中国の王毅外相は、米国のインド太平洋における戦略について、「最終的に失敗する運命にある」との見通しを示した。バイデン米大統領は、中国の台頭と影響力に対抗し同盟国との関係強化を図るためアジアを訪問中。
王外相はパキスタンのブット外相と22日に広州で会談した後の声明で、「いわゆる『インド太平洋戦略』は本質的に分裂を生み出す戦略、対立を扇動する戦略、平和を破壊する戦略であることが事実によって証明されるだろう」と述べた。
バイデン大統領は就任後初のアジア訪問で韓国の尹錫悦大統領と会談。23日に岸田文雄首相との日米首脳会談を行い、24日には日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」首脳会合に出席する。
バイデン氏はさらに、訪日中のイベントで米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明する計画。
日米が経済でも同盟強化へ、中国けん制で連携確認-きょう首脳会談
原題:
China’s Wang Yi Says US’s Indo-Pacific Strategy ‘Doomed to Fail’(抜粋)
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、バイデン政権が主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足時に台湾は参加しないと明らかにした。
「しかし、われわれは台湾と経済パートナーシップを深化させる考えだ。これにはハイテク、半導体、サプライチェーン(供給網)が含まれる」と続けた。バイデン氏の同行で日本に向かう大統領専用機で記者団に語った。
台湾は、IPEFを巡る交渉への参加に関心を示していた。
バイデン氏の来日中に、日米豪印の4カ国の枠組み「クアッド」の首脳会合が行われる。中台問題を含む地域の安全保障が議論される見通し。
サリバン氏は「われわれは現状に対する一方的な変更を望んでおらず、言うまでもなく、軍事侵攻は望まない。米国だけでなく地域内外の同盟国やパートナー国が、このメッセージを出すことを望んでいる」と語った。
岸田総理大臣とアメリカのバイデン大統領との日米首脳会談は、東京 港区の迎賓館で23日午前11時すぎから始まり、両首脳はまず、木原官房副長官らを交えて意見を交わしました。
このあと、両首脳は同席者を限定した少人数会合に臨み、冒頭、岸田総理大臣は「バイデン大統領の今回の日本訪問は、いかなる状況にあってもアメリカがインド太平洋地域への関与を強化し続けることを示すものであると、心から歓迎する」と述べました。
その上で「ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものであり、力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであっても絶対に認められない。このような時だからこそ、基本的価値を共有する日米両国で、法の支配に基づく『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けて、国際社会をリードしていきたい」と強調しました。
そして「今回のバイデン大統領の日本訪問、日米首脳会談が意義あるものになることを心から期待したい」と述べました。
このあと、両首脳は、迎賓館内の別の部屋でワーキングランチを行い、午後1時15分ごろに日米首脳会談は終了しました。
会談の詳しい内容は明らかになっていませんが、両首脳は、ウクライナ情勢をめぐって意見を交わし、引き続きG7=主要7か国で結束し、ロシアに対する厳しい制裁や、ウクライナへの支援を継続する方針を確認したものとみられます。
また、東シナ海などへの進出や各国への経済的威圧を強める中国を念頭に、世界のいかなる地域でも力による一方的な現状変更は認められないという認識を共有し、日米両国で抑止力と対処力を強化する方針で一致したものとみられます。
そして、岸田総理大臣は、弾道ミサイルに対処するための「反撃能力」の保有や防衛費の増額を求める自民党の提言も踏まえ、防衛力を抜本的に強化する考えを伝えたほか、アメリカの核戦力と通常戦力の抑止力によって日本を守る「拡大抑止」の強化を確認したものとみられます。
また、核 ミサイル技術の開発を強化する北朝鮮への対応をめぐって、日米両国や、韓国を加えた3か国で緊密に連携していく方針を確認したものとみられます。
一方、バイデン大統領は、中国への対抗を念頭においたIPEF(アイペフ)=インド太平洋経済枠組みを23日立ち上げる考えを表明し、岸田総理大臣は参加の意向を伝えたものとみられます。
