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ウクライナ軍当局者によると、ロシア軍はキーウ(キエフ)と周辺地域にドローン(無人機)による夜間攻撃を行ったが、防空システムで撃墜した。

20日未明に対話アプリ「テレグラム」のチャンネルへの投稿で述べた。

一方、ウクライナ西部リビウのサドビー市長は同日未明のテレグラムへの投稿で、ロシア軍が夜間に空爆を実施し、市内と周辺地域で爆発が起きたと明らかにした。

ウクライナの防衛システムの迎撃による爆発か、標的が爆撃されたかは明らかではない。

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#ウクライナドローン攻撃(キエフ

ウクライナ国防省のマリャル次官は、19日にこの2週間で東部ドネツク州のマカリウカや南部ザポリージャ州のピャチハトキなど8つの集落を奪還したと発表し、成果を強調しました。

ウクライナ軍の部隊が公開したピャチハトキだとする映像には、ウクライナの国旗を掲げる兵士たちの姿がうつされています。

一方で、マリャル次官はロシア軍が精鋭の空てい部隊などかなりの兵力を東部ドネツク州などに集中させ激しい戦闘が続いていると指摘し「東部の状況は困難だ」として危機感を示しました。

これに対し、ロシア国防省は19日にドネツク州で最も多くの攻撃があったとした上で、空爆や砲撃でウクライナ軍を撃退したと主張していて、東部で激しい攻防が続いているとみられます。

こうした中、ゼレンスキー大統領とイギリスのスナク首相が19日に電話会談をしました。

ウクライナ大統領府は、電話会談で両首脳が射程の長い兵器を通じたウクライナ軍のさらなる戦闘能力の拡大に向けて協議したとしています。

ゼレンスキー大統領はイギリスから供与された、射程が250キロ以上の高精度の巡航ミサイルが前線で成果をあげているという認識を示していて、今後、追加の供与があるかが焦点となります。

#ウクライナ戦況(反転攻勢・マリャル国防次官「8集落奪還」「東部の状況は困難だ」)

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#ウクライナ戦況(反転攻勢・ウ陸軍シルスキー司令官「ロ軍精鋭一部バフムト移動」)

#宇英(電話会談・「射程の長い兵器」)
#ウクライナ軍事支援(ウクライナ・ゼレンスキー「射程が250キロ以上の高精度の巡航ミサイル」・スナク英首相)

ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は、軍事作戦における「最大の打撃」はまだ実行していないと表明した。ロシアが攻勢を食い止めるためにあらゆる手段を講じているとして、作戦が困難になっていると認めた。

メッセージアプリ「テレグラム」を通じて「進行中の作戦にはいくつかの目的があり、軍はこれらの任務を果たしている」とした。

ウクライナは2週間前、ロシアに占領されている国土の約5分の1を取り戻すため、反攻の第1段階を開始した。

マリャル氏は「敵は簡単には占領地を譲らないだろうから、厳しい戦いになることを覚悟しなければならない」と指摘。「実際、今まさにそれが進行している」とした。

ウクライナ軍が南部の多方面に進出しているにもかかわらず、ロシア軍は東部に力を集中させているという。同氏は「そのため、現在は東も南もホットだ」と述べた。

#ウクライナ戦況(反転攻勢・マリャル国防次官「『最大の打撃』はまだ実行せず」)
#ウクライナ戦況(反転攻勢・マリャル国防次官「厳しい戦いを覚悟」「実際、今まさにそれが進行」)

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#ウクライナ戦況(反転攻勢・ウ陸軍シルスキー司令官「ロ軍精鋭一部バフムト移動」)

#ウクライナ戦況(反転攻勢・ロシア・新戦術・爆薬搭載の戦車を遠隔で)

ウクライナのボイエフ戦略産業次官は19日、無人機を含む兵器の生産を強化するため、ウクライナ国内への生産拠点誘致を巡りドイツ、イタリア、フランスなどの軍需メーカーと交渉中だと明らかにした。今後数カ月以内に契約を結ぶ可能性があるという。

