飛行機の空港への進入経路は完璧だった
ヘリコプターは長いあいだまっすぐ飛行機に向かった
晴れた夜で、飛行機のライトも光っていた
なぜヘリコプターは上昇も下降も旋回もしなかったのか
管制塔はなぜヘリコプターにどうするか指示せず、飛行機が見えるかどうかなんて聞いとったのか
この状況は避けねばならなかった
まったくひどい
米首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港近くで29日、アメリカン航空のリージョナルジェット旅客機が米軍のヘリコプター「ブラックホーク」と衝突し、空港付近のポトマック川に墜落した。
米当局者は30日、これまでに28人の遺体が収容されたとし、「現時点では生存者がいるとは考えていない」と述べた。事故による死者は60人超に上るとみられ、米国としては過去20年超で最悪の航空事故となる可能性がある。
トランプ大統領はホワイトハウスで行った会見で、ヘリのパイロットを批判し、航空管制官に責任があったかどうかは確実には分からないと述べた。その上で「事故の原因は分からないが、われわれは極めて見解を持っている」とした。
墜落したアメリカン・イーグル5342便は、オハイオ州を拠点とするアメリカン航空の地域子会社、PSA航空が運航していた。アメリカン航空は60人の乗客と4人の乗員の搭乗を確認。アメリカン航空のロバート・アイゾム最高経営責任者(CEO)によると、同機のパイロットには約6年の飛行経験がある。
米軍ヘリには兵士3人が搭乗しており、ヘグセス国防長官によると、「かなり経験豊富な乗組員」が操縦し、年次技能訓練飛行を行っていた。
当局者はロイターに対し、今回の事故に関連する陸軍部隊のヘリコプターの飛行は一時停止されたと語った。
ダフィー運輸長官は、旅客機とヘリはいずれも標準的な飛行パターンで、通信に支障はなかったと述べた。
墜落した旅客機の乗客にフィギュアスケート・ペアの元世界チャンピオン、ロシアのエフゲーニヤ・シシコワさんとバディム・ナウモフさんが含まれていたことについて、トランプ大統領は「ロシアと連絡を取っている」と述べた。
ロシア国民の遺体返還を支援するかとの質問に対し、「答えはイエスだ。支援する」とし、旅客機にはロシア以外の国籍の乗客も乗っていたと応じた。
トランプ氏はまた、航空管制システムが適切に構築されていないと主張。さらに、バイデン前大統領が航空管制官の採用基準を下げたと非難し、多様性推進の取り組みが、米連邦航空局(FAA)の能力に影響した可能性を示唆した。
多様性のある雇用が今回の事故につながったのかという記者団からの質問に対しては、「そうかもしれない」と答えた。しかし、この主張を裏付ける証拠は何ら示されていない。
さらにFAA長官代行に、米空軍の退役軍人でFAAで20年超勤務したクリス・ロシュロー氏を任命したと明らかにした。
アメリカの首都ワシントン近郊の空港で、乗客と乗員あわせて64人を乗せた旅客機とアメリカ軍のヘリコプターが衝突し、いずれも近くの川に墜落しました。トランプ大統領は記者会見で「残念ながら生存者はいない」と述べました。
目次
トランプ大統領「残念ながら生存者はいない」
フィギュア 元世界チャンピオンの夫妻も搭乗
元機長「周囲見ていれば避けられたか」
日本大使館「邦人被害の情報なし」
【最新】米旅客機 ヘリ墜落事故 “管制塔で「通常ではない」体制“
アメリカ現地時間の29日午後9時ごろ(日本時間の30日午前11時ごろ)、ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港で、滑走路に進入中だったアメリカン航空のグループ会社PSA航空の旅客機と、軍用のヘリコプターが空中で衝突し、いずれも近くのポトマック川に墜落しました。
旅客機は中西部カンザス州ウィチタを出発し、レーガン・ナショナル空港に向かっていたアメリカン航空の5342便で、乗客60人、乗員4人が搭乗していました。
この事故について、ホワイトハウスのウォルツ大統領補佐官は30日朝、FOXテレビに出演し、これまでに30人以上の遺体を収容したと明らかにしました。
また、30日朝(日本時間30日午後9時半すぎ)から当局による記者会見が行われ、地元の消防の責任者は「あらゆる努力は尽くしたが、救助活動から遺体の収容作業に移っている」と述べました。
同じ会見でダフィー運輸長官は、衝突の直前まで旅客機とヘリコプターは通常の飛行経路をたどり、管制官との交信もできていたという認識を示しました。
また、衝突したヘリコプターについて、アメリカ陸軍は南部バージニア州にある陸軍の施設のUH60ヘリコプターだと発表し、ワシントンのバウザー市長は、ヘリコプターには3人の乗組員が乗っていたと明らかにしています。