バイデン大統領は会談の冒頭「日米同盟は長きにわたりインド太平洋地域の平和と繁栄の礎となっており、アメリカは日本の防衛への責任を完全に果たす」と述べ、中国が覇権主義的な行動を強める中、日米同盟を一層重視していく考えを示しました。
そして「地域の国々との連携を強化しインド太平洋地域の人々に利益をもたらすためにIPEF(アイペフ)=インド太平洋経済枠組みをきょう立ち上げることにしている」と述べ、中国への対抗を念頭に、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に代わる枠組みとしてIPEFを立ち上げる考えを示しました。
ウクライナ情勢をめぐっては「日本は世界のリーダーの1つとして、G7の各国とともに、ウクライナ侵攻を続けるプーチンの責任を追及し、われわれが共有する民主主義の価値観を守るために立ち上がっている。岸田総理大臣のリーダーシップと、ウクライナの人々への支援を感謝している」と述べました。
また、バイデン大統領は「あすのクアッドの会合を主催してくれることを感謝する。われわれはインド太平洋地域の民主主義国家として、常に協力して課題に取り組む方法を模索しているし、今後も話し合っていくことを楽しみにしている」と述べました。
さらにバイデン大統領が「フミオ、歓迎してくれたことに感謝する」と述べ親しみを持って岸田総理大臣を「フミオ」と名前で呼びかける場面もありました。
アメリカのホワイトハウスは日米首脳会談を受けて声明を発表し「バイデン大統領は岸田総理大臣の日本の防衛能力を強化しようとする決意を評価し、強固な日米同盟はインド太平洋地域の平和と安定の礎だと言及した」としています。
そのうえで「両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル開発や国際法に反する中国の威圧的な行動などの安全保障上の課題に対処するために緊密に連携していく決意を示した」としています。
岸田総理大臣は、来年、日本で開催されるG7サミット=主要7か国首脳会議について、広島市で開催する方針を固め、日米首脳会談でアメリカのバイデン大統領に伝えたことが分かりました。そして、バイデン大統領から支持を得たということです。
岸田総理大臣とバイデン大統領の日米首脳会談で、両首脳が安全保障理事会を含めた国連の改革と強化の必要性で一致し、バイデン大統領から、安保理改革が実現した場合には、日本が常任理事国になることに支持が表明されたことが分かりました。
岸田総理大臣は、東京 港区の迎賓館で、バイデン大統領と日米首脳会談を行ったあと、そろって記者会見に臨みました。
この中で岸田総理大臣は「ウクライナ侵略という国際秩序の根幹を揺るがす危機に直面しており、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を断固として守るべく、今ほど同盟国や同志国の結束が求められている時はない」と述べました。
そのうえで、ウクライナ情勢をめぐり、力による一方的な現状変更の試みはいかなる場所であれ断じて許容できないとして、G7=主要7か国をはじめ、国際社会とともに引き続き、きぜんと対応し、ウクライナ政府と国民を全力で支えていくことを改めて確認したと説明しました。
さらに、ウクライナ情勢がインド太平洋地域に及ぼす影響も議論し、中国の東シナ海や南シナ海での力を背景とした現状変更の試みに強く反対するとともに、人権問題を含めた中国をめぐる諸課題への対応に引き続き日米で緊密に連携していくことで一致したと明らかにしました。
また、台湾をめぐっては「両国の基本的な立場に変更はないことを確認し、 国際社会の平和と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促した」と述べました。
そして、覇権主義的行動を強める中国などを念頭に、日米両国の抑止力と対処力を早急に強化することを確認しました。
また、北朝鮮をめぐって「ICBM=大陸間弾道ミサイル級の弾道ミサイル発射をはじめ、核・ミサイル問題について深刻な懸念を共有したうえで、日米、日米韓で一層緊密に連携していくことを確認した」と述べました。
そのうえで、日本の防衛力を抜本的に強化する決意を示し、防衛費を増額するとともに、いわゆる『反撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除しないという方針を伝え、バイデン大統領から強い支持を得たと明らかにしました。
さらに「バイデン大統領から、日本の防衛へのコミットメントが改めて表明され、今後も『拡大抑止』が揺るぎないものであり続けることを確保するため、閣僚レベルも含め、日米の間で一層緊密な意思疎通を行っていくことで一致した」と説明しました。
