話しています。

発表によりますと、シャープはことし3月期の1年間のグループ全体の業績予想について、売り上げは2兆5000億円と、去年10月に下方修正した予想から、さらに1900億円、率にして7.1%下方修正しました。また本業のもうけを示す営業利益についても1070億円と、50億円下方修正しました。

アメリカと中国の貿易摩擦の影響で、アップルのスマートフォン「iPhone」の中国での販売が減り、iPhone向けの電子部品の需要が減少していることなどが理由だとしています。

一方、コスト削減を進めているなどとして、最終的な利益は900億円と、去年10月時点の予想を据え置きました。

シャープは「米中の貿易摩擦は納入先を通して間接的に大きな影響を受けている。どのくらい影響が続くのか見通しが立たないので、注視していきたい」としています。

一方、京都市に本社がある電子機器メーカー「オムロン」も、アメリカと中国の貿易摩擦を背景に、制御機器や電子部品の売り上げの減少が見込まれるとして、ことし3月期の1年間の業績予想について、売り上げが8550億円と去年10月時点の予想に比べて250億円、率にして2.8%、最終的な利益が500億円と、去年10月時点の予想に比べて85億円、率にして14.5%それぞれ下方修正しました。

発表によりますと、TDKは、中国を中心に、スマートフォンの販売が振るわないことから、スマホ向けのセンサーなどの受注が去年秋以降減少したとしています。

このため、ことし3月期の1年間の業績予想を下方修正し、売り上げは、従来予想の1兆4200億円から1兆3700億円に500億円引き下げました。

本業のもうけを示す営業利益も、従来予想の1200億円から1100億円へと100億円下方修正しています。
ただ、いずれも去年3月期に比べれば増収・増益を維持しています。

TDKの山西哲司常務執行役員は、記者会見で「中国経済の減速で去年11月から12月ごろに状況が大きく変わり、受注が落ち込んだ。この状況はある程度続くと認識している」と述べました。

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ことしの報告書は中国が進める巨大経済圏構想、「一帯一路」の安全保障面への影響に焦点をあてています。

この中で、中国はASEAN東南アジア諸国連合のインフラ整備に大きく寄与し、カンボジアラオスミャンマーでは政策決定にまで影響を及ぼすなど、ASEANは『一帯一路』に組み込まれ、中国との関係は緊密化していると指摘しています。

そのうえで、中国が南シナ海で軍事基地の建設を進めている問題をめぐって、ASEANの立場の分断に成功し、経済的影響力を政治的影響力に転化することで、有利な地域秩序の構築で成果をあげつつあると分析しています。

一方で、ASEANには中国への過度な依存や、軍事力を背景にした強引な現状変更に懸念も出ているとしたうえで、世界各国で警戒感が広がり『一帯一路』構想の障害となり始めていて、今後の中国の対応が注目されるとしています。

シンガポールで開かれた東アジアサミットには、ASEAN東南アジア諸国連合10か国の首脳のほか、安倍総理大臣や中国の李克強首相、アメリカのペンス副大統領などが参加しました。

議長国シンガポールは16日、議長声明を発表し、中国による軍事拠点の構築が進む南シナ海をめぐる問題について「緊張を高め、信頼を損なう埋め立てなどの活動に対するいくつかの懸念に留意する」としました。

その一方で、中国がASEANと策定を目指す南シナ海での紛争防止に向けたルールづくりについて「交渉が進んでいる」と表現し、アメリカと中国が激しく対立する中、双方の立場に配慮してバランスを取った形です。

声明ではまた、北朝鮮への対応について「拉致問題の解決を含む人道上の懸念に対処する重要性を複数の首脳が強調した」と改めて拉致問題に触れたほか、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化に向けた国際的な努力への決意が示された」としています。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/16/200230ASEAN 一連の首脳会議閉幕 南シナ海問題で米中が駆け引き)

米中両国は互いに関税を上乗せし合う制裁措置を発動して激しく対立する中、今月下旬のG20サミットにあわせて、トランプ大統領習近平国家主席が首脳会談を行う見通しになっています。

トランプ大統領は16日、ホワイトハウスで記者団に対して、貿易の不均衡を是正するため中国側が講じる対応について、142項目に上る膨大なリストを送ってきたことを明らかにしました。

そのうえで「かなり完成した内容だ。現在、検討している第4弾となる追加の関税措置を課す必要はないかもしれない」と述べ、貿易摩擦の緩和に向けた合意に前向きな姿勢を示しました。

その一方でトランプ大統領は、「まだ受け入れられない。重要な項目が4つか5つ漏れている」と述べ、中国側の対応を見守る考えを示しました。

ただ、ロス商務長官は前日、「今回の首脳会談で完全な合意に達することはない」と述べ、貿易摩擦の解消には時間がかかると慎重な見方を示していて、対立の緩和に向かう糸口が見いだせるか予断を許さない状況です。