外国の軍需企業の生産拠点を誘致することにより、ウクライナ自身のニーズをより効率的に満たす狙いがある。同次官は「将来の侵略抑止には、強力な防衛産業と強力な軍が必要だ」と述べた。

同次官はパリ国際航空ショーに出席するためフランスを訪問中。ショーでは、特にドローン(無人機)メーカーと協議を行った。ただ、企業名については明言を避けた。

#ウクライナ戦力(ウクライナ・ボイエフ戦略産業次官「将来の侵略抑止には、強力な防衛産業と強力な軍が必要だ」)

ロシアのナルイシキン対外情報局長官は19日、放射性物質をまき散らすことを目的とした「汚い爆弾」をウクライナが製造している疑いがある動きがあるとして、国際原子力機関IAEA)と欧州連合(EU)の調査を望むと表明した。

ナルイシキン長官は声明で、ウクライナ西部のリブネ原発から「放射線を浴びた燃料」がチョルノービリ(チェルノブイリ)にある使用済み核燃料貯蔵施設での処分のために密かに送られたとする情報を得たとし、こうした動きは放射性物質と通常の爆発物を組み合わせた「汚い爆弾」をウクライナが製造しようとしているとしか説明がつかないとした。

ロイターはナルイシキン長官が指摘した動きについて独自に確認できていない。

IAEAは核物質の全ての移動は完全に説明されているとし、ナルイシキン長官の指摘を否定。ウクライナ国防省からコメントは得られていない。

#ウクライナ戦力(ウクライナ・ナルイシキン露対外情報局長官「汚い爆弾」)

複数の欧州連合(EU)当局者によると、EUの執行機関である欧州委員会は今週、ウクライナが加盟交渉を開始するための7つの条件のうち2つを満たしたという見解を報告書で示し、状況の進展を強調する。

EUは1年前にウクライナを加盟候補国として正式に認定したが、加盟交渉の開始に司法改革や汚職対策など7つの条件を設けた。ウクライナは今年中の交渉開始を求めている。

EU当局者によると、現時点でウクライナは2つの条件を満たしており、司法改革とメディア法に関するものだという。

当局者の1人は「進展している。報告書はある程度ポジティブな内容になるだろう」と述べた。

この報告書は中間報告の位置づけで、10月により正式な評価が行われる。

#EU加盟(ウクライナ欧州委員会「7つの条件のうち2つを満たした」)

欧州連合(EU)は、約500億ユーロ(546億ドル)のウクライナ向け金融支援プログラムを提案する用意があると、米ブルームバーグ・ニュースが関係者の話として19日に報じた。

#ウクライナ軍事支援(EU・金融支援プログラム)

スウェーデン議会の超党派で構成する防衛委員会は19日、ロシアによる長期的な脅威に対処する必要があるとし、ロシアの武力攻撃の可能性も排除できないとの報告書を公表した。

ロシアのウクライナ侵攻を受けてスウェーデンは昨年、北大西洋条約機構NATO)加盟を申請した。

同委員会は「ロシアの攻撃的な動きにより、安全保障の状況は構造的かつ大幅に悪化した」としスウェーデンの安全保障と防衛政策は、ロシアが欧州と各国にもたらすだろう長期的脅威に対処するよう策定されるべきだ。スウェーデンに対するロシアの武力攻撃の可能性を排除することはできない」と指摘した。

同委員会のウォルマルク委員長は、記者団に「スウェーデンの防衛政策の前提条件は根本的に変わった」と説明した。

#NATO加盟(スウェーデン・議会防衛委員会「ロシアの長期的脅威に対処する必要」)

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#NATO加盟(スウェーデン・トルコ)

ドイツ軍が保有するりゅう弾が2万発程度に減少していることが分かった。ドイツ誌シュピーゲルが19日、緊急購入の必要性を予算委員会に示すために国防省がまとめた機密文書の内容を報じた。

ドイツなどはロシアによるウクライナ侵攻を受け、りゅう弾砲に使用される155ミリりゅう弾をウクライナに供給しており、自国防衛に備えた在庫が減少している。

シュピーゲルによると、ドイツ軍は30日間の戦闘に十分な弾薬を保有するという北大西洋条約機構NATO)の目標に従うには2031年までに約23万発の在庫を積み上げる必要があるという。