IPEF(アイペフ)=インド太平洋経済枠組みをめぐっては「歓迎し、日本は参加し協力していく。そのうえで日本としては、戦略的な観点から、アメリカがTPP=環太平洋パートナーシップ協定に復帰することを期待している」と述べました。
また、最先端の半導体の開発を含む経済安全保障分野や、宇宙などに関する具体的な協力で一致したほか、ウクライナ情勢の影響でエネルギーや食料をめぐる状況が悪化していることを踏まえ、G7や国際機関で連携して対処していく方針を確認したと明らかにしました。
一方、来年、日本が議長国を務めるG7サミット=主要7か国首脳会議について、被爆地で岸田総理大臣の地元の広島市で開催する方針をバイデン大統領に伝え、成功に向けてともに取り組んでいくことを確認したと明らかにしました。
このほか岸田総理大臣は「私から安全保障理事会を含めた国連の改革と強化の必要性を述べ、バイデン大統領から改革された安保理において、日本が常任理事国となることを支持するとの表明があった」と述べました。
日米首脳会談のあとの共同記者会見で、バイデン大統領は「アメリカは日本の防衛について揺らぐことはない。安全保障環境が厳しさが増す中で、さらに協力を深めることを歓迎する」と述べ、日米同盟をさらに発展させていく考えを示しました。
そのうえで中国を念頭に「台湾海峡の平和と安定を維持することを支持し、東シナ海と南シナ海での航行の自由を促進し、北朝鮮を抑止することを望む」と述べました。
また、24日に行われる日米豪印の4か国でつくる枠組み、クアッドの首脳会合については「オーストラリア、インドとともに、民主主義の国どうしの連携によって大きな成果を上げることを世界に示す。インド太平洋地域の未来に向けた前向きなビジョンを前進させるための機会に感謝する」と述べ、期待感を示しました。
また、みずからが提唱する新たな経済連携IPEF=インド太平洋経済枠組みについては「21世紀の最も重要な課題である安全保障の充実、信頼に基づいた経済の構築、サプライチェーンの保護、反汚職への取り組みについて地域のパートナーとともに取り組むものだ」と意気込みを述べました。
さらに、ウクライナへの軍事侵攻で力による現状変更への試みが行われていることについては「日米は民主主義国家として、経済大国として、力強さを示している。われわれの協力は、特に、プーチンの残酷なウクライナでの戦争の責任を追及するために不可欠だ。ウクライナの人々を支援することは、ルールに基づく国際秩序を守るというわれわれの意思について、強いメッセージを送っている」と述べました。
また来年、日本で開催されるG7サミット=主要7か国首脳会議については「広島で開催するという岸田総理大臣による発表を歓迎する」と述べました。
一方、中国の輸入品に課している関税について、記者から一部を撤廃する考えはあるのか質問されたのに対し「前政権によって課された関税であり、現在、対応を検討中だ」と述べました。
来日中のバイデン米大統領は23日の都内での共同記者会見で、台湾の防衛に必要な場合には軍事的に関与する用意があるかとの質問に対し、「イエスだ。それはわが国が行った約束だ」と語った。
中国に台湾侵攻を思いとどまらせることを狙うバイデン大統領の発言としては、過去最も強い表現の一つといえる。
バイデン大統領は「わが国の対台湾政策に全く変化はない。われわれは台湾海峡の平和と安定への支持、現状の一方的変更がないよう確実を期すことに引き続きコミットしている」と発言した。
大統領は「われわれは一つの中国という政策に同意しており、付随する取り決めも全てそこからつくられている」としながらも、「武力で奪うことができるという考えは全く適切さを欠く。地域全体を混乱させ、ウクライナで起きたことと同じような行動が繰り返されることになる」と述べた。
これらの発言を受け、ホワイトハウス報道官は大統領が「一つの中国という政策」に繰り返し言及したものだと説明。その後、ホワイトハウスの複数の当局者は、米国が台湾に軍事物資を提供することを大統領発言は指しており、有事の際に台湾防衛で米軍を派遣するという意味ではないと説明した。
中国外務省の汪文斌報道官は23日の会見で、同国はバイデン大統領の発言を非難するとし、「二国間関係に深刻な打撃を与えることがないよう」誤ったメッセージを送ることを米国は控えるべきだと主張。「主権と領土の一体性を含め、中国の重要な国益に関する問題で妥協や譲歩の余地はない」と付け加えた。
原題:Biden Says US Military Would Defend Taiwan From China Attack (3)、