トランプ大統領「残念ながら生存者はいない」
事故を受けてトランプ大統領は30日、ホワイトハウスで記者会見を行い「残念ながら生存者はいない。アメリカの歴史にとって暗く耐えがたい夜になった」と述べて、犠牲者に哀悼の意を示しました。
事故の原因についてトランプ大統領は、今後の調査で明らかになるとする一方、「ヘリコプターは明らかに誤った時間に誤った場所にいた」などと述べ、軍のヘリコプターの側に問題があった可能性があるという認識を示しました。
会見に同席したヘグセス国防長官はヘリコプターについて、「飛行高度に何らかの問題があったので直ちに調査を開始した」と述べ、事故原因の究明を急ぐ考えを示しました。
また、会見のなかでトランプ大統領は「FAA=連邦航空局は、多様性は安全で効率的な旅行を確保するという使命の達成に不可欠だとしていたが、私はそうは思わない」と述べ、前のバイデン政権下で、管制官の採用で多様性が重視されたことに問題があったという認識を示しました。
ただ、記者から「多様性を重視する採用が今回の事故につながったというのか」と聞かれたのに対しては、「わからない」と答えました。
これらの発言に対し、バイデン政権で運輸長官を務めたブティジェッジ氏はSNSへの投稿で「卑劣だ。家族たちが悲しみに暮れている中、トランプ氏はうそをつくのではなく、指導力を発揮すべきだ。私たちは安全を第一に考え、航空管制を拡大し、民間航空機の墜落による死亡者数をゼロに抑えてきた」と反論しました。
ボートやヘリで川を捜索
ポトマック川では、30日未明も捜索活動が続いていました。墜落現場の近くでは多くのボートや船が現場を取り囲むように集まり、上空ではヘリコプターが何度も旋回し、水面をサーチライトで照らしていました。
また、旅客機とヘリコプターが向かっていたレーガン・ナショナル空港やその周辺では、数多くの緊急車両が待機しているのが確認できました。
フィギュア 元世界チャンピオンの夫妻も搭乗
旅客機の出発地だったカンザス州ウィチタでは、今月26日までフィギュアスケートの全米選手権が開かれていて、NBCテレビはアメリカのフィギュアスケートの団体の話として、乗客には選手権に合わせた育成強化合宿に参加した選手やコーチ、それにその家族が含まれていたと伝えています。
さらに、ロシアの有力紙「コメルサント」は、旅客機にロシア出身のフィギュアスケートの元世界チャンピオンで、現在はアメリカでコーチをしている夫妻が乗っていたと報じました。
2人は妻のエフゲニア・シシコワさんと夫のワジム・ナウモフさんで、ソビエトとロシアのフィギュアスケートのナショナルチームでペアの選手として活躍し、1994年には世界選手権のペアで優勝。
近年はアメリカに拠点を移して、フィギュアスケートのコーチをしていたということで、息子のマクシムさんは、フィギュアスケートのアメリカ代表の選手だと伝えています。
衝突した瞬間 空中で大きく爆発
アメリカのCNNテレビは、旅客機とアメリカ軍のヘリコプターが衝突した瞬間とみられる映像を伝えています。
映像では、着陸しようとしていた旅客機が、画面の左側から飛行してきたヘリコプターとみられる物体と衝突すると、空中で大きく爆発しオレンジ色の光が写っています。
ワシントン市長 約300人態勢で捜索
ワシントンのバウザー市長は、30日未明に記者会見し、ヘリコプターには3人の乗組員が乗っていたと明らかにしました。そして「今の焦点は人命救助であり、われわれ全員がそれに集中している」と述べて、救助活動に全力を挙げる考えを示しました。
墜落現場となったポトマック川では、警察や消防などおよそ300人態勢で捜索と救助活動が続いているということです。
アメリカのABCテレビによりますと、事故当時の気温は10度で、旅客機が墜落したポトマック川の水温はおよそ2.2度だったということです。
また現場付近では、風速11メートルから13メートル程度のやや強い風がふいていたということです。
一方、トランプ大統領は30日、自身のSNSに「旅客機は空港に向けて申し分のない、いつもどおりの針路だった。ヘリコプターは長い時間、旅客機に向けて直進していた。これは防げたはずだったとみられる悪い状況だ。良くない」と投稿しました。
旅客機 軍用機が接近し航跡消える
航空機が発信する位置情報などをもとに航跡などを公開しているホームページによりますと、衝突した旅客機は日本時間の30日午前10時48分ごろ、レーガン・ナショナル空港近くのポトマック川の上空で、別の機体と接近したあと、航跡が消えていました。