習近平主席はAPECが開かれているパプアニューギニアでアジア太平洋地域の財界人などを前に演説しました。

この中で習主席は冒頭から「今、世界には保護主義と一国主義の暗い影が覆ってきている」としたうえで、「保護主義、一国主義の古い道は世界経済の不確定性を増すだけだ」と述べて貿易摩擦で対立するアメリカの保護主義的な政策を強く批判しました。

さらに「ルールは国際社会でともに決めるべきで、誰の腕が太いか力が強いかで決めるべきではない」とアメリカへの批判を続けながらも、「対抗すれば、その先の冷戦、戦争、あるいは貿易戦争に誰も勝者はいない」と訴えて、話し合いで貿易摩擦を解決していきたい考えを示しました。

そして巨大経済圏構想「一帯一路」について、「誰かを排除するものではなく、わななどと言われるものでもない、ともに発展する光の道だ」と述べたうえで、来年4月に再び中国で一帯一路フォーラムを開く方針を示し、アジア太平洋地域全体にも広げていきたい考えを示しました。

アメリカのペンス副大統領はAPECの首脳会議に出席するために訪れているパプアニューギニアの首都、ポートモレスビーで17日、財界人などを前に演説しました。

この中でペンス副大統領は、中国が巨額の支援を通じて地域への影響力を拡大させていることを念頭に「支援は条件付きだったり膨大な債務につながったりすることがあまりにも多い」と指摘しました。

そして、「主権を脅かすような対外債務を受け入れてはならない。アメリカは相手国を債務漬けにすることはない」と述べて、中国は一部の国々を債務漬けにしていると批判し中国に対抗する姿勢を鮮明にしました。

また、ペンス副大統領は「インド太平洋地域にとってインフラ整備は最優先事項だ」と述べて、インフラ整備のために600億ドル、日本円で6兆8000億円の融資枠を設けると表明し、インド太平洋地域への関与を強めていく方針を示しました。

さらに、この地域の発展のために同盟国の日本やオーストラリアと連携していることを強調するとともに「日本とともにエネルギー分野のインフラのために100億ドルを投資する」と述べました。

一方、中国との貿易摩擦についてペンス副大統領は「中国がそのやり方を変えるまでアメリカは方法を変えない」と述べて、今後も強い態度で臨む姿勢を強調しました。

アメリカ政府関係者は、APECに出席するためパプアニューギニアを訪れているペンス副大統領が17日、APECに加盟している台湾の張忠謀代表と個別に面会したことを明らかにしました。

ペンス副大統領が財界人を前に演説したあとに面会したとみられ、対話の内容は明らかになっていませんが、中国側の反発も予想されます。

APECの台湾代表は財界人で、当局の官僚ではありませんが、台湾は中国の一部だとする中国側の考え方を尊重して、アメリカの大統領などはこれまでAPECの台湾代表と個別には会わないか、会っても発表してこなかったため、面会したことが明らかになるのは異例のことです。

台湾の代表団の関係者は「会ったことは認めるが中国側を刺激するので今のところ何も発表するつもりはない」と話しています。

APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議の開幕を前に、日米豪3か国の政府は共同声明を発表し、インド太平洋での大規模なインフラ事業を実施するため、開放性や透明性などが確保された質の高いインフラ開発を推進するために協働するとしています。

共同声明によりますと、日本、アメリカ、オーストラリアの3か国の政府は、先にそれぞれの政府系金融機関などが発表した覚書を基に、インド太平洋での新しい大規模なインフラ事業を実施するため、民間の投資や資本を動員し、協働していくとしています。

また覚書に、「開放性や透明性、それに対象国の財政の持続性など、国際的なスタンダードを順守したインフラ事業を支援する」と明記していることについて、「非持続的な債務負担を避けつつ、地域のニーズを満たす一助となる」と評価しています。

そして3か国の政府は、来年、大阪で開催されるG20サミットまでに、G20のほかのメンバーと、開放性や透明性、それに債務の持続可能性などが確保された質の高いインフラ開発を推進するために協働するとしています。

このうちマレーシアのマハティール首相は、人工知能の開発などIT技術の発達によって雇用が減るおそれがあることを指摘し、新しい時代に対応した能力を身につけることができる教育の普及を急ぐ必要があるという認識を示しました。

そのうえでマハティール首相は「技術の発達がもたらす影響をどうコントロールしていくか、国際的なレベルで協力しなければならない」と訴えて雇用を守ることや新しい教育を開発し、普及させる取り組みについて各国の政府や企業が協力することを呼びかけました。

人件費の安さを生かした製造業の振興によって経済発展を続けている新興国では、IT技術の発達で雇用の在り方が大きく変わる可能性があり、各国ともそうした変化への対応が差し迫った課題となっています。

インドネシアのジョコ大統領は、今回の一連のASEAN首脳会議で、独自の「インド太平洋構想」を提案しました。

インドネシア政府はこの構想について「インド太平洋地域での国際法に基づく透明性が確保された包括的な協力を各国に提案するものだ」と説明しています。

ジョコ大統領は、ことし4月のASEAN首脳会議に引き続き、今回の一連の首脳会議でこの構想について提案し、ASEAN各国が団結する必要があると強調しました。

背景にはアメリカや中国をはじめとする大国がこの地域への関与を強めようとするなか、ASEAN各国が大国の争いに巻き込まれ、分断されるのではないかという懸念があります。