国防省は現時点でコメント要請に応じていない。

#ウクライナ戦力(EU・ドイツ・りゅう弾在庫2万発に減少)

フランスのマクロン大統領は19日、同国やベルギーなど欧州連合(EU)加盟5カ国が仏製防空システム「ミストラルの共同調達に関する合意文書に署名したと明らかにした。フランスは独主導の調達の枠組みに代わる欧州製システムを検討するようEU加盟国に働きかけていた。

ドイツは昨年10月に北大西洋条約機構NATO)加盟の14カ国と「欧州スカイシールド」の枠組みを発足。米国製とイスラエル製の防空システムを一部採用し、英国や東欧の主要国など約17カ国が参加している。

マクロン氏はパリ国際航空ショーに合わせて開いた約20カ国の防衛会合で、ロシアの侵攻を受けるウクライナに供給できるのは「われわれが所有、製造するものだけと示された。欧州以外から調達すれば管理が難しくなり、日程表や優先順位、時には第三国の承認に左右されることになる」と強調した。

関係筋によると、ドイツのピストリウス国防相は同じ会合でスカイシールド・イニシアチブの必要性を強く訴えたという。

独国防省の報道官はドイツとフランスの調達計画が競合しているとの見方を否定。スカイシールドは「NATOあるいはEUの競合相手ではない。調達品は全て既存の構造に組み込むことができる」と強調した。

#欧州防空システム(独「欧州スカイシールド」・仏製防空システム「ミストラル」)

バイデン米大統領は19日、ロシアのプーチン大統領による戦術核兵器使用の脅威は「現実的」だと述べた。カリフォルニア州献金者との会合で語った。

バイデン氏は17日、ロシアによるベラルーシへの戦術核配備について「完全に無責任」だと批判していた。

ベラルーシのルカシェンコ大統領は先週、ロシアから戦術核兵器の搬入が始まったと明らかにした。その一部は、1945年に米国が広島と長崎に投下した原子爆弾の3倍の威力があると述べた。

米政府は、ロシアが核兵器使用の準備をしている兆候は見られないとの認識を示してきた。

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#ウクライナ軍事支援(ロシア・ベラルーシ・戦術核兵器・搬入)

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バイデン米大統領は22日、ロシアのプーチン大統領が米国との新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を表明したことについて、プーチン氏が核兵器の使用を検討している兆候として受け止めていないと述べた。

バイデン氏はABCニュースのインタビューに対し、新STARTの履行停止は「大きな間違いで、極めて無責任だ」としながらも、「プーチン氏が核兵器の使用を考えているとは受け止めていない」とし、ロシアの核態勢に変化はないとの見解を示した。

#核戦争(アメリカ・バイデン・プーチン

国税関総署が20日発表した統計によると、5月のロシア産原油輸入が過去最高を記録した。民間製油所が制裁対象のESPO原油とウラル原油を割安価格で購入する動きが続いている。

5月のロシア産原油輸入は971万トン。日量では229万バレルと4月の173万バレルから32.4%増加し、過去最高となった。前年同月比では15.3%増。

5月のサウジアラビア原油の輸入量は732万トン(日量172万バレル)で、先月の日量205万バレルから16.0%減。同国は4月、中国にとって最大の原油輸入先となっていた。

4月上旬、サウジアラビアなど産油国は5月から日量116万バレル追加減産すると発表した。

また、中国税関データによると、5月のマレーシアからの輸入量は日量134万バレルで、前年同月比158.6%増となった。マレーシアはイランやベネズエラからの制裁対象貨物の中継地点としてよく利用されている。

米国からの輸入は、地政学的緊張が深まっているにもかかわらず、前年同月の3倍以上となる222万トン。産油国グループの減産後、石油輸出国機構(OPEC)加盟国に対して一時的に価格面で優位に立ったため。