この別の機体はアメリカの軍用機と表示されています。
当時、旅客機は空港に向かって南から北に飛行していたのに対し、軍用機は北から南に向けて飛行していて、航跡が消える直前は旅客機の右側から軍用機が接近していました。
航跡が消える直前の旅客機の高度はおよそ105メートルで、時速はおよそ210キロと表示されています。
一方、軍用機は航跡が消えるおよそ9分前の日本時間午前10時39分ごろ、レーガン・ナショナル空港の北西およそ17キロの地点で航跡が表示されたあと、ポトマック川に沿うようにしながら南下していました。
衝突前後の管制官のやりとり
航空無線の音声を収集し公開している民間のウェブサイトには、旅客機と衝突する直前とみられる陸軍のヘリコプターと管制官のやりとりが記録されています。
それによりますと、管制官がヘリコプターに対して「旅客機が見えているか」と尋ねたうえで、「旅客機の後方を通過してください」と伝えています。
これに対してヘリコプターのパイロットは「航空機は見えています」と応えています。
衝突はこの直後に起こったとみられ、その後、別のパイロットが「いまのが見えたか」と尋ねたり、管制官が着陸しようとしていた航空機に「ゴーアラウンド」と呼びかけ、着陸をやめるよう指示したりしているのが確認できます。
旅客機の航跡は
航空機の位置情報などを公開する「フライトレーダー24」のデータによりますと、旅客機は中西部カンザス州ウィチタの空港を、アメリカ中部時間の午後5時38分に出発しました。
旅客機は出発からおよそ2時間で、首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港に近づくと、一度、空港の南側へ飛行したあと、東部時間午後8時39分ごろ、180度旋回して北向きに針路をかえ、着陸に向けて高度を下げていきました。
同じ時間帯に複数の旅客機が、この空港への着陸に向けて飛行しているのがわかります。
その後、旅客機は一度、やや東寄りに針路をとったあと、西寄りに緩やかに旋回して降下を続けましたが、東部時間の午後8時48分ごろ、空港の東側のポトマック川付近でデータが途切れています。
専門家「航空機の数が非常に多い空域」
陸上自衛隊のヘリコプターの元パイロットで、ワシントンの日本大使館で防衛駐在官などを務めた山口昇さんは「レーガン・ナショナル空港は国内線を中心に旅客機が頻繁に離着陸していて、日本でいうと羽田空港みたいなところだ。非常に手狭で、駐機場の数が限られ、何かトラブルがあると別の飛行機が上空で待たされることがよくある」と話しています。
また「ヘリコプターにとっては市街地上空の飛行を避けるため、ポトマック川沿いが一番使われる経路になる。軍用民用問わずに旅客機の航路の下を、多くのヘリコプターがはうような形で飛んでいる」と指摘しています。
そのうえで「航空機の数が非常に多い空域なので、事故を防止するための対策は何重にも講じられているはずだが、今回は針の穴を何個も通り抜けていくようにして、事故が起きてしまったのではないか」と話しています。
元機長「周囲見ていれば避けられたか」
全日空の元機長で航空評論家の井上伸一さんは「事故当時の映像を見ると、旅客機もヘリコプターもライトをつけていて、管制官からのアドバイスなどをきっかけに、互いにそれぞれの方や周囲を見ていれば避けることができた可能性がある」と指摘しました。
そして「旅客機が通過するところをヘリコプターが横切ろうとしたように見え、報道では訓練だったという情報もあるので、どういう訓練だったのかも注目される」と話しました。
衝突を回避する手段については「通常、旅客機やヘリコプターには衝突防止装置が搭載されていて、接近時には警報を発信するが、一定の高度以下では警報を出さない設定になっている。一部の報道で出ているヘリコプターの高度では警報が出ない範囲に入ってしまい、残念ながら2機とも作動しなかった可能性がある」と話しました。
また、旅客機は着陸の直前でパイロットは情報が入ってこない限り、着陸に専念する時間帯だったとしています。
今後の調査については「管制官からのアドバイスがあったのかどうか、また、ヘリコプターが訓練中だったのであれば管制官とどのようなやり取りをしてエリアに入っていたのか、このあたりを解明する必要がある」と話しました。
UH60とは
UH60は、全長がおよそ20メートルの中型のヘリコプターです。
人員の輸送や捜索救難活動などで使用され、アメリカ陸軍のほか、在日アメリカ陸軍や自衛隊にも配備されています。
レーガン・ナショナル空港とは
レーガン・ナショナル空港は、ワシントン中心部から約5キロと利便性も高く首都の「玄関口」として利用されています。