インドネシアとしてはASEANが独自の構想を示すことで存在感を示し、アメリカや中国それに日本などがこの地域に関与する際にはASEANの意向を取り入れるよう求める狙いがあるとみられます。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/15/200230(米副大統領 ASEANとの経済関係強化を表明 中国に対抗)

習近平国家主席は17日からAPECの首脳会議が始まるのを前に15日夜、開催国パプアニューギニアの首都ポートモレスビーの空港に到着しました。

習主席は政府の盛大な出迎えを受けて宿泊先のホテルに向かい、一夜明けた16日は中国の支援で国会議事堂の前に建設された幹線道路や貧困地区に新設された学校を訪れたあと、パプアニューギニアのオニール首相と会談します。

パプアニューギニアはAPECの加盟国では最も貧しい国で、習主席はインフラ整備などへのさらなる援助と経済協力の強化を約束し、これらの事業を巨大経済圏構想「一帯一路」の一部として推進していくことを両国の間で確認する見通しです。

また午後にはフィジーなど太平洋島しょ国の首脳との会議を4年ぶりに開き、関係の一層の強化を打ち出すとみられます。

APECの首脳会議は17日からアメリカのペンス副大統領や安倍総理大臣も出席して開催されますが、今回の会議は中国がパプアニューギニアをはじめ太平洋島しょ国への影響力を誇示するなかで開かれる形となりそうです。

パプアニューギニアは、大小およそ600の島々からなる南太平洋の島国で、国土の総面積は日本のおよそ1.25倍です。

およそ800の部族が伝統文化を継承しながら暮らす一方、天然ガスや金、石油などの資源が豊富でここ10年以上にわたって経済成長を続け、都市部の開発も進んでいます。

太平洋戦争中には旧日本軍と連合軍の激戦地となり、戦後は国連の信託に基づきオーストラリアの施政下に置かれたあと1975年に独立しました。

これまでは、オーストラリアを筆頭に日本やニュージーランドが主な支援国となっていましたが、ここ数年は、中国からの投資や援助が増え、その影響力が拡大しています。

パプアニューギニアは、太平洋島しょ国のなかで、唯一、APEC=アジア太平洋経済協力会議に参加している国です。

2013年に、初めて開催国に名乗りをあげ、独立以来、最大のイベントと位置づけて力を入れて準備を進めてきました。

パプアニューギニアとしては、大型の国際会議を開くことで、豊富な資源に支えられて経済成長を続け、力をつけてきていることをアピールするとともに、さらなる投資を呼び込みたい狙いがあります。

ただ、会場となる施設や道路などのインフラが十分に整っていないうえ首都ポートモレスビーなど都市部では貧困に苦しむ人や若者グループによる強盗や強奪が頻発するなど治安もよくありません。

その一方で、軍の兵員規模は2100人ほどにとどまり警備面での課題もあることなどから、開催が実現できるのか懸念されてきました。

こうした中、外国のクルーズ船を主要な会場の近くに停泊させて関係者の宿泊施設として利用するほか、中国の援助で会議場や道路を建設したり、オーストラリア軍に警備の協力を要請したりと、各国の支援に頼りながら初の大舞台を成功させようとしています。

パプアニューギニアは、旧宗主国のオーストラリアが最大の支援国として、経済や安全保障などの面で強い影響力を持ってきました。

しかし、ここ数年は中国がインフラ整備など経済発展の支援を急拡大させてパプアニューギニアとの関係を深めていて、オーストラリアでは警戒する声もあがっていました。

パプアニューギニアはオーストラリアのすぐ北にある一方で、2段階に分かれている米中の攻防ラインのうち、外側にあるいわゆる「第2列島線」の延長線上の近いところにあり、安全保障上、重要な場所に位置しています。

ニューギニア島の北にあるマヌス島にはパプアニューギニア海軍の基地があり、改修工事が計画されています。

この計画をめぐっては中国が関心を示しているとの報道が流れたのに対して、オーストラリアが中国の軍事利用につながりかねないと警戒し先手を打つ形でパプアニューギニアに基地改修の資金援助を申し出て軍事的な連携強化を確認しました。

このようにパプアニューギニアは影響力を強めようとする中国とそれを阻止しようとするオーストラリアの攻防の舞台となっています。

巨大経済圏構想、「一帯一路」を掲げる中国は、アジア太平洋地域で鉄道や港湾など大型のインフラ投資を各国と共同で手がけて、存在感を高めています。

このうち、東南アジアのタイやラオスでは、中国の昆明とを結ぶ高速鉄道の建設が中国から資金や技術の支援を受けて進められています。

カンボジアでは、中国の支援でダムや道路などが次々と整備されていて、2010年に支援額で日本を追い抜いて以降、中国が最大の支援国です。

インドネシアでも3年前に日本との激しい競争の末、中国が高速鉄道の建設を受注するなど、これまで日本が多くの支援を行ってきた東南アジアで中国の存在感が急激に高まっています。