詳細は以下の通り(単位は百万トン、増減率はロイター算出)。

国名 5月 増減率

1─5月 増減率

ロシア 9.71 15.3% 42.11 23.8%

サウジアラビア 7.32 -6.4% 38.60 1.0%

マレーシア 5.69 158.6% 19.61 132.9%

イラク 5.01 6.9% 25.43 8.0%

4.27 4.4% 17.44 6.9%

UAE

ブラジル 3.21 45.5% 15.08 37.2%

オマーン 3.15 -20.9% 16.44 -13.3%

アンゴラ 2.73 -13.1% 10.95 -26.2%

米国 2.22 330.4% 5.72 51.2%

クウェート 2.16 -17.4% 10.68 -28.9%

イラン 0.00 -100% 0.00 -100%

ベネズエラ 0.00 N/A 0.00 N/A

#経済統計(中国・ロシア産原油輸入)

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は19日、「ウクライナ軍は前線の少なくとも3つの地域で反撃作戦を実施し戦果を収めた」として、東部ドネツク州のバフムト周辺や南部ザポリージャ州で部隊の前進があったと分析しています。

一方、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、SNSで激戦地を視察したとする映像とともに、ウクライナ軍の前進を阻止しようと、ロシア軍は地雷原を密集させ、要塞を構築している」として、防衛線を築いて守りを固めていると警戒感を示しました。

ウクライナ国防省のマリャル次官も20日SNS「敵は攻撃を止めるために、あらゆる手を尽くし、ウクライナの部隊が前進することは非常に困難だ」としたうえで、「われわれの軍が南部方面で前進しているのをよそに、敵は東部に力を集中し前進している」としていて、激しい地上戦が続いているとみられます。

さらに、ウクライナ空軍は20日、「夜間、ロシア軍がイラン製の無人機35機で攻撃を仕掛け、32機を撃墜した。主な攻撃目標はキーウ州だった」と発表しました。

また、西部リビウ州の当局者は、無人機による攻撃を受けインフラ施設が被害を受けたと、SNSで明らかにしました。

ロシア軍は、ミサイルや無人機による空からの攻撃も続けていて、首都など、前線から離れた地域の対空防衛への負担を増やすことで、南部や東部で反転攻勢を進めるウクライナ側に対抗するねらいもあるとみられます。

#ウクライナ戦況(反転攻勢・ザルジニー総司令官「ロシア軍は地雷原を密集させ要塞を構築」)
#ウクライナ戦況(反転攻勢・マリャル国防次官「ウクライナの部隊が前進することは非常に困難だ」)
#ウクライナドローン攻撃(キエフ
#ウクライナドローン攻撃(リビウ)

現在の戦況どう見るか?

大きな構図は事前の予測通り、ウクライナ軍がザポリージャの方向から南に攻めていき、アゾフ海の方まで突破する方向で進撃をかけています。

ただ、やはり進撃速度があまり速くないです。特に方面によってはほとんど前進できていないところがあります。

ウクライナ軍が南に攻めていくだろうということ自体は世界中の軍事専門家が予測していましたが、ロシア軍も当然、予測しているので、ものすごく分厚く要塞化したわけです。

陣地を掘って、部隊も集結させたので、突破するのはなかなか簡単ではないと思います。現状はウクライナが反転攻勢を始めたんだけれども、まだ攻めあぐねています。

ただ、ウクライナ側もロシア側もいまやっているのは前哨戦で、主力の戦力はその後ろに控えさせているとみられているので、現状だけをみて、どちらが有利か不利かは、まだ言えないと思います。

反転攻勢の焦点は?

バフムトの正面なんかでもウクライナ軍は反撃に出ているんですけども、たぶんバフムトを突破してずっと東に行きたいというわけではないんじゃないかと思っています。

あくまでもロシア軍の兵力を引きつけるためにやっていて、本命はやはり海を目指すという攻勢なんじゃないか。そうなると、焦点は南部ザポリージャ州にあるトクマクになると思います。

ロシア軍は、ウクライナ軍の戦車が乗り越えられないように幅の広い溝を作るなど、周到に何重もの防御をしています。ここまでやっているのはトクマクだけです。

トクマクが『交通の要衝』であるということがとても大きいと思います。

おそらくロシア軍としては、トクマクを取られると、その先にある主要都市メリトポリまでやられ、さらにアゾフ海まで突進されるという危機感があり、トクマクを1つの要として厳重に防御しているんだと思います。