1941年に開港し、1998年には第40代のロナルド・レーガン大統領にちなんで現在の名称になりました。
約3.5平方キロメートルの敷地に3本の滑走路があり、首都ワシントンとアメリカ各地を結ぶ主に国内線が就航していて、年間の利用客は2023年の時点で2550万人にのぼります。
アメリカの複数のメディアによりますと、レーガン・ナショナル空港では1日800回以上の離着陸があり、混雑する時間帯には、毎分のように離着陸が行われているということです。
こうしたなか、去年は航空機どうしが衝突しそうになる事案も発生していました。
また、ワシントン近郊にはレーガン・ナショナル空港を含め3つの主要空港がある上、複数の軍の基地も存在していて、民間機だけでなく軍の航空機の飛行も多く、周辺は非常に混雑する空域として知られています。
ヘグセス国防長官「事故当時は訓練中 経験豊富な乗員」
ヘグセス国防長官は30日、SNSに投稿した動画のなかで、衝突したヘリコプターについて、南部バージニア州にある陸軍の航空旅団に所属するUH60ヘリコプターで、3人が搭乗していたと説明しました。
そして、事故当時は訓練中だったとしたうえで「かなり経験豊富な乗員で、毎年義務づけられている夜間飛行の技術の評価を行っていた。暗視ゴーグルを装着していた」と述べました。
またヘグセス長官は、関係する部隊の緊急時の任務を48時間停止したと明らかにするとともに、事故当時ヘリコプターが適切な高度で飛行していたのかどうかなど調査を急ぐ考えを示しました。
米 フィギュア団体「言葉では言い表せない悲劇」
アメリカのフィギュアスケートの競技団体は声明を発表しました。
声明では「ヘリコプターと衝突したアメリカン航空の5342便に複数の関係者が搭乗していたことを確認しました。これらの選手やコーチ、その家族は、カンザス州ウィチタで行われたフィギュアスケートの全米選手権にあわせて開催された育成強化合宿から戻る途中でした。私たちは、言葉では言い表せない悲劇に打ちのめされていて、被害に遭われた方の家族のことを深く思い、心から寄り添います」としています。
競技団体のホームページによりますと、旅客機が出発した、中西部カンザス州ウィチタでは、1月20日から26日までフィギュアスケートの全米選手権が行われていました。選手権には、180人以上の選手が参加していたということです。
また、選手権後には育成強化合宿が組まれることになっていて、3日間の日程で若手の選手たちを中心にトレーニングが行われるということです。
日本大使館「邦人被害の情報なし」
首都ワシントンにある日本大使館はNHKの取材に対し「現在、日本政府として情報収集を行っているところです。現時点までに邦人の生命、身体に被害が及んでいるという情報には接していません。日本政府としては本件に関係する情報収集を続けるとともに、在留邦人の安全確保に引き続き万全を期していきます」とコメントしました。
石破首相「悲劇的な事故 心痛む」
石破総理大臣は旧ツイッターの「X」に「衝撃的な知らせに大変心を痛めている。この悲劇的な事故の被害に遭われた方々に心から哀悼の意を表するとともにお見舞い申し上げる」と日本語と英語で投稿しました。
d1021.hatenadiary.jp
米首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港付近で29日、アメリカン航空旅客機と米陸軍のヘリコプター「ブラックホーク」が空中衝突した。周辺空域では民間機と軍用機が多数飛行しており、運用上の問題が浮き彫りとなった。
事故は、旅客機がレーガン空港に着陸しようと接近中に発生した。管制塔との交信から、ヘリの乗員は旅客機との接近を認識していたことが判明している。ダフィー運輸長官は30日、両機の飛行経路は異常なものではなく、標準的な飛行だったと言及した。 もっと見る
事故が発生したポトマック川沿いでは軍用ヘリや旅客機が多数飛行している。周辺には多数の軍事基地や3つの主要空港があるが、レーガン空港は特に混雑し、1日当たり800回以上の離着陸が行われ、乗客数で全米24番目に利用者の多い空港となっている。
また、米政府説明責任局(GAO)の2021年の報告書によると、19年までの3年間でレーガン空港から48キロ以内で8万8000機のヘリが飛行していた。
今回の事故を受け、ダフィー氏は民間機と軍用ヘリの十分な距離を確保するため「必要に応じて飛行経路を変更する適切な措置を講じる」と表明した。ヘグセス国防長官も、陸軍と国防総省が調査を開始したと述べた。