中国によるインフラ支援は、太平洋の島しょ国にも及んでいて、トンガでは政府庁舎や港湾が建設されたほか、パプアニューギニアでは、APEC=アジア太平洋経済協力会議の開催に合わせて、会議場や幹線道路が建設されました。

一方で、中国が手がける巨大プロジェクトをめぐっては、いわゆる「債務のわな」が国際的に問題視されています。

中国がインフラ整備を支援する際、相手国に多額の貸し付けを行い、返済できない場合にはインフラの使用権などを担保として譲り受けるケースがあるからです。

スリランカでは、中国への債務の返済のめどが立たなくなったため、支援を受けて開発された港湾の運営権を、中国に譲渡する事態になりました。

トンガは港湾などの建設支援でGDP=国内総生産の3分の1に相当する110億円余りの債務を中国に対して抱え、返済免除の要請を検討する状況に陥っています。

このため支援を受ける国々では、警戒感も広がっていて、ことし5月に政権交代したマレーシアでは、中国企業が受注していたガスパイプラインやマレー半島を横断する鉄道の建設を停止しました。

さらにミャンマーでも中国企業と進めていた港湾の開発計画について、事業規模を当初の5分の1に縮小することで中国側と合意しています。

こうした中国の動きに対し、アメリカはインド太平洋地域でインフラ整備を支援し関与を強めていくとして、日本などとも連携しながら中国に対抗する姿勢を示しています。

また、太平洋島しょ国への援助を長年続けてきたオーストラリアも島しょ国のインフラ開発を支援するため、1600億円余りの基金を設けることにしています。

中国は、巨大経済圏構想「一帯一路」について、中国の政治的な影響力を拡大しようという意図はなく、支援の対象国の自主性を重んじていると主張しています。

さらに、国際ルールにのっとって構想を進め、支援するプロジェクトの状況に変化が生じた場合は、実態にあわせるよう努力している、としています。

そのうえで国際的に指摘を受けている、いわゆる「債務のわな」については、支援の対象国の過剰な債務と「一帯一路」によるインフラ建設は全く関係はなく、ほかの国や国際機関などからの長期的な借り入れのほうが問題だ、と反論しています。

中国の習近平国家主席は、首都ポートモレスビーの議会議事堂で行われた歓迎式典のあと、中国の援助で議事堂前に建設された幹線道路のしゅんこう式に出席しました。

この中で、習主席は「APECがうまく開催されるよう、中国は良き友人として援助を行ってきた」と述べるとともに、パプアニューギニアをはじめ、途上国の発展のため、今後もインフラ整備などで支援していく考えを示しました。

このあと、習主席はオニール首相と会談し、双方はパプアニューギニアの地下資源の開発を含めた経済協力を一層強化し、巨大経済圏構想「一帯一路」をともに推進していくことで一致しました。

また、習主席は16日午後、滞在先のホテルに、中国と国交のあるフィジーなどの太平洋島しょ国の首脳を招いて4年ぶりとなる首脳会議を開き、一層の関係強化を打ち出すものとみられます。

APECの首脳会議は17日からアメリカのペンス副大統領や安倍総理大臣も出席して開催されますが、中国としては、首脳会議を前にパプアニューギニアをはじめ、南太平洋地域への影響力を誇示するねらいもあるとみられます。

中国が南太平洋地域で影響力を強めていることについて、オーストラリアでは警戒感が広がっています。

南太平洋地域の島しょ国の情勢に詳しいオーストラリアのシンクタンク、ローウィー研究所のジョナサン・プライクさんは「中国の関与は、経済だけでなく、戦略的な意味もあると言われている。太平洋地域に中国が何らかの軍事拠点を設けようとしているとみられることは、オーストラリアにとって大きな懸念材料だ」と述べ、中国による巨額の支援は軍事的な影響力の拡大につながるおそれがあると分析しています。

そのうえで、「島しょ国の側も、それぞれの国内に中国が軍事拠点を設けることは避けようとするはずだが、中国の軍事拠点構築を確実に阻止するためには、オーストラリアや他の国々も、もっと島しょ国に関与すべきだ」と訴え、島しょ国との連携や協力を深める必要があると強調しました。

そして、島しょ国との関係を深める方法については「オーストラリアは、中国と対抗しようとしても、中国のほうがずっと資金も多く、張り合うことはできない。この地域の一員としての利点をいかすべきだ」と述べ、地域的な近さやつながりを生かして島しょ国側のニーズを把握し、人材育成など長期的な支援を行っていくことが重要だと指摘しています。

米中両国は、互いに関税を上乗せし合う制裁措置を発動して激しく対立していますが、今月下旬のG20サミットに合わせて、トランプ大統領習近平国家主席が首脳会談を行う見通しで、一部で摩擦が解消に向かうのではないかという観測が出ています。