いま、ウクライナ軍としては、オリヒウというまちを拠点にしてトクマクを目指すという構成軸が1本あります。

もう1つは、もっと西のドニプロ川沿いのところからで、ここからトクマクを目指しています。結局どっちも海に突進しようと思ったら、トクマクを通ることになります。

それと別に、もう少し東のドネツク州との境の辺りから出発して海を目指すルートで、いま攻撃が始まっています。

こちらはロシア軍の陣地がそれほど分厚くできているわけではありません。ただ、ロシア軍は有力な迎撃部隊を隠し持っていて、ウクライナ軍が要塞線を突破してきたら、それをぶつけることを考えていると思います。

トクマク周辺の衛星画像 ロシア側が掘った塹壕

ただ現状では、ウクライナ軍がトクマクにたどり着くのは相当大変であろうと思います。

いまはまだトクマクよりもずっと北側の方でウクライナ軍がどうにか突破をしようと図っている最中なので、トクマクが焦点になってくるのはもう少し先なんだろうと思います。

カホウカ水力発電所のダム決壊の影響は?

ダムがあるドニプロ川がロシア軍の占領地域とウクライナ側を隔てている境になっています。

ウクライナ軍は、特殊部隊をちょこちょこ対岸に上陸させて、ロシア軍がしっかり守っていないところにウクライナの旗を立てたり、ボートで渡ってロシア軍の陣地を襲撃して帰ってきたりとか、嫌がらせみたいなことは常にやってきました。

その意図はおそらく、ロシア軍の戦力をなるべくあちらこちらに分散させて、決戦となる南の方面から戦力を引っぺがすということを考えていたと思います。

その中で、今回のダムの決壊というのはウクライナにとってみれば非常に痛いといえます。

ドニプロ川の左岸、ロシア軍の占領地域のほうが水浸しになってしまって、当面、ウクライナ軍が川を渡って反撃にいくということが、まずできなくなってしまったからです。だから、ロシア軍としても一定の兵力を西から東のウクライナ軍が攻めてきている方面に移したと言われています。

ウクライナ軍はオリヒウからトクマクに向けての攻勢が予想外に相当、苦労しているわけですが、もしかすると、ダムの決壊の影響があったのかもしれません。

西側から供与された戦車の損失どうみる?

ウクライナ軍としては、幾重にも塹壕などを掘っているロシア軍の陣地を抜かなければいけないので、まず最先鋒に西側からもらった新鋭戦車を出してきているということだと思います。

ロシア側の陣地ができているということはウクライナ軍も把握しています。この陣地を抜くには、最終的には、戦車や兵隊が突っ込んでいかなければいけないわけだから、大変な犠牲が出るということはわかっています。

あるアメリカの論評で「ノルマンディー上陸作戦の初日みたいな状況になる」と言っている人がいましたが、まさにそういう状況だと思います。

その時に考え方が2つあって、まず、敵の陣地に穴をこじ開けるという一番大変な仕事をする部隊は、最新鋭の装備ではなく、むしろ二線級の装備でやらせるという考え方と、あえて最先端に一番強い兵器を持ってきて穴を開けたあと、なんでもいいから数がたくさんある兵器を突っ込ませて戦果を拡張する考え方。

今回、ウクライナ軍は「最先鋒こそ最新鋭の兵器を投入する」というポリシーでやっているようです。この反転攻勢が始まった比較的、最初の段階から西側製の戦車や歩兵戦闘車がやられているという画像がたくさん出回っているのは、そのせいだと思います。

損失はウクライナとしては想定内?

ここまでは予想の範囲内だと思います。

もちろん大変な被害が出ていることは間違いないので、「たいしたことない」とは言いにくいですが、ただそれが想定外かというと、おそらく想定内だろうと思います。

ただ、少し分からないのが本格的な反転攻勢が始まって10日以上たっても、なかなかウクライナ軍がロシア軍の第一線陣地にたどりつくことさえできていない。

これが果たして予想の範囲内なのか、やっぱりダムの決壊の影響とかいろんな計算ミスがあってうまくいっていないのか。ここはちょっとわかりません。

反転攻勢の今後、どう展開?