米国では近年、航空機同士が異常接近(ニアミス)する事案が複数回発生。航空管制官の不足により全土で運航の遅延や安全上の懸念が高まっていた。米連邦航空局(FAA)は24年10月、米国で利用の多い45の空港で関連するリスク調査を開始しており、25年に各空港のリスクや安全性強化の提言などがまとまる見込みとなっている。
アメリカの首都ワシントン近郊で、乗客と乗員あわせて64人を乗せた旅客機と軍のヘリコプターが衝突して墜落した事故について、ニューヨーク・タイムズは、30日、事故当時、空港の管制塔では本来2人でやるべき業務を1人が担当する「通常ではない」体制がとられていたと報じました。
また、事故の原因をめぐりトランプ大統領は、バイデン前政権が航空当局での人材の多様化を進める一方、能力が軽視されていたと批判しました。これに対して前政権の運輸長官は「安全を第一にしてきた」と反論しています。
目次
フライトレコーダーなど回収 分析へ
トランプ大統領 原因めぐり“多様性政策を批判”
事故前日にも旅客機とヘリコプター接近か
首都ワシントン近郊にあるレーガン・ナショナル空港の近くで、29日夜、乗客60人と乗員4人を乗せて着陸態勢に入っていたアメリカン航空の旅客機と、訓練中の陸軍のヘリコプターが空中で衝突し、ポトマック川に墜落しました。
この事故で、トランプ大統領は「生存者はいない」と発表しています。
事故について、ニューヨーク・タイムズは30日、FAA=連邦航空局の内部報告書を入手したとして、当時、空港の管制塔ではヘリコプターを担当する管制官がほかの航空機への離着陸の指示も担当していたと伝えました。
内部報告書は本来2人で分担すべき業務を1人で担当していたのは、「時間帯や離着陸の量からみて通常ではなかった」と指摘しているとした上で、アメリカ国内の空港の管制塔の人員不足は長年にわたり続いていると報じています。
一方、トランプ政権の次の陸軍長官に指名されたドリスコル氏は30日、議会上院の公聴会で、訓練飛行に伴うリスクについて「空港の近くは適切ではないかもしれない」と答え、就任すれば見直しを検討する考えを示しました。
フライトレコーダーなど回収 分析へ
NTSB=国家運輸安全委員会は30日、墜落したアメリカン航空の旅客機に搭載されていたフライトレコーダーと、コックピットでの会話を記録したボイスレコーダーを回収したと明らかにしました。
フライトレコーダーなどはNTSBの研究室で分析にかけられるということです。
トランプ大統領 原因めぐり“多様性政策を批判”
事故の原因をめぐり、トランプ大統領は30日、記者会見で「何が事故を引き起こしたのかはわからない」としながらも「航空システムで働く人々には、最高水準の基準を設けなければならない」と述べバイデン前政権が、航空当局で働く人材の多様化を進める一方、能力が軽視されていたと批判しました。
このあと、トランプ大統領は運輸省とFAA=アメリカ連邦航空局に対し、過去4年間に行われた職員の採用を検証し、必要な対応をとるよう命じる文書に署名しました。
トランプ大統領は、就任以降、多様性を重視した採用を政府機関に求めるバイデン前政権の政策を撤回するなどしていて、今回の事故をめぐっても同様の主張を展開した形です。
一方、バイデン前政権で運輸長官を務めたブティジェッジ氏はSNSに投稿し、「卑劣だ。われわれは安全を第一に考え、危機を回避し、航空管制を拡大し、民間航空機の墜落による死者数をゼロに抑えてきた」と反論しました。
事故前日にも旅客機とヘリコプター接近か
アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、30日、首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港の近くで29日夜に起きた事故のおよそ24時間前にも、同じ空港に着陸しようとした別の旅客機の針路の近くにヘリコプターが現れたため、旅客機が急旋回を強いられ、着陸のやり直しを行っていたことが航空管制の音声記録などから明らかになったと報じました。
この旅客機を運航するアメリカのリパブリック航空の広報担当者はワシントン・ポストの取材に対して「現時点ではコメントできない」と述べたと伝えられています。
石破首相 トランプ大統領にお見舞いのメッセージ
石破総理大臣はアメリカのトランプ大統領に宛ててお見舞いのメッセージを出しました。
この中では「痛ましい航空機事故の報に接し大変心を痛めている。悲劇的な事故で犠牲となった方々に心から哀悼の意を表するとともに、被害に遭われたすべての方々と犠牲者のご家族にお見舞い申し上げる。この困難な時に日本はアメリカおよびアメリカ国民と共にある」としています。