しかし、ロス商務長官は15日、アメリカのメディア、ブルームバーグに対し、「うまくいけば、今後の協議の枠組みについて一致するものの、完全な合意に達することはない。それは無理な話だ」と述べ、一部の観測を否定し、貿易摩擦の解消には時間がかかるという認識を示しました。

また、ロス商務長官は、来年1月に中国からの2000億ドルの輸入品にかける関税を、今の10%から25%に引き上げる方針は変わっていないと述べ、中国への圧力は緩めないと強調しました。

米中の貿易摩擦が長期化すれば、アメリカ経済をはじめ、世界経済全体に悪影響を及ぼすおそれが強まるだけに、トランプ政権の出方が注目されています。

ASEAN東南アジア諸国連合関連の首脳会議など、シンガポールでの一連の日程を終えた安倍総理大臣は、日本時間の午後1時半すぎ、オーストラリア北部のダーウィンに到着しました。

このあと安倍総理大臣は、ダーウィン市内の公園を訪れ、ことし8月に就任したモリソン首相とともに、第2次世界大戦中の旧日本軍による空爆で犠牲となった地元の人たちの戦没者慰霊碑に献花し、黙とうをささげました。

続いて安倍総理大臣は、モリソン首相との初めての首脳会談に臨み、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現などに向けて、緊密な連携を確認したものとみられます。

安倍総理大臣は17日、APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に出席するため、オーストラリアを離れ、最後の訪問国、南太平洋のパプアニューギニアを訪れることにしています。

オーストラリア北部のダーウィンに到着した安倍総理大臣は、日本時間の16日午後、モリソン首相との初めての首脳会談を行ったあと、共同の記者発表に臨みました。

モリソン首相は「近代的国家として開かれた自由貿易を行い、民主主義を支持し、保護主義には反対している。われわれの成功には貿易投資に開かれた姿勢を取ることが重要で、この地域の繁栄に不可欠だ」と述べました。

安倍総理大臣は「ダーウィンは、インド太平洋地域全体の安定と繁栄にとっての要だ。自由で開かれたインド太平洋というわれわれの共通のビジョンを実現するため、日豪の特別な戦略的パートナーシップをさらに深化させていくことを確認した」と述べました。

また北朝鮮情勢について、安倍総理大臣は「すべての大量破壊兵器、および、あらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄の実現、および安保理決議の完全な履行の重要性について一致した。瀬取り対策へのオーストラリアの航空機・艦船派遣に謝意を表し、引き続き日豪で協力することを確認した」と述べました。

さらに、日本やオーストラリアなど11か国が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定の年内の発効が確定したことを歓迎したうえで、年内の実質妥結が見送られたRCEP=東アジア地域包括的経済連携の早期妥結を含め、自由で開かれたルールに基づく、多角的貿易体制の維持・強化のための連携を確認したことを明らかにしました。

アメリカ議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は、毎年、中国の動向や米中関係を分析し、議会に提言を行っています。

14日に公表されたことしの報告書では、急速に軍備増強を続ける中国について、2035年までにインド太平洋地域全域でアメリカ軍の活動に対抗できるようになるとみられる」として、強い警戒感を示しています。

これは、習近平国家主席が去年の中国共産党大会で2035年までに軍の近代化を実現させると宣言したことを踏まえたものです。

さらに中国軍が東シナ海南シナ海での軍事活動を活発化させているとしたうえで、尖閣諸島周辺での中国の軍事活動は日米安全保障条約に基づくアメリカの防衛義務の課題になっている」と指摘しています。

そのうえで、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」を軍港の整備など軍事活動の拡大に利用していると分析し、南シナ海の軍事拠点化に関わる国有企業や個人への制裁の検討を議会に求めるとともに、「一帯一路」がアメリカと同盟国の安全保障に与える影響を報告書にまとめるよう政府に求めています。

報告書をまとめた「米中経済安全保障調査委員会」のクリーブランド議長は14日記者会見し、習近平指導部のもと、経済、安全保障、そして外交の面で毛沢東時代以来、前例のない中央集権化が進んでいる。国内外で権威主義を強める習主席の共産党は、アメリカのリーダーシップと国際秩序に戦いを挑んでいる」と述べ、中国がアメリカとの覇権争いへの野心をあらわにしていると指摘しました。

そのうえでアメリカの経済と安全保障を中国から守るため、より強力な政策をとらなければならない」と述べ、アメリカ議会として中国による知的財産権の侵害や、サイバー攻撃による軍事機密を盗み出す行為などに対し、さらなる対応をとる必要性を強調しました。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/14/200230(米印 インド太平洋地域の発展と安全保障で協力強化へ)

14日夜、発表されたASEAN首脳会議の議長声明では、南シナ海の問題について、「埋め立てや緊張をもたらす活動に対するいくつかの懸念に留意する」として、去年の首脳会議で見送られた「懸念」という文言が盛り込まれました。