Biden Says ‘Yes’ When Asked if Willing to Defend Taiwan(抜粋)
訪日中のバイデン米大統領は23日、記者団に対し、もし中国が武力で台湾に介入した場合、軍事的な対応を取るとの考えを明らかにし、「それが我々の誓約(コミットメント)だ」と述べた。
バイデン氏は、東京で行われた、岸田文雄首相との共同記者会見で語った。
バイデン氏は「我々は『一つの中国』政策に同意している」としたうえで、武力によって台湾を奪えるという考えは適切ではないと述べた。
バイデン氏は過去にも同様の発言をしたことがあり、ホワイトハウスは、台湾に対する米国の長年にわたる政策が変わったわけではないと火消しに追われた。米国は台湾に対して防衛用の兵器を提供しているものの、中国による侵攻時に軍事的介入を行うかどうかについては意図的に曖昧(あいまい)さを保っている。
米国は、一つの中国政策の下で、台湾が中国の一部だとする中国の立ち位置を認めているものの、中国政府の台湾に対する主張を公式に認めたことはない。
ホワイトハウスはバイデン氏の発言を受け、声明を発表し、米国の公式な立場に変化はないと述べた。バイデン氏が、一つの中国政策と、台湾海峡の平和と安定への関与について繰り返し言及していると指摘。「台湾関係法」に基づいて台湾に対して防衛のための軍事手段を提供している米国の関与についても繰り返し言及しているとした。
バイデン氏は中国による台湾侵攻の可能性をロシアのウクライナ侵攻になぞらえて「地域全体を揺るがすことになる」と述べ、「ロシアはその行動に対する長期に及ぶ代償を払わなければならない」と強調した。
さらに「わざわざこれに言及するのは、ウクライナのことだけではない。実際、彼がすべて終えた後に、ウクライナとロシアの関係が改善し、いまある制裁の維持が多くの点で継続されなくなるとしたら、これが台湾を実力で奪う試みの代償について、中国に対し投げかける示唆はどんなものになるだろうか」と続け、中国は「(台湾への)非常に接近した飛行や、今実行している全ての動きで危険に手を出している」と述べた。
また「我々は約束し、一つの中国政策を支持している」としながらも、「それは中国が台湾に進入し、台湾奪取に武力を使う能力、管轄権を認めるものではない」とも語った。
バイデン大統領は23日午後、東京 港区の迎賓館で、日米首脳会談のあと行った共同記者会見で、台湾有事の際の対応を記者から問われると、「台湾についての政策は全く変わっていない。台湾海峡をめぐる平和と安定を支持し、現状が一方的に変更されることがないよう取り組み続ける」と述べました。
その一方で、記者から、台湾防衛のために軍事的に関与する用意があるかと改めて問われると、「ある。それがわれわれの決意だ」と答えました。
そのうえで、「われわれは『1つの中国政策』に同意しているが、力によって奪い取れるという考えは全く適切ではない。地域全体を不安定なものにし、ウクライナで起きたことと同じような状況になる」と述べ、台湾防衛のために軍事的に関与する考えを示しました。
アメリカは台湾をめぐり、中国が軍事力を駆使して台湾統一を図ろうとした際の対応をあらかじめ明確にしないことで、中国の行動を抑止する「あいまい戦略」とも呼ばれる、戦略をとってきましたが、バイデン大統領の発言はこの戦略から踏み込んだものだという受け止めが広がっています。
バイデン大統領の記者会見での台湾をめぐる発言を受けてホワイトハウスは声明を出し、「アメリカの政策は変わっていない」と強調しました。
そのうえで声明では、「発言の中でバイデン大統領は、1つの中国政策や、台湾海峡の平和と安定のための決意を改めて表明した。台湾関係法にもとづいて台湾に自衛のための軍事手段を提供するという約束についても改めて述べた」として従来の政策を踏襲しているとしています。
ホワイトハウスの声明は、中国が軍事力を駆使して台湾統一を図ろうとした際の対応をあらかじめ明確にしない、アメリカ政府の「あいまい戦略」とも呼ばれる戦略が変わったわけではないと火消しを図った形です。
バイデン大統領の発言とホワイトハウスの声明をうけて、台湾外交部はコメントを発表しました。
この中では、「バイデン大統領とアメリカ政府から台湾に対する確約が改めて言明されたことに、心からの歓迎と感謝を表す。台湾は引き続き、自衛力を高め、アメリカや日本など理念の近い国々との協力を深化させることによって、台湾海峡の安全およびルールに基づく国際秩序を守り抜く」としています。
バイデン大統領の台湾をめぐる発言について、中国外務省の汪文斌報道官は23日の記者会見で、「台湾は中国の領土の不可分の一部で中国の内政だ。いかなる外部勢力の干渉も許さない。強烈な不満と断固とした反対を表明する」と述べ、強く反発しました。
