アメリカのバイデン政権発足後、初めてとなる対面での日米韓3か国の安全保障担当の高官による協議が2日、東部メリーランド州にある海軍士官学校で行われ、サリバン大統領補佐官と日本の北村国家安全保障局長、それに韓国のソ・フン(徐薫)国家安保室長が出席しました。
協議のあとホワイトハウスは共同声明を発表し、アメリカの北朝鮮政策の見直し作業について3か国で調整を行ったとしています。
そのうえで「北朝鮮の核・弾道ミサイル計画に関する懸念を共有し、非核化に向けた日米韓の緊密な協力を通してこれらの課題に対処し、解決するというコミットメントを改めて確認した」とするとともに「朝鮮半島の平和と安定の維持のための協力が必要不可欠であることで一致した」としています。
今回の協議を経てバイデン政権は近く北朝鮮政策の見直し作業を終えるとしていて、外交を通じて関与していくとする政策の中身に関心が集まっています。
また、3か国の高官は、拉致問題の迅速な解決の重要性や新型コロナウイルス対策、それに気候変動などについても意見を交わしました。
さらに日韓両国については「地域や世界の安全のために2国間の結び付きと日米韓3か国の協力の重要性を強調した」としています。
アメリカを訪れている北村国家安全保障局長は、メリーランド州アナポリスで、サリバン大統領補佐官と会談しました。
会談はおよそ1時間行われ、海洋進出を強める中国や、先月弾道ミサイルを発射した北朝鮮など、地域情勢をめぐって幅広く意見を交わしたほか「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組みや、経済安全保障を含めた安全保障上の課題について協議しました。
そして、今月16日に行われる菅総理大臣とバイデン大統領による対面では、初めての日米首脳会談に向けて、緊密に連携していくことで一致しました。
また、地域の安全保障上の課題への対応についても、日米両国や、オーストラリアやインドを加えた4か国の枠組みをはじめ、同志国の間で協力していくことを確認しました。
北村局長は、このあと韓国のソ・フン国家安保室長ともおよそ50分間会談し、北朝鮮問題で引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
韓国のソ・フン国家安保室長は2日、アメリカで日米韓3か国の安全保障担当の高官による協議に参加したあと、韓国メディアの取材に応じ、北朝鮮の非核化は緊急の課題で、外交的に解決する必要があるとの共通の認識を得たことを明らかにしました。
そのうえで、米朝対話について「3か国は早期再開のための努力が続けられなければならないということで一致した」と述べました。
一方、ソ・フン国家安保室長はアメリカのサリバン大統領補佐官と個別に会談し、この中で、南北関係の改善が北朝鮮の非核化にも役立つことを強調したほか、両国が韓国に駐留するアメリカ軍の経費をめぐり合意したことを評価したということです。
中国の王毅外相は、就任後初めての外国の訪問先として中国を訪れた韓国のチョン・ウィヨン外相と3日、南部、福建省のアモイで会談しました。
会談の冒頭、チョン外相は先月、弾道ミサイルを発射した北朝鮮への対応について「朝鮮半島の平和プロセスが実質的に進展するよう、中国が建設的な役割を果たすことを求める」と述べ、協力を求めました。
韓国外務省によりますと、会談で両外相は、朝鮮半島の非核化の実現に向けて協力を拡大していくことで一致したということです。
また、来年が両国の国交樹立から30年になることを踏まえ、戦略的パートナー関係を充実させるとしたほか、習近平国家主席の韓国訪問などの実現に向け協力していくことを確認したということです。
アメリカのバイデン政権が中国包囲網とも言える動きを強める中、中国としてはアメリカの同盟国である韓国との関係を強化し、けん制するねらいもあるものとみられます。
中国の王毅外相は、韓国の外相との会談に先立ち、先月31日から今月2日まで、ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟するシンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの4か国の外相を、それぞれ韓国の外相と同じく南部・福建省に招き、会談していました。
中国外務省によりますと、王外相は各国の外相に対し、ミャンマー情勢をめぐり、ASEANが原則としている内政不干渉の順守を支持すると伝えたということです。
またフィリピンの外相に対しては、ミャンマー情勢をめぐる国連安全保障理事会の緊急会合について、ミャンマーの主権を損ない事態をさらに複雑化させる不当な介入を避けるべきだとも伝えたとしています。
欧米諸国がミャンマー軍に厳しい姿勢を示し、武器の禁輸などの制裁を求めているのに対し、中国はロシアとともに反対していて、同調するよう求めた形です。
王外相はこのところ、ロシアや中東各国、それにASEAN諸国などの外相と会談を重ねていて、アメリカのバイデン政権による中国包囲網とも言える動きに対抗する姿勢を鮮明にしています。
2015年まで上海総領事を務め、中国やアジアの国際関係に詳しい東京大学大学院の小原雅博元教授は「今、米中は全面的な戦略的競争の時代に入っていて、アメリカのバイデン政権は、同盟諸国との結束を全面に出す外交を行っている。これに対して中国は、アメリカと、アメリカが関係を強めようとしている国の間にくさびを打ち込みたいと考えている」と指摘しました。
そのうえで「中国は、先日もASEAN諸国の外相を招いたほか、中東や東欧を訪問するなど、積極的な外交で仲間作りを進めている。まさに現代の合従連衡で、激しい外交合戦が展開されていて、今回の中韓の外相会談はそれに含まれる」と分析しました。
一方、こうした中国の動きが地域に与える影響については「米中のはざまで、多くの国が難しい立場に置かれることになる。アメリカとの間では安全保障の利益がある一方で、中国との間には経済的な利益がある。中国は巨大化する市場と経済援助を使い、こうした国々に揺さぶりをかけていて、まさにアメとムチだ。多くの国が中国を選ぶのか、アメリカを選ぶのか難しい選択を迫られている」と指摘しました。
また小原氏は日本の役割について「日本がどのような外交を展開するかが地域にとっても非常に重要になり、役割が問われることになる。日米同盟を堅持しながら中国との関係を悪化させず安定した関係を維持するという難しい外交が求められる」と話していました。
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