ただ、南シナ海で拠点構築を進める中国については名指しを避けているうえ、南シナ海での紛争を防ぐためのルールとしてASEANと中国が策定を目指す「行動規範」については、交渉のたたき台となる草案がまとまったことなど、双方の協力が進展していることを歓迎していて、中国に一定の配慮をみせる内容となっています。

また声明では、日米が主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想と、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」という2つの異なる構想への対応を協議したことが明記されています。

そのうえで、ASEANが中心となって相互利益を模索していくことで合意した」として、ASEAN主導で地域の発展を目指す考えが示されています。

一方、ミャンマーで少数派のイスラム教徒、ロヒンギャの人たちが隣国バングラデシュへの避難を余儀なくされている問題については「懸念される事態」と明記されています。

これまでロヒンギャの問題については内政不干渉の原則から厳しい表現は避けられてきましたが、今回の声明では一歩踏み込んだ表現を盛り込み、ASEANとして解決に向け協力していく考えが示されています。

ロシアのプーチン大統領ASEANに加盟する10か国の首脳らによる首脳会議が14日、シンガポールで行われました。

この中でプーチン大統領「ロシアは相互に信頼し、お互いの利益を考慮するという原則に沿って、ASEANとの関係を発展させることに大きな関心を持っている」と述べたうえで、来年、サンクトペテルブルクウラジオストクで開かれる大規模な国際経済会議にASEAN各国の代表らを招待しました。

首脳会議では、ロシアとASEANの関係を戦略的な協力関係に引き上げることや、ロシアが主導して旧ソビエト諸国で作る「ユーラシア経済同盟」ASEANとの協力の可能性を探るなどとした共同声明を採択しました。

プーチン大統領としては、2014年のクリミア併合や、いわゆるロシア疑惑などを受けて、欧米との対立が深まる中、アジア各国との関係を重視する姿勢を強めた形です。

会談でペンス副大統領は自由で開かれたインド太平洋地域の重要性を強調したうえで「この地域に帝国主義が存在する余地はない。これを確かにするためアメリカとして断固たる行動をとっている」と述べて、強硬な海洋進出などにより影響力を強める中国をけん制しました。

そしてASEANアメリカの戦略的なパートナーだ」と述べ、引き続き各国のインフラ整備を支援するほか、IT分野での新たな投資も促進していくとして、経済面での関係を強化していく姿勢を示しました。

東南アジア地域では中国が巨大経済圏構想「一帯一路」のもと各地で巨額のインフラ投資を進めて影響力を強めており、アメリカとしても対抗姿勢を示すことでこの地域での存在感を高める狙いがあるとみられます。

ASEAN東南アジア諸国連合関連の首脳会議は、最終日の15日、日本時間の午後1時前から、ASEAN加盟10か国と日中韓3か国の首脳によるASEAN+3の首脳会議が開かれました。

この中で安倍総理大臣は、対象国の財政健全性の確保や透明性などを重視したインフラ支援の推進や、海洋汚染が懸念されるプラスチックごみの削減に向けたASEAN諸国への支援を表明しました。

このあと安倍総理大臣は、アメリカのペンス副大統領、ロシアのプーチン大統領とともにEASの昼食会と討議に出席しました。

安倍総理大臣は南シナ海での中国の拠点構築について「非軍事化に背く動きが続いていることを深刻に懸念する。一方的に現状を変更する行為は各国の利益を脅かしかねない」と指摘しました。

そして、日米両政府が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想について「大きな国も小さな国も含め地域のすべての国が裨益するものだ。いかなる国も排除されない」と述べ、法の支配の徹底や航行の自由の尊重を呼びかけました。

また安倍総理大臣は北朝鮮情勢について、北朝鮮の核や弾道ミサイルのCVID=完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄を実現するため関連する国連安保理決議の完全な履行が必要だとししたうえで、海上で物資を積み替える「瀬取り」など北朝鮮による制裁回避の動きを防ぐ取り組みへの協力も呼びかけました。

ASEAN関連の首脳会議はEASでほぼすべての日程を終了し、安倍総理大臣は16日、次の訪問国オーストラリアに向けて出発することにしています。

一方、安倍総理大臣はASEAN+3の首脳会議の前、韓国のムン・ジェイン文在寅)大統領と握手とあいさつを交わし、EASの昼食会でも短く言葉を交わしましたが、韓国の最高裁判所が出した太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判の判決などに触れることはなかったということです。

ASEANの一連の首脳会議に出席するため、シンガポールを訪問中のインドのモディ首相は、15日、ASEANに加盟する10か国の首脳と会談しました。

モディ首相は、東南アジアとの政治的、経済的な連携を強める「アクト・イースト」政策を打ち出していて、ASEAN各国との首脳会議は、ことし2回目になります。

会議では、ことし1月にASEAN各国との間で採択された「デリー宣言」が確認され、インド太平洋地域の海洋の安全と航行の自由、それに、貿易と投資の促進で協力することで一致しました。

インドとしては、強硬な海洋進出や経済支援を通じて影響力を強める中国を念頭に、ASEAN各国との関係を強化したい考えで、日本とアメリカが掲げる「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、連携する姿勢を鮮明にしました。