そのうえで「アメリカは台湾問題における言行を慎み、台湾独立勢力に誤ったシグナルを送らないよう求める」と述べ、みずからの主権や安全保障上の利益を守るため、必ず断固とした対応をとると強調しました。
また、日米首脳会談後の共同記者会見で、中国を名指しながら、東シナ海や南シナ海での力を背景とした現状変更の試みに強く反対するなどと発表したことについて「われわれは、日米がこうした問題を騒ぎ立てて中国のイメージを傷つけ、内政に干渉することに断固反対する」と述べました。
そのうえで「アメリカのいわゆる威嚇・抑止政策はすでにヨーロッパを混乱させており、アジア太平洋にも災いをもたらすべきではない」とけん制しました。
バイデン大統領は、これまでにも少なくとも2回、アメリカの台湾をめぐる政策と相容れないと受け止められる発言を行ったことで波紋が広がり、ホワイトハウスが火消しに追われました。
このうち、去年8月のアメリカABCテレビとのインタビューの中では、「もし、NATO=北大西洋条約機構の加盟国への侵攻があれば、第5条という神聖なる義務があり、対抗することになっている。これは日本、韓国、そして台湾も同様だ」と発言しました。
また去年10月、アメリカのCNNテレビに出演した際には、「中国が台湾を攻撃した場合、アメリカが台湾を守る用意があるか」と2回に渡って聞かれたのに対し「そうする。そのような約束がある」と述べました。
いずれも発言のあと、ホワイトハウスは「アメリカの政策に変更はない」と強調し、火消しに追われました。
バイデン米大統領が23日に行われた日米首脳会談後の共同記者会見で、台湾有事の際に米国が武力を行使し台湾を防衛する意向を示唆したことについて、ホワイトハウス当局者は台湾巡る政策に変更はないと述べた。
当局者は「大統領が述べたように、われわれの政策は変更していない」と述べ、一つの中国政策および台湾海峡の平和と安定へのコミットメントにあらためて言及した。また台湾関係法に基づく自衛のための台湾への防衛装備品供与にコミットしていると述べた。
ロシアによるウクライナ侵攻では軍事行動はしなかったのに、中国が台湾を侵攻した場合は軍事的に台湾を守るのかと単刀直入に聞かれると、バイデン氏は、「そうだ(中略)それが私たちの約束だ」と答えた。
「武力で奪うことができるという考えは(中略)単純に適切ではない。それは地域全体を混乱させ、ウクライナで起きたのと似たような行動となるだろう」
ただバイデン氏は、アメリカの台湾政策は「変わっていない」と前置きした。ホワイトハウス報道官は素早く、この部分を強調した。
中国が攻撃してきた場合、米国は台湾を守るとバイデン氏が明確にしたのは、ここ数カ月で2回目。米政権のトーンが変わったと見られている。
アメリカは中国と台湾の問題について、「戦略的曖昧さ」として知られる政策を取っている。これまでは、台湾侵攻のような状況でどのような対応をするか曖昧にしてきた。
中国内陸部の砂漠地帯に、自衛隊が運用する早期警戒管制機に似た模型が設置されていることが、衛星写真の分析で分かりました。
中国軍が攻撃対象として設置したとみられ、専門家は、台湾有事を念頭に、日本をけん制するねらいもあると指摘しています。
この衛星写真は、アメリカの衛星会社「プラネット・ラブズ」が今月13日、中国の新疆ウイグル自治区を撮影したものです。砂漠地帯に滑走路のようなものがあり、そこに、航空機のような物体が複数設置されているのが確認できます。
このうち、中心の大型のものについて、防衛省の元情報分析官で、軍事アナリストの西村金一氏は、航空自衛隊が運用するAWACS、早期警戒管制機に見立てた模型とみられると指摘しています。
AWACSは、円盤のような大きなレーダーを備え、飛行しながら、日本に接近する国籍不明機などを発見することができることから「空飛ぶレーダーサイト」とも呼ばれています。
西村氏によりますと、この場所は、中国軍のミサイル発射実験の演習場とみられ、ミサイルを命中させる訓練を行うための攻撃対象として設置されたと考えられるということです。
そのうえで「『台湾有事に日本が介入するなら攻撃する』という意思を明確に示したものと考えられる」として、台湾有事を念頭に、日米が同盟強化を進める中、日本をけん制するねらいもあると指摘しています。
一方、防衛省防衛研究所の増田雅之 政治・法制研究室長は「日本などへの対外的なメッセージというよりも、中国が台湾有事を想定して着々と準備を進めていると捉えるべきだ」としたうえで、「中国はウクライナをめぐる各国の動きを見て、台湾有事などの際に、アメリカや同盟国の日本などがどう動くのか警戒を一層強めており、あらゆる事態を想定して、実戦的な訓練を重ねているのだろう」と指摘しています。