ウクライナ軍の反転攻勢の進軍が思ったよりも遅れているかどうかは、我々にはわかりません。

ウクライナ軍の作戦計画のなかでは実はもともとこんなものかもしれないという可能性もあります。

ただ、これが仮にウクライナ参謀本部の作戦計画よりだいぶ遅れているのだとすると、大規模な戦闘ができる期限が決まっているということが効いてくると思います。というのも、今後、秋に入ると、戦地の地面がぬかるんできて、大規模な戦闘はできなくなってしまうことが、ほぼ宿命的にわかっているわけだからです。

戦闘が止まると、政治情勢によっては「そろそろ停戦を」と言われてしまう可能性もあるので、ウクライナにしてみればそうなる前に、なるべく領土を取り返さなければいけないと考えているはずです。

ウクライナ軍の南進のねらいは?

南に下がっていってアゾフ海までいくと、ロシア軍は西と東に分断されます。東側にいるロシア軍は、ロシア本土とつながっているので、おそらくこちらは持ちこたえると思います。

ところが、西のほうにいるロシア軍はウクライナ本土を通ってしか、ロシア本土とアクセスできなくなってしまいます。ウクライナ軍がここを仮に遮断すると、クリミアのロシア軍が孤立して必要な大量の燃料とか弾薬の補給ができなくなる可能性が高いわけです。

ただでさえ、今回、水源であるダムの決壊によって、クリミアに水がこなくなったわけで、ロシア軍としては軍の兵站線まで切られてしまうとなると相当苦しいはずです。

さらに、もしかしたらウクライナが軍事的にクリミアを取り返しにいくということも考えられないではなくなっています。そういう意味で、このザポリージャから海側に一気に突進できるかどうかということは、非常に大きな意味をもっていると思います。

欧米からの兵器供与の重要性は?

重要になってくると思います。現状では、ウクライナが望む品目はほぼ供与してもらえるようになってきていますが、問題は数があまりないことです。

ウクライナ側は戦車がもっと必要だと求めていて、それに応える動きも出始めています。

一方、ロシア側は苦しくはあるけれど、軍需産業は巨大なので、去年の夏から総力戦体制に移行しつつあります。

増産や24時間操業を始めているので、ここからは、西側の軍需産業力とロシアの軍需産業力の勝負という側面がますます強まってくるのではないかと思います。

戦闘の今後は?終結の見通しは?

戦争なので予測するのは難しいですが、いずれにしてもウクライナ軍が反転攻勢のために作った軍全部はまだ戦場に出ていないとみられます。

だからウクライナ軍にしてみれば、残っている予備戦力をぶつけて拳で壁を突き破るようにして海まで突進する。これがもうほぼ全てになると思います。これができるかできないか。

それに対して、ロシア軍が耐えきれるのか、耐えきれないのか。これもロシア側の戦力がはっきりとは分かっていないので、はっきりしたことは申し上げられないです。

もう1ついえることは、間違いなくこの戦争がことし中には終わらないと言うことです。

仮に今回のウクライナ軍の反転攻勢が最大限うまくいったとしても、ヘルソン州からザポリージャ全域を取り返すことができればベストシナリオなんだと思います。

それでもまだクリミアやドンバス、北のルハンシクが残っているわけですから、おそらく戦争自体は1年や2年かかると思います。

となると、ことしの秋以降に、アメリカ製のF16戦闘機やM1戦車の供与といった軍事援助の強化が見込まれるので、ウクライナとしてみれば、来年以降の反転攻勢にもおそらく望みをつなぎたいというふうに思っているでしょう。

一方、最近のロシア側の発言を聞いていても、この戦争を諦める気は全くないようなので、ウクライナ側の第2、第3の反転攻勢と、それに対するロシア軍の逆襲というものがまだ続くと予測しています。

#ウクライナ戦況(反転攻勢・小泉悠・NHKインタビュー)

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#ウクライナ戦況(反転攻勢・ウ国防省オレクシー・メルニック元主任補佐官「二分割」・NHKインタビュー)

#NATOexpansion

#反ロシア#対中露戦

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