シンガポールを訪問中の中国の李克強首相は、14日午前、ASEAN各国の首脳と会談しました。

会議の冒頭で李首相は、南シナ海での紛争を防ぐためのルールとして、中国とASEANが策定を目指している「行動規範」について、「ASEAN諸国とともに努力することで3年で協議を終え、行動規範を南シナ海の平和と安定を維持するものとしたい」と述べて、今後3年で取りまとめる意向を示しました。

「行動規範」をめぐっては、より実効性を高めるため、法的拘束力を持たせるかどうかが議論の焦点となっていますが、李首相はこの点には言及しませんでした。

南シナ海をめぐっては、中国が一部の国と領有権の問題を抱えたまま人工島の軍事拠点化を進めているとして、アメリカとの対立が深まっています。

中国としては、南シナ海をめぐる問題に主体的に取り組む姿勢をアピールすることで、アジアへの関与を強めるアメリカをけん制する狙いがあるとみられます。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/13/200212(首相 米副大統領と会談 北朝鮮や中国への対応で緊密連携を確認)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/10/200230(米中閣僚 南シナ海や台湾めぐり対立も首脳会談控え協力確認)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/07/200230ASEAN首脳会議 南シナ海での中国に「懸念」示す)

会談の中で、アメリカのペンス副大統領は、アメリカとインドそれに日本が、インド洋と太平洋で定期的に行っている合同軍事演習について、「この地域一帯の自由で開かれた海洋へのアクセスを確保するというわれわれの決意の証しだ」と述べました。

これに対し、インドのモディ首相は「自由で開かれたインド太平洋というビジョンは広く受け入れられており、このあとの東アジアサミットでも、このビジョンの実現に向けた協議をしたい」と応じました。

そして、両者は、インド太平洋地域の発展と安全保障の分野で協力を強化していくことで一致しました。

また、防衛協力のレベルを高めるため、インドがアメリカから輸入している防衛装備品の量を増やすことでも一致しました。

そのうえで、モディ首相は「インドからアジア一帯にアメリカ企業の製造した防衛装備品を供給できるよう、アメリカ企業にインドへ進出してほしい」と提案しました。

また、インドは、イラン産原油に大きく依存していますが、アメリカがイラン産原油を対象に経済制裁を発動したことを念頭に、今後はアメリカからの石油や天然ガスの輸入を増やすことに合意しました。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/06/200235(インド 核ミサイル搭載の潜水艦 実戦配備可能に 中国をけん制)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/01/200215陸上自衛隊とインド陸軍 初の共同訓練開始)

シンガポールを訪れているアメリカのペンス副大統領は14日、ベトナムとインド、それにミャンマーインドネシアの4か国の首脳と相次いで会談を行いました。

このうち、ベトナムのフック首相との会談では、南シナ海の問題などで意見を交わし、ペンス副大統領は「インド太平洋地域が平和で安定した地域であり、航行や飛行の自由が維持され、国際法が順守される地域であることが大切だ」と述べ、南シナ海で軍事拠点化を進める中国をけん制しました。

南シナ海の問題をめぐってベトナムは、一貫して中国に対抗する姿勢を示していて、アメリカと安全保障や経済など幅広い分野で関係を強化する方針を確認しました。

また北朝鮮の核問題についても議論が行われ、ペンス副大統領はフック首相に対し、北朝鮮の完全な非核化が実現するまで圧力を緩めないという政策への協力に謝意を示しました。

ペンス副大統領は先月、アメリカ国内で行った演説で中国の海洋進出などを強く非難し、断固として対抗していく方針を示していて、15日、中国の李克強首相も出席する東アジアサミットで、どのようなやり取りが行われるか注目されます。

ASEANの一連の首脳会議は、今月13日からシンガポールで開かれます。

開幕に先立ってNHKが入手した議長声明の草案によりますと、南シナ海の問題をめぐり、中国が人工島を造成するなど拠点の構築を進めていることについて「相互の信頼を損ね、地域の平和と安定を揺るがしかねないという懸念に留意する」として、「懸念」という文言が盛り込まれていることがわかりました。

去年の首脳会議では、中国との関係強化をはかるフィリピンが議長国を務め、「懸念」という文言は盛り込まれませんでしたが、ことしは、議長国シンガポールの意向を反映して、「懸念」という文言が復活し、国際法を重視する姿勢が打ち出されています。

一方、この草案では、南シナ海での紛争を防ぐためのルールとしてASEANと中国が策定を目指す「行動規範」について、「早期の策定に向け、交渉が進んでいる」と評価し、協力の進展を歓迎するなど、中国に一定の配慮をみせる内容となっています。

また、ASEANに加え、日本や中国、インドなど16か国が参加するRCEP=東アジア地域包括的経済連携については、「交渉の実質的な妥結を歓迎する」という文言が盛り込まれ、目標としている年内の交渉妥結に向けて、期待が示された形となっています。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/06/200212(マハティール)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/06/200235(インド 核ミサイル搭載の潜水艦 実戦配備可能に 中国をけん制)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/20/200230ASEAN拡大国防相会議)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/09/13/192012ASEAN首脳 トランプ政権の保護主義政策に懸念)