事故当時の状況は
アメリカ現地時間の29日午後9時ごろ(日本時間の30日午前11時ごろ)、ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港で、滑走路に進入中だったアメリカン航空のグループ会社PSA航空の旅客機と、軍用のヘリコプターが空中で衝突し、いずれも近くのポトマック川に墜落しました。
旅客機は中西部カンザス州ウィチタを出発し、レーガン・ナショナル空港に向かっていたアメリカン航空の5342便で、乗客60人、乗員4人が搭乗していました。
トランプ米大統領は30日、メキシコとカナダからの輸入品に対し2月1日の発動を警告している25%の関税について、石油を除外するかどうかを近く決定する見通しを示した。
石油への関税賦課について「そうするかもしれないし、しないかもしれない。おそらく今夜、決定するだろう」とホワイトハウスで記者団に語った。両国が「われわれを適切に扱うかどうか」や価格次第の部分もあるとした。
トランプ氏は、メキシコとカナダが合成麻薬「フェンタニル」や移民の米国への流入を止めなければ、2月1日から25%の関税を課すと繰り返し警告してきた。
一方、この日は「多くの理由」から関税を課すと述べ、関税が「時間とともに上昇するかもしれないし、しないかもしれない」とも言及した。
カナダ首相府からのコメントは得られていない。メキシコ経済省はコメントを控えた。
トランプ氏はまた、フェンタニルの取引に中国が関与しているとして、同国製品に対する新たな関税を引き続き検討していると述べた。同氏はこれまで、全ての中国製品に10%の関税を課すと警告している。
「中国についても何らかの措置を検討している。わが国にフェンタニルを送り込み、そのせいで何十万人もの死者を出している」とし、「中国も関税を払うことになるだろう。われわれはそれを実行する過程にある」と記者団に述べた。
アメリカのトランプ大統領は30日、カナダやメキシコから大量の薬物などが流入しているうえアメリカが多額の貿易赤字を抱えているなどとして、来月1日から両国からの輸入品に25%の関税を課す方針を改めて示しました。
カナダとメキシコへの関税をめぐっては、これまでにトランプ大統領は両国から犯罪や薬物がかつてない水準でアメリカに流入しているとして、すべての輸入品に25%の関税を課すと表明する一方、トランプ大統領の側近で新たな商務長官に指名されているラトニック氏は両国が対策に迅速に取り組めば、関税措置は回避できるとの認識を示しています。
これについてトランプ大統領は30日、ホワイトハウスで記者団に対し、両国から大量の薬物などが流入しているうえ、アメリカが多額の貿易赤字を抱えているとして「カナダとメキシコに対してそれぞれ25%の関税を課すことにしている。2月の最初の土曜日になる」と述べ来月1日から両国からの輸入品に関税を課す方針を改めて示しました。
トランプ大統領は両国に課すとしている関税率は「今後さらに引き上げられるかもしれないし、引き上げられないかもしれない」とも述べていて関税を交渉のカードにさまざまなメッセージを打ち出すことで相手国に対応を迫る狙いもあるものとみられます。
BRICS加盟国に“ドル離れやめなければ関税に直面”
トランプ大統領は30日、中国やロシアなどの新興国でつくるBRICSの加盟国に対して、アメリカのドルを使わない“ドル離れ”の動きをやめなければ「100%の関税に直面することになる」と自身のSNSに投稿しました。
この中では「わたしたちはBRICS諸国に対し、新たな通貨を創設したりドルにかわるほかの通貨を支持したりしないと確約するよう求める。さもなくば、100%の関税に直面し、すばらしいアメリカの市場に別れを告げることを覚悟しなくてはならない」とけん制しています。
トランプ氏は去年12月にも同様の投稿を行っていて、ドル離れを通じて世界での影響力を広げようとするBRICS諸国の動きに改めて強い警戒感を示した形です。
d1021.hatenadiary.jp
トランプ米政権は先週、米軍の軍用機を使った不法移民の国外送還を開始したが、27日に実施したグアテマラへの送還では移民1人あたりの移送コストが少なくとも4675ドルに上り、アメリカン航空(AAL.O), opens new tabのファーストクラス片道料金853ドルを大幅に上回ることが、米国とグアテマラ当局のデータで分かった。