#反中国#対中露戦#習近平伏魔殿体制=旧体制
冒頭
共同声明では、日米両国は、歴史上かつてないほど強固で、その関係は自由で開かれたインド太平洋地域の礎となるとしています。
そのうえで、岸田総理大臣がアメリカの、この地域での戦略を歓迎したのに対し、バイデン大統領は、揺るぎない関与を強調したとしています。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻
そして、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻については「国際秩序に対する最大の脅威で、残虐でいわれのない不当な侵略だ」としたうえで、ロシアの行動を非難し、残虐行為の責任を負うことを求めるとしています。
国連安全保障理事会
また、ロシアの国連安全保障理事会の常任理事国としての無責任な行動や、拒否権の乱用などに深い憂慮を表明し、国連の強化を決意したとしたうえで、バイデン大統領が、改革された安保理で日本が常任理事国となることを支持したことも盛り込まれました。
中国・台湾
一方、覇権主義的行動を強める中国については、東シナ海や南シナ海での海洋進出に強く反対するとともに、新疆ウイグル自治区や香港などの人権問題、中国と南太平洋のソロモン諸島が結んだ安全保障に関する協定への懸念も表明したとしています。
さらに、中国に対しては、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を明確に非難することや、核戦力の透明性を高め、核軍縮の進展に貢献するよう求めるとしています。
また、台湾をめぐっては「両国の基本的な立場に変更はなく、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて確認するとともに、両岸問題の平和的解決を促した」としています。
北朝鮮
北朝鮮については、ICBM=大陸間弾道ミサイル級の発射を含め、核・ミサイル開発が進展しているとして非難するとともに、朝鮮半島の完全な非核化に向けて、国連決議に従うよう求め、拉致問題の即時解決に向けたアメリカ側の関与も改めて確認したとしています。
日米同盟
一方、安全保障分野では、岸田総理大臣が、ミサイルの脅威に対抗する能力を含め、あらゆる選択肢を検討するとしたうえで、日本の防衛力を抜本的に強化し、裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を伝えたのに対し、バイデン大統領は強く支持したとしています。
また、バイデン大統領が日本の防衛に対するアメリカ側の関与を改めて表明したほか、アメリカの核戦力と通常戦力の抑止力によって日本を守る「拡大抑止」について、信頼でき、強じんなものであり続けることの重要性や、両国間で協議する意義を確認したとしています。
このほか、日米安全保障条約の第5条が沖縄県の尖閣諸島に適用されることや、サイバーや宇宙など、新しい分野での協力を加速させることも確認したとしています。
IPEF
さらに、岸田総理大臣は、バイデン大統領が提唱したIPEF=インド太平洋経済枠組みに対する支持を表明し、将来の交渉に向けた参加国の間での議論の立ち上げを歓迎したということです。
このほか、共同声明には、ロシアのエネルギーへの依存を減らすため、アジア諸国への支援を検討することや、新型コロナ対策、「核兵器のない世界」に向けた協力などを確認したことも盛り込まれています。
新資本主義
岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」やバイデン政権の経済政策について意見を交わし、不平等が解消され、両国で中間層を強化する政策が必要だという認識で一致したとしています。
半導体
重要な技術の保護・育成や、サプライチェーン=供給網の強じん性を確保するために協力していくことを確認し、▽次世代の半導体の開発に向けた共同タスクフォースの設立や、▽経済安全保障の強化に向けてさらに協力していくことでも一致したとしています。
経済版2プラス2
日米両国の外務・経済閣僚による協議、経済版のいわゆる「2プラス2」の枠組みについてことし7月に開催する意思を表明したとしています。
多角的貿易体制
また、自由で公正な経済ルールに基づく多角的貿易体制の重要性を認識し、G7=主要7か国やWTO=世界貿易機関といった国際的な枠組みを通じ、▽非市場的な政策や慣行、▽経済的な威圧に対処するため緊密に取り組んでいくことを確認したとしています。
強制労働・人権