中国の李克強首相は6日、北京で、世界銀行IMF国際通貨基金など6つの国際金融機関の代表らと世界経済や中国経済の先行きなどについて意見交換を行いました。

中国側の発表によりますと、参加者は、世界経済の成長について下押しのリスクが高まっているとしたうえで、貿易の保護主義に懸念を示す立場で一致したということです。

このあと行われた共同記者発表で李首相は、「多国間主義と自由貿易を守るという積極的なメッセージを国際社会に打ち出した」とアピールし、貿易摩擦で対立を続けるアメリカをけん制しました。

また、李首相は中国経済について、全体的に安定しているとしつつも下押しの圧力を受けていることを認め、積極的な財政政策や減税などを通じて景気を下支えしていく考えを示しました。

一方、記者発表では、IMFのラガルド専務理事が、「中国経済アメリカとの貿易摩擦など内外から圧力を受けている」と指摘するなど、各機関の代表からは貿易摩擦の影響を懸念する発言が相次ぎました。

中国外務省の華春瑩報道官は7日の記者会見で「中間選挙アメリカの内政であり、コメントはしない」と述べて選挙結果についての言及を避けました。

そのうえで「選挙結果がどうであれ、両国関係の重要性に関する中国の認識は変わらない。双方の国民や政府、指導者は、健全で安定した関係の発展を維持できるよう望んでいる」と述べて、アメリカとの関係を重視する考えを強調しました。

さらに、対立が続く貿易摩擦の問題については、今月1日に習近平国家主席トランプ大統領が電話会談で意見を交わしたことに触れたうえで「経済・貿易の問題を前に進め、双方が受け入れられるプランで一致できるよう望む」と述べて対立の緩和に期待を示しました。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/06/200230(先月中止の米中「外交・安全保障対話」9日に開催)

ことしの秋の叙勲で「桐花大綬章」を受章したのは、新日本製鉄の社長や経団連会長などを務めた今井敬さんと参議院議長などを務めた斎藤十朗さんで、「旭日大綬章」は、最高裁判所判事などを務めた大橋正春さんなど6人が受章しました。

また、外国人の叙勲では、マレーシアのマハティール首相が「桐花大綬章」を受章したほか、8人が「旭日大綬章」を受章しました。

親授式は、午前10時半から皇居・宮殿の「松の間」で行われ、天皇陛下から出席した一人一人に勲章が贈られました。

続いて、受章者を代表して今井さんが「それぞれの分野において一層精進を重ねる決意でございます」とあいさつしました。

これに対して天皇陛下が「長年それぞれの務めに精励し、国や社会のために、また人々のために尽くされてきたことを深く感謝しています」と述べられました。

このあと受章者たちは、勲章を身につけて宮殿の前で記念撮影に臨みました。

マレーシアのマハティール首相は現在93歳で、1981年から22年にわたって首相を務めたあと、ことし5月に復帰し、前政権の汚職などで悪化した財政の立て直しに取り組んでいます。

安倍総理大臣との首脳会談はことし6月以来2回目で、両首脳は、マレーシア政府に最大で2000億円の円建て国債による金融支援を行う方向で調整していくことを確認しました。

また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、南シナ海での海洋安全保障の分野で連携を強化していくことで一致しました。

共同記者発表で、安倍総理大臣は「再び首相の重責を担い、公正な国づくりに取り組む精力的な姿に敬意を表する。あらゆる分野で手を携え両国関係を力強く発展させていきたい」と述べました。

また、マハティール首相は「マレーシアの財政問題について、日本が解決するすべを提起してくれることに感謝したい」と述べました。

 西洋の国々にマレーシアが追いつくためには、日本人の文化や価値観が大切だと考えている。東方政策では日本の教育システム全体に着眼していきたい。

安倍総理大臣との会談などのため、日本を訪れているマレーシアのマハティール首相は東京 港区で企業関係者が集まった会議に出席し、主催者から秋の叙勲で「桐花大綬章」を受章したことにお祝いのことばをかけられると笑顔で応えました。

講演に立ったマハティール首相は、まず自国の経済の立て直しに力を注いでいることを強調し、積極的な投資を呼びかけました。

アメリカと中国の間で続く貿易摩擦に対しては懸念を示しつつも「中国が生産拠点をマレーシアに移転するなどチャンスがあれば捉えたい」とも述べ、国の発展を貪欲に追求する姿勢を示しました。

そしてASEAN東南アジア諸国連合については「最近の域内各国のリーダーは国内の政治にこだわりASEANを見渡す政治ができていない。各国は自国の問題を克服し、適切な政策を立案してASEANの潜在力を生かせるようにすべきだ」と訴え、域内人口が6億人に上る巨大市場の潜在力を発揮できるよう、貿易の自由化を進めるなどの経済統合をけん引していくことへの意欲をにじませました。