中南米諸国向けの移民送還には米軍の輸送機C17が使われ、これまでに4機がグアテマラに到着した。米当局者が匿名を条件に明かしたところによると、C17は1時間当たりの運用コストが推定2万8500ドルで、グアテマラとの往復時間は地上作業分などを除き約10時間半。グアテマラの当局者によると27日に到着した輸送機には64人が乗っていたため、1人当たりのコストは4675ドルとなる計算だ。
これに対して米移民・税関捜査局(ICE)が民間機をチャーターして送還すると1人当たりの移送コストは軍用機よりもかなり小さくなる。
ICEが航空機をチャーターした場合のコストにはばらつきがあるが、2023年4月に当時のジョンソン局長は公聴会で、移送にかかる飛行時間は通常5時間で、135人を移送する場合の1時間当たりのコストは1万7000ドルと証言した。復路の飛行コストをICEではなくチャーター会社が負担すると仮定すると1人当たりのコストは630ドルとなる。ICEの元職員によると移送コストは2023年から若干上昇している。
米国防総省は先週、テキサス州エルパソとカリフォルニア州サンディエゴで当局が身柄を拘束した移民5000人余りを軍用機で送還すると発表。トランプ氏は27日、軍用機による送還を続けると述べた。
ルビオ米国務長官は30日、グリーンランド獲得は米国の国益にかなうとし、購入に対するトランプ大統領の関心は「冗談ではない」と述べた。
ルビオ氏はラジオ番組で、トランプ氏がグリーンランドを購入したい意向で、交渉で優位な立場を維持するため軍事力行使を排除していないと述べた。
「これは冗談ではない」とし、「土地を手に入れることが目的ではない。これは国益にかなうことで、解決する必要がある」と語った。
海上輸送にとって北極圏が非常に重要になるとし、米国が防衛を担う必要があると指摘。中国が存在感を高めようとする可能性があると警告した。
4年後に米国がグリーンランドを所有しているかとの問いには「明らかに大統領の優先事項だ」とした上で、「戦術的にどのように進めるか厳密に議論する立場にはまだない。4年後には北極圏におけるわれわれの利益がより確実になっているだろう」と述べた。
ルビオ米国務長官は30日、中国が米国との紛争時にパナマ運河を閉鎖するという緊急対応策を用意していることには「疑いの余地がない」と述べ、米国は国家安全保障上の脅威とみられる事態に対処すると強調した。
パナマ運河は米国が建設し、1999年にパナマに返還するまで管理してきた。トランプ米大統領は就任演説で、パナマ政府が運河返還時の協定に違反し、中国に運営を譲り渡したと批判した。一方、パナマ政府はこれを否定している。
ルビオ氏はメーガン・ケリー・ショーのインタビューに応じ、パナマ運河に対する中国の影響についてトランプ氏の懸念を改めて示した。
パナマ運河は、香港企業、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)の子会社が運河の両端にあたる太平洋側の港と大西洋側の港の運営権を握る。
ルビオ氏は長江和記実業について、「(中国)政府の指示は何でも従わなければならない」ため米国にとってのリスクだと指摘。「もし紛争時に中国政府がパナマ運河を閉鎖するよう指示すれば、そうせざるを得なくなるだろう。実際、中国にそのような緊急対応策があることを全く疑っていない。これは直接的な脅威だ」と懸念を示した。
パナマのムリノ大統領は30日、今週末に同国を訪問予定のルビオ米国務長官との会談で、パナマ運河の管理権について議論する可能性について否定した。
トランプ米大統領はパナマ運河の管理権を奪回すると発言しており、パナマ政府はこれを強く否定している。
ムリノ氏は記者会見で、運河に関する交渉を行ったり、ましてや交渉プロセスを開始することはないとした上で、「運河はパナマのものだ」と改めて言明した。
また、中国が運河を運営しており、兵士が駐留しているというトランプ氏の主張については、「在パナマ米国大使館からもルビオ氏からも、運河に他国の軍隊が駐留しているという情報は一切受け取っていない」とし、ルビオ氏とは移民や麻薬密売など他にも話し合うべき問題があると述べた。
米連邦捜査局(FBI)長官候補カシュ・パテル氏は、30日に上院司法委員会が開いた指名承認公聴会で、FBI職員を「政治的な報復」から守り抜くと約束した。
トランプ大統領が任命したマクヘンリー司法長官代行は27日、トランプ氏に対する刑事捜査に関係した10人以上の職員を解雇。新政権の政策を実行できるかどうか信用できないと説明した。
こうした中、野党民主党のリチャード・ブルメンサル議員は公聴会で、トランプ氏の機密文書持ち出しや2020年の大統領選結果を覆そうとした疑惑などの捜査に従事したFBI職員を解雇しないとパテル氏に誓うよう迫った。