そして、強制労働をなくすことの道徳的・経済的な必要性を再確認し、サプライチェーン=供給網において人権を尊重する企業の予見可能性を高めることなどに取り組んでいくことで一致したということです。
エネルギー
エネルギー分野ではロシアによるウクライナへの軍事侵攻でロシア産の天然ガスへの依存度を減らそうという動きがG7=主要7か国などに広がるなか、岸田総理大臣が世界的な供給制約を緩和するためアメリカのLNG・液化天然ガスが果たしている役割を強調し、石油や天然ガスを増産するためアメリカの産業界による投資を歓迎しました。
そして、ロシアへの依存度低減に向けて、アジアのパートナーがエネルギー安全保障を強化するための支援を検討することで一致したとしています。
宇宙
宇宙分野では有人やロボットによる月面探査に日本人の宇宙飛行士を含めるという共通の意思を改めて確認するなど、アメリカが中心となって行う国際的な月探査計画「アルテミス計画」での協力の進展を表明したとしています。
拉致被害者の家族とアメリカのバイデン大統領との面会は、23日午後3時前からおよそ30分間、東京 港区の迎賓館で行われました。
このあと、家族は都内で記者会見し、家族会の代表で横田めぐみさんの弟の拓也さん(53)や、母親の早紀江さん(86)などが出席しました。
それによりますと、バイデン大統領は面会の冒頭、いすに座っていた早紀江さんにひざをついて語りかけたほか「ハグしていいですか」と声をかけ、2人は抱き合ったということです。
また、バイデン大統領が2人の子どもを亡くしていて、ズボンのポケットから長男の写真を取り出し「家族を失うのはつらいことだ」と話す場面もあったということです。
バイデン大統領は、23日の面会に出席したすべての被害者家族に直接ことばをかけたということです。
横田早紀江さんは「大統領は『あなた方の気持ちはよくわかる、同じ気持ちだ』と言ってくれました。腰をかがめて話してくれたので驚いて立ち上がってしまいました」と話したうえで「来年、私は夫が亡くなった時と同じ年齢になります。とにかく一目、めぐみちゃんに会いたい。そしてすべての被害者の帰国を実現したい」と語りました。
拉致被害者の家族会代表を務める横田拓也さんは23日の面会で、45年前、当時、中学1年生で13歳だっためぐみさんが下校途中に拉致されたこと、そして、めぐみさんがとてもやさしく、明るく、朗らかな性格で、拉致されて以降、家族の会話が減り、笑顔が消えたことをバイデン大統領に伝えたということです。
そして、両親が20年間、必死に探し続けても手がかりが得られず、1997年に家族会を結成したと説明し、その家族会の初代代表を務めた父親の滋さんがおととし、2代目の代表だった飯塚繁雄さんが去年12月に相次いで亡くなったことを伝え、救出活動の先頭に立ってきた2人が肉親との再会を果たせないまま亡くなったことの悔しさや無念さを訴えたということです。
そのうえで、すべての被害者家族が同じ苦しみを抱いているとして、すべての被害者の一刻も早い帰国を実現するため、アメリカの支援と理解を求めたということです。
これに対し、バイデン大統領は、それぞれの家族と話し終えたあと「いつも祈っています。私たちは協力します」と述べたということです。
鹿児島県の拉致被害者、市川修一さんの兄の健一さん(77)は記者会見で、「バイデン大統領はそれぞれの家族に近づいて話を聴いてくれました。私は『力を貸してください』と言うのが精いっぱいでしたが、長年にわたる家族の苦しみを理解してくれたと信じています」と話していました。
このあとNHKの取材に応じた市川さんは「バイデン大統領は『自分も子どもを亡くした』と言って、ポケットから子どもの写真を取り出し、話してくれました。被害者家族の気持ちを分かってくれたのだと思います。家族は高齢になり、時間がありません。新型コロナの影響で3年近く活動ができない中、きょうの面会によって解決の方向に向かえばと思います」と話していました。
田口八重子さんの長男の飯塚耕一郎さんは記者会見で「国際社会への訴えも大事な要素ではあるが、この問題を進めるのは日本政府だ。新型コロナの影響で停滞したとはいえ、被害者との再会を果たせないまま家族が亡くなっていることをどれだけ重く受けとめているのかがまったく見えない。今後、北朝鮮との交渉をどのように進めていくのか、岸田政権の一挙手一投足を注視していきたい」と話しました。
アメリカのバイデン政権は23日、バイデン大統領の訪日に合わせ、新たな経済連携IPEF=インド太平洋経済枠組みの立ち上げに向けた協議を開始すると発表しました。
参加するのは、アメリカや日本、インド、韓国、オーストラリアのほか、インドネシアやタイ、シンガポールなど合わせて13か国で、世界のGDP=国内総生産の40%に当たるとしています。