パテル氏は「全てのFBI職員は政治的な仕返しからは保護される」と断言。司法省職員の解雇に自身はかかわっておらず、FBI長官としてはあくまで服務規程の範囲内で職員を律していくと説明した。
保守的な考えを持つパテル氏は、これまでトランプ氏への刑事捜査を大統領に打撃を与えるための「ディープステート」による企てだと声高に唱え、2021年1月の連邦議会襲撃事件を問題視しない発言もしており、民主党議員からはそうした過去の言動を巡り厳しい質問を浴びせられた。
パテル氏は過去の発言に直接的な言及を避けつつ「私が合衆国憲法よりも政治的偏見を優先するかのような非難は異様なほど公正さを欠いている」と反論。トランプ氏が議会襲撃事件に関与した支持者らを恩赦したことについても「私は常に法執行者に対する暴力を拒絶してきた。法執行者へ暴力を振るった人物の減刑には賛成しない」と語った。
その上で、自身の任期中のFBI捜査は事実と法的な視点に基づくことになると強調した。
トランプ米大統領が指名した閣僚候補の中で最も物議を醸す3人が30日、指名承認について審議する連邦議会上院での公聴会に臨んだ。民主党議員のみならず共和党議員からも厳しい質問が飛び、トランプ氏の指名した候補に対する共和党議員の疑念がこれまでで最も直接的に露呈する公聴会となった。
トランプ氏が保健福祉省長官に指名したロバート・ケネディ・ジュニア氏は、共和党のビル・カシディ上院議員(ルイジアナ州選出)からワクチンに関する見解を厳しく問われた。同議員は、ワクチンを巡るケネディ氏の過去の立ち位置について「不安を覚える」と述べた。
国家情報長官に指名されたトゥルシ・ギャバード氏は、複数の共和党議員からロシアの侵攻に対する見解を問われた。また米情報機関の元職員で情報漏洩(ろうえい)に関与したエドワード・スノーデン氏について、両党の議員は「売国奴」かどうか複数回にわたってギャバード氏に質問。これに対し同氏は、スノーデン氏が法律に違反したとの認識を繰り返し表明したものの、売国奴かどうかについては直接の言及を控えた。
連邦捜査局(FBI)長官に指名されたカッシュ・パテル氏は、トランプ氏が言うところの「ディープステート(影の政府)」に属する敵対勢力を追及するとした過去の発言を巡り、民主党議員らとの間で何度も激しい応酬を繰り広げた。
しかしパテル氏は司法委員会において共和党議員の大半から好意的な反応を得ており、承認の可能性は比較的高いとみられる。
先週は国防長官に指名されたピート・ヘグセス氏の承認投票が行われ、票数は賛成50、反対50の同数となったが、上院議長を兼ねるバンス副大統領が賛成の決定票を投じ、51対50で承認された。
現状でギャバード、ケネディ、パテル3氏を明確に支持する民主党議員が一人もいないことから、3氏に対する承認投票も同じ結果となる公算が大きい。とりわけギャバード氏とケネディ氏の承認は一段と険しい道のりに直面する可能性もある。
ヘグセス氏の承認に反対票を投じた共和党の前上院トップ、ミッチ・マコネル氏はギャバード、ケネディ両氏への投票について明言していないが、外交方針としてはギャバード氏よりも強硬なタカ派と目されている人物だ。また幼少時にポリオを患った経験からワクチンの効能を支持する立場でもある。
昨年12月に出した声明でマコネル氏は、ケネディ氏を名指しこそしなかったものの「効果の証明された治療法に対して世間の信頼を失わせる行為は、無知なだけでなく危険だ」と指摘していた。
米カリフォルニア州ロサンゼルスで今月初めに発生した山火事をめぐり、メリル・ストリープさんは避難する際、自らの手で対処することを余儀なくされたことがわかった。おいのエイブ・ストリープさんが明らかにした。
ニューヨーク・マガジン誌の寄稿者エイブさんは28日に公開された記事で、メリルさんが高級住宅地パシフィック・パリセーズとイートン地区で山火事が発生した翌日の8日に避難命令を受けたと説明している。
メリルさんは避難しようとしたとき、「自宅の私道に大きな木が倒れていて、唯一の避難経路をふさいでいるのに気づいた」という。
記事によると「彼女は何とかしようと決心し、隣人からワイヤーカッターを借りて、反対側の隣家との間にあるフェンスに車が通れるくらいの穴を開け、隣人の庭を通って逃げた」。
パリセーズとイートンの火災は、ロサンゼルス史上最も甚大な被害をもたらしたとされている。
被害に関する公式の評価は今も続けられているが、カリフォルニア州の森林火災当局は、この火災で1万6200棟以上の建物が損傷または全壊したと推定している。
#アメリカ(250131)
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