声明では、IPEFについて「各国の強じんさや経済成長を発展させるものだ」と位置づけ、「インド太平洋地域の協力や繁栄、平和に貢献する」などと目的を強調しています。
そして、4つの柱に焦点を当てるとして、
▽デジタルを含む貿易、
▽サプライチェーン=供給網、
▽クリーンエネルギー・脱炭素、インフラ、
▽税制・汚職対策を挙げ、
それぞれについて高い基準を設けていくなどとしています。
IPEFは、この地域で影響力を強める中国への対抗を念頭にバイデン政権が構想し、復帰に否定的なTPP=環太平洋パートナーシップ協定に代わる経済連携と位置づけています。
一方、IPEFは関税の引き下げなどを対象にしないため、メリットが少ないとみる国もあり、参加する国がどこまで広がりを見せるかが焦点になっていました。
今後は4つの柱をめぐる連携や基準づくりの協議が始まることになり、中国への対抗という思惑どおり、実効性のある連携にできるかが問われることになります。
バイデン大統領は、IPEFについて「13か国が参加して、きょうから始まる。この枠組みは、インド太平洋地域の国々による競争の推進力となる」と述べ、立ち上げに向けた協議を開始すると表明しました。
また「われわれは21世紀の経済の新たなルールを作っている。参加したすべての国の経済がより速く、公正に成長するよう手助けをする。成長を妨げるような課題に対して、成長のエンジンの可能性を最大限に引き出していく」と述べました。
IPEFの立ち上げを目指す会合に参加した岸田総理大臣は「バイデン大統領が、日本で、IPEFの立ち上げを宣言したことは、この地域へのアメリカの強いコミットメントを明確に示すものだ。日本はIPEFに参加し、アメリカと緊密に連携し、ASEAN諸国をはじめとする地域のパートナーと手を携えて、新たな枠組みづくりに協力していく」と述べました。
そのうえで「ASEANがIPEFでも中核的な役割を果たすことが重要で、日本はASEANの一体性と中心性を尊重し、積極的に議論に参加する。IPEFを通じて、これからのインド太平洋の持続可能な成長に向けて経済秩序をつくりあげていこう」と呼びかけました。
オンラインで参加した韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は「IPEFの立ち上げは急速に変化する経済環境の中で域内の国家間の連帯と協力の意思を示す意義のある第一歩だ」と述べました。
そして、韓国として供給網やクリーンエネルギー、脱炭素などの分野で具体的な協力の在り方を提示していく考えを明らかにしました。
IPEFへの参加を受けて、韓国外務省は専門の部署を設置して各国との連携を進めることにしています。
岸田総理大臣やアメリカのバイデン大統領とともに会合に出席したインドのモディ首相は「世界経済を成長させるエンジンとしてのIPEFは、われわれの強い意志の表れだ。インドはみなさんとともに、包摂的で柔軟なIPEFの構築に取り組む。この枠組みがインド太平洋地域における発展と平和、繁栄の道につながると信じる」と述べました。
アメリカ、日本、オーストラリア、ブルネイ、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム
中国への対抗を念頭にした新たな経済連携IPEF=インド太平洋経済枠組みをめぐり、岸田総理大臣は、日本も参加し、アメリカと緊密に連携していく考えを示しました。
中国への対抗を念頭にした新たな経済連携IPEF=インド太平洋経済枠組みの立ち上げを目指す会合が午後4時半すぎに始まり、バイデン大統領は、立ち上げに向けた協議を開始すると表明しました。
会合に参加した岸田総理大臣は「バイデン大統領が、日本でIPEFの立ち上げを宣言したことは、この地域へのアメリカの強いコミットメントを明確に示すものだ。日本はIPEFに参加し、アメリカと緊密に連携し、ASEAN諸国をはじめとする地域のパートナーと手を携えて新たな枠組み作りに協力していく」と述べました。
そのうえで「ASEANがIPEFでも中核的な役割を果たすことが重要で、日本はASEANの一体性と中心性を尊重し、積極的に議論に参加する。IPEFを通じて、これからのインド太平洋の持続可能な成長に向けて経済秩序を作りあげていこう」と呼びかけました。
IPEFをめぐり、アメリカのバイデン政権は、参加するのはアメリカや日本、インド、韓国、オーストラリアのほか、インドネシアやタイ、シンガポールなど合わせて13か国で、世界のGDP=国内総生産の40%に当たるとしています。
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